平 成 20 年 度

 

 

                園     書 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   社会福祉法人 福智の里

                    重度知的障害者更生施設 鷹取学園

 

                  822 福岡県直方市大字下境字鬼ケ坂336ー11

                      TEL   0949ー24ー6622

                      FAX   0949ー24ー8333

 

 

 

 

 

                            2009 04 01 FK

 

 

 

 

              目  次

 

 

 

 

 

                                                    ページ

 

目 次                      1

 

平成20年度  事業報告               2   19

 

平成20年度  行事・結果一覧表          

 

平成20年度  指導関係報告書                   20   39

 

平成20年度 医療報告書                       40   43

 

平成20年度  給食に関する報告書               44   45

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

          平成20年度事業報告書

 

                                          社会福祉法人    福智の里

                                            重度知的障害者更生施設  鷹取学園

 

【事業内容】

〔当初計画〕

 (目的)

この社会福祉法人は、多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより、利用者が、個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として、次の社会福祉事業を行う。   

 

(1)第一種社会福祉事業

()知的障害者更生施設  鷹取学園の設置経営

()知的障害者更生施設  鷹取学園通所部の設置経営

 

(2)第二種社会福祉事業

()障害福祉サービス事業

結 果

平成20年度当初の事業計画としては、10月より新体系に移行する計画で進めて来ましたが、結果として平成213月末まで、旧体系の状態で上記の事業内容が進められました。

 

〔当初計画〕

1、はじめに

〔障害者自立支援法に対して〕

平成154月から、利用者の自己決定を尊重するという考えを柱にした「支援費制度」がスタートし、平成17年度で三年目を迎え一応の切りがついたということで、平成184月より障害者自立支援法がスタートしました。平成184月から9月までは試運転状態で、10月からは障害者自立支援法が一気に加速されて動き始めるという予定でしたが、発足当初の平成1866日に東京日比谷における障害者自立支援法への改正内容の要望行動として、日本知的障害者福祉協会を中心に全国的規模での障害者自立支援法の抜本的改正の動きが始まり平成19年度も見直し体制ではっきりとした形になっていません。  

日本知的障害者福祉協会がAAIDD(アメリカ知的発達障害学会)のSIS(知的障害者支援尺度)を参考に作成して日本版の障害区分程度の認定評価項目の見直しが進められており、平成20年度も障害者自立支援法の骨子は変えずに、障害者自立支援法の内容充実を目指す方向に流れが傾いている様子です。

当園も平成21年度を目途に新体制に移行する方向で、@日中活動は「生活介護」、A夜間支援は「施設入所」の形態で、平成18年度から障害者自立支援体制に向けて動いて来ましたが、平成19年度に移行年度を1年早め平成2010月を目途に移行するように計画変更いたしました。平成19年の年末から、保護者に対し学園の新体制への移行方針を説明し始め、現在の障害程度の認定方法に関して調査員の使用する調査に対する着眼点について、施設のほうでも職員、保護者の充分な確認の上で、調査の内容に対し具体的に答えが出来るように体制を整え、平成20年度に入り、各関係18市町に調査依頼を申請し、平成20年の4,5,6,7月で一次、二次審査を終わり、8月末までに福岡県に移行手続きの書類を提出する事で計画を進めていく方針です。

入所者の障害程度区分調査と並行して、4月からは新体制に向けての鷹取学園の運営体制固めを進めて行かなければ、新体制への10月移行は実現しません。

実際には入所者個々人の障害程度区分の評価結果がはっきりと出てこなければ、新体制の具体的形態も打ち出す事はできません。

現在の鷹取学園の入所者全員がこの施設で、今までどおり日中も夜間も同じように生活して行けることを願っています。

障害程度区分の調査結果により、生活介護サービス費の11ランクのどの区分ランクになるのか、また、施設入所支援サービス費がどのランクに位置付くのか、また収入に見合った施設職員数が確保できるか等で、日中活動における職員数と宿直体制は認めないとなっている夜勤体制での職員数がどれ位の数の配置になるのかは実際に評価結果が出て見なければなんともいえない不安定な状態といえます。今回の障害程度区分の評価方法は、一次審査と二次審査によって各市町村の審査員によって決定されるということになっていますが、市町村審査会の区分決定の見解の違いによって市町村間での差が生じているといった話が、すでに障害区分程度の判定を実施した施設の意見として出ていることにも注意していかなければならないようです。

 

  結 果

平成203月に保護者の皆さんに新体系移行についての説明会を実施し、4月から障害程度区分認定のために各関係市町村の調査員に入って貰い調査を進めて行きました。

各関係市町村には10月目途で新体系に移行予定であるとの早めの通知をして、調査に入って貰ったのですが、調査依頼をした市町村側での調査態勢が不十分なところが多く、調査に来られる市町村の調整にも時間を要したというのが実態でした。また、調査に来られた調査員の方が調査対象の知的障害者を理解できなくて、今まで重度重複加算手当(三障害加算)を受け最重度の判定で40年間も知的障害と見てこられた対象者の障害程度が軽く出るなど、現場に携わって来た職員の目からみても不思議な結果が出てくる等、今後もかなりの検討が進められなければならないと思われました。

結果的には障害程度区分の調査結果が平成21年の正月を過ぎても確定できない市が残ったために、福岡県との話し合いで、新体制移行は平成214月からということになりました。

新体制移行が平成214月からになったという理由にはもう一つ大きな理由がありました。当園の生活介護サービス費の11ランクの区分1のランクになった場合に、採用するべき職員採用の問題が生じたためでした。平成18年から福祉系の大卒新卒者を募集し、新聞広告で一般募集をしましたが1名の希望者も出ませんでした。平成20度の年度末にようやく一般募集で1名の職員を採用できました。その後、大学、専門学校あてに正規職員で給料の内容を提示して採用募集をしてようやく応募が出て、7名採用に13名の希望者がありましたが、結果採用試験には12名が参加しての採用試験となりました。生活介護サービス費の区分3に決めると入所定員からして7名の増加となる訳ですが、職員室の広さとか仕事の配置場所などからそれ以上の職員採用の難しさがあり、鷹取学園は指定障害者支援施設として、職員の採用基準を生活介護サービス費の3区分に決定し、施設入所支援サービス費を区分1のランクに決定して幣制21年度からの新体系へ向けて移行することに決まりました。

 

 

障害者自立支援法の内容がどんどん変化する

〔当初計画〕

@     施設収入の減額・増額、入所者の自己負担について

運営面から見ますと、平成173月中旬の段階で、支援費そのものが1.7%減額されました。また、平成18年度の支援費の予算は、年度当初から1.3%減となり、加えて外泊・入院の場合は入金を減額する方法から、6日以降はカットするという方法が導入され、運営面では予算立ても難しい運営に変わって来ました。(補足説明:平成16年度は、支援費支払いについて、入所者が入院した場合は20%のカットという方法がとられ、更に入所者が施設から帰省した場合にも入院の時と同様に20%をカットするという方法にかわり、在園していない場合は本人の負担はしなくてよいという事であった。)

入院外泊時に関する減額については、全国から色々と非難の声が上がり、入院外泊の「6日以降はカットするという方法が、平成19年度からは入院外泊の「8日以降はカットするというように変更になりました。また、これも始まってみなければ分からないことですが、平成21年の4月からは8日目以降も一日に160単位(\1,600)をつけるようにするとの案が既にできていると聞いています。

全国的な傾向からすれば、現体制(旧体制)から、新体系に平成23年までに移行することになっていますが、移行に関してはいつの時点で実施すれば適当かといった統一的な期限を決定できない状態に立たされているというのが実情です。

平成184月より、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法の一部が「障害者自立支援法」に一本化され、障害者であっても医療費の負担制を敷き、食費と光熱水費が原則自己負担とされ、負担額に関しては、所得に応じた負担内容と月額上限措置が取られる方法で平成184月1日から出発しましたものの、18年度の途中から、1割と決まっているものの実質的には1割では済んでいない負担であり、1割でも高すぎるといった声が社会から出て、平成19年度には自己負担の上限額の見直しが再度検討されることになりました。

 

結 果

平成20年度の予算に関しては減額になることなく、19年度20年度と安定した予算でした。

平成20年度は、自己負担に関する批判の声が報道でもかなり報じられ批判された年でした。

自己負担の算定基準に本人の預貯金額が算入されていたことで、金額高に対する変更があったり、

多少の変更が見られました。

 

〔当初計画〕

A 障害程度区分の評価基準の見直し

国の財政問題との絡みで、税金で賄われる支援費制度の見直しが進められ、将来的には介護保険制度に組み入れるといった方向に進められると聞いていましたが、平成19年度に入り、到底合体は無理であろうとの見解がなされるようになっています。

平成18年度に出された106項目の評価項目の79項目は介護保険制度の評価項目をそのまま利用した内容であり、老人介護と身体障害の評価基準を柱にして作成された項目では、知的障害と精神障害に対する評価基準を対象に考えるには、結果として余りにも大きな隔たりが生じることが分かり、審査会として再度の見直しがなされ、調査項目に加え知的障害の特性を含めるために、特記事項の欄を含め二次審査においてこれを評価の対象に入れるという対応に変わりました。 そのような流れから障害者自立支援体制と介護保険制度の合体という考え方についてはおかしいという考えが、国の方針にも変化を与えており、平成19年度末には支援費制度と介護保険制度を合体することは考えられないといった方向に進みつつあるようです。

 

結 果

平成20年度になり、障害者自立支援法と介護保険制度を合体することはないということが行政分担の立場ではっきりと区分され、業務的にも別の分野で進められる形に一気に変更されました。

障害程度区分の見直しは、全国的に声が上がっており、何らかの方法をと言われながらも現在の106項目の評価項目で進められ、平成23年に次の190項目分の判定分が見直されるといった情報も伝わっています。日本知的障害者福祉協会の提唱するSISの日本版の評価表がどのように組み入れられるかといったこともこれから先の事になります。

 

〔当初計画〕

B 入所者の8日を超えた入院・外泊時には、職員の人件費が出ない仕組み

18年度までは、入院、外泊の場合は、外出、帰園日を除き、入院・外泊者のベッドの確保の観点から、6日間までは減額された一定の金額(\2,880/一日)が支給されるものの、7日以降は収入が入ってこない仕組みとなっていましたが、平成19年度になりどのような根拠かはっきりしないまま6日間までが8日間に延長されたものの、その後は支援費が出ないということは変わりなく継続しています。

入院したあとの施設の在籍保障期間は3ケ月までと決まっていますが、その月の8日までの分しか支援費が来ないにもかかわらず、入所施設は小額の収入で入所者の施設内の在籍確保をしていますものの、当然職員の人件費問題が生じています。

@のところでも説明しましたが、平成21年の4月より8日間を過ぎた後は、一日160単位を月末まで出すとはいうものの、職員自体の生活保障という点からは、重度の障害を持っている人たちの生活を支援していく施設入所の在り方ということから考えると明らかにおかしな制度になっている訳ですし、今後ともこの点に関しては厚生労働省に対して改善してもらうように働きかけて行く予定です。

措置費体制時代の職員収入と比較すれば、入所者が入院した場合に於ける施設への収入は3分の1程度に落込んでいることになります。

新体制基準では土曜、日曜日に同じ入所者を支援するに当たっては、「日中活動」とは違う単価の「施設入所」の単価で処理するということになっており、この点は土曜、日曜日であっても日中に入所者を支援する点では何等変るところがないにも関わらず、収入は生活介護の単価の三分の一程度の単価で処理する事になっており、この点でも職員の待遇保障にはかなりの問題点があると察せられます。

また、重度の入所者が入院をすること自体が大変である事も配慮されておりません。入院に際しても、入院後の経過に対して、施設に関係なく家族だけで進められるかという点でも大きな疑問が残りますし、重度知的障害者の支援実態が全く理解されていない事を物語った障害者自立支援法であることを認識しておかなければなりません。

入院時には、家族以外の生活を共にしている支援員の立会いが、医療機関より要請があり、入院の際の支援や障害程度に伴う日常生活支援の内容伝達、更には手術までの立会いをしなければ入所者の手術治療ができないとの要請があっているという実態が理解して貰えていません。入院後の本人及び家族への支援も続きます。施設入所には看護師がいるので、病院と施設看護師の連絡で済むと思われがちですが、施設看護師の仕事と支援員の仕事の両立が必要であることが分かっていません。家族ですらも、無意識の内に支援員に支援を求めており、どちらかといえばそれが当たり前との判断をされているのではないかと思われます。病院への事務手続き上の問題であれば、入院支援は看護師で済む場合もありますが、入院させるためには入所者自身を病院に行かせるための支援が要ります。入院後も家族の不安や相談は、看護師にもありますが、その多くは日常的に生活支援に携わっている直接世話をしている支援員に対する相談が多くあります。入院時の経過観察や報告、更に退院時や退院後の在り方等についても、施設との最終結論に至るまでの途中経過の相談等は現場職員に対してなされているのが実態といえます。この様な経過の後に3ヶ月経っても入院が継続という形であれば、今までいた施設に復帰できない事となり退園に至ることになります。

老人介護と違い、重度・最重度の施設入所者は支援する者が誰でも良いという訳にはいかない場合が多いわけです。誰でもが直ぐに対応できるといった職種ではないことが理解されていないことに問題があります。人間関係が充分にでき、入所者が自分が安心できると思う職員でなければ指示、支援を受け入れがたいというのが重度の知的障害者の特徴であるといえます。言葉もなく、コミュニケーションのとり辛い入所対象者の支援についてもっと理解をして貰えるように啓発していくことも大切だと思われます。

ただ、啓発は大切であると分かっていても、現在の日本社会では直ぐに個人情報保護ということで、障害者の障害特性までもが、あたかも個人の秘密情報であるという立場でもって、全ての知的障害者の障害特性が、始めから社会から敬遠され、かき消されてしまうということが以前に増して、更に大きくなって来たことも留意しておかなければなりません。

この様な点に気を配りながら入所者の入院・外泊時に、職員の人件費が出ない仕組みがおかしいことを提示していきたいと考えております。

 

結 果

入院・外泊時加算(施設・規模に応じて異なる)は、平成18年度から始まりした。

入院・外泊時の減額に対する6日の期限の根拠といった声が、全国から色々と上がってきたせいか、それまでの入院・外泊の場合は6日までは入院・外泊時加算をつけるが、6日以降は本体報酬を全額カットするという内容が、平成19年度からは、入院・外泊の場合は月の8日までは1\2880円の入院・外泊時加算をつけるが、8日以降はカットするというように変更になりました。2日伸びた根拠もはっきりと示されることはありませんでした。

