平成23年度給食に関する報告書

 

障害者支援施設 鷹取学園

栄養士 山本 菜摘

1.はじめに

 平成23年度は平成22年度の反省をもとに、行事食・献立メニューの充実、献立内容の見直し、作業工程の見直し等の更なる改善を行ってきました。

 

2.行事食・嗜好・栄養面について

毎月1回の誕生会は、園生の皆さんが大変楽しみにしております。その時期・その季節にあった旬の食材の使用、普段の給食で使用しない食材を採用し、特別なメニューとなる様に心がけております。本年度は特に前年度と同時期の献立メニューを採用せず、新しい献立の組み合わせで、変化と楽しみを付け加えました。一方食事量も園生の高齢化に気を配り、カロリー面を考慮しつつ、少しずつではありますが個人に合った提供量を加味し努力してきました。

過去2007〜2008年にかけて、殆んどの食材が大幅な値上げとなりました。その後の値上げも横ばいのまま続いておりましたが、更に平成23311日に東日本大震災が起こり多大な被害を東北地方にもたらしましたために、食品や日用品が物資不足となり、再び小麦粉・油脂類他の、相次ぐ食材価格の高騰が起き、これに伴い当園給食物資類の値上げが生じるといった影響も徐々に押しよせて来ました。当園も食材の仕入れに関し、食材仕入値の厳しい単価チェックを行い、新食材採用時の相見積書を取る等の対応を徹底しました。また食材受け入れ時には産地・製造年月日・賞味期限の伝票記載を各業者に義務付け、食材の納品時に細心の注意を払い、鮮度に気を配り、食材の受け入れをしております。又高騰した食材面の対応として、出来る限り冷凍食品や既製品は使用せず、手作りに努めております。以前は既製品を使用しておりましたデザートや調理パン(ホットドッグ・ハンバーガー・サンドイッチ・カップケーキ)などは手作りに切り替えました。また当園の農園芸班で園生が栽培したその季節の旬の栄養価も高く、安全で新鮮な野菜を供給して貰っています。野菜の種類も徐々に増え、給食に使用する機会も増えております。新鮮さに関しては、群を抜いております。又、小葱に関しては、献立に毎食使用する食材なので当園給食が独占供給で、1年中供給してもらえる様に、農園芸班に頑張ってもらっております。

平成232月より給食を出来る限り適温で食して頂けるよう調理員一丸となり調理時間を工夫し、悪戦苦闘しておりましたが、どうしても配膳に時間がかかりすぎ過ぎるという努力の限界に達してしまいました。そのネック対策として、食器メーカーより保温食器(飯・汁)の見本をお借りし、食器類を検討し、次に商品の内容説明を受け、園生が実際に使用できるかの確認を行うために候補にあがった保温食器を試用させて頂きました。結果としては「ご飯用保温食器」の採用を決定致しました。その甲斐あって、平成23年度は冬場でも温かいご飯を提供することが出来るようになり、園生の皆さんが喜んでおります。食事する中で、1つでも温かいものが食べられるという事はホッとしますし、幸福な気分になれます。皆さんの笑顔を見て本当に良かったと思いました。

 

3.衛生面について

 3年前、厨房の増改築に伴い今までの衛生面を一から見直していきました。衛生面に関して先ずは調理員全員が自分自身の健康管理に努め、5Sを常に意識し実行して、問題点が発生したときはスピーディな対応ができるように、衛生管理責任者の永井総務主任を中心により良い方法を模索しながら衛生面の強化・改善を行ってきました。

また衛生面に対する知識の向上を図るために、栄養士・調理員ともに保健所の衛生研修会等にも参加させて頂きました。

 

 4.栄養面について

園生のみなさんの好む食事内容はやはり洋食メニューです。入所施設という事で、この学園内で日常生活をされている園生には食事は一番の楽しみと言えます。その為出来る限り皆の好きなメニューを献立に反映できる様努力しております。これに加えまして園生も平均年齢40代後半にさしかかっていますので、カロリー面からいっても低カロリーで満腹感が満たされる様な食材の使用や塩分にも配慮し、減塩に努め食材本来の味を引き立てる様に努めております。又更に加齢化に伴い、咀嚼困難や嚥下がうまく出来ないなどの問題点や体調面を考慮した個別対応が随時求められてきました。刻み食など食事をする際の摂取状態に応じた食事形態をとるように対応してきました。また極端な偏食の人に対しては出来る限り食事を摂取出来る様に、その人が食べやすいような食材を用意したり、盛り方を変えたりするなどの配慮を行ってきました。

平成22年の10月より、個人食事摂取一覧表を基に、体重過多10名の方には、食事区分で主食の極小を新規に設け対応しました。以後の体重測定においては、殆んどの方の体重が平均体重に向かって減少してきております。引き続き支援員・看護師・栄養士と横のつながりを強化し、現在の対応を続けていきたいと思っております。

ほとんどの施設では食事提供を“外部委託業者”に次々と切り変えているという風潮の中、鷹取学園の方針であくまで自前の当園独自の給食提供の利点をフルに発揮し、おいしく・楽しく・身体にやさしい食事作りのために、永井総務主任を柱に厨房チームが一丸となって向上に努めていきたいと思います。

 

【行事食一覧表】

四月   誕生会・ 新年度お祝い献立・創立記念弁当

五月   誕生会 端午の節句・運動会

六月   誕生会 お弁当の日

七月   誕生会 七夕 

八月   誕生会 夏祭り

九月   誕生会・ 秋分の日

十月   誕生会・ 学園祭

十一月  誕生会

十二月  誕生会・ 餅つき・クリスマス会・年越しそば 

一月   誕生会・ おせち料理・七草粥・鏡開き 

二月   誕生会・ 節分

三月   誕生会・ ひなまつり・春分の日