平 成 21 年 度

 

           福智の里       園  

 

   書 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   社会福祉法人 福智の里

                  指定障害者支援施設 鷹取学園

 

                  822 福岡県直方市大字下境字鬼ケ坂336ー11

                      TEL   0949ー24ー6622

                      FAX   0949ー24ー8333

 

 

 

 

                                          2010 04 05 FK

 

 

 

 

              目  次

 

 

 

 

 

                                                    ページ

 

目 次                     1

 

平成21年度  事業報告               2   23

 

平成21年度  指導関係報告書                   24   48

 

平成21年度 医療報告書                      49   53平成21年度 

 

給食に関する報告書                        54   55

 

平成21年度  行事・結果一覧表          56

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       平成21年度事業報告書

 

                                          社会福祉法人    福智の里

                                            指定障害者支援施設  鷹取学園

 

【事業内容】

〔当初計画〕

1 (目的)

この社会福祉法人は、多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより、利用者が個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として、次の社会福祉事業を行う。   

 

社会福祉法人 福智の里  経営内容

 

指定障害者支援施設  鷹取学園  

  (1) 生活介護    76  (利用者―知的障害者)

  (2) 施設入所支援  76  (利用者―知的障害者)

  

 

2、平成21年度事業平成214月から新体系へ移行

 

(1) 生活介護 

障害者支援施設等において、入浴、 排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する障害者であって、常時介護を要するものにつき、主として日中において、入浴、排せつ及び食事等の介護、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上並びに維持のために行われる必要な援助

 

対象=地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者

@ 障害程度区分が区分3   (障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

A     年齢が50歳以上の場合は、障害程度区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3) 以上である者

 

(2) 施設入所支援             

概要

指定障害者支援施設は、都道府県知事の指定を受けて、その施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援〔施設入所支援)を行う。

 

施設入所支援の対象           =次に該当する障害者                                      '             

@ 生活介護を受けている者であって障害程度区分が区分4(50歳以上の者にあっては区分3)以上である者:

A     入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められるもの又は地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって訓練等を受けることが困難なもの。

 

結 果

指定障害者支援施設 鷹取学園は、平成21年4月1日より新体系に移行し、計画予定していました下記2つの事業を実施して来ました。

  (1) 生活介護    76  (利用者―知的障害者)

  (2) 施設入所支援  76  (利用者―知的障害者)

 

結果としては、支援員8名を増員し、宿直形態から夜勤形態に切り替えました。宿直体制態勢では宿直者が3名であったところを、夜勤体制では4名の職員となり、日中活動の生活介護サービスは幾分か職員数が増えたものの、夜勤の入りと明けの職員が8名少なくなるので、それほどの差がない事と、今まで宿直勤務で日中に居た職員が居なくなるために、日中に行う全体的な学園行事が全体ではなかなかできなくなったと言えますが、平成223月末を迎え、なんとか無事に新体系の形で上記の2事業を進めてきました。

 

〔当初計画〕    

1、はじめに

〔〔平成214月より新体系へ移行〕

平成154月から、利用者の自己決定を尊重するという考えを柱にした「支援費制度」がスタートし、平成17年度で三年目を迎え一応の切りがついたということで、平成184月より障害者自立支援法がスタートしました。平成184月から9月までは試運転状態で、10月からは障害者自立支援法が一気に加速されて動き始めるという予定でしたが、発足当初の平成1866日に東京日比谷における障害者自立支援法への改正内容の要望行動として、日本知的障害者福祉協会を中心に全国的規模での障害者自立支援法の抜本的改正の動きが始まり、当園は平成19年度も旧法体制で運営しました。しかし、平成19年の秋に福岡県保健福祉部障害者福祉課を訪問した時に、平成20年の10月めどで新体制に移行するという事になり、障害者自立支援法基盤整備補助を受け平成203月末に厨房増築改造工事を行いました。

平成203月に入所者及び保護者に対し、当園が新体系に移行するに当たって行う事業内容は、@日中活動として生活介護、A居住系サービスとしては施設入所支援の二つの事業を行う事を伝えました。4月から8月の5か月の間で、入所対象者全員の障害程度区分調査を受け、入所者全員の区分程度認定結果が出るものと予定していました。この結果を見なければ施設として、どの程度の生活介護サービス費における施設区分(111区分に分けられている)に含まれるかが分からず、施設運営の方向性が見出されないため早急の対応をしました。

しかし、結果として平成20年の10月を超えても全員の障害程度区分認定結果が出ないばかりか、今まで28年間知的障害の最重度として認定されて来た入所者に対しての調査結果が、今回は最重度として認めないという事態が発生して、保護者の数名が入所者に関係する市町村に対して、再調査や不服申し立てを行う事になりました。

障害程度区分調査内容が知的障害者の障害特性に合わない項目が多いため、一次調査では知的障害に加えて重複した精神障害や言語を有しない対象者に対して、全く思いもしない区分結果がでて、保護者から不満が学園の方にも上がってきました。

凡その結果は出たものの、再調査や不服申し立ての結果が出てしまわなければ、学園としての体制が構築できないために、8月から9月一杯に各福祉事務所と連絡を取り合いながら障害程度区分結果を出して貰うように努力しました。生活介護における施設ランクが「2」になるのか「1」になるのかといった状態が続き、この結果によって職員の人員を決定しなければならないという状況の中で、8月から職員採用を行うために新聞広告を繰り返し出したものの、就職希望者が集まらないという結果でした。このような現実問題を厚生労働省に理解してもらうために上京し、現実的にやって来た施設運営の状態と、今後の施設入所対象者に対しては、今までの対象者が他に移動しなければならないといった状態ではなく、園内は現状とそれほどの変化は生じませんでした。ただ新体系に移行すれば、生活介護の施設区分による職員数については、現在の23名に加えて、施設区分がランク1であれば20名の増員、ランク2を選べば14名の増員となり、ランク3で宿直体制を夜勤体制に切り替えた場合に7名以上の職員数を確保することになり、現在の状況を保つことができるといった内容説明を各行政機関の窓口に説明しなければ、行政機関の窓口の方達の方に理解されていない環境の中でのスタートでした。行政機関の窓口の方達も初めての経験という立場であったし、後から後から色々な手続きが出て来たというのも今回の新体制の持つ不十分さが露見された様な恰好であると言えます。

当園の場合、生活介護における施設ランクは「1」になると思われるが、職員数を現在の23名をプラス20名に増やして40名にする必要性はないことの説明をしました。 実際に100年に一度といわれる経済恐慌の現実の社会現象に逆行する状態であることを説明すると、施設職員の人員配置については見直しをしなければならないので、年度内には改正があるかもしれないという答えが厚生労働省の担当者からの答えでした。

福岡県福祉労働部障害者福祉課と相談の結果、平成20101日移行は無理であるため、平成20年度中に新体系への移行を実施するという約束をして帰りました。その後、11月に大学、短大、専門学校卒を対象の採用試験を行った結果、13名の新卒者の就職希望者があり、平成2141日からの新体系への移行が可能となり、福岡県福祉労働部障害者福祉課指導係との話の結果、平成21331日までの年内移行ではなく、必ず平成2141日から移行するという約束で、平成20年の暮れの理事会において、正式に平成2141日から新体系に移行することに決まりました。

平成2141日からは、@日中活動は「生活介護」、A夜間支援は「施設入所」の形態で進めます。

平成20年度は2名の退所者が出て、現在73名の入所者がいますが、1名が区分3という結果が出ています。

しかし、平成23年度以降も入所者全員がこの施設で、今までどおり日中も夜間も一緒に生活して行けることを願っています。

新体系になれば夜は宿直体制が認められなくなり、当園の場合は職員4名の夜勤体制に変更になります。今回の障害程度区分の評価方法は、一次調査と二次審査によって各市町村の審査員によって決定されましたが、評価内容が知的障害者の特性を判明できるものではなく、今後さらに厚生労働省の方でも評価方法が検討されるようになっているとの事です。また、市町村審査会の区分決定の見解の違いにより市町村間での評価結果に差が生じているといった事が、今回の調査結果で出ている事は、これからの改善点であるとも言えます。

当園の場合も一応の結果が出た形からのスタートになりますが要は入所者の生活が安心して過ごせるように守って行かなければなりません。

 

 

  結 果

平成20年度に移行を予定していましたが、調査区分結果がなかなか決まらなかった事と、調査区分結果に基づく新採用職員がなかなか決まらず、平成20年度ぎりぎりで職員採用数が決まり、何とか平成2141日から@日中活動は「生活介護」、A夜間支援は「施設入所」という形態で新体系に移行する事が出来ました。年度末の入所者数は72名ということで1年を締めくくりました。

 

 

障害者自立支援法の内容がどんどん変化する

〔当初計画〕

@     施設収入の減額・増額、入所者の自己負担について

平成20年度もこの点を取り上げましたが、運営面では平成173月中旬の段階で、支援費そのものが1.7%減額されました。また、平成18年度の支援費の予算は、年度当初から1.3%減となり、加えて外泊・入院の場合は入金を減額する方法が取られだした。振り返れば平成16年から入院時には入院した翌日から2割カットが始まり、平成17年には入院・外泊日が2割カット、本人負担なしという事が続き、平成18年から入院・外泊については本人負担なし、光熱水費は月額定額となり、収入の予算立ても難しい運営に変わって来ました。