平成20年度に入り、外泊・入院に対する対応が変わりました。

平成20年の4月からは入院・外泊時加算の他に8日以降も一日に160単位(\1,600)をつけるといった案が考えられているとの噂も耳にしたことがありましたが、その後の結果としては、平成20年度に入り3ヶ月に限り入院・外泊時加算の支給方法は月8日間までは従来の方法で支給されることに加え、施設入所支援サービスに移行した場合は、8日以降も長期入院をしている場合については、入院時支給特別加算というものが追加加算されるようになりました。この支給加算条件として、入院先を訪問し、入院先との調整、被服等の準備その他の支援を行ったときは、月1回算定の報酬加算として、3日までの場合は561単位(施設・規模による違いはない)4日以上の場合は1,122単位(施設・規模による違いはない) を支給する形となっています。〔旧知的障害者通勤量の場合は、5日以上の場合に1,122単位を算定〕。この方法は入院期間が4ヶ月にわたる場合でも認められることになっているようです(各月において入院先を最低月1回〈1,120単位を算定する場合は2回〉以上訪問し、支援を行う必要がある)

この他にも施設入所支援においては長期入院等支援加算(入院・外泊時加算は3ヶ月にわたって認められているが、入院期間が3ヶ月にわたっても入院・外泊時加算が算定できない月にあっては、当該月の日数から8日を控除した日数を限度として長期入院等支援加算を算定できる)が認められるようになっており、1回の入院について最大3月間まで算定することができるという方法も入院・外泊時加算との組み合わせてできるようになってきました。

入院・外泊時加算が算定できる日数が8日を超える月については長期入院等支援加算入院時支給特別加算のどちらかを選択して算定できるという方法と、1回の入院中に一方の加算しか算定できないものではなく、月ごとに異なる加算を算定することは可能という事にもなってきました。 

外泊期間が2ヶ月にわたる場合は、月毎に8日間までの入院・外泊時加算だけが認められるようになっています。

以上のように入院・外泊時加算だけを追ってみても8日間分の入院・外泊時加算のみでなく8以降も加算費を設けるという事になり、次々と変化がうかがえる訳ですが、何か小手先だけの操作といえそうで、この先どのように変化して行くかは予想できない状態です。

 

 

〔事務関連について〕

〔当初計画〕

事務関係では、新会計基準に沿った会計処理で進められ、施設に対する行政からの支援費支払い業務が平成18年度迄は、福岡県国民健康保険団体連合会に任せられ福岡県国民健康保険団体連合会からの支払いを施設が代理受領し、施設に払い込んだ分の残りの利用者負担金を入所者が個人ごとに施設に支払うといった体制が、漸く形作られました。次に利用者が施設に支払う今までの負担分について、@サービス費用の1割(定率負担)負担〔これは、所得段階に応じた月額上限を設けた4段階区分〕とA実費負担(食費、光熱水費⇒これも負担能力に応じて配慮する形をとる。)といった2分野構成とされており、自己負担体制がようやく定着してきたわけでしたが、平成19年度の10月より、全国統一という形態が始まり、事務手続きが福岡県国民健康保険団体連合会より、全国国民健康保険団体連合会が事務処理を実施することになりました。しばらくは、県単位でしていた事務上の手続き方法と差異があり、19年度は個々具体的な問題点をFAX.で連絡しながら進めて平成20年に継続して行く状態です。

当初、厚生労働省の説明において、「国民に判りやすい内容にしあげる」という事で始まったのですが逆に、大変分かりづらいものになっております。知的障害者本人はともかく、本人を支える家族の皆様方の多くは、恐らく理解されていないと思われますし、まして、福祉に直接関係ない方には理解できない内容になってしまったといえます。

平成18年度暮れより、障害者の1割負担は重いとの声が上がり、マスコミが取り上げて騒がれ、平成19年度に個人負担に対する軽減措置がなされましたが、入所関係の施設対象者には、直接的には余り関係のない内容であったといえます。

平成17年度より、施設運営に対する国庫補助がほとんどなくなり、福祉事業を行っている運営主体が持つ、自己の資金内容範囲でやりくりしていかなければならなくなった為、将来を見越した計画的な経営をしていかなければならない状態ですが、平成19年度にはいり、今まで出せないといっていた補助金、助成金について、厚生労働省は旧体制から新体制への移行がなかなか進まないために、平成19年度、20年度の2年間を限定して、新制度への移行目的の為に設備基盤整備を名目に補助金を出すことになった。当園も平成19年度初めまでは平成21年度を目途に新体制移行と考えていたが、平成2010月を移行目標にすることになった。@生活介護とA施設入所という多機能経営を進めていくために、移行のための基盤整備として調理室増築工事のために福岡県事業としての助成金を受けて3月一杯までに調理室増改築工事を終了する見込みです。

また、平成202月に体育館のチューリップハウス建築に対して助成金を受けていた日本自転車振興会の監査が入ったが、助成金の使用についての事務的処理及び活用内容等が良いとの評価を得て、建物関係に関する次の計画を進めていかれる場合は、体育館(チューリップハウス)建築申請から2年の経過となっていますので、直接に日本自転車振興会宛に助成金申請をされてもよろしいですよとの返事を頂いておりますので、今後の事業展開に活路を与えられています。

結 果

平成19年度に引き続き、今までの継続した事務処理が行われました。平成20年度も無事に事務関係の業務が行われました。

12日の帰省は減額の対象にはならないために、保護者の皆様がこの点を充分に理解され、学園の収入に影響がないようにと自主的に協力された結果が伺われます。

しかし、入所者が病気になった場合は、素早く家族に連絡し、医療関係に引き継ぐという対策も行い、治療もスムーズに行われましたのでインフルエンザの流行期も乗り越えることができ予定していました減額以内にとどまったと言えます。

平成21年度は新体系に移行しますので、平成20年以上に減収に対する対策を考えて行かなければなりません。

 

〔「障害者自立支援法の抜本的見直し」について〕

〔当初計画〕

平成19年度になると、「障害者自立支援法の抜本的見直し」という言葉がどんどん使われるようになりました。平成18年度までは、全国育成会の会長さんが、全国施設長会議の席上で、「厚生労働省の進めている障害者自立支援法に異議を唱える施設に関しては、我々全国手をつなぐ親の会−全国育成会が、反撃して行きます。」といっておられた方々は、平成1966日の東京の日比谷で開催された集会後に、一気に勢力を弱め役職におられた皆さんは、役員を退かれ現在は他の方々が、会の運営に当たられているとの事であり、地方の手をつなぐ親の会との意見にかなりの隔たりがあった事が分かりました。厚生労働省におきましても、障害者自立支援法を考えられた方々の殆どが、配属部署が変更になってしまったようで、平成19年度の後半からは、「障害者自立支援法の抜本的見直し」という気運が広まっています。

厚生労働省は色々な情報があればどんどん持ち上げて頂きたいという立場にあり、国会では自民党の木村義雄衆議院議員を中心に障害者自立支援法の抜本的見直しが進められている現実で、少し前の厚生省時代においては、日本知的障害者福祉協会は、厚生省からみれば福祉に関する教育・研究部門として位置づけされていたのですが、現在の日本知的障害者福祉協会は知的障害者福祉に関する厚生労働省との折衝窓口として位置する状態になっています。

ちなみに日本の障害関係福祉施設の全国施設長会の組織は、日本知的障害者福祉協会の中に位置づいており、全国知的障害者施設長会も他の組織と並列した形で、ここの場所に位置づいているわけです。

新しい制度が発表されてから、凡そ3ケ月位するとまた、何らかの変更内容が生じるといった事が平成18年度から繰り返えされている状態ですが、問題点として感じられる内容や、納得できない内容は、厚生労働省に対して訴えていかなければ、自分達の立場を理解してもらえないといった思いを感じています。

 

結 果

平成20年度は坂田理事長が厚生労働省を2度訪問され、平成2010月に移行すべき計画を市町村の障害程度認定区分の調査に、園が予定していた以上に時間がかかり、移行することが難しいこと。また、知的障害者施設に対して大学や福祉専門学校、一般社会人から就職希望者が全くない事、法基準からみると当園には職員を多人数採用することができるようになっているが、実際には現建物の構造からみても、職員のいる場所もなく、改装するにはお金がかかるしその時間もない。現在までの入所者は今後とも同数である事に対して、生活介護サービス費の施設区分によって、現在いる23人の職員の他に、14(区分2での増員数)とか21(区分1での増員数)の必要性があるのかといった事を知って貰ったり、施設入所支援施設においては、土日、祭日の日勤時にも職員は入所者を見なければならないが、それに対する報酬が全く考えられていない事のおかしさ等を指摘していました。平成213月になり、土日、祭日の日勤について、入所者が施設に居れば90単位(900)を加算するといったように変更されていました。

平成21年度は当園が新体系に移行しますが、今後とも障害者自立支援法を充実させていくためには、可笑しな点に関してはどんどん提言して行かなければ知的障害者はまともな方向へは進まないと考えております。

 

 

〔支援費対象者ランクの内容と平成20年度の障害程度区分判定について〕

〔当初計画〕

平成19331日調査で、鷹取学園入所者の支援費対象者ランクA、B、Cの内容は、75名中Aが73Bが2C該当者は0であることは既に昨年の事業計画で説明しております。(補足説明)

@ 平成184月当初は、支援費対象者ランクA、B、Cの内容は、75名中Aが70名、Bが5名、C該当者は0名であったが、内容に納得が行かないため、福祉事務所に再判定の依頼をした結果、Bの5名中3名がAとして認められた)

A また、平成18年度には、支援費制度のAランク認定の重度知的障害に加えて2種以上の重複障害(障害者手帳等により認められたもの)を持つ対象者へは、重度重複障害者加算制度(通称、三障害加算)について16名が対象であったが、追加申請の末18となっている。

平成19年度末より、入所者及び保護者の皆様に対して、新体制移行予定が、平成2010月を目途で進めること、また鷹取学園は、体系として@生活介護とA施設入所という事業形態にすることの説明会を行い、対象の事業形態を活用するための入所方法としては、事前に障害程度区分調査を各出身の市町村窓口に申請し、障害区分程度の1から6までの区分決定を受け、鷹取学園の@生活介護の対象者は50歳未満は区分3以上、50歳以上は区分判定が2以上となること、Aの施設入所の対象者は50歳未満は区分4以上、50歳以上は区分判定が3以上の区分に入っていなければ利用できない旨の説明を行った。

また、2月と3月で各保護者73家族に対しこの度の障害程度区分調査に対する準備ならびに各質問に対する入所者個人ごとの具体的ハンディの説明方法等の説明会を実施し、平成204月より各市町村から障害程度区分の調査に入ってもらう計画で進めている。

 

結 果

障害程度区分に調査に関しては入所に関係する18市町村の調査窓口に平成203月初めに調査依頼して、平成204月から調査に入って貰うという事から始めました。

しかし、市町村の調査窓口担当者の体制が各市町村で違う事と審査委員会の在り方が1ヶ月に1度予定されているところ、2ヶ月に1回予定されているところなどと様々で、かなりの時間を要した事、また、調査に来られる調査員の方たちが知的障害に対する理解がなされていない事が大きな調査結果に及ぼすことになったという事が大きいと思われます。しかし、もともとの原因は106項目の調査項目とそれを解説する認定ハンドブックに問題がある事が分かります。

知的障害の特徴を特記するための特記事項記入に対する調査員の見解も様々でした。

今回、知的障害者に対する障害程度区分の認定調査において、言語を持たない重度、最重度の対象者に対しては非常に不利になる結果につながったのは、調査項目7の「行動について当てはまる番号に1つだけ○印をつけて下さい」とするところが、はじめからおかしな質問形式になっているといった事です。

例えば、「ア.物を盗られたなどと被害的になる事が」、「イ.作話をし周囲に言いふらすことが」、「カ.暴言や暴行が」、「キ.しつこく同じ話をしたり、不快な音をたてることが」、「ク.大声を出すことが」、といった質問については、はじめから知的障害そのものに対する障害内容は不問にした形であり、言語障害の部分では、始めから言葉がないからこの項目には該当しないといった判断基準を作っている訳です。

また、「シ。外出すると病院、施設、家などに1人で戻れなくなることが」の質問では、実際には、重度の知的障害者の場合は誰もがこの項目では「ある」ということになるはずであるが、施設入所をしている人に対してはという、別の判断基準が設けられており、マニュアル書の判断基準では「施設などで居室や居室棟から出て自室に自力では戻れなくなる場合も含まれる」ということになっており、殆ど重度の知的障害者でもこれは可能という結果につながっている。

判断基準が同一の上に立っての評価であるならば評価価値はあると思うが、設問とは違った二重の評価項目で判断できるというのは始めから評価項目には当たらないと普通の感覚の持ち主であれば考えるところであり、これは可笑しいと皆さんが口にしているところです。このような106項目の評価がなされ、当園でも旧法の支援費制度の評価基準で重度重複障害加算(三障害加算)を受けていた対象者が区分6に至らないという結果を招いています。

平成211月にようやく73名の障害程度区分評価が出ました。

 

障害程度区分

人数

%

障害程度区分

人数

%

障害程度区分

人数

%

男子6区分

21

50

女子6区分

22

71

男女子6区分

43

58.9

男子5区分

13

31

女子5区分

9

29

男女子5区分

22

30.1

男子4区分

7

17

女子4区分

0

0

男女子4区分

7

9.6

男子3区分

1

2

女子3区分

0

0

男女子3区分

1

1.4

42

100

31

100

73

100

 

以上の結果から、鷹取学園としては、日中活動は@生活介護で11区分中の上から3番目の、区分3を選択し、支援職員数が30名以上ということでのスタートになりました。生活の場の支援内容としてはA施設入所支援サービスを選択することになりました。施設入所支援は区分1を選択し、宿直勤務の3人体制を新体系では宿直体制が許されていないために、夜勤勤務に切り替えて4名体制で進める事になりました。

 

 

〔知的障害者の言語障害認定に関する問題〕

〔当初計画〕

この内容も平成19年度の事業計画にあげていましたが、平成20年度の障害程度区分調査にも大きく関わることでありますので、再度、ここで説明を加えておきたいと思います。

〔説明内容〕支援費制度にあっては、重度重複障害者加算の認定が必要でした。以前から問題提起してきたことでしたが、重大な問題点が知的障害者福祉の中で取り落とされて来たということなのです。

具体的に説明しますと、重度知的障害者でそして年齢的にも23歳以上の年になり、その後も終生にわたり言語を持っていない言語障害の対象者について説明すれば、現在の身体障害者手帳の認定では知的障害者の言語障害は、身体障害者手帳の言語障害の範疇では認められない事になっています。もっと具体的にいえば、身体障害としての言語障害は器質的な異常が基本になって起きる障害であるため、身体的な形の上で異常がないとか、知的障害を起因とする言語障害は身体障害の範疇にはないとされているためである。