補足説明:平成16年度は、支援費支払いについて、入所者が入院した場合は20%のカットという方法がとられ、更に入所者が施設から帰省した場合にも入院の時と同様に20%をカットするという方法にかわり、在園していない場合は本人の負担はしなくてよいという事になった。)

入院・外泊時加算(施設・規模に応じて異なる)は、平成18年度から始まりました。

入院・外泊時の減額に対する6日の期限の根拠といった声が、全国から色々と上がってきたせいか、それまでの入院・外泊の場合は6日までは入院・外泊時加算をつけるが、6日以降は本体報酬を全額カットするという内容が、平成19年度からは、入院・外泊の場合は月の8日までは1\2880円の入院・外泊時加算をつけるが、8日以降はカットするというように変更になりました。2日伸びた根拠もはっきりと示されることはありませんでした。

平成20年の4月からは入院・外泊時加算の他に8日以降も一日に160単位(\1,600)をつけるといった案が考えられているとの噂も耳にしたことがありました。その後の結果としては、平成20年度に入り3ヶ月に限り入院・外泊時加算の支給方法は月8日間までは従来の方法で支給されることに加え、施設入所支援サービスに移行した場合は、8日以降も長期入院をしている場合については、@入院時支援特別加算〈月1回算定の報酬加算⇔月訪問2回以上〉というものが追加加算されるようになりました。この支給加算条件として、入院先を訪問し、入院先との調整、被服等の準備その他の支援を行ったときは、8日を超えて3日までの場合は561単位(施設・規模による違いはない)4日以上の場合は1,122単位(施設・規模による違いはない) を支給する形となっています。〔旧知的障害者通勤寮の場合は、5日以上の場合に1,122単位を算定〕。

この方法は原則3ヶ月に限りとなっていますが、例外として入院期間が4ヶ月にわたる場合 ( : 入院期間が1031日〜19 )でも認められることになっているようです(各月において入院先を最低月1回〈1,120単位を算定する場合は2回〉以上訪問し、支援を行う必要がある)

この他に施設入所支援においてはA長期入院等支援加算〈日額⇔一定の支援〉(入院・外泊時加算は3ヶ月にわたって認められているが、入院期間が3ヶ月にわたっても入院・外泊時加算が算定できない月にあっては、当該月の日数から8日を控除した日数を限度として長期入院等支援加算を算定できる)が認められるようになっており、1回の入院について最大3月間まで算定することができるという方法も入院・外泊時加算との組み合わせてできるようになってきました。

ただし、@入院時支援特別加算とA長期入院等支援加算は選択となり、併給はできない事になっている。

入院・外泊時加算が算定できる日数が8日を超える月については長期入院等支援加算入院時支援特別加算のどちらかを選択して算定できるという方法と、1回の入院中に一方の加算しか算定できないものではなく、月ごとに異なる加算を算定することは可能という事にもなってきました。 

外泊期間2ヶ月にわたる場合は、月毎に8日間までの入院・外泊時加算だけが認められるようになっています。

以上のように入院・外泊時加算だけを追ってみても8日間分の入院・外泊時加算のみでなく8以降も加算費を設けるという事になり、次々と変化がうかがえる訳ですが、何か小手先だけの操作といえそうで、この先どのように変化して行くかは予想できない状態です。

新体系における生活の場としての施設入所支援サービス費の\2550/1(障害程度区分6対象者)を基本に考えますと、入院・外泊があれば施設入所支援サービス費がカットされるものの入院・外泊時加算\2880が加算されるというあり方はどういった事になっているのかと疑問に思われ、何かすっきりしないものを感じますし何を考えているのかと言いたくなります。

そのような状態ですので、これからどの様になるのかは皆目見当がつきません。

全国的な傾向からすれば、新体系への移行が20年度には28%に達しているとの事ですが、平成23年度の移行完了までにますます内容的には変化せざるを得ない事態になることが考えられますので、流れに遅れないように目や耳を研ぎ澄ませて対応して行かざるを得ません。

平成184月より、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、精神保健福祉法、児童福祉法の一部が「障害者自立支援法」に一本化され、障害者であっても医療費の負担制を敷き、食費と光熱水費が原則自己負担とされ、負担額に関しては、所得に応じた負担内容と月額上限措置が取られる方法で平成184月1日から出発しましたものの、18年度の途中から、1割と決まっているものが実質的には1割では済んでいない負担であり、1割でも高すぎるといった声が社会から出て、平成19年度には自己負担の上限額の見直しが再度検討されることになり、20年度は預貯金の対象額がかわり、平成21年度以降に入所者の預貯金に関しては負担対象外にしようとの意見もでています。今後も自己負担軽減への動きや、施設そのものへの収入源についても変化を見定めて行きたいと思います。

今後どのような形になるかは分かりませんが、今は法の改正も厚生労働省がら文章で各施設に郵送される事は無く、インターネットのホームページで送られて来る情報を施設側が何時も確認していないと、福祉法の内容がドンドン変更されて行くので、新しい情報を入手する事に絶えず気を配って行きたいと思います。

 

A 障害程度区分の評価基準の見直し

〔当初計画〕

国の財政問題との絡みで、税金で賄われる支援費制度の見直しが進められ、将来的には介護保険制度に組み入れるといった方向に進められると聞いていましたが、平成19年度に入り、到底合体は無理であろうとの見解がなされるようになって、平成20年度には介護保険との合体はしないといった事がはっきりと示されました。

平成18年度に出された106項目の評価項目の内79項目は介護保険制度の評価項目をそのまま利用した内容であり、老人介護と身体障害の評価基準を柱にして作成された項目では、知的障害と精神障害に対する評価基準を対象に考えるには、結果として余りにも大きな隔たりが生じることが分かり、審査会として再度の見直しがなされ、調査項目に加え知的障害の特性を含めるために、特記事項の欄を含め二次審査においてこれを評価の対象に入れるという対応に変わりました。平成201225日の厚労省発表の資料の中には、現在の106項目を190項目に増やした調査方法に変えるような計画があるように示されています。

 

結 果

与党の自民党が選挙で敗れ、民主党が政権を取った後は、総合福祉法が考えられて平成25年には法が制定されるのではとの見通しで現在経過していると言われていますが、今までに全国知的障害者福祉協議会を中心に知的障害者の障害特性を織り込んだ日本版ABSの評価基準が検討されて来ましたが、施策関係においても現在まで全国知的障害者福祉協議会の代表者が誰一人メンバーに加えられていないという状態で、今後の障害程度区分の評価基準がどの様に変わって行くかは全く不透明な状態となっています。今後、政権がまた動くような事になれば、日本の福祉はまた変わるであろうと思われますので、現時点では皆目見当がつかないという段階です。

 

B 重度知的障害者の入院について

〔当初計画〕

18年度までは、入院、外泊の場合は、外出、帰園日を除き、入院・外泊者のベッドの確保の観点から、6日間までは減額された一定の金額(\2,880/一日)が支給されるものの、7日以降は収入が入ってこない仕組みとなっていましたが、平成19年度になりどのような根拠かはっきりしないまま6日間までが8日間に延長されたものの、その後は支援費が出ないということは変わりなく継続しています。

入院したあとの施設の在籍保障期間は3ケ月までと決まっています。当然職員の人件費問題が生じています。

重度の入所者が入院をすること自体が大変である事にも配慮がされておりません。入院に際しても、入院後の経過に対して、施設に関係なく家族だけで進められるかという点でも大きな疑問が残ります。

重度知的障害者の支援実態が全く理解されていない事を物語った障害者自立支援法であることを認識しておかなければなりません。

入院時には、家族以外の生活を共にしている支援員の立会いが、医療機関より要請があり、入院の際の支援や障害程度に伴う日常生活支援の内容伝達、更には手術までの立会いをしなければ入所者の手術ができないといった実態が理解して貰えていません。

入院後の本人及び家族への支援も必要です。施設入所には看護師がいるので、病院と施設の看護師とで連絡が済むと思われがちですが、施設看護師の仕事と支援員の仕事の両立で成り立っていることが理解されていません。

家族は、色々な事が生じると当然の様に支援員に支援を求めてきます。当たり前といえば当たり前ですが、毎日生活を共にしている支援員の方が入所者の日常生活の実態を把握できているからです。重度知的障害者の家族は自分達の手に負えない事があるために施設に対象者(子供)を入所させているわけですから、一人の大人として施設で生活しているといった立場から見れば、どちらかといえばそれが当たり前との判断をされていると思われます。

病院への事務手続き上の問題であれば、入院支援は看護師で済む場合もありますが、入院させるためには入所者自身を病院に引率しなければなりませんし、その部分から既に大きな支援が必要になります。

入院後も家族の不安や相談は、看護師にもありますが、その多くは日常的に生活支援に携わっている直接世話をしている支援員に対する相談が多くあっています。入院時や経過観察の報告、更に退院時や退院後の在り方についても、施設に戻って来るまでの最終段階に至るまでの途中の相談は現場職員に対して行われているのが実態です。

この様な経過の後で、3ヶ月経って入院が継続という形であれば、今までいた施設に復帰できない事となり退園に至ることになります。

老人介護と違い、重度・最重度の施設入所者は支援する者が誰でも良いという訳にはいかない場合が多いわけです。誰でもが直ぐに対応できるといった職種ではないことが理解されていないことに問題があります。人間関係が充分にできるまでに時間がかかります。 入所者が自分の安心できると思う職員でなければ指示、支援を受け入れがたいというのが重度の知的障害者の特徴であるといえます。

言葉もなく、コミュニケーションの取り辛い入所対象者の支援に対して、もっと理解をして貰えるように啓発していくことも大切だと思います。

啓発は大切であると分かっていても、現在の日本社会では直ぐに個人情報保護ということで、障害者の障害特性までもが、あたかも個人の秘密情報であるという立場で、全ての知的障害者の障害特性が、始めから社会から敬遠され、かき消されてしまうということが以前にも増して大きくなって来たことに対しては注意が必要です。知的障害者問題が始めから取り上げられなという事で、過去の轍を踏まないように気をつけなければなりません。

 

 

結 果

この件も政権交代により、全く変化が見られていないというのが実態です。平成20年度までの骨子が動かせないという現実にとどまっているようです。

平成20年度の纏め時に記録した内容をそのまま記述しなければならないようです。

入院・外泊時加算(施設・規模に応じて異なる)は、平成18年度から始まりました。

入院・外泊時の減額に対する6日の期限の根拠といった声が、全国から色々と上がってきたせいか、それまでの入院・外泊の場合は6日までは入院・外泊時加算をつけるが、6日以降は本体報酬を全額カットするという内容が、平成19年度からは、入院・外泊の場合は月の8日までは1\2880円の入院・外泊時加算をつけることになっていましたが、平成21年度は\2720円に引き下げられました。勿論、8日以降はカットされる事に変わりはありません。

2日伸びた根拠もはっきりと示されることはありませんでした。

平成20年度に入り、外泊・入院に対する対応が変わりました。

平成20年の4月からは入院・外泊時加算の他に8日以降も一日に160単位(\1,600)をつけるといった案が考えられているとの噂も耳にしたことがありましたが、その後の結果としては、平成20年度に入り3ヶ月に限り入院・外泊時加算の支給方法は月8日間までは従来の方法で支給されることに加え、施設入所支援サービスに移行した場合は、8日以降も長期入院をしている場合については、入院時支援特別加算というものが追加加算されるようになった点は変化はありません。

以下の内容に関しても当初計画で説明した内容についての変更は変わっていません。

ただ、平成20年度から実施された、外泊期間が2ヶ月にわたる場合は、月毎に8日間までの入院・外泊時加算だけが認められるようになっていました内容については、平成21年度では、外泊のみの扱いではなく、入院・外泊時加算として処理して良いように法文が表現されているようで3ヶ月迄の扱いになっているようです。

病院に受診する場合は、その月の上限金額が、最高が\500円といえことで、後は病院数に500円を加えた金額が上限金額になっており、後は国県で負担してもらえるようになりましたことは、平成21年度は継続されています。この先どのように変化して行くかを予想できない現実です。

 

 

〔事務関連について〕

〔当初計画〕

事務関係では、新会計基準に沿った会計処理で進められ、施設に対する行政からの支援費支払い業務が平成18年度迄は、福岡県国民健康保険団体連合会に任せられ福岡県国民健康保険団体連合会からの支払いを施設が代理受領し、施設に払い込まれた分の残りを利用者負担金として入所者が個人ごとに施設に支払うといった体制が、漸く形作られました。

次に利用者が施設に支払う今までの負担分について、@サービス費用の1割(定率負担)負担〔これは、所得段階に応じた月額上限を設けた4段階区分〕とA実費負担(食費、光熱水費⇒これも負担能力に応じて配慮する形をとる。)といった2分野構成とされており、自己負担体制がようやく定着してきたわけでしたが、平成19年度の10月より、全国統一という形態が始まり、事務手続きが福岡県国民健康保険団体連合会より、全国国民健康保険団体連合会が事務処理を実施することになりました。しばらくは、県単位でしていた事務上の手続き方法と差異があり、19年度は個々具体的な問題点をFAX.で連絡しながら進めて平成20年に継続して行く状態です。

当初、厚生労働省の説明において、「国民に判りやすい内容にしあげる」という事で始まったのですが逆に、大変分かりづらいものになっております。知的障害者本人はともかく、本人を支える家族の皆様方の多くは、恐らく理解されていないと思われますし、まして、福祉に直接関係ない方には理解できない内容になってしまったといえます。

平成18年度暮れより、障害者の1割負担は重いとの声が上がり、マスコミが取り上げて騒がれ、平成19年度に個人負担に対する軽減措置がなされましたが、入所関係の施設対象者には、直接的には余り関係のない内容であったといえます。

平成17年度より、施設運営に対する国庫補助がほとんどなくなり、福祉事業を行っている運営主体が持つ、自己の資金内容範囲でやりくりしていかなければならなくなった為、将来を見越した計画的な経営を各施設が責任を持ってしていかなければならない訳ですが、平成19年度にはいり、今まで出せないといっていた補助金、助成金について、厚生労働省は旧体制から新体制への移行がなかなか進まない事に対する手段として、平成19年度、20年度の2年間を限定して、新制度への移行目的の為に設備基盤整備を名目に補助金を出すことになりました。

当園も平成19年度初めまでは平成21年度を目途に新体制移行と考えていましたが、平成2010月を移行目標に変更することになりました。

@生活介護とA施設入所支援という形で進めていくために、移行のための基盤整備として調理室増築工事のために福岡県事業としての助成金を受けて平成203月一杯までに改築工事を終了しました。

また、平成202月に体育館のチューリップハウス建築に対して助成金を受けていた日本自転車振興会の監査が入ったが、助成金の使用についての事務的処理及び活用内容等が良いとの評価を得て、建物関係に関する次の計画を進めていかれる場合は、体育館(チューリップハウス)建築申請から2年の経過となっていますので、直接に日本自転車振興会宛に助成金申請をされてもよろしいですよとの返事を頂いておりますので、今後の事業展開に活路を与えられています。

 

結 果

平成21年度に入って大きく変わった点は、平成20年度末までは入所者の障害程度区分調査の結果で、各施設が1から11のランクに区分され、区分された程度と入所者の定員数によって、支援費の単価が設定されていましたが、その考え方が一転して、入所者個人ごとの障害程度区分に対して支援費が支給される事になった事です。

また、次に大きく変化した事は、職員の人数配分について、制度が変わった事でした。20年度末までは、入所者の障害程度区分調査の結果で、各施設が1から11のランクに区分され、その形を基礎に、施設の区分内で入所者の障害程度区分率を区切り、それに伴う職員の人数配分が割り当てられていましたのが、指定障害者支援施設等の職員の人員基準については、最低基準ラインと20年度末までの職員配置基準を上限とした、各施設で幅のある職員配置を認めるといことになった事です。ちなみに指定障害者支援施設等の扱いの部分で、生活介護を行う場合の変更部分を記載しておきます。

 

人員基準の概要

く生活介護を行う場合>     

1、  医師 → 利用者に対して日常生活上の健康管理及び療養上の指導を行うために必要な数

2、  看護職員 → 生活介護の単位ことに、1人以上

3、  理学療法士又は作業療法士 → 生活介護の単位ことに、利用者に対して日常生活を営む     のに必要な機能の減退を防止するための訓練を行う場合に、生活介護の単位ご     とに、当該訓練を行うために必要な数

4、生活支援員 → 生活介護の単位ことに、1人以上(1入以上は常勤)

※看護職員、理学療法士又は作業療法士及び生活支援員の総数は、生活介護の単位ごとに、常勤換算で、   @からBまでに掲げる平均障害程度区分に応じ、それぞれ@からBまでに掲げる数

@ 平均障害程度区分が4未満 : 利用者数を6で除した数以上

A 平均障害程度区分が4以上5未満 : 利用者数を5で除した数以上

B 平均障害程度区分が5以上 : 利用者数を3で除した数以上

 

というように変更されました。当園の場合は、Bの部分の最低職員数で、入所者数76名と仮定しても、26名の直接支援に当たる職員数で良い訳ですが、今までとは違い、宿直勤務が認められなくなり、夜勤体制になったのでこれを実施するためには、平成20年度末の職員定数基準でなければ実施できませんでした。その代わりに、その基準を満たした施設に対しては、新たに職員人員配置体制加算(440単位)と新たに福祉専門職員配置加算(100単位)といったものが付加されました。

入所者に関しましては、平成21年度は3名の入所者が3ケ月に亘り入院したりで大きな減収となった部分もありましたが、重度の対象者が多いためか、他施設程の打撃は無かったように思います。平成21年度は支援現場対象の職員に対して、給料が低いとの声が全国的に広がったこともあり、厚労省が賃金調査した結果報告が発表された中で、他の業種の収入に対して3分の2の収入しかないとの報告がなされました。そこで、1月に1人に対して15000円の助成を10月から1月までの4ケ月分を支給しますと言う事でしたが、実際には満額という訳にはいかない金額となりましたが、平成223月に当園では支給しました。

ただ、今の日本の経済状況という事もありましょうが、人事院勧告が設定した期末勤勉手当の率が、極端に低くなっている事も気になるところです。 最高に高い時期には5.25の年もありましたが、今は4ケ月そこそこの支給率になっています。このように手当、手当と少しづつ増えてはいるものの、決して安心して定着できる仕事ではないと考えられているせいか、職員採用試験や面接に於いても、昔ほど多くの大学から新卒生が受験に来なくなっています。平成21年度の事業収入は当園としては、職員の数が8名増えたということでは、学園運営としては実質的にそれ程の落ち込みもなく余裕を持って経営できたと言えます。