その考え方の元になっているのが、知的障害は発達障害であり、いつの日かもしかすると言語能力が発達して、言葉が出る可能性があるといった考えが基本になっていると思われます。しかし、この見方は甘いといえます。知的障害というハンディを持ち、言語を持たなかった子供たちの追跡調査がなされていなかったということ以外のなにものでもありません。 

成人して高齢化の道を過ぎて老齢化して行くまでの重度知的障害者の言語に関する実態が理解されていないといわざるを得ません。社会そのものがこの部分に対し今まで全く目を向けていなかったということを証明しているに過ぎません。

要するに重度知的障害者の言語障害問題など、どうでも良いといった結果でしかなかったと思われます。

※ 詳細説明⇒重度重複障害者加算に対する重度知的障害に重複する障害内容としては、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、肢体不自由(四肢の障害)、内部障害(心臓、腎臓、若しくは呼吸器または膀胱、若しくは、小腸、若しくは人免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害)、精神障害(知的障害を除く)となっております。 知的障害者の言語障害に対しては、器質的なものから来る言語障害は身体障害者手帳の対象となるが、知的障害に起因する発達障害による言語障害は、身体障害者手帳を対象とする障害には当てはまらないとの法的解釈により、知的障害者の言語障害は現在でも身体障害者手帳発行の対象外となっています。)

それ故、重度重複障害者加算の対象には該当しないとされています。

しかし、知的障害が発達障害という考えに基づくと考えた場合に、人間の脳の発達段階は、23歳〜24歳までが限界とされているため、それ以上の年齢に達した知的障害者に対しても、一生涯言語が無くても現在の身体障害者手帳対象の言語障害とか、それに順ずる障害とかに認定できないのかといった問題が残ります。

もともと知的障害という身体の一部である脳に障害が起き、それ故に言語に結びつかない事は身体障害という範疇には当たらないのかという疑問が湧きます。知的障害というのは脳の形状的な姿に異常が認められないので、器質的異常は無いということで身体障害者手帳の対象外であるといった判断というか考え方はおかしいと思われます。形状に異常が無くても脳の中に何らかの異変が起きているからこそ、知的障害というハンディが生じているわけです。老人に多くなる脳梗塞や脳内出血で脳の一部の細胞が破損されて、レントゲンやCT、MRI等の機械で原因がはっきり証明できるものは身体障害者手帳の対象になっています。

しかし、器質的に障害を持っていて、充分な会話ではないにしても、言語としてコミュニケーションの取れる対象者でも、構音障害ということで身体障害者手帳の対象者となりますが、終生にわたり全く言語を持たずに会話の出来ない知的障害者は、言語障害ではないという考えは、現在の医学ではまだまだ解明できない未分野なので、因果関係がはっきりしないので認められないということでしかありえません。ひがんだ考え方をすれば、この様な知的障害の原因究明を研究したところで、社会的貢献度としては低いために研究者にとっては何の得にもならないものと判断されているのかも知れません。

それでも、知的障害者を支援していく現場の職員の視点から考えると、全く納得のいかない事なのです。

もう一言付け加えるならば、最重度知的障害者ならば全てが言語を持っていないという理論構成で上記の論理は成り立っているはずでしょうが、現実には最重度の知的障害を持っている人の中にも、一般的ではないかも知れませんが成人した対象者の中には、稀な存在でしょうが、例外的にでも単語を発声できる人がいる訳です。

知的障害に対する現在の学者の見識は、いうならば不十分であるとしかいえません。

知的障害という障害に対して、知的障害に関する学識者といわれる方々は、更に知的障害という障害自体に対する認識を深めなければ、知的障害福祉に対する本当の判断は出来ないと思います。

発達障害に絡んだ最重度知的障害者というのは、赤ん坊同様に全く始めから言語を有していないと考えるのは当然かも知れません。しかし、知的障害者であっても人間としては肉体的には成人するわけです。最重度の知的障害者といっても、赤ん坊から老人に至るまでの巾があります。発達障害とは年齢的には何歳をもって、成人としての人間の発達の限界に線を引くのでしょうか。

成人として、人間としての発達の限界にいたっても、普通の状態に至らない部分が障害者としてのハンディとして現れるわけです。

知的障害者の言語障害は身体障害者手帳の範疇ではないという考えは、知的障害から来る身体障害問題にも同じように出ています。行動においては車椅子でしか生活できないような状態に至ったとしても、器質的な要因が認められないために、身体障害者手帳の対象ではありませんといった現実問題が出ています。身体障害者の症状を呈していますし、実態は身体障害者への介護を必要としますが、身体障害者手帳の対象ではないために身体障害者施設の該当者ではありませんという問題が、今後、多く発生してくることと思われます。 この問題は今後に残された大きな課題であり、当園でしか判らないといった問題ではない筈です。 この部分の理解をはっきりさせていなければなりません。多くの言語を持っていない重度の知的障害者の人達や、身体障害者手帳の範疇に入らない知的障害から来る身体障害症状を呈するために、知的障害者施設が支援対象でなくなった、何処にも行き場所のない入所者の皆様方の問題にいま少し思いをもって進めていけば、知的障害者福祉の在り方がもう少し変るであろうし、今から高齢化して同じような問題に直面するであろうと考えられる知的障害というハンディのある人たちに対する少なからず福音になる問題を平成20年度も社会に対し、提起していきたいと思っています。

 

結 果

平成20年度は障害程度区分調査に時間を取られて、この問題に関しては具体的な動きは取れませんでしたが、前述しましたように、障害程度区分調査の段階で、知的障害者の言語障害に対しては全く考えられていない事が証明されたといえます。重度知的障害者で言葉のない人達については、今回の障害程度区分調査では大変不利な結果しか出ていないといえます。

障害程度区分調査の見直しが叫ばれていますので、この動きの中に知的障害者の言語障害について問題点を提起していければと思うところです。

 

 

〔通所部について〕

〔当初計画〕

通所部については、平成18年度始めまでは、10名定員に対し1名の通園対象者で対応しました。平成18年度途中から通園していた1名も、障害者自立支援法の影響もあり、他の入所施設に入所しました。その後は、平成19年度は一例も通所希望者はあっていません。

平成20年の新体系移行時に通所部をどのように考えるかは、平静2010月からの新体制移行時にはっきりさせなければならないところです。

 

結 果

平成214月から新体系への移行を行うようになりましたが、当園ではこの際通所部について社会福祉法人 福智の里の事業から外すという事に決まりました。

 

〔高齢にむけての今後の課題〕

〔当初計画〕

 

平成19年度にも高齢化対策について触れましたが、平成20年度も鷹取学園が抱える課題点になります。保護者の高齢化と、入所者の高齢化問題です。保護者が高齢化し、次々に亡くなられた方が出ています。入所者自身も加齢化し、知的障害に加えた高齢者問題を抱えなければなりません。現在の姿での施設設備や職員体制のままでは、高齢化に対して対応できかねることが目に見えて分かっています。平成20年の10月から新体制になり、職員数や勤務内容も見直さなければならなくなります。

障害者自立支援法では高齢化して病気になったり、老齢化した場合は入院をさせるか或いは老人ホームへといった経過措置を講じて行けば知的障害者のライフスタイルは描けていると考えられているようです。新体制化での施設体系には高齢化対策の具体的なあり方は示されていません。

現在の医療体制や社会福祉状況において、高齢化した重度や最重度の知的障害者を簡単に引き受けてもらえる場所はなかなかありません。

残るところは、現在生活している当園で老齢化した園生を見て行くという事でしょうが、現状の体制では全く不可能であると言わざるを得ません。

歳を取っても、元気で何とか生活して行けるまで見て行くというのが現体制の知的障害者更生施設としての限界だと思われます。新体制では施設入所という形になりますが、土曜日、日曜日の施設に来る運営費を考えると日中介護の単価の三分の一の金額しか来ないため、現状を維持していくのが必死の状態であり、結局は厚生労働省も周囲の知的障害者福祉に携わっておられる皆様も、目の前の高齢化問題などはどうでも良い状態にしかないと思えます。

結局は病気になり、動けなくなった場合は、健常者が老人になった場合同様に、知的障害をみて貰える医療関係機関を探すしかないと思われます。鷹取学園を離れて、老人疾患病院や老人施設等の場所で看て貰うしか方法はないと思われます。

家族を持たない独り身の知的障害者の場合は、なおさら厳しい状態を迎えなければならなくなると思います。

現在は成年後見制度の紹介がよくされていますが、本人の持っている金品財産に対する後見問題であって、本人の生涯にわたる生活上の後見をするといった内容ではありません。このところは後見人制度の内容を知る多くの人たちの共通の理解であるところです。今後はこの点に関しては、問題点を真摯に受け止め、更なる対策を講じるように方向付けしなければならない点だと察しられます。

平成18年度より支援費制度が新たに障害者自立支援法に取って代わり、大きな制度改革が目指されましたが、高齢化する重度知的障害者支援のあり方に、医療問題を取り入れた福祉体制を考えるとか、今後どの様に対応していけるのか、またそれを実現できるような方向に努力していくといった考え方は在りませんので、平成1912月に、日本知的障害者福祉協会の方が講演に来られた時に、重度知的障害者の医療問題と高齢化対策に関しては、新体制の体系説明では不十分であると説明しております。平成20年度もこの点に関しては、何らかの具体化に向けて鷹取学園として前向きに対処していくところです。

 入院すれば、施設との関係が直ぐにでも切り離されてしまうという形になっている事を、保護者が理解し、自分達はそのときどのようにすれば良いかを考えておかなければならない現実に直面しています。しかし、実感として感じるときは既に遅いといえます。この点は保護者に対し、重ねて説明していかなければ、少しでも具体的に良くなることはないと考えるところです。

 

結 果

平成20年度は障害程度区分調査に時間を取られて、この問題に関しても具体的な動きは取れませんでした。

保護者の皆様も高齢化が進み段々と亡くなられて行かれる方が出ております。入所者の旅立ちを見守るのは兄弟姉妹か、または甥や姪の方たちになると思います。親の立場としてどの様な思いを現在お持ちであり、今後どの様になって行くことを望まれるのかといった考えをまとめておかなければならない時期に来ていると思われます。施設から発する声だけでは現在の社会では、なかなか受け止めて貰える状態でないことも知って欲しいところです。重度の知的障害者の将来像はどうあるべきか、知的障害者福祉に携わる関係者は早めに対策を講じなければならないと思います。

 

〔保護者にお願いすべきこと〕

〔当初計画〕

早急に対応していかなければならないことは、親御さんを中心とした保護者の皆様が元気な内に、園生が高齢化した場合の対応について、現時点で考えられること又はしておかなければならない事はしておくべきだと思われます。学園からは出来るだけ多くの、またいろいろな情報を保護者の皆様には伝達していく方針です。

施設で対応できる部分は施設の立場でどんどん進めていきますが、保護者にしか出来ない部分がどうしてもあります。入所者の生死に関わる問題は学園側ではできない部分です。

山積された問題点に対し、当園だけの力ではどうすることもできないものがあります。鷹取学園と保護者が共に支えあいながら入所者を守っていかなければならないということしかありません。 平成20年度も知的障害者福祉に対する啓発内容をあらゆる対象機関に対し働きかけていくということ、また多くの皆様方の協力と支えを仰ぎながら知的障害者福祉推進のために努力していく所存です。

平成20年度は新体制への移行に向けての準備と、新体制に移行する年になりますが、保護者の皆様のご協力をお願いしたいと思うところです。

 

結 果

平成20年度は新体系移行のための準備期間で終りました。鷹取学園の保護者会に対して、坂田理事長兼施設長から、鷹取学園の今後の事を考えていくためには、保護者の皆様に保護者会の再構築を考えて欲しいと提言がありました。本当に入所者の為になる保護者会の動きとは何なのか。 

今後の知的障害者福祉問題に対処できる保護者の会とはどの様な会にすれば良いのかといった話が投げかけられています。

平成21年度も鷹取学園は保護者の皆さんと共に入所者のために邁進努力して行く所存ですので宜しくお願いいたします。

 

2、平成20年度の運営方針

〔当初計画〕

平成184月より障害者自立支援法がスタートし、19年度の1年間も出発当初からいろいろと問題を含んだ体制で経過をみましたが、平成20年度の10月には、鷹取学園も旧体制から脱皮し、障害者自立支援法に基づく新体制への移行を実施していく予定です。平成20年の10月までは予算上、旧体制の収入で運営しなければならないために、平成2010月からの新体制における支援体制は、4月に入ってからの入所者の障害程度区分調査の実施と平行した形で、入所者の程度区分結果を見ながらでないと実際には具体化した新体制での運営形態を作り上げることはできません。

園生への支援については、日中活動の生活介護については、しばらくは平成19年度と変わらぬ支援方針で、重度、最重度の知的障害のハンディを持った一人一人に対して、本人に適合した支援内容で自立に向けて明るく楽しく充実した学園生活が送れるように力を注いで行ける体制を計画しています。また、夜間については施設入所という形になる予定ですが、旧体制では宿直勤務の体制で進めてきましたが、新体制では夜勤勤務となるために現体制から考えれば日中の職員数が3名減ることになります。しかし、生活介護の形態に対し、入所者の障害程度区分の評価によって、施設職員の配置数が決まることになっており、これも実際に現在の入所者の障害程度区分の調査と審査を経た区分決定がなされなければ、具体的にまた実際にどのような形を作り上げられるかが判明しない状態となっています。この点も4月から10月の入所者の程度区分調査と平行しながら形作っていくことになります。

学園入所者の平均年齢は43歳程度です。重度知的障害者は加齢化が早いと言われますので、この点にも充分に配慮しながら、設備の改善、生活環境の改善、生活の質の改善というように、支援・介助・処遇の質的向上に努めていきたいと思っています。具体的には、快適な生活環境作り、作業・訓練等の充実、各種行事の開催、健康管理、食生活の改善といった今まで実施してきた学園生活の充実を更に向上できるように努力していく方針です。

 

結 果

平成2010月に新体系移行を予定していたことが、結局、平成21年の4月からの移行になってしまいました。

運営方針は当初予定したとおりの運営方針で進める事が出来ました。

 

3、平成20年度事業計画案

〔当初計画〕

 

1)行事に関して

    大きな行事のみを抜粋

   1〉第28回学園祭   第28回運動会  

28回親子旅行  第28回餅搗き大会  第28回クリスマス会  その他

結 果

  予定通りの行事を終えることが出来ました。

 

 2)建物等に関して

   〔当初計画〕

1〉浄化槽(小)の配電盤の塗装について

 平成18年度も予定しましたが、配電盤に錆が来ている状態にあり、塗装工事の必要が

あります。

   結 果

  平成20年度は実施しませんでした。

 

〔当初計画〕

2〉フラワーホームの照明器具の取替え工事

夜間フラワーホームに行くと、フラワーホーム全体の照明が暗く感じられますので、照明器具の交換を計画しています。

結 果

   この件も、平成20年度は実施しませんでした。

 

〔当初計画〕

3〉学園周囲のフェンス工事

     学園周囲に張り巡らしてあるフェンスネットが古くなり、園生が破って出て行ける様

な状態になっています。また外部からの侵入者防止のためには是非、張替えが必要と

もいえます。(学園の西側部分は新しく張り替えていますので、その他の場所の張り

替えが必要になっています。)

結 果

   平成20年度は実施しませんでした。部分部分破れたところは修繕しながら対応しています。

 

〔当初計画〕

  4〉廊下等のPタイル修理について

   平成19年度にPタイルの張替えをしておりますが、入所者が掃除をする場合に、水拭

きでしかできません。本来なら廊下のPタイルはワックスをかける様になっています

が、これが難しいために、今後も水拭きという方法を継続していくしか仕方ありませ

ん。水拭きをすると、どうしてもPタイルが浮き上がり破損してしまいます。平成20

年度も破損したPタイルは交換の必要があります。

結 果

平成20年度末に、職員の増員を行うことになり、職員室の机を入れ替えることになりましたので、平成21年に入り、職員室の新しい机をすえつけた後に補修をかねて、全体的なPタイルの修理をする事にしました。

 

〔当初計画〕

  5〉玄関前公用車車庫の塗装工事について

    正門電動門扉の塗装をしましたところ、横の玄関前公用車車庫の塗装が剥げて古くなっているところが目立ちますので、この部分の塗装を予定しています。また、反対側の正門電動門扉用のフェンスの塗装も同時期に実施する予定です。

結 果

    正門電動門扉の色は黒でしたが、学園の建物との調和を考えると緑色の方が良いとの水戸岡鋭治様の助言で緑色の塗装を施しました。また、玄関横の車庫及び電動扉を収納する側のフェンスも緑色に塗装しなおしました。

 

〔当初計画〕

6〉軽作業T棟の屋根の塗装工事について

軽作業T棟の屋根のセッパンが古くなり、塗装をやり直す上体に来ています。この箇所も塗り替え工事を予定しています。

結 果

雨漏りも酷くなり、この工事は早急に実施する予定でしたが、平成20年度末まで完了しませんでしたので、平成21年度に入って直ぐにやり直すことに計画しています。

 

4、購入物品、修理品、その他に関して

〔当初計画〕

1〉生ゴミ処理機の購入

厨房から毎日生ゴミが出ますが、この分を処理するために現在までは、水切りをして

ビニール袋につめて、ゴミ回収日に出していますが、生ゴミを荒らす烏や犬類の動物

の食い荒らし等に木を配りながら、回収当日にゴミ出しをしています。しかし、環境

問題を含め、学園内で処理できる方法として生ゴミ処理機を購入し、処理したものは

園芸班等で活用したいと考えております。

結 果

現在のところ、蓋のアルゴミ置きを設置して、直方市のごみ収集に廃棄物として出していますので、暫らくは様子を見ながらやっていく予定です。もし、農園芸班での堆肥の問題が発生すれば今後とも購入に向けて計画準備して行く予定です。

 

〔当初計画〕

2〉印刷機の購入について

現在使用のリソグラフという印刷機は、平成113月に購入したものです。今まで使ってきましたが、古いために部品交換時に部品が無いというところまで来ています。次に故障した場合には、買え替えしなければならなくなっています。

 

結 果

   平成20年度に今まで使ってきましたリソグラフという印刷機が破損しましたので、新 たに同じ様な機種で従来の能力を持った印刷機を購入しました。   

 

〔当初計画〕

3AED(除細動器)の購入

   学校関係、公共施設においては何処でも、AED(除細動器)の配置が多くなっています。

当園でも体の弱い対象者が多いので準備しておいたほうが良いと考えられます。

  結 果

   早めの購入をと予定しながらも平成20年度は購入に至っていません。平成20年暮れに入

所者の1人がノート1枚を食べて喉に詰めたことがありましたので、平成21年度には是非

購入しなければと予定しています。

 

〔当初計画〕

  4〉医務室内の保護室への監視カメラ設置について

    精神的な不安定で他園生に迷惑を掛ける状態になった人を落ち着かせるための部屋を準備しておりますが、現在は部屋の中にいる本人の状態を把握するために、その都度部屋を開けて確認しなければなりません。確認のために部屋を開けることで、マイナスになることがあります。この部屋を使用する対象者に対し、適切な判断と適切な対応を行うために、職員のみが確認できるタイプの監視カメラを設置する必要があります。

結 果

    色々と検討していますが、平成20年度は購入に至りませんでした。

 

〔当初計画〕  

5〉生活実習棟のエアコンの買い替えについて

   昭和59年に建築した時に、暖房機と冷房専用機をセットで各3箇所に取り付けましたが、古くなり危険です。この箇所の物を冷暖房用のエアコンに買い換える予定したいと思います。

結 果

    生活実習棟の 2階の部屋の暖房機が故障したために、冷房専用機も古くなっていましたので二つの機能を併せ持ったエアコンの買い替えを行いました。

 

5、維持管理、その他

    ○維持管理

〔当初計画〕

1〉ボイラー缶内の清掃

本館機械室、フラワーホームの暖房ボイラーを平成13年度の終わりに新規入れ替えました。平成14151617年度は必要なかったのですが、18年度の2月にフラワーホームのボイラーのみ、掃除を行いました。平成20年度は本館機械室のボイラー掃除を実施しなければならないと計画しています。併せて煙突掃除を行う予定です。

結 果

   平成20年度に業者に再度確認しましたが,現状で急いで掃除をしなければならない事はないとのことでしたので、平成20年度は実施しませんでした。

 

6、園内の環境整備

〔当初計画〕

1〉各ホームの入り口を飾る。

      園生居住棟のプロ野球ホーム(男子棟)、ディズニーホーム(女子棟)、フラワーホーム(重度棟)に、各ホームの特色を持たせるために、ホーム毎の入口や廊下の壁等に装飾を施す。

結 果

   平成20年度も各ホーム長を中心にホーム内の飾りつけを行いました。生活環境に変化を

持たせる様に次年度も計画して行きたいと思っております。

 

7、学園周辺の環境整備に関する事

  〔当初計画〕

 学園周囲の環境については、1年中、いつでも花が途切れる事なく咲いているといった環境整備を考えています。園芸班が育苗したものを、各ホームで植えつけ、管理を行っていくといった方法で進める予定です。また、樹木に関しては、外部のプロに依頼して園庭整備を進めていく予定です。

  結 果

   中庭を整備しプランターで花を飾るなどの工夫が施されました。学園周囲の環境整備も直方シルバー人材センターに依頼したり、高い樹木は庭師に依頼して環境整備に努めました。

 

8、その他継続懸案事項   

〔当初計画〕

    1居室改装(バリアフリー構造)の件

高齢化に対しての、居住空間の改善ということでは、部屋が狭すぎるといった事が考えられます。現在は和室であるため、床と上がりがまちの間に段差があり、高齢化を考えれば床はフラットで、汚れた場合に手早く掃除できる等、衛生的且つ安全に活用できる、介護しやすい居室の改装が今後必要になるとかんがえられます。

  結 果

  平成20年度も今後の高齢化に対する部屋作りはどの様に考えれば良いのかを検討しながらやってきましたが、今いる4人部屋や2人部屋にどの人数生活させ、今後生じるであろう1人部屋を何部屋作れば事足りるのかといったことを検討する年で終ってしまいましたが、今後ともバリヤフリーを取り入れた部屋作りをどの様に計画していくかを進めなければならない様です。

 

  〈2〉宿直室の改装工事

 〔当初計画〕

 宿直室の改装(プロ野球ホーム・ディズニーホームの宿直室の改装工事)

        現在は風邪引き者が出た場合は、昼間は静養室で寝かせています。しかし、夜間はどうしても重度者であるために、本館の離れた静養室では看れず自室に戻しています。

    自室に戻すと、どうしても他の園生が目をさまし不眠になり、色々な問題を引き起こす原因となります。

    このため静養室内の療養室とは別に宿直者が自分の横で寝かせておけばすぐに対応できる様な現状の四畳半の部屋を改装し、カウンターまでの広さに拡張した9畳の部屋にするといった方法での対応を考えています。

    この部屋は、ホーム毎に開催するホーム会議にも活用する予定です。

結 果

  平成20年度の入所者の障害程度区分調査の結果により、鷹取学園の今後の経営方針が決まるという事で、職員の数と勤務状態がどの様に変化するかを見定める年になってしまいました。宿直が出来なくなり、平成21年度から夜勤の4名体制になることが決まったので平成21年度に入り、宿直室の改装工事が進められそうです。

 

  〈3〉浄化槽の改修について

    〔当初計画〕

浄化槽全体の問題として、設備、機械等が全体的に古くなったこと、二箇所に分かれての管理がなされていることなどから、浄化槽全体についての改修工事を行った方が良いと思われます。

   結 果

    平成20年度は、このような工事に対する助成金も補助金も付くことが無かったために見送りになりました。本館の方が国県の助成で造られ、フラワーホームの浄化槽は日本財団(旧船舶振興会)の助成金で作られておりますので、今後、1つの浄化槽で対応して行く計画で改修工事を考えて行かなければなりません。部屋の増築問題も含め少し余裕を持った浄化槽処理設備を検討して行きたいと考えるところです。

 

  

  〈4〉火災報知器の改修工事

   〔当初計画〕

    27年間使い続けた火災報知器がかなり古くなってきました。現在は未だ故障は来ていませんが改修工事の予定をしなければならない時期に来たかと思われます。

  結 果

    消防設備会社の点検で、平成20年度は故障もなく作動してきました。状態を見ながらの対応を考えて行かなければならないと思われます。

 

5〉スプリンクラーの設置

 〔当初計画〕

  消防法が平成18年度に改正になり、学園の建物に対してはスプリンクラーを設置しなければならなくなりました。かなりの費用が掛かるために直ぐには実現できませんが、設置の方向で進めなければなりません。だだし、現在の社会情勢においては、スプリンクラー設置に対する国からの補助金は望めない状況です。

  結 果

    一昨年より施設の広さによってスプリングクラー設置義務の話が出ていますが、補助金等の問題が行政機関より示されないため、単一法人の力では無理であるとの話を消防署にも説明してきました。施設間での話の中でスプリングクラーに関しては補助金の申請をすれば助成があるのではといった話も出ていますので、経過を見ながら進めるしかないと思われます。

 

 

9、平成20年度職員研修計画

〔当初計画〕

  平成19年度に支援員が3名退職したために、平成20年度に3名を採用予定としています。障害者自立支援法下での新体制移行を20年度の10月に計画しています。新体制になれば、その時の入所者の障害区分程度によって職員数の見直しをしなければなりませんので、その際は体制に応じた職員の採用を進めていかざるを得ません。当園は重度、最重度知的障害をもった入所者の支援を充分に果たしていくために、今後とも職員に対し研修の機会を多く与えたいと考えています。 

    新体制への移行後にも、更なる変化が来るものと思われます。時代の流れに対応できるように、また専門性を高める理由からも、関係する各関係機関の開催する研修会や教育行事等に参加させ、職員個々人の質の向上をはかり、学園全体としても社会的立場からみて、社会福祉あり方の中に対し、いつでも一石を投じる事が出来るような存在であるように努めて行きたいと思うところです。

 

    研修内容

    1〕福岡県社会福祉協議会主催による各種研修会

    2〕全国社会福祉協議会および異種開催の各種研修会並びに通信教育及び資格認定講習会    等

    3〕全国知的障害者福祉協会主催による、各種研修会等。

    4〕社会福祉関係機関より案内を受けた各種研修会のうちで、内容を検討し、当園に必要と思われる内容を取捨選択し参加。

    5〕海外研修

        国及び各福祉諸団体が主催する海外研修に参加させる機会を与え、知的障害者福祉の増進につとめる。また、当面する加齢化、高齢化する内容に対応できるように備える。

  6〕その他

結 果

   平成20年度の採用者は3名でした。新人職員を含め、中堅職員、管理者研修等を福岡県主催の研修会、全国社会福祉協議会、県社会福祉協議会、全国知的障害者福祉協会、県知的障害者福祉協会、その他主催の各種研修会に参加できるものには参加させることが出来ました。

   

10、職員の健康管理

 〔当初計画〕

   職員の健康管理については、年2回実施予定。法定健康診断においては、年齢が35歳以上に当たる職員については、成人病検診の内容までを対象とします。

    検診の結果、少しでも異常の出た人には、日常からの健康管理に留意し対応する。

場合によっては、保健婦指導を受けさせ、治療に当たらせ健康管理に努めたい。

 

結 果

職員に対する年2回の法定健康診断を行いました。精密検査という事で数名の対象職員が出ましたが、再検査の結果は異常なしという事でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    平成20年度鷹取学園 支援報告書

                                 

                                                           鷹 取 学 園

はじめに

〔当初の計画〕

当園も平成21年度を目途に新体制に移行する方向で、平成18年度から動いていましたが、平成19年度の半ばで、急遽新体制への移行は平成20年の10月を目途に実施する運びに変更されました。平成19年度の後半に保護者に対し、当園の移行対象事業を@生活介護とA施設入所の二つにすることの説明をし、平成20年の23月にかけて保護者に対する移行時の障害者程度区分項目に対する説明を行い。平成204月より18の福祉事務所に移行に関する通知文書を提出し、4月から本調査に入ってもらうことになり、支援の内容も日中と夜間の2区分に別れることになる予定です。

勿論、平成20年の10月までは現在の支援費で運営をしていくわけですので、平成19年度の支援体制の形で計画を立てていかなければなりません。しかし、平成20年の10月からの支援体制は、障害者自立支援法下での職員勤務体制となるため、障害程度区分の決定結果と照らし合わせながら具体的な内容に組み返していかざるを得ない年度になると思われます。

しかし、いずれにしても今まで実施してきた支援内容が根底から変わってしまうわけではないため、平成19年度の支援体制の続行と考えての平成20年度の支援内容を計画していく予定です。