補助金も今までは全く出ませんでしたが、スプリンクラー等に対しては補助金を出しているようです。地震対策に対応できない昔からある施設に対して、土地だけが確保できれば、全面的な補助を行い、建物を改築したという話も耳にしました。

何処までがどの様に考えて行けば良いのかと、惑わされてばかりの感じを持ちます。

年度末から、平成22年にかけては、新事業移行促進事業費補助金という名目で各福祉事務所から通知があり、当初一人\13,000円程度といわれていましたが、実際には\11000(生活介護6000円、施設入所支援5000)の助成金も加算されています。

いずれにしても、給付金のべースが低く抑えられた制度であるためか、加算金とか、減額とか、手当とか補助金とかいったいろいろとその都度、その都度の申請手続きをして行かなければならないという、今までにない煩雑な制度である事がはっきり分かります。

平成21年度は新体制に移行して、本当にどうなる事かと心配しながらのスタートでしたが、事務関係については、平成21年度も無事に業務を遂行できましたことを報告致します。

 

 

〔「障害者自立支援法の抜本的見直し」について〕

〔当初計画〕

平成19年度になると、「障害者自立支援法の抜本的見直し」という言葉がどんどん使われるようになりました。平成18年度までは、全国育成会の会長さんが、全国施設長会議の席上で、「厚生労働省の進めている障害者自立支援法に異議を唱える施設に関しては、我々全国手をつなぐ親の会−全国育成会が、反撃して行きます。」といっておられた方々は、平成1966日の東京の日比谷で開催された集会後に、一気に退かれてしまい、現在は他の方々が、会の運営に当たられている様子で、地方の手をつなぐ親の会と意見の隔たりが大きく、現在もなかなか進展していないようです。

厚生労働省におきましても、障害者自立支援法を考えられた方々の殆どが、配属部署が変更になってしまったようで、平成19年度の後半からは、「障害者自立支援法の抜本的見直し」という気運が広まり、平成20年に入ってから具体的な変更計画に取り組みがなされているようです。

厚生労働省は色々な情報があればどんどん持ち上げて頂きたいという立場にあり、当園も平成20年度に厚生労働省を訪問して、当園の実態を知ってもらうために文書と口頭による説明を行いました。

現在の障害者自立支援法の抜本的見直しに関しては、日本知的障害者福祉協会が知的障害者福祉に関する厚生労働省との折衝窓口になっているといえます。

ちなみに日本の障害関係福祉施設の全国施設長会の組織は、日本知的障害者福祉協会の中に位置づいており、全国知的障害者施設長会も他の組織と並列した形で、ここの場所に位置づいています。

平成201225日に厚生労働省より新たな発表がありましたが、まだ具体的にどの様になるかは分からないところです。

現在までに数ヶ月ごとに、何らかの変更内容が生じるといった事が平成18年度から繰り返えされています。平成20年度に何回か坂田理事長が厚生労働省を訪問しましたが、福祉現場において、問題点として感じられる内容や、納得できない内容は、厚生労働省に直接知ってもらうといった方法でなければ本当の自分達の立場を理解してもらえないのではと感じるところです。

 

〔支援費対象者ランクの内容と平成21年度の障害程度区分判定について〕

平成204月より、障害程度区分調査を関係市町村18地区の調査員が学園に来て、入所者75名の調査を行いましたが、当園の新体制への移行期限が101日からとなっていたにもかかわらず9月下旬になって全員分が決定せずに、福岡県との折衝で平成20年度中にという事で一応話がついたものの、保護者の方からの各市町村への再調査や不服申し立ての結果があり、この結果が出なければ、施設運営のための生活介護サービス費区分のランクがはっきりせず、施設への収入額と職員配置数が定まらないために平成20年度ぎりぎりまでかかる事になり、2回目の折衝で平成21年の41日から開始する事になりました。

(補足説明)

平成19331日調査で、鷹取学園入所者の支援費対象者ランクA、B、Cの内容は、75名中Aが73Bが2C該当者は0でした。

@ 平成184月当初は、支援費対象者ランクA、B、Cの内容は、75名中Aが70名、Bが5名、C該当者は0名であったが、内容に納得が行かないため、福祉事務所に再判定の依頼をした結果、Bの5名中3名がAとして認められた)

A また、平成18年度には、支援費制度のAランク認定の重度知的障害に加えて2種以上の重複障害(障害者手帳等により認められたもの)を持つ対象者へは、重度重複障害者加算制度(通称、三障害加算)について16名が対象であったが、追加申請の末18となっている。

平成19年度末より、入所者及び保護者の皆様に対して、新体制移行予定が、平成2010月を目途で進めること、また鷹取学園は、体系として@生活介護とA施設入所という事業形態にすることの説明会を行い、対象の事業形態を活用するための入所方法としては、事前に障害程度区分調査を各出身の市町村窓口に申請し、障害区分程度の1から6までの区分決定を受け、鷹取学園の@生活介護の対象者は50歳未満で区分3以上、50歳以上は区分判定が2以上となること、Aの施設入所の対象者は50歳未満は区分4以上、50歳以上は区分判定が3以上の区分に入っていなければ利用できない旨の説明を行った。

また、平成20年の2月と3月で各保護者73家族に対しこの度の障害程度区分調査に対する準備ならびに各質問に対する入所者個人ごとの具体的ハンディの伝達方法等の説明会を実施し、平成204月より各市町村から障害程度区分の調査に入ってもらう計画で進めた。

 

 

〔知的障害者の言語障害認定に関する問題〕

この内容は平成19年度の事業計画より繰り返しあげて来ました。平成20年度の障害程度区分調査では、この点に関しては全く無視された結果に終ってしまいました。今後とも重度の知的障害を持った人達の障害特性として大いに啓発していかなければ、なかなか社会に理解してもらえない内容であることが障害程度区分調査の結果として悪い方に立証されたといえます。今後ともこの点に踏み込んだ見方がなければ、知的障害者にとっては、障害の判定に対する大きなネックとして残ると思われます。

 

〔平成20年度事業計画から下記説明内容を転記〕

支援費制度にあっては、重度重複障害者加算の認定が必要でした。以前から問題提起してきたことでしたが、重大な問題点が知的障害者福祉の中で取り落とされて来たということなのです。

具体的に説明しますと、重度知的障害者でそして年齢的にも23歳以上の年になり、その後も終生にわたり言語を持っていない言語障害の対象者について説明すれば、現在の身体障害者手帳の認定では知的障害者の言語障害は、身体障害者手帳の言語障害の範疇では認められない事になっています。もっと具体的にいえば、身体障害としての言語障害は器質的な異常が基本になって起きる障害であるため、身体的な形の上で異常がないとか、知的障害を起因とする言語障害は身体障害の範疇にはないとされているためである。

その考え方の元になっているのが、知的障害は発達障害であり、いつの日かもしかすると言語能力が発達して、言葉が出る可能性があるといった考えが基本になっていると思われます。しかし、この見方は甘いといえます。知的障害というハンディを持ち、言語を持たなかった子供たちの追跡調査がなされていなかったということ以外のなにものでもありません。 

成人して高齢化の道を過ぎて老齢化して行くまでの重度知的障害者の言語に関する実態が理解されていないといわざるを得ません。社会そのものがこの部分に対し今まで全く目を向けていなかったということを証明しているに過ぎません。

要するに重度知的障害者の言語障害問題など、どうでも良いといった結果でしかなかったと思われます。

※ 詳細説明⇒重度重複障害者加算に対する重度知的障害に重複する障害内容としては、視覚障害、聴覚・平衡機能障害、肢体不自由(四肢の障害)、内部障害(心臓、腎臓、若しくは呼吸器または膀胱、若しくは、小腸、若しくは人免疫不全ウイルスによる免疫機能の障害)、精神障害(知的障害を除く)となっております。 知的障害者の言語障害に対しては、器質的なものから来る言語障害は身体障害者手帳の対象となるが、知的障害に起因する発達障害による言語障害は、身体障害者手帳を対象とする障害には当てはまらないとの法的解釈により、知的障害者の言語障害は現在でも身体障害者手帳発行の対象外となっています。) 

それ故、重度重複障害者加算の対象には該当しないとされています。

しかし、知的障害が発達障害という考えに基づくと考えた場合に、人間の脳の発達段階は、23歳〜24歳までが限界とされているため、それ以上の年齢に達した知的障害者に対しても、一生涯言語が無くても現在の身体障害者手帳対象の言語障害とか、それに順ずる障害とかに認定できないのかといった問題が残ります。

もともと知的障害という身体の一部である脳に障害が起き、それ故に言語に結びつかない事は身体障害という範疇には当たらないのかという疑問が湧きます。知的障害というのは脳の形状的な姿に異常が認められないので、器質的異常は無いということで身体障害者手帳の対象外であるといった判断というか考え方はおかしいと思われます。形状に異常が無くても脳の中に何らかの異変が起きているからこそ、知的障害というハンディが生じているわけです。老人に多くなる脳梗塞や脳内出血で脳の一部の細胞が破損されて、レントゲンやCT、MRI等の機械で原因がはっきり証明できるものは身体障害者手帳の対象になっています。