当園のように重度、最重度の知的障害を持って生きていく人達に対しての福祉サービスは、どのような体制になろうと入所者一人一人が将来に向かって安心して、明るく、楽しく、快適に過ごせる生活の場所を確保し、入所者の生活を守っていくという方針は新体制になろうとも変わることは無いのですから。

平成19年度も医療に対する保護者と学園との理解のズレは(保護者の立場は今までどおり、入院後の付き添いにおいても支援員が付き添い世話をしてくれるものと思われる方が、まだ多くおられました。学園の立場としては、入院するまでの付き添い支援及び入院後の様子伺いに関しては実施するものの、入院した翌日からは、学園には12880円のお金が8日間のみ入るものの、その後の収入は入らない仕組みであるため、後は保護者に任せざるを得ない)、なかなか埋まらないというのが実態です。

現在の状態でよければ、それを受け入れればよいのでしょうが、そうでなければ保護者の皆様方が自らが行政に対し、要望して現実克服をしなければ、全く変わらないと思われます。

これからは更に重度、最重度知的障害の上に、加齢化による医療問題が一人ひとりに追加された形になり、その対応に追われる様になる事は目に見えています。

当園の入所者に対する高齢化対策は、現状の介護保険制度で進められている対応策では恐らく不可能であると推測できます。更なる次の段階での問題点として現れてくると考えられるところです。

他の障害者の場合は、障害をもった当事者が発言するところでしょうが、重度、最重度知的障害者の場合は、本人達ではできません。今日に至っては、家族が本音を語らなければならないと考えられます。

繰り返しますが、長い知的障害福祉の歴史の中で他の障害者の立場と全く違う部分としては、当の本人達が自分たちの意思をはっきりと前面に出せないという大きなハンディを持っています。

実際には、家族といっても本人の意思を100%代弁することはできないのでしょうが、それでも家族の立場からの判断と考え方が形として現れることで、今とは違った状態に変化するものと思えます。勿論、本人の立場に立てない限り、本当に本人たちが望むことを形にすることは難しいことでしょうが、全く理解できない人達とは違った結果が出ることと思われます。

平成20年度も、重度、最重度の知的障害をもった人達への支援をしていく立場から、個人個人の障害に対してよりよき人生につなげる内容の支援が出来るように計画を立てて行きたいと考えております。

 

平成19年度も当園が手がけてきた、ノーマライゼィションの考えに基づいた、昼の「作業・訓練域」と夜の「生活域」を区分し、3つの生活棟をユニット型で運営したわけですが、新体制へ移行する中で、今後はもっと具体的に新体制に基づいた職員の人員配置によって、今までより更に一般家庭に近い環境に近づけるようにして行きたいものです。 

精神的な安定につながる作業・訓練を提供し、それが個人の生きがいにつながるようになり、重度、最重度の知的障害者には難しいといわれています自主性とか自発性といった積極的行動につながるように支援して行きたいと思っています。

当園の平成2010月からの@生活介護とA施設入所という支援内容が年度の初めの計画内容で継続した形で進められるように努めたいと思っております。

 

〔結 果〕

平成20101日を新体系移行日として積極的に移行準備を進めて来ましたが、障害程度区分の調査結果が平成211月にまでずれ込むといった市町村行政の問題があり、結果的には平成214月からの移行となってしまいました。平成21年度から新体系の生活介護と施設入所支援サービスでやって行くようになるのですが、当園が長きにわたって支援体制を確立して来た事の形が、正に新体系の形の中にそのまますっぽり当てはまってしまうという感じになって来たといえます。考え方進め方としては間違っていなかった事が証明されて行くような事になりそうです。

 

平成20年度 支援方針

〔当初の計画〕

【日中活動支援(作業・訓練)=生活介護 と 居住(生活)支援=施設入所支援 に関して】

《1》       日中活動支援(作業・訓練) = 生活介護について

班のあり方について8班を設定する。@アロエ班、A園芸班、B陶芸班、C染色班、D和紙班、E手工芸班、Fピンチホルダー班、G機能回復訓練班の8班構成とする。

入所者の作業・訓練の能力面に視点をおき、できる部分については能力低下させないこと、幾分かでも向上していくように支援し、日中活動が本人たちの生きがいにつながり、社会の中で本人たちの作った作品が一般社会に対する媒体となり、少しでも社会の中で役立っていることを知り、社会参加につながることを願って支援を進めて行きたい。

 

《2》       居住(生活)支援について = 施設入所支援

居住(生活の場)支援については、入所者が安心して生活していく場を確保し、本人の精神安定を保てるような対人関係を作り、一人の大人として生活して行くことが出来るような支援に努めたいと思います。

長期学園生活を行うといった視点から、部屋の作りが二人部屋の人、三人部屋の人、四人部屋の人となっているために慎重に人間関係を考えて編成していく予定です。 

施設という限定された生活空間域の中でも、一般家庭的な生活に近い感じに少しでも近づけて行く様に努力していきます。

支援(処遇)内容に関しては新体制に向けて更なる見直しを行い、施設生活の質的向上を図っていくところです。

居住している生活空間がいつも新鮮に感じられるような環境変化につとめ、それに順応して生活変化に馴染めるように方向付けをして行きたいところです。

 

 

《3》       学園での生活記録及び各家庭への個人情報の開示について

平成4年より処遇現場にパソコンを導入し、日誌記録をパソコンデータとして活用し始めて、満16年が経過しました。一人一人の学園での生活状況が詳しく記録されています。インターネットを利用していただければ、各個人毎の学園における生活の様子が、家庭において確認できるようになっています。開かれた情報の提供ができるようになっています。もし他の入所者の名前が日誌に載る場合には、その人の個人情報を守る為に、名前の部分は黒で塗りつぶされています。インターネットを活用しての各家庭への個人情報を提供するようになった当時は、3家族が活用されていましたが、現在では15軒の家族がインターネットを利用して、家族の学園生活の様子を把握されるようになっています。勿論、個人情報であるため家族だけにしか分からないようなシステムとなっており、個人のプライバシーは絶対に守るという事から、セキュリティに関しましては十二分に配慮しているところであります。保護者の皆様からの反応は、「家族に取りましては、大いに安心できる」と喜ばれています。 

パソコンを通して、デジタルカメラのデータは送信できますが、将来的にはデジタルビデオの映像や、またはCD−ROMに保存されているデータなどがありますので、必要に応じて、これをご家庭に情報提供できるようになればと願っています。記録画面の活用、入所者の声等の記録がインターネット上で簡単にお届けできるようになれば、個人ごとの楽しい学園生活をお伝えできると考えております。これからの課題となっています。

〔結 果〕

新体系への移行が平成21年度に延期になりましたので、平成204月当初の計画内容を1年間通して実施することになりました。平成21年度の支援体制へそのまま移行できる内容と思っています。

 

 

1、日中活動(作業・訓練)支援 = 生活介護 に関して

〔当初の計画〕

平成20年度も平成19年度からやって来た日中活動(作業・訓練)支援の方法に基づき、重度、最重度の知的障害であっても、個人個人の持てる能力に応じた、日中活動支援に努めます。作業能力が幾分でも高い人達には、社会に対し少しでも本人のもてる能力をフルに発揮できるように仕向けてやる方向で進め、できうる限りにおいて社会参加できるように進めます。 

作業班の形としては、作業指導・機能回復作業指導の2区分体制の考えで進めて行きます。

 

  作業指導部  ‥‥‥‥‥    作業指導班(@アロエ、A園芸、B陶芸)

機能回復作業指導部 ‥‥    軽作業班(C染色、D和紙、E手工芸)

                  ‥‥   機能回復作業指導班(FピンチホルダーG機能回復指導班)

 

作業・訓練班編成においては、作業能力及び各人のもつ精神的、身体的ハンディキャップ等を充分考

慮します。

作業能力の低い人と作業能力の高い人が混合で作業を行った場合は、職員の手が作業能力の低い人達の方に時間を取られてしまうため、作業能力のあるグループの人達の足引っ張りとなり、仕事が進まなかったという過去の経緯から、このような状態に陥らないように充分に配慮して進めるようにしています。 また、逆の形の場合もあり、幾分、作業能力の高いグループの中にあって、作業内容が変更になった時に、その作業に付いて行けなくなるような場合が生じる時には、その対象者が、グループ活動の内容から能力的に押しつぶされてしまわないように充分配慮していきます。

本人の能力と障害に配慮した仕事内容を無理なく提供し、自信を持ち、作業に対する充実感と満足感を味わう事ができるようになることを目標にして進めます。

能力に応じた機会均等の作業・訓練を支援することにより一人一人の自立領域が少しでも伸展するように進めていくように努めます。

平成20年度の各班の支援計画(目標)及び個人の支援目標を設定するに当たり、前年19年度の作業・訓練結果を考察しつつ、年度ごとの成果の推移を比較検討しながら、平成20年度の計画を(目標設定を)立て、実現できるように進めていく予定です。

しかし、機能回復訓練班のように数値で目標を現すことの困難な班もあります。生活支援においては目標項目を絞り、月別チェック表の纏めにより回数や年間トータルの変化を把握しながら、前年度比較において内容の変化を把握し、段階的に目標基準を上げて行き、可能な限り数値表示で表現できるような方法で変化を把握し、その資料に基づいて具体的な形で、段階的に実現できているのかを確認しながら、少しでも向上できるように進めていきます。

数値に置き換える事の出来ない難しいケースについても、前年度実施内容と比較することにおいて支援内容の推移を追えば、園生(入所者 )のさまざまな変化を掴むことが出来ますので、少しでも可能な限り生活の質を高める事が出来るように努力したいところです。

具体的な形としては、前述したように平成19年度同様に、作業・訓練の内容を【1】作業指導(支援)部と【2】機能回復作業指導(支援)部の二つに分類して進める事とします。

更に、この二つに分類した区分を細分化し、8つの班として各班が特色を持った班活動を稼動させていくという方法で進める計画です。詳しい説明は下記の説明となります。

 

【1】作業指導(支援)部

作業指導班を3班設けます。作業指導班は当学園にあって、作業能力的には幾分程度の高い人達のグループとし、金銭的な目標数値を一般社会並みにこだわるようなことではなく、材料費等に支出した金額と収入として上がる金額の収支のバランスに赤が生じないことを目標に進めていますが、全班活動の収支決算においては、支出が大きく、何もしないほうがお金は要らないという結果です。しかし、入所者にとっては自分たちの力で何とか作品を作ることに携わっているという感じを持っており、やりがいに繋がり精神的な満足感を持って生活しているので、毎年34百万程度の訓練教材費的な支出を当初から予算に計上している事になります。

各班そのものが年間に努力した結果と、各班における園生(入所者)が個人的に何を何個作ったかといった経過を把握し、完成した作品や未完成の作品の数値の変化に目を向け、本人たちが自覚できるような確認方法があればその方法を採用し、個人個人の意欲向上につながるように心がけて進めることにしています。

能力以上の無理なことは、精神的に混乱を起こさせるため、パニック状態に至るような方法は出来る限り採らないよう充分に注意して行くつもりです。当初出発した時点よりも少しでも向上させることができるよう進めたいと思います。作業指導(支援)班の内容としては@園芸、Aアロエ、B陶芸3がこれに当たります。

 

【2】機能回復作業指導部 

機能回復作業指導部は細区分として軽作業と機能回復指導の2つに区分します。

これらの班の存在意義は、始めから金銭的数値目標の対象となる班ではなく、当初より情緒安定や集団生活への適応が可能になること、欲を言えば本人の生きがい等につながるようになればよいといった点を主眼に置いて作り上げて来た班です。

個人個人が少しでも自立に向かうように、良い方向に変化して行くか悪くても現状を維持できるようにしていく事が目標であります。

指導・訓練する職員がどのような具体的な目標を定め、数値目標としてたてることが出来るのかといった点が課題であると思われます。この課題は大変難しいと思われますが、対象となる入所者の変化の状態を記録として残す事ができるならば、重度、最重度といわれる知的障害を持った人に対する支援のあり方に光が見えるといえます。具体的な方法論を考え出していく事が、職員自体の大きな仕事となり、もっとも重い知的障害を持った人達への処遇技術として、また結果としては重度、最重度の知的障害を持つ人達の人生そのものを支える方法として大きく役立ち進歩して行くといった可能性を秘める大変貴重な分野であるといえます。

軽作業C染色、D和紙、E手工芸の三班です。機能回復指導Fピンチホルダー班とG機能回復指導班に分かれています。

 

班にはそれぞれの特徴があり、特にD和紙班は自閉症、精神分裂、興奮型の性格といった精神保健的問題を抱えた人達が多く、先ずはパニックを抑えることを目標に、精神の安定を目指すことが基本になっています。 次に日常生活をしていく上で、常時、情緒の安定を保持できるようにしていくことを目標に置いて進めていますが、特にこの班は精神科医療との兼ね合いが強く、平成1911月より嘱託医の糸井孝吉先生の後任に来られた鳥巣美穂先生の精神科治療が並行していなければ難しいところです。その様な対象の人達が所属する班が他にもあります。

機能回復指導班は当園の中でも、特に最重度の知的障害をもった人達の班であり、健康維持と生活支援全般にわたって支援していくという社会福祉体制の中でも大変重要な意味を持ち、本人たちが自分自身で意思決定できない対象者であり、そのような一人ひとりの人生を預かり、生活を管理していかなければならないという当園の中でも特殊な班といえます。

学園生活をいかに旨く維持・継続して行くための支援を行っていけるかという使命を持って設けられている班です。

 

〔結 果〕

8班の体制で平成20年度を経過することができました。ただ今後の事につきまして、当園の入所者に今以上の期待が望めるかという事が気になるところです。年齢も平均45歳になっていますので、現在行っている事を継続しながら幾分かずつ変化を持たせていくという事くらいしか望めないのではと少し弱気にならざるを得ないと考えております。今までは個人別重点指導として行って来ました内容を、平成21年度からは一人一人の個別支援目標として切り替えて行くことになりますが、生活介護における目標は更に一歩前進できるかどうかのレベルまで具体性を持った内容に絞り込んでいかなければならないと考えています。

 

◎◎◎◎

2、各3ホーム(生活棟)に関して

〔当初の計画〕

〔昭和56年開園からの重度の入所者に対する支援内容〕

平成7年度より、ノーマライゼイションの考え方を生かし、各棟・各部屋を番号呼称ではなく名称で呼ぶ方法で進めてきました。

平均IQ20で最重度といわれる知的障害を持っている入所者の、施設での集団生活を振り返ってみると、開設当初は多くの問題点を抱えていた対象者も、施錠のない自由な生活空間の中で、のびのびと生活してきた過去27年間の施設生活経験で、それぞれがそれなりに学園生活を上手に送れるようになりました。

18年に障害者自立支援法がスターとしましたが、平成19年度の当園の知的障害の区分は76名中、支援費制度においては73名がA判定と認定され、残りの2名がB判定ということです。(平成18年度の初めは、70名がA、5名がB判定であったが、福祉事務所に再判定を依頼した結果、前述の内容となった)。

最重度の知的障害をもち、どちらかというと重症心身障害者施設対象かそれに匹敵する入所者が、一般的な建物で、一般的な知的障害者施設の運営形態(職員数に関しても4.31の基本型)で、27年間生活できて来たということが、どんなに大変なことかということについては、知的障害者入所施設の経験者であれば幾分かはご理解していただけるところと思います。しかし、一般の方で、福祉等に関係の無い方にはピンと来ないかも知れませんが‥‥

重度の知的障害を持ったお子さんの保護者の方々が沢山見学に来られ、重度知的障害児・者の処遇方法に対し、現実の証として「夢」と「希望」を持って帰られた方々の姿に励まされ、これから先も頑張って行こうと思います。また、これから先も、このような支援内容を提供できる施設であることを誇りに思い頑張るつもりです。

鷹取学園がやってきたこの実績は、ノーマライゼイションの考え方を基本に置いた支援のあり方として、具体的運営として生かしてきた結果です。 今後とも社会に啓蒙して行くことが学園に与えられた使命で在るとも考えられます。重度、最重度の知的障害を持った本人と家族の人達が、人生に対して少しでも希望を持ち、前向きに生きようとする考えに気づかれることは何よりも大きな仕事であると思っています。

当園の取り組んで来た活動を今後とも社会に向けて啓蒙し、他の知的障害者福祉の現場でも生かされるようになれば、重度、最重度の知的障害者の受け入れを敬遠されて来たところも違った目で見てもらえるようになれば、重度知的障害を持った人達に対する支援の目が多く注がれるようになり、また多くの受け入れ場所ができることを期待したいと思います。

 

〔ホーム運営について〕

ホーム運営の説明としては、ホーム長が一人いて、その下に各ホーム担当者が置かれている形になっています。 各ホームはミニホーム単位に細分して運営される。ミニホームは2クラスか、3クラスでもって相互に協力しながら自分たちのミニホーム運営を進める。

また、平成15年度からは、各個人が自分の部屋といった感覚を持てるように、今までよりさらに精神的な安定が図られる環境設定をした方が良いとの考えの基に、各ホームの人間関係とホームの環境整備に力を入れホーム編成を行いました。平成20年度も19年度同様に、さらに落ち着いた生活環境を作る計画で施設内での対人関係を再度調査し、同室者はお互いに気の許しあえる相手を選んでやるように心がけたいと思います。

 

〈過去の説明〉

(施設であるため、生活の場と作業訓練の場の切り離し感覚がなかなか出来ませんでしたが、平成8年度までに、日中の作業・訓練時間帯には各ホームには戻らないという、一般の社会感覚が日中の生活形態として徹底され全体的に習慣づき、学園における生活帯にメリハリがついたといえます。この成果は、大きな成果と思います。平成20年度もこの方法で進めていく方針です。

 〔注〕平成6年度まで、午前の作業後に、作業服を居室で平服に着替え、食堂に来て昼食を取るという方法をとっていました。平成7年度からは一般社会で取っているような会社勤めの人と同様に、日中は仕事着(作業着)のまま、昼食を取るという様にしてみました。)

施設の敷地内にホームの建物(生活棟)と、作業棟及び訓練棟があるという設定は変え様がないのですが、作業時間に使う建物と生活面で使う建物を区分して利用するという方法は、大変よい結果を得たといえます。

 

〈重度の知的障害を持つ人達の地域福祉について〉

最近になり、日本の知的障害者福祉施策として、ようやくグループホームを具体的に増やしていこうという動きが現れています。

日本では、中軽度の人達を対象に進められていますが、福祉先進国と呼ばれる国々では、ノーマライゼイションという考え方に基づき、例え重度の知的障害者といえども中軽度者と同様に町中で生活している姿は当たり前になり、現在では一時期に騒がれたようなノーマライゼイションという言葉さえも使われなくなって、それが当たり前になっています。

しかし、現在の日本における知的障害者福祉のあり方で、重度の知的障害を持った人たちを、地域のグループホームで生活させるなどは自殺行為に等しいといえます。

考え方としては、世界の福祉の流れに対応したような話が出て来ますものの、その裏づけとなる社会福祉体制に関しては、ほとんど福祉現場の実体を把握できていないというのが実態です。 にも拘らず、形だけが先行しているといった無責任な在り方でしか進んでいません。

社会福祉の進歩の形としては、確かに少数対象型の運営傾向を辿ることになると思われますが、それには、障害者個々人に対する地域支援の具体的プランが立てられなければなりません。

個人ごとの支援(処遇)目標に沿った支援(処遇)内容が考えられるといったシステムが必要です。

形の上では、社会福祉先進諸国といわれる国が辿った道を追随しているように思われますが、その内容には日本の知的障害者福祉はほど遠いものを感じます。

当園の目指してきた方向も同じ様なものですが、現在の段階では支援費制度から障害者自立支援法で説明されて来た流れに、今から更に理想とする形へ変化していかなければなりません。

ただ、現在の障害者自立支援法のあり方では、極端な言い方かもしれませんが、鷹取学園の園生の安全性を考えるならば、現在の施設のあり方のほうが、入所者の生きる手立てとしてはより安心でいられるといえます。充分な社会福祉体制の確立をみなければ、重度の対象者にとっては施設有用論を支持することしか出来ません。

平成20年度に新体制に移行予定ですが、夜間体制としては施設入所の形を選択し運営する予定です。施設ではありますが、「ホーム」という家庭に近づける状態への生活環境を確立していくことに重点を置き、日中支援といわれる作業(仕事)の場である指導・訓練の場所=生活介護と夜間の生活の場とされる施設入所の領域をはっきりと理解できるように示し、入所者本人達の生きがいに繋がる様な学園生活の内容とし設備面を整え、各人の目標を設定し、その目標に沿った具体的方法で個人ごとの支援を進めていくように努めたいと思います。

〔結 果〕

平成20年度は障害者自立支援法の下にあって施策される施設運営に向けての準備段階であったと言えます。新体系における施設入所支援サービスの内容についてどのような注文が出てくるのかも期待しているところですが、それが実態にそぐわない知的障害者のためにならないようなものでない事を願うばかりです。安心して生活できる場所を今後とも作り上げ、維持して行きたいと思っています。

 

 

1 作業・軽作業及び

             機能回復指導について

 

訓練形態に関する詳しい説明

〔当初の計画〕

作業・訓練の形態を〔T〕作業指導部〔U〕機能回復作業指導部というように2分化し、下記の様に進めることは上述の通りである。

更に〔T〕作業を3班(@農園芸班Aアロエ班B陶芸班)とし、〔U〕機能回復作業指導部を、1) 軽作業の3班(C染色班 D和紙班 E手工芸班)と、 機能回復指導の2班をFピンチホルダー班、G機能回復指導班に分けるという説明も上述したとおりです。

作業能力別、障害別、危険度等を配慮し班編成を行います。生活介護としての班活動は計8班で構成し、作業指導・生活訓練に当たります。

以下は指導部の概要を説明するものです。

 

〔T〕作業指導部4班(@農園芸班 Aアロエ班 B陶芸班)について

当園の中では、作業能力がそれなりにあると思われる園生を、能力に応じた作業訓練班に振り分け、各作業班の中で本人に適した作業場と持ち場に配属します。

入所者の作業能力は一人では多くの分野をこなしていくだけの能力に劣るため、理解力に欠け、応用力に欠ける事が多いわけです。そのため、作業工程を細かく区分し個人個人の持つ能力を絞り込み、作業工程の適所に配置します。この方法により班としての組織的構造化を可能ならしめ、自分達が製品を作っているという自信と実感を持つ事ができ、それが情緒の安定につながり、学園生活の充実につながるように導く計画です。

また、個人的な生きがいにつながるようになるために、個々人の持つ能力を充分に発揮させる事が出来る目標を設定します。

 

〔U〕機能回復作業指導部

1)    軽作業3班(C染色班 D和紙班 E手工芸班

2)    機能回復指導2班 Fピンチホルダー班 G機能回復指導班の詳細説明は以下のようになります。

( )

1)軽作業3班(C染色班 D和紙班 E手工芸班

軽作業班の対象者は、作業班に所属するには、体力的に作業能力的には難しく、不適と解されるメンバーで構成されます。精神障害、身体障害、行動障害といった面等を配慮してグループ設定を行い作業指導にあたる。

重度知的障害を持つ園生の作業能力は、一人では多くの分野に関する理解度が著しく落ち、また、応用力に欠けるのが特徴ですので、できる限り作業工程を細かく区分し、個人個人の持つ能力を選別し、適材適所に配置し、作業工程を設定し、本人達の自信養成につながるような作業の流れを作ることを工夫します。

 

2)機能回復指導2班について

Fピンチホルダー班、G機能回復指導班については、当園の中では知的障害としては最も重い最重度者のグループで構成されています。

情緒面の安定を図ることが大きな柱となり、生活面の自立に対する介護・支援を行います。

基礎体力の維持及び向上に努めます。健康管理についても充分なケアを図る方針で進めます。

〔結 果〕

以上の説明通りの班の形で平成20年度は進めましたが、結果としては数値ではっきりとした成果が見えてこない事。また、作業班においては生産体験を行うにしては、余りに経費が掛かり過ぎるといった反省点が出てきました。支出した材料費位は戻入出来る位の努力がなされても良いのではと言ったところです。お金の支出があった事がどのような成果に結びついたかと言う事を証明できるような報告が今後は求められて来る事と思われます。

 

2、作業指導部3班の説明

以下、作業指導部に所属する各班の内容説明を行う。

〔当初の計画〕

 

@農園芸班(職員3名〈男2 女1〉、パートの女子職員2)(園生9名〈男9名〉)

平成1810月に農耕班と園芸班を合体し農園芸班とする。過去の経過としましては平成11年度より、ビニールハウス内での切り花栽培に特に力を入れるようになり、平成13年度からは、経営内容を拡大化し、収益の上がる花ものの栽培を行いました。一年目で収益は増えたものの、生産費が膨大し収入とのバランスにおいて、仕事はしたものの、結果としては収益にはつながりませんでした。平成14年度は切花栽培物を追加し、平成15年度にはようやく今までの努力が見え始めた年となりました。平成17年度も平成16年度同様に花苗作りを中心に、鉢花栽培を行いました。平成16年度の経過から見て切花に力を入れていたものを、平成17年度は苗ものを中心に栽培を進めていきました。花苗については、地域生産者として同業者から一応認められる存在に至りました。

鉢植えに関しては、園生が作業に慣れたせいと、パートの職員が平成15年度から入るようになったので、数量を増やして行けるようになりました。

切花栽培に関しては、平成12年度に大型の鉄骨ビニールハウスを建て栽培準備に当たり、平成13年度はトルコ桔梗を中心に栽培を行いました。平成14年度はシクラメンの栽培も加えました。平成15年度から一般花卉生産者に近い栽培方法を取り入れ、少しでも園生の能力を前年にも増して発揮できるように計画したことを平成17年度にも継続し19年度まで続けてきました。

 その他、学園の周囲にある花壇に花を提供するための苗栽培を行い環境整備に当たったり、他班にも花苗を提供し、環境整備の一端を担って貰えるように進めて行きたいと思います。

園内の花壇管理を班で行うことにより、作業意識を持たせ、共同作業を可能に導くといったことに結び付けていく計画です。

この班の所属園生は、癲癇発作のある人・行動の鈍い人・分裂症を持った人と多様であり、作業に余り関心を示さない人達であったのが、平成16年度にはそれなりの分担を担う様になりました。

作業内容は理解しやすい鉢やポットといった、小さくて狭い鉢物等に限定してやってきましたので、今後とも判断しやすい作業内容を提供するという方法で取り組んで行く予定です。

少しずつではありますが、作業に対する意識が芽生え、単純作業に関しては板について来ました。平成18年度は園芸班としての作業工程が形作られ、1人でも不在となれば作業効率に支障を生じるといったところまでなり、平成19年度も少しずつ進歩していますので平成20年度も更なる進歩を期待しています。

1819年度は花作りだけではなく、野菜苗や胡瓜等の野菜栽培も手がけ、それなりの成果があがって、消費者の皆様方からも次期品物に期待を掛けてもらえるようになって来ました。

花、野菜栽培に対して充分に興味をもたせ、平成20年度はイオンモールでの販売を今以上に延ばし、生産に携わる園生が花苗、野菜類作りを通して、より多く社会参加できて満足感が持てるようにつなげて行きたいと計画しています。

〔結 果〕

世の中が不景気風が吹くようになると、花物は売れなくなるという定説がありますが、正にその通りの結果が出たと言えます。花より団子というように野菜類の方に目が向けられて来ました。結果としては、一生懸命にやっている割には結果が薄いという事でした。農園芸班の運営上の損益分岐点を見定めてどの程度にこの班の支出を抑えるかというのが、平成21年度の課題となります。

 

Aアロエ班 (職員2名〈男1、女1〉)  (園生6名〈男3名、女3名〉)

〔当初の計画〕

アロエ栽培(ハウス管理も含む)と、アロエ葉を収穫する事から、加工段階までがアロエ班の作業です。この班は、食品を加工する班であるため、衛生面に気をつけなければならない班であり、所属する園生の選抜もその様な対象者を選ばなければなりません。重度の知的障害をもっていても衛生的な面できちんと指示に従える対象者です。

完成した製品は雑菌検査等を行い、食品であるために衛生面には細心の注意をはらい、品質の向上に努めて行きます。

できあがった製品の販路確保にも努力していく予定です。

販売という方法を取らずに、あくまで頒布といった方法で進めています。理由は栽培量の問題がありました。生産量が上がらないため、今後は量の増産も視野に入れ進めて行きたいと考えています。

平成19年度までの製品は、@100%アロエ粉末、Aアロエ乾燥葉、Bアロエウーロン茶の3種でしたが、年度の後半に原油価格が高騰し、輸入のウーロン茶が高くなったためアロエウーロン茶の生産を中止せざるを得ませんでした。平成20年度には、なかなか難しい課題ではありますが、キダチアロエを原料とした新しい製品作りの挑戦といった課題にも挑戦しなければならなくなりました。

平成20年度の目標の詳細は、アロエ班の年間計画書の中で説明をしています。

アロエ班の部屋の前にあるビニールハウス内で、平成4年より集め始めた世界のアロエ種の珍しい品種の鑑賞栽培をしています。アロエ班の作業内容説明すれば、@栽培、A収穫、B加工、C販売という事になります。