しかし、器質的に障害を持っていて、充分な会話ではないにしても、言語としてコミュニケーションの取れる対象者でも、構音障害ということで身体障害者手帳の対象者となりますが、終生にわたり全く言語を持たずに会話の出来ない知的障害者は、言語障害ではないという考えは、現在の医学ではまだまだ解明できない未分野なので、因果関係がはっきりしないので認められないということでしかありえません。ひがんだ考え方をすれば、この様な知的障害の原因究明を研究したところで、社会的貢献度としては低いために研究者にとっては何の得にもならないものと判断されているのかも知れません。

それでも、知的障害者を支援していく現場の職員の視点から考えると、全く納得のいかない事なのです。

もう一言付け加えるならば、最重度知的障害者ならば全てが言語を持っていないという理論構成で上記の論理は成り立っているはずでしょうが、現実には最重度の知的障害を持っている人の中にも、一般的ではないかも知れませんが成人した対象者の中には、稀な存在でしょうが、例外的にでも単語を発声できる人がいる訳です。

知的障害に対する現在の学者の見識は、いうならば不十分であるとしかいえません。

知的障害という障害に対して、知的障害に関する学識者といわれる方々は、更に知的障害という障害自体に対する認識を深めなければ、知的障害福祉に対する本当の判断は出来ないと思います。

発達障害に絡んだ最重度知的障害者というのは、赤ん坊同様に全く始めから言語を有していないと考えるのは当然かも知れません。しかし、知的障害者であっても人間としては肉体的には成人するわけです。最重度の知的障害者といっても、赤ん坊から老人に至るまでの巾があります。発達障害とは年齢的には何歳をもって、成人としての人間の発達の限界に線を引くのでしょうか。

成人として、人間としての発達の限界にいたっても、普通の状態に至らない部分が障害者としてのハンディとして現れるわけです。

知的障害者の言語障害は身体障害者手帳の範疇ではないという考えは、知的障害から来る身体障害問題にも同じように出ています。行動においては車椅子でしか生活できないような状態に至ったとしても、器質的な要因が認められないために、身体障害者手帳の対象ではありませんといった現実問題が出ています。身体障害者の症状を呈していますし、実態は身体障害者への介護を必要としますが、身体障害者手帳の対象ではないために身体障害者施設の該当者ではありませんという問題が、今後、多く発生してくることと思われます。 この問題は今後に残された大きな課題であり、当園でしか判らないといった問題ではない筈です。 この部分の理解をはっきりさせていなければなりません。多くの言語を持っていない重度の知的障害者の人達や、身体障害者手帳の範疇に入らない知的障害から来る身体障害症状を呈するために、知的障害者施設が支援対象でなくなった、何処にも行き場所のない入所者の皆様方の問題にいま少し思いをもって進めていけば、知的障害者福祉の在り方がもう少し変るであろうし、今から高齢化して同じような問題に直面するであろうと考えられる知的障害というハンディのある人たちに対する少なからず福音になる問題を平成20年度も社会に対し、提起していきたいと思っています。

 

〔通所部について〕

通所部については、平成18年度始めまでは、10名定員に対し1名の通園対象者で対応しました。平成18年度途中から通園していた1名も、障害者自立支援法の影響もあり、他の入所施設に入所しました。その後は、平成19年度は一例も通所希望者はあっていません。

平成20年度も一例も通所希望者はあっていません。

平成21年度の新体系になると日中は生活介護という対応で済む為に通所部を廃止することになりました。

 

結 果

「障害者自立支援法の抜本的見直し」を言う声が政権交代がなされるまでは、どんどん出ていましたが、現在は新しい政権になって実際にどの様になって行くのかといった、見守りの状態になっています。社会福祉政策として考えるとき、本来ならば政権がどの様に変わろうと、障害者の立場からの声を前向きに進めて行かなければならないと考えるべきでしょうが、民主党のいう総合福祉法がどのようになるのか。平成25年度までには新しい法として形作って提出するというが、それまでは現障害者自立支援法の下で、新体系に移行させるというのが現実の歩みでしかない。実際にこれからどの様な社会福祉の姿が形作られるかであるが、情報がなければ打つ対応も果たせないというところです。

 

 

〔高齢にむけての今後の課題〕

平成21年度も、平成19年度の事業計画の中でふれてきました高齢化対策について、同じ内容で触れておきたいと思います。これから先の鷹取学園が抱える大きな課題点になると思われます。

保護者の皆さんの高齢化と、入所者の皆さんの高齢化問題です。保護者が高齢化し、次々に亡くなられた方が出ています。入所者自身も加齢化し、知的障害に加えた高齢者問題を抱えなければなりません。現在の姿での施設設備や職員体制のままでは、高齢化に対して対応できかねることが目に見えて分かっています。平成214月から新体制になり、職員数や勤務内容も見直さなければならなくなります。

障害者自立支援法では高齢化に対する考え方としては、病気を罹ったり老齢化した場合は入院をさせるか或いは老人ホームへといった措置を講じて行けば知的障害者のライフスタイルは描けていると考えられているようです。未だに新体制下での施設体系には高齢化対策の具体的なあり方は示されていません。

現在の医療体制や社会福祉状況において、高齢化した重度や最重度の知的障害者を簡単に引き受けてもらえる場所はなかなかありません。

残るところは、現在生活している当園で老齢化した園生を見て行くという事でしょうが、現状の体制では全く不可能であると言わざるを得ません。

歳を取っても、元気で何とか生活して行けるまで見て行くというのが現体制の知的障害者更生施設としての限界だと思われます。新体制では施設入所という形になりますが、土曜日、日曜日の施設に来る運営費を考えると日中介護の単価の三分の一の金額しか来ないため、現状を維持していくのが必死の状態であり、結局は厚生労働省も周囲の知的障害者福祉に携わっておられる皆様も、目の前の高齢化問題などはどうでも良い状態にしかないと思えます。

結局は病気になり、動けなくなった場合は、健常者が老人になった場合同様に、知的障害をみて貰える医療関係機関を探すしかないと思われます。鷹取学園を離れて、老人疾患病院や老人施設等の場所で看て貰うしか方法はないと思われます。

家族を持たない独り身の知的障害者の場合は、なおさら厳しい状態を迎えなければならなくなると思います。

現在は成年後見制度の紹介がよくされていますが、本人の持っている金品財産に対する後見問題であって、本人の生涯にわたる生活上の後見をするといった内容ではありません。このところは後見人制度の内容を知る多くの人たちの共通の理解であるところです。今後はこの点に関しては、問題点を真摯に受け止め、更なる対策を講じるように方向付けしなければならない点だと察しられます。

平成18年度より支援費制度が新たに障害者自立支援法に取って代わり、大きな制度改革が目指されましたが、高齢化する重度知的障害者支援のあり方に、医療問題を取り入れた福祉体制を考えるとか、今後どの様に対応していけるのか、またそれを実現できるような方向に努力していくといった考え方は在りません。平成21年度もこの点に関しては、何らかの具体化に向けて鷹取学園としての課題点を発信していかなければならないところです。

 入院して3ケ月目途で退院ができなければ施設に戻れません。施設から切り離されてしまった後のことを保護者の皆様が理解し、自分達はそのときどのようにすれば良いかを考えておかなければなりません。

実感した時は既に遅いといえます。この点は保護者に対して重ねて説明していかなければならないと考えるところです。

 

〔保護者に自覚して貰わなければならないこと。〕

早急に対応していかなければならないことは、親御さんを中心とした保護者の皆様が元気な内に、園生が高齢化した場合の対応について、現時点から考えられる内容や実際にしておかなければならない事は準備しておくべきだと思われます。

学園からは出来るだけいろいろな多くの情報を保護者の皆様に伝達していくつもりです。

施設で対応できる部分は施設の立場でどんどん進めていきますが、保護者にしか出来ない部分がどうしてもあります。入所者の生死に関わる問題は学園側では責任をもてない部分です。

山積された問題点に対し、当園だけの力ではどうすることもできないものがあります。鷹取学園と保護者が共に支え合いながら入所者を守っていかなければならないということしかありません。 

平成21年度も知的障害者福祉に対する啓発内容をあらゆる対象機関に対し働きかけていくということ、また多くの皆様方の協力と支えを仰ぎながら知的障害者福祉推進のために努力していく所存です。

平成21年度は新体制へ移行し新しい形で進める事になりました。職員も8名増員され、勤務体制や支援内容も変わります。一つの例を挙げますと、宿直体制が変わり、夜勤体制になります。

新体系での鷹取学園での日中活動は生活介護サービスを行う事となり、住まいの場については施設入所支援サービスの形をとります。 入所者に関しましても、73名中1名が障害程度区分3という結果が出ていますが、これも次回の障害程度区分調査時には判定基準が変更になるとの話が出ていますので、もう一度きちんとした調査をしてもらい、全員が当園の生活を継続できるようになればと願っています。

今後とも保護者の皆様と共に入所者の安全安心の生活を守って行く事が出来ますように願っています。

 

結 果

平成21年度はこれも政権交代のために行政に対して訴えて行けるような状態ではなかったと言えます。保護者の皆様も高齢化が進み、平成21年度は3名の保護者が亡くなられました。