〔結 果〕

アロエの粉末とアロエの乾燥葉の2つの製品を頒布するという事で進めていますが、購入のリピーターが広がらないという課題にぶつかっています。アロエブームも下火になったと言えるかも知れませんが、でもそれなりに購入者は居られます。次年度の課題は新製品を考えるとか、更に拡販の方法を研究する必要があるように思われます。

 

B陶芸班 (職員2名〈男1、女1〉)  (園生7名〈男4名、女3名〉)

〔当初の計画〕

この班を立ち上げた目的は、班に所属する対象者が、先ず共同作業には向きでない人達を対象とすることでした。 自分の力で何かに挑戦していくといった対象の園生を中心に出発した班でした。 現在では、かわらけ作りや干支の置物作り等で流れ作業的な共同作業が入っています。

その中でも作業分担をきちんと決め、自分の仕事としてやるべき内容の分担をはっきり決めており、自分のしている作業が何であるのかが把握できるようにしています。

作業としては製品作りに必要な各種の機具(機械ろくろ、電動ろくろ等)、道具(タタラーの使用、流し込み作業、その他の道具)を使用して、多種にわたる陶芸の作品製作を実施しています。

平成16年度の半ばから、磁器作品を加えるという事で専用の窯を設置し、干支の置物を作っています。平成18年度より、干支の置物の原型は学園の職員の手作りで進められています。平成19年度から本式に稼動し始めた磁器作品ですが、今後も新たな作品作りに努めて行きたい。なお、平成19年度で直方市商工会議所より大型注文のあっていました土器(かわらけ)作りは、多賀神社でのお祓いに使用するお神酒が、飲酒運転の対象となり、生産中止となったために平成20年度は製作中止となりました。平成20年度は、班園生の自由作品作りに挑戦して、今までに出来なかった作品に挑戦したいと考えています。干支は、「丑」であるため、平成19年度末より原型作りに取り掛かっていますので、平成20年度は干支の製作数に力を入れ、多くの作品を世に出したいと計画しています。

平成20年度も個人毎に目標ノルマを与え、メンバーの成長度を追って行く計画です。

〔結 果〕

本年度は新しい作品を発表できた事に大きな進歩が感じられました。かわらけ製作が無くなりましたので、その分だけ他の作品作りに取り組めたと言えます。班所属者は紐作りから、ろくろまで色んな製作方法で作業に取り組んでいます。更に新たな作品に取り組む準備が必要と感じられます。

 

 

 

3、機能回復作業指導部

機能回復作業指導部軽作業機能回復指導の二つに区分します。以下、各班の内容説明を行います。

 

軽作業(染色班、和紙班、手工芸班)

C染色班 

〔当初の計画〕

(職員2名〈男0、女2〉)(園生9名 〈男0、女9名〉)

化学染料を中心に自然の草や木を染色原料とした草木染めで布を染め作品作りをします。

手芸的要素を必要とするため、女子指導員2名で作業訓練に当たります。

この班の生い立ちは、女性の中で手工芸に対し興味を持っている人達を中心に始められた班であります。

現在、所属している園生は、癲癇発作のある人、動作緩慢な人、自閉的な傾向を持つ人、ダウン症の方が班の構成メンバーとなっています。ゆっくりとした作業状態ではありますが、自分の作業を自分のペースでこつこつと進めている状態で、作品数も多くは出来ません。

作品数は少ないですが、でき上がった刺し子、絞り染めの布は、職員と保護者の協力で製品化され販売しています。平成19年度は、ろうけつ染めに挑戦する予定でしたが出来ませんでした。平成20年は無理なく今までの作品をアレンジして新たな作品作りに挑戦して行きたいと思っています。

〔結 果〕

絞り染めが完成した時には、できた作品を人に見せて回りたいという人たちが多い班ですし、平成20年度もそのような光景を目にすることがありました。

しかし、作品の出来上がる数が少ないのもこの班の特徴であるともいえます。作業のスピードアップが期待できません。自分のペースでできる物から作り上げて行く。勿論、手に力が入らないとか、視力が落ちて来たとか、集中できないとかそのような状態の人たちが多いわけです。

本人たちのできる内容をと言う事でやっていますが、職員がまず自分で新しい作品に挑戦し、その作業内容を分析して本人たちに分かりやすく教えて行くという再度の取り組みに挑戦する時期に来たのかもしれないところです。

 

 

D和紙班(職員2名〈男1、女1〉)(園生11名〈男9名、女2名〉)

〔当初の計画〕

この班は、入所当初にはパニックを起こし、他害や自傷の激しい自閉症とか自閉的傾向と言われる人達、叉は精神障害を持っている人達、行動障害を持つ人達で構成されて作られた班でしたが、色々な作業内容に挑戦しながら現在までつながっている班です。時にパニックにより道具を壊されたり、材料の和紙原料をひっくり返されたりして思うように作業が進まない事もありますが、情緒安定のために牛乳パックを利用しての再製和紙づくりと空き缶潰しの作業を行っています。

手作りの和紙製作では、和紙ハガキ・和紙カード・和紙のランチョンマット、和紙張りの籠類等の作品作りに取り組んでいます。月単位に製品の質と生産量を把握しながら、班活動の動向を確認しながら進めています。

また、空き缶のリサイクルも兼ねアルミ缶潰し、ペットボトル潰しを作業に取り入れています。平成4年度迄は全く作業に関心の無かったメンバーが、この缶潰しの作業に関心を持ち、2人1組の作業形態で仕事を進めるようになっていますので、この対象者についても今後の変化を追っています。平成19年末は、班活動に積極的に取り組むようになった人もでて、問題行動の減少につながっているというのが班の成果としては評価される部分です。平成19年度の作業はダンボール箱の解体作業を加えています。平成20年度も成長につながった作業内容を更に進歩させたいと考えています。本人達が携わっている作業内容のチェックをすることで、個々人の作業成果が変化していく過程で、どのような進歩があり、どのように生産数量が変化して行くか、また、変化が良いほうに比例した形で表れてくるか等を把握する事で、この班の存在意義が深まるものと思っています。

〔結 果〕

ここも作品の数が少ないところですが、作品数がなければ販売も難しいと思われるところです。季節の花を葉書にプリントしていますが、販売する時期が夏の季節の場合だと既に秋の作品を夏の作品とともに出していくといった事が必要であると思うのですが、出来上がる葉書の数が少ないために販売に出す季節の物をプリントする程度にとどまっているという状態です。また、空き缶つぶしはそれなりの成果が上がっているように感じられますが、空き缶を集めるという事をしながらの作業になるために、保護者とか近辺のお店の協力に頼っての作業になっているのが現実です。果たして空き缶つぶしの作業をこのまま継続することが望ましいのかという事も考える時期に来ています。

 

E手工芸班(職員2名〈男1、女1〉)(園生11名〈男4名、女7名〉)

〔当初の計画〕

平成7年度より新たに設けられた班です。3つの作業班に所属するにはかなり無理になる対象者であり、反対に最重度に近い人達に比べると作業能力は持っているものの身体に障害があり動きづらいといった対象の人達であり、当園の中での作業班活動としては実際に彼等に適した内容とはどんなものが良いのか、どんな作業内容を構成していけば良いかと考えされられる難しい班といえます。対象者もさまざまなハンディを持った人達が集まった班です。

班の対象者は、癲癇発作を持った人、常同行為のひどい人、拘りのひどい人、興奮のある人、身体障害を持っている人などが所属しています。

木工製品でインテリア作品、木製の鉢カバー等の小型の作品作りに挑戦しています。

平成13年度に、ピンチホルダー班との合同形態で出発した班ですがが、途中よりタイルを使った鍋敷きとか、伝言パネル板等の小品物を作ってみました。

平成20年度も19年度の形を継承しインテリアの小物つくりや、なべ敷き等の木工作業、ビーズ通しによる作品作りに、他に何かを付け加えられる班になるように挑戦して行きたいと思っています。

〔結 果〕

平成20年度はこれといった外に出せる作品はできなかったと言えます。材料も訓練用のお金のかからない品物を使ったものが多かったのですが、あくまで訓練の域で作品という対外的なものではなかったと言えます。訓練ではなくどのような作品を作らせるのかを職員が考え与えなくてはなりません。先ず、職員がきちんとした作品を完成させ、次に入所者にどのような方法で作品作りにつなげていくかを考える時期に再度たたされていると感じられます。

 

 

機能回復指導

ピンチホルダー班と機能回復指導班

 

Fピンチホルダー班(職員2名〈男0、女2〉)(園生11名〈男4名、女7名〉)

〔当初の計画〕

重度の知的障害を持っていると同時に、身体的障害を重複している人達を対象に構成された班です。

平成13年度は木製のインテリア製品製作に挑戦してみましたが、結果としては新しい作業への取り組みで物珍しく新たな雰囲気で作業に参加できたという点では良かったのですが、メンバーが自発的に作業の流れに乗って行くということはできませんでした。 そこで平成14年度からは、洗濯バサミの組み立て作業に力を入れつつも、班メンバーの加齢化に配慮し、健康管理を重点にした日課に変わりました。作品作りはゆっくりとしたペースで行いました。平成15年度も平成16年度も、平成14年度の訓練内容と同じ方法で進めました。 数量の増産に力を注ぐと言うよりも、一人一人の作業分担の変化を追うと言う点に力を注ぎました。 工程毎に個人に合った補助具を考案し作成して行きながら、流れ作業に組み入れたものとして、上手く流れができるように工夫してきました。この方法は平成20年度も同じように採用して行く予定です。

補助具の考案により、一人一人の園生が自信を持って、更に自分の仕事を自覚し、意欲を持って参加できるような方法で取り組みたいところです。

〔結 果〕

この班は洗濯ばさみを込みたてて行く作業ですので、洗濯ばさみの工程とその技術を如何に理解させて作品作りにつなげるかという事です。この班の洗濯ばさみはスーパーなどで販売されている品物と比較するとはるかに丈夫な洗濯ばさみですので、品物としては良い方です。しかし、材料が他の身体障害者施設で作られているために材料費が高く、1ダースで販売しても売上になるような品物ではありません。しかし、このような品物を最重度の知的障害を持つ人たちが流れ作業でくみ上げることができ、それが本人たちの仕事として感じられている事の意味は大きいものです。平成21年は今よりもう少し数ができるようになるよう取り組み直すことが必要と思われます。

 

G機能回復指導班(職員4名・男2、女2名)(園生10名・男6名、女4名)

〔当初の計画〕

当園で知的障害の程度としては、最重度のグループで構成されています。平均IQが10前後の対象者で、その上に重複障害を持っている対象者です。平成15年度に行われた厚生労働省の障害区分調査の内容からすれば、障害の重い点数でチェックしていけば、50点満点の50点という人とか、その点数に近い最重度の人たちの班で構成されています。

そのような意味合いから察しますと、この班は全国でも珍しい班活動をしているといえると思います。

作業・訓練というより健康管理、健康維持が班の基本となり、ADL訓練(身辺自立訓練)等を行っています。 年齢的なことからすれば、訓練というよりもゆっくりとした時間の中で介護的な支援になって来た対象者もいます。

日課に園内外の歩行訓練を組み込み、体力の低下防止、維持向上に努めるといった方法の継続が最もベターであると判断されます。

学園の日課に無理なく沿えるように、生活訓練を柱立てとし、日課と週課のスケジュールを無理のない内容に設定し、毎日の活動が継続して行ける様に職員も園生9名に対して4名を配置しています。

全面介助の対象者ではありますが、毎日安全に安心して過ごせる環境設定ができる様に心がけ進めていく方針です。音楽を使ってリラックスする時間を作ったり、草花に水をやったり、切り絵をしたり、本の読み聞かせをしたりして情緒の安定をはかる等の試みをしながら進めていく予定です。

以上の班別訓練の体制は「平成20年度 班別訓練」の資料に具体的に表しています。

〔結 果〕

平均IQ10前後の対象者知的障害を持った人たちが生活をする班ですので、歩行訓練、生活訓練、マッチング訓練、着替え、排せつ、入浴、食事といった支援、介護を常に行っていますが、1年間何事もなく、大きな病気もなく無事過ぎたと言えます。

 

4)ホーム編成(施設入所支援)

〔当初の計画〕

平成7年度に、「男子棟・女子棟・重度棟」の呼称を「ホーム」と変更しました。特に1234……号室といった数字は、まさに施設的であり、柔らかさがないために、「花」とか「果物」とか、可愛いい動物の名前とか、ソフトな感じの名前に変更しました。

各ホーム毎に1名のホーム長を置き、ホーム長を中心に各ホームの職員が独自に、生活面に潤いを保たせるように運営をして行います。

平成17年度も安心して暮らせる生活の場つくり、個人ごとに楽しく明るく暮らせる時間(人生)を提供できるように学園の生活面を充実させたい。ホーム体制の詳細は「平成20年度ホーム編成」の書類を参照していただきたいと思います。

平成19年度同様に、平成209月までは、支援職員の宿直明けを考慮した職員配置でミニホームの形を構成としています。平成2010月からは新体制に移行すれば、宿直体制が夜勤勤務体制に変更になりますので、その時は、職員数との絡みで、ホームの勤務体制の変更をしなければならない事態も生ずることが想定されます。しかし、実際には今までどおりに、生活介護の形においても各ホームを2、3人単位の複数担当者で見ていくように進めなければならないと思われます。

日常生活面における個人別の年間目標をたて、木目細かな身辺・生活面でのお世話をホーム毎にしていくという方法で支援して行く予定です。(20名から30名弱程度の3つのユニット型ホームとして形作られる予定です。)

各ミニホーム担当者が各々の部屋の運営・管理に当たる。ホーム全体の環境整備を各ホーム長が責任を持ち、ホーム職員と協力してホームの入所者を守っていく計画です。

各ミニホームの担当者は自己に任せられたミニホームの維持・管理をするだけでなく、ミニホームで生活している入所者の集まりで、ホーム全体の園生の集合体となりますので、ホーム長を中心に各ホーム毎の特長を生かした運営がなされます。(例:ホームの形態⇒ @プロ野球ホーム→男子のホーム、Aディズニーホーム→女子のホーム、Bフラワーホーム→男女混合ホームとなっています。)

園生にとって、楽しく安心して生活できる場所作りに努めます。

 

以上のホーム編成の具体的資料は「平成20年度 ホーム編成」に明記しています。

〔結 果〕

3ホームとも入所者の色々な人間関係を調節しながらの1年間でありました。大きなトラブルはないにしても、○○ちゃんがこう言ったとか、物を持って行ったとか、頭突きをしたとか、噛んだとか叩いたとかそれはそれは毎日毎日色々と報告がありました。しかし、毎日それなりの人間関係が修復され、押し倒したとか、叩いたとか言いながらも大きな怪我を免れた1年間であったと思われます。