入所者の旅立ちを見守るのは兄弟姉妹か、または甥や姪の方たちになると思います。親の立場としてどの様な思いを現在お持ちであり、今後どの様になって行くことを望まれるのかといった考えをまとめておかなければならない時期に来ていると思われます。施設から発する声だけでは現在の社会では、なかなか受け止めて貰える状態でないことも知って欲しいところです。重度の知的障害者の将来像はどうあるべきか、知的障害者福祉に携わる関係者は早めに対策を講じなければならないと思います。

 

 

〔保護者にお願いすべきこと〕

〔当初計画〕

早急に対応していかなければならないことは、親御さんを中心とした保護者の皆様が元気な内に、園生が高齢化した場合の対応について、現時点で考えられること又はしておかなければならない事はしておくべきだと思われます。学園からは出来るだけ多くの、またいろいろな情報を保護者の皆様には伝達していく方針です。

施設で対応できる部分は施設の立場でどんどん進めていきますが、保護者にしか出来ない部分がどうしてもあります。入所者の生死に関わる問題は学園側ではできない部分です。

山積された問題点に対し、当園だけの力ではどうすることもできないものがあります。鷹取学園と保護者が共に支えあいながら入所者を守っていかなければならないということしかありません。 平成20年度も知的障害者福祉に対する啓発内容をあらゆる対象機関に対し働きかけていくということ、また多くの皆様方の協力と支えを仰ぎながら知的障害者福祉推進のために努力していく所存です。

平成21年度は新体制への移行に向けての準備と、新体制に移行する年になりますが、保護者の皆様のご協力をお願いしたいと思うところです。

 

結 果

平成21年度は新体系に移行しました。新たな新体系での施設運営となりました。鷹取学園の保護者会に対して、故坂田友三郎理事長兼施設長から、鷹取学園の今後の事を考えていくためには、保護者の皆様に保護者会の再構築を考えて欲しいと提言がありました。本当に入所者の為になる保護者会の動きとは何なのかを問い直した年であったと思います。 

今後の知的障害者福祉問題に対処できる保護者の会とはどの様な会にすれば良いのかといった話が投げかけられていましたが、名称も新たに家族の会という事になり、これからは両親を含めて兄弟姉妹の方々が入所者の今後について対応して行くという体制づくりが必要になります。

平成22年度も鷹取学園は家族の会の皆様と共に入所者のために邁進努力して行く所存ですので宜しくお願いいたします。

 

 

2、平成21年度の運営方針

 

平成20年度の10月に、鷹取学園は旧体制から障害者自立支援法に基づく新体系へ移行していく予定でしたが、市町村の実施した障害程度区分調査に時間がかかり、平成21年の41日から新体系に移行することになりました。

日中活動については@生活介護サービス事業を選びました。また、生活の場支援におきましては、A施設入所支援サービス事業を進める事になりました。

障害程度区分調査の結果から、@生活介護サービスにおける当園が該当する施設ランクは区分表では11区分の中で3区分域で進める事になりました。

A施設入所支援サービス事業につきましては、施設の程度別区分表の施設入所サービス費区分11の中からT区分でスタートする事になりました。

日中活動の@生活介護の内容に関しては、平成20年度までにやって来た各8つの作業・訓練班の形をそのまま存続して行きます。

重度、最重度の知的障害のハンディを持った一人一人に対して、本人に適合した支援内容で自立に向けて明るく楽しく充実した学園生活が送れるように力を注いで行けるように体制を作っていくように計画しています。 生活の場についてはA施設入所支援サービスという形になりますが、旧体制では3人の宿直勤務体制でよかったことが、新体制では4人の夜勤勤務体制となります。

日中活動の@生活介護においては、支援員の数が平成20年度の21名から、定数配置としてサービス管理責任者の2名を除いて30名の支援員が必要となります。平成21年から支援員が8名を増やすことになります。実際には園芸班の非常勤職員の2名と洗濯担当の非常勤職員2名を含め、常勤換算では32名の職員数になっています。

入所者の平均年齢は45歳位に達しています。重度知的障害者は加齢化が早いと言われますので、この点にも充分に配慮しながら、設備の改善、生活環境の改善、生活の質の改善というように、支援・介助・処遇の質的向上に努めていきたいと思っています。具体的には、快適な生活環境作り、作業・訓練等の充実、各種行事の開催、健康管理、食生活の改善といった平成20年度まで実施してきた学園生活の充実を更に向上できるように努力していく方針です。

 

 

結 果

平成214月より新体系に移行して運営を進めて行きました。支援職員が30名と数を増やす事ができ、4人の夜勤体制が組めるようになった事は少し良い方向に動いたと言えます。しかし、宿直体制時にやっていた時の学園運営の形をそのまま崩さずに通すことについては職員の数がまだ少し不足するという事になります。

勤務体制が法基準に基づいて変化して行く訳ですが、昔と今の状態を比較して観ると職員の労働条件は遥かに良くなって来ましたものの、社会福祉の方向性は何処まで向上させるのかといった目途といいますか、質の問題に対しては未だに具体的な指針は示されていません。財政的な裏付け、予算の裏付けといった事でする事は決まると言われますが、昔から福祉はボランティア精神で進められてきた部分が強いために、決してお金だけの問題ではない事を、どこかの部分にとどめておかなければ誤った方向に進んでしまうと思われます。

どちらかといえば、運営方針は当初予定したとおりに進める事が出来たと思います。

 

 

3、平成21年度事業計画

〔当初計画〕

 

1)行事に関して

    大きな行事のみを抜粋

   1〉第29回学園祭   第29回運動会  

29回親子日帰り旅行  第29回餅搗き大会  第29回クリスマス会  その他

結 果

  予定通りの行事を終えることが出来ました。

 

 2)建物等に関して

   〔当初計画〕

   1〉浄化槽(小)の配電盤の塗装について

 平成18年度から予定しましたが、配電盤に錆が来ている状態にあり、塗装工事の必要

 があります。

結 果

 平成21年度は浄化槽そのものの改築工事を実施したので、全て新規な物に変更された。

 

〔当初計画〕

2〉フラワーホームの照明器具の取替え工事

夜間フラワーホームに行くと、フラワーホーム全体の照明が暗く感じられますので、

照明器具の交換を計画しています。

結 果

    平成21年度は、実施できなかった。

 

〔当初計画〕

3〉廊下等のPタイル修理について

   本来Pタイルはワックス掛けを行いますが、入所者が掃除をする場合に、水拭きしか

できません。ワックス掛けが難しいために、今後も水拭きという方法を継続していく

しか仕方ありません。水拭きをすると、どうしてもPタイルが浮き上がり破損してし

まいます。平成21年度も破損したPタイルは交換の必要があります。

結 果

    全体的な見直しで、Pタイルの補修工事を学園祭前に手掛けましたが、その後にまた劣化部分のPタイルが割れるという事が発生しています。平成22年度も一部補修が必要な処が出ています。

 

 〔当初計画〕

  4〉軽作業U棟の屋根の塗装工事について

軽作業U棟の屋根のセッパンが古くなり、塗装をやり直す状態に来ています。この箇所も塗り替え工事を予定しています。

結 果

  軽作業U棟の屋根の塗装工事を計画しておりましたところ、軽作業T棟の方の手工芸班の屋根が雨漏りし始めたのでこの分の見積もりをしましたところ、屋根のセッパン全体が腐食により穴が開いた状態であることが分かりました。軽作業U棟の屋根の方は、まだ、穴が開く程の事ではなく、今回は塗装は行わずにセッパンを止めているボルトにキャップを取りつける方法で対処しました。軽作業T棟と食堂のセッパンを張り替える工事を実施しました。

 

〔当初計画〕

5〉作業棟(陶芸班・アロエ班)トイレの壁工事

作業棟のトイレの壁がはがれており、やり替える状態になっています。

結 果

  平成21年度に修理をする予定で進めましたが、壁全体を改修する予定でしたが、壁の部分修理で可なりの耐久性は残っているとの事であったために、修理の工法を検討して貰いましたところ、意外と簡単な工事で終わるために、平成22年度に学園内で他の工事が発生するので、その時に同時に工事を進めていく計画に変更し、平成21年度は実施しませんでした。

 

〔当初計画〕

6〉風呂場の改修工事について

    風呂場の浴槽が深く、入る時の浴槽の壁が高くなっており使用しにくい状態です。介助の場所も手狭になり改築の必要があります。また、男女風呂場の壁も汚くなっており、塗装工事が必要となっています。 

結 果

    見積書を取るために業者に見て貰いましたところ、建物の構造そのものから検討した方が良いとの事になり、設計士に相談しましたところ、拡張して風呂場を広め、湯船を下げることに関しては、建物の構造上不可能であるとの結論が出ました。新たに風呂場を他の場所に作り、現在の風呂場のスペースを何か他の利用内容に切り替える事の方が賢明であるとの話でした。入所者の高齢化を考えると、改めて風呂場そのものを作りかえる計画を進めなければならないと思われます。

 

  〔当初計画〕

7〉食堂窓への網戸取り付け工事

    現在、食堂周囲の引き戸部分には網戸がはまっていません。開園当初に入所者が全て破損させてしまい、やりかえてもまた壊すといったことで、しばらくの間は網戸を考えないという事で現在まで来ました。しかし、そろそろ取り付けても大丈夫と思われます。保健所の立ち入りの際に一度だけでしたが、食堂周囲の網戸を指摘されたことがありました。理由を話すとその時は理解して頂き現在に至っています。

   結 果

家族ふれあいの日に保護者の方からも、できれば網戸を入れて欲しいとの要望が出て来ました。保護者の意見に対しては、網戸が無くなっているのは、入所者が全て破損させた事、金額については、普通のアルミサッシでないために、網戸の枠を全て作りかえるという事が必要になる可能性があること、現在使っている網戸の網がステンレス製であるため、1枚張り替えるのに\8000\10,000は掛かる事の説明をさせて貰いました。業者に相談して網戸を設置する方針でしたが、平成21年度は計画途中に終わってしまいました。  

 

4、購入物品、修理品、その他に関して

〔当初計画〕

1〉パソコン購入について

   新体制となり、日中活動を行う生活介護は作業・訓練場で行います。職員が8名増えましたので8台のノートブック型パソコンが良いと思われます。 8台のノートブック型パソコンで無線ランを使用したものであれば、各作業班に移動できるますので、生活介護サービスにおいて、個別支援経過のチェックなどを作業現場で処理できます。

結 果

  平成21年度の支援計画を実施するために、平成20年度の末までに準備を終えなければなりませんでしたので、8台のパソコンを各作業班に据えランの配線工事を実施しなければなりませんでした。平成214月初めに使用可能という事で何とか間に合いました。結果としてはラン工事は無線ランよりも有線の方が障害が出にくいとの事でしたので、配線工事を実施し、21年度は予定通りにパソコンにより記録データとして活用し、記録を保存し残す事ができました。

 

〔当初計画〕

2AED(除細動器)の購入

    学校関係、公共施設においては何処でも、AED(除細動器)の配置が多くなっています。当園でも体の弱い対象者が多いので準備しておいたほうが良いと考えられます。

結 果

  AED(除細動器)を購入し、医務室に備え付けました。部品が不良という事でマスコミで騒がれた事がありましたが、順次不完全な部分のデータ書き換えを実施しながら平成21年度は終わりましたが、今のところは異常なく何時でも操作ができるように準備されています。

5、維持管理、その他

    ○維持管理

〔当初計画〕

1〉ボイラー缶内の清掃

本館機械室、フラワーホームの暖房ボイラーを平成13年度の終わりに新規入れ替えました。平成14151617年度は必要なかったのですが、18年度の2月にフラワーホームのボイラーのみ、掃除を行いました。平成21年度は本館機械室のボイラー掃除を実施しなければならないと計画しています。併せて煙突掃除を行う予定です。

結 果

   平成21年度に業者に確認しましたところ、管理棟機械室のボイラーはまだ掃除の必要がないとの事でした。しかし、フラワーホームの暖房機用のボイラーはノズルの噴射口の清掃及びタンク内の重油の灰を掃除しなければならないといった結果でした。

 

6、園内の環境整備

〔当初計画〕

1〉各ホームの入り口を飾る。

     園生居住棟のプロ野球ホーム(男子棟)、ディズニーホーム(女子棟)、フラワーホー

ム(重度棟)に、各ホームの特色を持たせるために、ホーム毎の入口や廊下の壁等に装

飾を施す。

結 果

   平成21年度も各ホーム長を中心にホーム内の飾りつけを行いました。ディズニーホーム

(女子棟)の裏玄関には学園祭前の額縁飾りの中に、園生と職員で鳥の飾り物を作りま

した。生活環境に変化を持たせるために中庭に鉢花を置くなどの試みを行いました。

 

7、学園周辺の環境整備に関する事

  〔当初計画〕

 学園周囲の環境については、1年中、いつでも花が途切れる事なく咲いているといった環境整備を考えています。園芸班が育苗したものを、各ホームで植えつけ、管理を行っていくといった方法で進める予定です。また、樹木に関しては、外部のプロに依頼して園庭整備を進めていく予定です。

  結 果

   中庭を整備しプランターで花を飾るなどの工夫を平成21年度も実施しました。学園周囲の環境整備は@直方シルバー人材センターに依頼し学園祭前に草取りを行いました。また同時期に、高い樹木は庭師に依頼して環境整備を実施しました。

 

8、その他継続懸案事項   

1居室改装(バリアフリー構造)の件

〔当初計画〕

高齢化に対しての、居住空間の改善ということでは、部屋が狭すぎるといった事が考えられます。現在は和室であるため、床と上がりがまちの間に段差があり、高齢化を考えれば床はフラットで、汚れた場合に手早く掃除できる等、衛生的且つ安全に活用できる、介護しやすい居室の改装が今後必要になると考えられます。

  結 果

  平成21年度は改めてこれからの社会福祉の動向を考えるとき、未だ国の福祉体制がふらついているために、簡単にバリアフリーという点だけに目線を絞って改装をして行けば良いという事は難しいのではという事になった。国からの補助金制度も無くなっているし、昭和56年以前のコンクリート建ての建築物についても耐震構造にはなっていないし、防災に関してはスプリンクラー設置といった事も起きているので、いつどの様なお金が必要になるか分からない。障害者自立支援法が廃止され、新たに総合福祉法なるものが次にできるまでは先が見えないということであれば、しばらく様子をみての対応しかできないというのが現実問題であるということで、平成21年度は改めて今後の居室改装の話については、慎重に判断しながらでしか進められないという結論に達した。

 

  〈2〉夜勤者控室の改装工事

〔当初計画〕

平成20年度まで使用していました宿直室(プロ野球ホーム・ディズニーホームの宿直室)を改装して夜勤者控室とする。

        宿直勤務が夜勤となり、職員の宿泊が3名から4名になりますので、現在のプロ野球とディズニーホームの2ヶ所の宿直室を改造して2人の職員がおれる場所にした方が良いと思われます。現状の4畳半の部屋を改装し、カウンターまでの広さに拡張した9畳の部屋にするといった方法が考えられます。

    この部屋は、ホーム毎に開催するホーム会議にも活用する予定です。

結 果

    業者から見積書を取り、改装準備をしていましたが、浄化槽の改築工事が入り、自己資金で前工事の代金を支払うという事と、自立支援法に基づき新体系に移行して、実際にどの様な収入になるのかが分からない状態での1年間でしたので、夜勤者控室の改装工事には至りませんでした。しかし、その間に改装する場合の内容検討を建築士に相談して、具体的な構想を現実な形にできるまでの下準備を行えたと言えます。

  

 

  3〉浄化槽の改修について

  〔当初計画〕

  浄化槽全体の問題として、設備、機械等が全体的に古くなったこと、二箇所に分かれての管理がなされていることなどから、浄化槽全体についての改修工事を行った方が良いと思われます。

   結 果

    使っていた浄化槽の揚水ポンプの2基のうち1基が故障し、どう考えても浄化槽の構造上又は使用人数の上でも現状のままでは、将来に不安を残すということで、10年以来の懸案事項になっていました浄化槽の改築工事を行いました。

鷹取学園は、昭和56年度に開設した時から50人定員の国県からの助成金でたった本館及び男女入所者の居住棟を賄う浄化槽が1基と、昭和60年度より開設した知的障害者の重度棟を日本財団(旧日本船舶振興会)の助成金でオープンした棟を賄う2基目の浄化槽を一つにまとめた新たな浄化槽に改築しなければなりませんでした。修理という事になれば、各助成先からの補助金を受けるという事で修理は可能ですが、2つの浄化槽を1つにする工事に関してはどちらも改修工事に対して補助金を出す事は難しいということで、自己資金で実施するということになりました。

 

  

  〈4〉個室増築計画

   〔当初計画〕

    インフルエンザの流行時にどうしても隔離しなければならない対象者が出たが、医務室だけでは足りず、隔離のために自宅に帰すという方法を取らざるを得なかった。

風邪の件でもそのような状態であり、現在でも精神科にかかっていて、他人に迷惑をかけるために1 室を使用させなければ生活できない人がいます。更にこれからの高齢化を考えると更に個室の必要性が高くなると思われる。最低10室は増築の必要があると考えられる。

  結 果

    この件に関しても、現在の新体系における支援内容がどの様に変化してくるか分からないために、個室を作って良いのかどうかの判断が難しく、設計図だけでもと考えているものの、現実的には難しいという事で見送りとしました。

 

5〉食堂屋根のセッパン屋根の修理

 〔当初計画〕

  食堂の屋根のセッパンが古くなり、部分的に穴があいています。もう少しすると全体が腐食して行くと思われます。この部分の改修工事が必要です。

  結 果

    この分に関しましては、食堂天井からの雨漏りが何度か再発したために、平成21年度に張り替えを実施しました。

 

6〉軽作業棟1のセッパン屋根の修理

 〔当初計画〕

  軽作業棟1の屋根のセッパンが古くなり、部分的に穴があいています。もう少しすると全体が腐食して行くと思われます。この部分の改修工事が必要です。

  結 果

    雨漏りが始まったので、軽作業棟1の屋根のセッパン工事を行う。古い分を剥いで新たに張り替えるという事ではなく、今まで使っていたセッパンの上にもう一層の屋根ができるという形での張り替え工事を行いました。結果として丈夫に出来上がっています。

 

7H23頃には本館、居住棟屋根の防水塗装工事が必要

 〔当初計画〕

  屋根の防水工事を10年くらい前に行いましたが、その後の状態を見ていますと、塗装がかなり落ちています。業者にみて貰いましたところ、平成23年頃にはやりかえを計画していた方が良いとの事です。工事は雨漏りが始まる前に実施する必要があります。