各ホームの入所者にとっては、行事があり、それなりに楽しく安心して生活できた1年であったと思います。

 

5)社会交流

〔当初の計画〕

平成14年度からは社会参加訓練(買い物)の名称は使わず、「社会交流」という呼び方に変えました。平成20年度も19年同様に実施予定です。

(名称変更をした裏づけ)

平成13年度までの外出範囲は直方市内か直方近郊であったが、既に地域になれたということもあり、範囲を超えた地域での活動ができるようになっている。具体的方法としては、クラス単位で一斉に実施する社会交流のあり方の他に、ホームごとに能力別に行動できるグループを設定し、グループによる活動範囲を広げるというものである。逆な場合も考えられ、今までよりも近い場所の方が良い人や、交通手段を考えなおさなければならない人達も出ると思われる。遠方まで足を伸ばせる人の対象により、外出場所と方法を考えて実施していく事に目標をおいての名称変更であった。

平成14年度より参加者の安全を図るために、職員と園生を二日間に分けて実施してきた。

 

平成19年度は1回を2日に分けて入所者の社会交流を実施した。2日に分けたのは、引率時に充分に安全性があるかという点から、3人の残留者職員を日勤させ、他の職員が安全を図り、支援度の高いクラスにもう一人ずつ職員を配置して、イオンモール直方店に引率して行く予定。

〔結 果〕

平成20年度は6月、9月、3(2月は風邪のために中止。)3回実施しました。入所者を2日に分けて、職員数を増やして実施したので、安全にまた、ゆっくりとした社会交流の実施ができたと言えます。

 

 

6)年間行事

〔当初の計画〕

重度・最重度の知的障害をもった人が多いため、園生の意見反映が殆どといってよい位出来ないため、職員が色々な立場から充分に配慮して年間計画案を作成します。

行事計画を設定するに当たり、職員の立場からの発想にのみ終わらないように計画段階から、念入りかつ詳細にわたる点検が必要となり、前年度担当職員の声を反映して計画案の作成を行います。

「実際に園生が喜ぶ結果に繋がるのか」といった立場から行事計画が進められて行く事が重要になります。

先ずは危険性がないように充分な計画の元に実施していくように努めます。入所者からの発言が出ない分、行事実施後の反省点が大切な部分となるため、反省会をすぐにもち参加者の反応等を記録し、次回の計画に役立てるようにしていきます。詳細に関しては、年間行事計画に沿って実施します。

親子旅行として、当園を中心にした近辺にある市町村で経営されているような少し有名な場所等があり、日帰りハイキング的な行事を取り込むことができればと計画していきます。

園生が満足できる行事内容にして行きたいと考えています。

平成20年度の行事に関しては、「平成20年度 年間行事計画表」に明記している。

〔結 果〕

計画した内容の殆どの行事を実施できました。イオンからソフトバンクホークスの若手選手がクリスマスプレゼントを渡してくれたりの飛び込み行事も入ったりで、十分満足できた行事内容でありました。

 

7)その他

 

〇入浴

〔当初の計画〕

午後より実施する。機能回復指導班・ピンチホルダー班をAグループ、他の機能回復作業指導部の班をBグループとし、時間差を設けてグループ順に入浴を行います。各班の担当者が介助・指導に当たります。作業班(陶芸・アロエ・農耕・染色)をCグループとして機能回復作業指導部ABの入浴後に入浴させます。入浴方法としては、平成16年度までは毎日の入浴でしたが、平成17年度からは、職員の手が充分に無く、入所者の入浴は下記のような方法に変わりました。平成20年度も計画通り実施します。「平成20年度日課表」に明記している。

 

  10月〜3月までは、月、水、金の1日おきの入浴。

4月〜9月までは毎日の入浴。

※ 土曜日については、汚れのひどい対象者についてはシャワー浴等の方法で清潔を保つように対応する。

〔結 果〕

重度の人たちであるため、排せつ時の失敗があることと、不潔な臭いをさせないように努力しているが、てんかん発作を持った人、身体障害を持った人などいて、矢張り入浴には危険性が伴うために職員の数が満たれる昼間の入浴で対応する事が正解と言える。自分たち一人で入浴できるならばゆっくりとした夜の時間帯に入浴させてやりたいが、当園の場合は危険がいっぱいで不可能である。

 

〇体育

〔当初の計画〕

各班の作業・訓練の時間帯に体育を盛り込んだ方法で進めるようにしています。

機能回復指導班とピンチホルダー班については、日課の訓練に体育が含まれていることと、農耕、園芸班はかなりの運動量がある為に、クラブ活動の内容でカバーしていくように考えています。

軽作業班の染色、和紙、手工芸班と作業班のアロエ、陶芸班については、週課の中に組み込んで実施する計画です。

(経過⇒平成6年度より始まった体育専門の嘱託職員による体育(内容としては、毎週火曜日の午前中に機能回復指導班を、木曜日の午前中に軽作業班を対象に、午後は作業指導部の体育を行ってきた。この形で平成14年度まで実施してきました。しかし、平成15年度からは、体育専門の嘱託職員が退職したために、以上の体育内容を中止。)

 

週課表については、「平成20年度 鷹取学園 週課表」に説明している。

〔結 果〕

充分な体育とは言えないにしても、体を動かし体力や機能維持をさせるために、各班の日課の中で実施した。

 

〇調理実習(平成15年度より調理実習は中止)

〔当初の計画〕

平成14年度まで実施したが、施設整備を伴わない通所部の認可が下りるような話であり、通所部の利用者がこの部屋を利用するために、平成15年度より調理実習は中止した。

〔結 果〕

平成20年度も実施しなかった。

 

〇「おやつ」について

〔当初の計画〕

平成20年度も平成19年度同様に、学園生活をより楽しく潤いのあるものにするために、余暇の充実を検討する中で、お菓子や自動販売機の使用を実施する。おやつは下記の内容のように1日おきに実施してきたが今年度も継続して行う。具体的には、下の表を参考。

(〈※〉 おやつの購入については、過去園生を引率できる場合はピックアップ方式で選び引率して実施したこともあったが、同行できる対象者が決まってしまうために不平等が生じ、園生を同行しない方法で支援職員のみで、おやつのお菓子の嗜好を調査して購入し、配布準備など職員が行うようになった。将来的には、園内におやつの自動販売機を設置して自分で選択できるような体制も検討の余地があるとの意見も出ているが、入所者本人が能力的に金銭管理できない立場であり、カロリー的にも過多になり、健康管理の問題を考えると容易く進められないことになった。)

 

〈おやつに関する説明〉

〔当初の計画〕

@平成20年度に関しては、ジュースとおやつ支給曜日を下記のように設定する。

Aビールについては、好きな園生が飲みたいと要望がある場合に準備し出すようにする。

B月、水、金、日曜日におやつを出す。

C月、水、金におやつを出すときに、併せて給茶機のコーヒーを出すようにする。

D缶ジュースは、火、木曜日を学園からの支給日とし、土、日は本人小遣いで購入する。

 

おやつとジュースの支給曜日を纏めた表

 

 月 

 

 

 

 

 

 

 

牛乳

 

 

 


缶ジュース(自動販売機)

 

朝食時

 

 

  

朝食時

コーヒー牛乳

 ○

学園支給

 

朝食時

 

 

 

  

朝食時

パン食

 

学園支給

 

朝食時

 

 

 

朝食時

 

 

本人小遣い銭

 

 

朝食時

パン食

 

○本人小遣い銭

 

 

 

 

おやつ

 

 

給茶機のコーヒー

 

  

団らん

 

 

団らん

 

 

 

 

団らん

 

団らん

 

 

団らん

 

 

 

 

団らん

 

団らん

 

 

団らん

○本人小遣い

 

 

昼間

14:30

 

 

 

 

 

 

 

ビール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食後本人小遣い銭(本人の要望がある場合は)

 

 

 

 

 

 

 

〔結 果〕

計画通りに実施できた。

 

 

〇掃除

〔当初の計画〕

毎日行う朝の掃除も、職員と園生で実施する。各ホームの責任者が責任をもってホーム毎に行い清掃維持、管理していく。水曜日のルームキーピングの後に全体的な部分の掃除に時間を当てる。

また、日課の中で手の行き届かない場所をするようにする。例えば、窓ガラス拭きなどを重点に行う。また館内の掃除終了後に園庭の掃除を実施する。館内の持ち場ごとに、各持ち場の外まわりも分担する方法をとる。天気に左右される場合があるので、天気を見ながら進めていく。20年度も19年度同様に進める。

学園全体としての大掃除は、お盆前とお正月前に実施する。

(※過去の事績 ⇒ 週課の変更により実施の曜日に変更があった。⇒平成16年度は、月曜日のルームキーピングの後に掃除時間を設定し担当職員と園生で実施した。 

平成1718年度は水曜日のルームキーピングの後に掃除時間を設定する。各ホーム単位で区域毎の掃除を行うようにした。)

〔結 果〕

 予定した内容で平成20年度も実施できた。職員と入所者が一緒に自分たちの生活している空間を掃除する事で、入所者は実際には思うような掃除が出来ていない場合の方が多いのだが、一緒に掃除をするという行為が、極端に散らかしたり、部屋の中を汚すといった行為の防止につながっていると考えられる。外から来られた方が、他施設との比較した場合にここの施設は綺麗に片付いていますねと話されることがあるのでそんな所に効果が出ていると感じられる。

 

〇配膳当番

〔当初の計画〕

園生は訓練として、本人達のできる配膳内容を配膳当番として役割を負わせ、各週ごとに交代制で実施させていく。内容としては下記のような方法で進める。

1)ホーム単位の食事の場合は、配膳当番さんが配膳をする。当番はホーム毎に一週間交代で食事時の配膳を行う。責任を持って職員と一緒に配膳を行う。

2)班毎に実施する食事の場合は、各班の職員と班園生の単位で配膳・食事・片付けを行う。

〔結 果〕

共同生活ということと、自分はこの週は当番できちんと他の人の世話をしていると感じているのかは定かではないが、配膳係や週番の係になった人たちは其れなりの態度で当番に取り組んでいる。

 

通所部

〔当初の計画〕

平成14年度の末、平成15年の3月に、「設備を伴わない通園型」の定員10人の認可が下りた。平成151617,18年度は、定員10名に対し1名の対象者を受け入れたが、平成18年度前半に障害者自立支援法による通園よりも、入所施設を選びたいとの事で、他施設に入所した。19年度も申し込みの対象者はあっておらず、20年度も希望者は出ないと思われる。

 

〔結 果〕

平成20年度も1名の対象者もなかった。平成214月より新体系に移行するようになったが、その時点から、当園は通所部を廃止することが決まった。

 

 

 

 

平成20年度 

会議について(鷹取学園)

〔当初の計画〕

〔会議開催方法〕

1。会議予定計画書を提出(緊急の場合は別)

2。会議内容は、司会者、書記により必ず内容報告を行う事

3。会議の種類

 

    1,スタッフ会議

   時 期    随時行う

      場 所    園長室  

     メンバー      園長、副園長、統括、チーフ、看護師等

 

    2,生活支援・作業指導会議

 

  @ホーム長・チーフ(班)会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    会議室等  

     メンバー      統括 各班チーフ、各ホーム長等

  《会議の内容》

   ○ホーム長会議

       議 題       前もって、ホームの問題点について検討事項を提出する

       場 所       会議室等

       メンバー   ホーム長統轄、プロ野球ホーム、ディズニーホーム、フラワーホームのホーム長、(場合によっては副園長、総括、看護師の3名が加わる)

   

   ○班チーフ会議

   議 題       前もって、班からの問題点について検討事項を提出する

      場 所       会議室等

      メンバー   各班のチーフ8

 

  Aホーム会議《生活支援会議 →プロ野球ホーム、ディズニーホーム、フラワーホームの3ホーム会議》

       (※ ケース会議を含む)

   時 期    原則として、各週<水曜日、午前11時より>

      場 所    各ホームの宿直室or DR  

     メンバー      各ホーム責任者及び支援員(副園長、総括、統括ホーム長、看護師の4名が加わる)

   

B班会議

       作業指導部(陶芸、アロエ加工、園芸)・

       軽作業班(和紙、染色、手工芸、)

       機能回復作業指導部(ピンチホルダー、機能訓練)

       8グループが合同で開催したり、単独で開催したりの形態を取る。》

   時 期    原則として、必要に応じて随時

      場 所    会議室等  

     メンバー      副園長、総括、各ホーム責任者(ホーム長)及び生活支援員(必要に応じてメンバー構成) 

 

 

  3,医務会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    園長室及び医務室等  

    メンバー    園長、副園長、看護師、総括、統括ホーム長、支援員、栄養士(必要に応じてメンバー構成) 

 

  4,厨房会議

   時 期    原則として、必要に応じて随時

      場 所    調理師休憩場所、会議室、園長室等  

     メンバー      事務長 事務主任 栄養士、看護師、総括、ホーム長、生活支援員(必要に応じてメンバー構成) 

    

 

  5,事務会議

   時 期    随時

      場 所    園長室及び事務室等  

     メンバー      園長、副園長、総括、栄養士、看護師等

 

  6,保護者との会議

@ホーム別会議

   時 期    年1回 

      場 所    生活実習棟及び相談室等  

メンバー      保護者、園長、副園長、総括、看護師 支援員等        

 

A班別会議

   時 期    年1回 

      場 所    生活実習棟及び相談室等  

    メンバー     保護者、園長、副園長、総括、統括ホーム長、支援員、看護師等        

 

 

B保護者役員との懇談会

   時 期    原則として奇数月(議題がなれば開催しない。)

      場 所    生活実習棟及び会議室等  

   メンバー    保護者役員、園長、副園長、看護師、統括、ホーム長、チーフを加える事もある        

 

 

 

C保護者会での伝達

      時 期       各月原則 第3金曜日 「家族ふれあいの日」

      場 所       食堂

      メンバー      保護者

        学園の代表(園長、副園長、統括、その他内容によって担当職員が参加する。)

 

〔結 果〕

会議については必要時に開催するという建前からすると、園内での会議は必要時に開催できているが、保護者を含めた会議はなかなか時間が取れない。「家族ふれあいの日」には必ず学園からの報告や伝達事項を行っている。家族に個別に伝達できる回数は、各担当職員が必要に応じて連絡を入れるようになっている事を考えると、必要な連絡は落とさずなされていると思われる。

 

                                         2009 04 30 FK