  結 果

    平成21年度には、業者に下見をして貰いましたが、見積書を取るまでには至りませんでした。

 

8〉学園周囲のフェンス工事

 〔当初計画〕

   学園周囲に張り巡らしてあるフェンスネットが古くなり、園生が破って出て行ける様

な状態になっています。また外部からの侵入者防止のためには是非、張替えが必要と

もいえます。(学園の西側部分は新しく張り替えていますので、その他の場所の張り

替えが必要になっています。)

  結 果

    平成21年度に浄化槽の改築工事を行いましたが、その時に工事のために外部フェンスを撤去しなくてはいけない事になりました。浄化槽工事に邪魔になる部分を撤去をしてみますと、学園の玄関前から筑豊ブロックまでの古いフェンスのネットは塩ビの被覆の中の網はボロボロにサビていて、扱えば切れて壊れてしまう状態になっており、園生の中にはフェンスの網を破って園外に出て行く人がいるために、浄化槽の改築部分だけでなく、玄関前の立木のフェンス部分と西側の筑豊プロック側に面した後で作ったフェンス部分を除く、その他の園周囲のフェンスを新たに作り替えました。

    フェンスに足を掛けて登れないタイプのフェンスを設置できました。

 

9〉火災報知器の改修工事

 〔当初計画〕

    27年間使い続けた火災報知器がかなり古くなってきました。現在は未だ故障は来ていませんが改修工事の予定をしなければならない時期に来たかと思われます。

 

  結 果

    平成21年度も是といった修理が来るわけではなかったので、火災報知器本体の改修工事は進めませんでした。

 

10〉スプリンクラーの設置

 〔当初計画〕

  消防法が平成18年度に改正になり、学園の建物に対してはスプリンクラーを設置しなければならなくなりました。かなりの費用が掛かるために直ぐには実現できませんが、設置の方向で進めなければなりません。だだし、現在の社会情勢においては、スプリンクラー設置に対する国からの補助金は望めない状況です。

  結 果

    年度途中で、福岡県から調査表が回って来て、スプリンクラー設置の希望があるかとの申請に関する話があったので、短期の申し込み期間ではあったものの、急遽、業者を紹介して頂き、調査表に対する回答を行った。

 

11〉生ゴミ処理機の購入検討

 〔当初計画〕

厨房から毎日生ゴミが出ますが、この分を処理するために現在までは、水切りをして

ビニール袋につめて、ゴミ回収日に出していますが、生ゴミを荒らす烏や犬類の動物

の食い荒らし等に木を配りながら、回収当日にゴミ出しをしています。しかし、環境

問題を含め、学園内で処理できる方法として生ゴミ処理機を購入し、処理したものは

園芸班等で活用したいと考えております。

  結 果

    平成21年度は購入に対する話は出しませんでしたし、その余裕がなかったというのが事実でした。

 

12〉医務室内の保護室への監視カメラ設置について

 〔当初計画〕

精神的な不安定で他園生に迷惑を掛ける状態になった人を落ち着かせるための部屋を準備しておりますが、現在は部屋の中にいる本人の状態を把握するために、その都度部屋を開けて確認しなければなりません。確認のために部屋を開けることで、マイナスになることがあります。この部屋を使用する対象者に対し、適切な判断と適切な対応を行うために、職員のみが確認できるタイプの監視カメラを設置する必要があります。

  結 果

    見積書を取ってみましたものの、平成21年度は達成できませんでした。また、監視カメラとビデオの機械が進歩しているので、再度、始めから計画し直した方が良いように思われます。

 

 

9、平成21年度職員研修計画

〔当初計画〕

    新体系に移行するために、平成211月に1名の支援員を採用し、平成21年の4月から7名の支援員を採用します。

重度、最重度知的障害をもった入所者に対し、充実した支援を提供するためには出来るだけ多くの職員に対し、研修の機会を沢山持ち質的な向上を図りたいと考えています。 

    新体制に移行した後も、更なる改革が進められると思われます。時代の流れに対応できるように、また専門性を高める理由からも、各関係機関の開催する研修会や教育行事等に積極的に参加させ、職員一人ひとりの質の向上をはかり、学園としての社会的

立場から、知的障害者福祉分野から社会福祉全体に対して、福祉向上のための一石を投じる事が出来るような存在施設であるように努めて行きたいと思います。

結 果

   新人職員が多いために一度に全員を研修に出すという事は出来ませんでした。

   しかし、専門的な分野に対しては、適材適所となる研修について参加させました。本人達から提出された研修報告書を、研修会に参加できなかった職員に対し、回覧書類として回すとう方法で対処した。

 

    研修内容

〔当初計画〕

    1〕福岡県社会福祉協議会主催による各種研修会

    2〕全国社会福祉協議会および異種開催の各種研修会並びに通信教育及び資格認定講習会    等

    3〕全国知的障害者福祉協会主催による、各種研修会等。

    4〕社会福祉関係機関より案内を受けた各種研修会のうちで、内容を検討し、当園に必要と思われる内容を取捨選択し参加。

    5〕海外研修

        国及び各福祉諸団体が主催する海外研修に参加させる機会を与え、知的障害者福祉の増進につとめる。また、当面する加齢化、高齢化する内容に対応できるように備える。

  6〕その他

結 果

   平成21年度の採用者は7名でした。新人職員を含め、中堅職員、管理者研修等を福岡県主催の研修会、全国社会福祉協議会、県社会福祉協議会、全国知的障害者福祉協会、県知的障害者福祉協会、その他主催の各種研修会に参加できるものには参加させることが出来ました。

   

10、職員の健康管理

 〔当初計画〕

 職員の健康管理については、年2回実施予定。法定健康診断においては、年齢が35歳以上に当たる職員については、成人病検診の内容までを対象とします。

     検診の結果、少しでも異常の出た人には、日常からの健康管理に留意し対応する。

場合によっては、保健婦指導を受けさせ、治療に当たらせ、健康管理に努めたい。  

結 果

職員に対する法定健康診断を行いました。

精密検査という事で数名の対象職員が出ましたが、再検査の結果は異常なしという事でした。また、夜勤に入る支援職員の検診が年2回となっている事が平成21年度の福岡県の監査の時に分かりましたので平成22年度からはコンプライアンスを遵守して行きたいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成21年度鷹取学園 支援報告書

                                 

 

                                                          鷹 取 学 園

 

〔当初の計画〕

はじめに

1】新体系への移行

当園も平成21年度を目途に新体系に移行する方向で、平成18年度から動いていましたが、平成19年度の半ばで、急遽新体制への移行は平成20年の10月を目途に変更実施する運びとなりました。  平成19年度の後半に保護者に対し、当園の移行対象事業を@生活介護とA施設入所支援の二つの形体で移行することの説明を行いました。

平成20年の2月から3月にかけて、保護者に対し移行時前に実施される障害程度区分調査について106項目の調査を行うに当たっての説明会を行い、保護者各自に106項目の検討をして貰いました。

平成204月より当園に関係ある18ヶ所の福祉事務所に移行時期と障害程度区分調査の依頼に関する通知文書を提出し、4月から本調査に入って貰う事になりました。

平成20年の8月までを調査期限と考え、実施して貰いましたが、結果としては市町村の調査に入る時期と、二次審査開催が市町村によってばらばらの状態であり、医師意見書との絡みもあり、結果としては平成211月まではっきりとした結果が出ませんでした。福岡県や各福祉の窓口は、見なしの形で施設のサービス区分を決定して、スタートしてから3ヶ月後に見直しをすれば良いとの強気の姿勢を崩しませんでしたが、運営していく施設側の事情などは一切留意しておらず、どうでも良い感じでの対応でした。障害程度区分決定に当たって、そのことをもっとも顕著に表して来た姿は、一次調査は保護者よりも学園の職員の意見を重点に置いた形で進められましたが、一次調査の結果に保護者が納得できず、再調査を依頼しても、再調査は行えない、当方は専門家でないために、福岡県への不服審査申請にもって行かせ、家族が不服審査請求をしているという事で、その後は保護者と施設を切り離した形で施設側の意見反映は全くと言ってよいほど聞き入れませんでした。

施設利用者の状態で施設の運営形態が変わるはずなのに、施設は施設としての形を勝手に決定し、施設利用者を受け入れれば良いではないかという形で、きっぱりと区切りをつけての対応でした。

施設の形を決めるにあたり、現在施設利用をしている対象者を中心に考えて行かなければならないところを、入所者の区分結果の通知は、保護者に行ったり、施設に来たりといったバラバラな状態であり、不服審査に関しては、学園には直接連絡が来ない仕組みで、保護者からの連絡を待って施設形態を決定していくといった施設を無視した状態です。施設の入所者の区分がはっきりしなくては、施設のサービス費が決まらず、予算の立てようもないという事が、この経過の中では考えられていない事がはっきりと分かったと言えます。

スタートが平成20年の10月から平成214月に変更されたとはいえ、施設の決定するサービス区分のランク結果で施設職員を増員しなければならないし、福祉ばなれと言われている福祉大学や福祉専門学校の学生は少なくなり、現段階で臨時職員の採用ということでは職員が集まらないし、このサービス区分ランクによっては職員勤務体制の変更をしていかなければならないということで、やはり、施設利用者の障害程度区分の決定結果と照らし合わせながら具体的な運営内容に取り組んでいかざるを得ず、平成21年の4月からようやく、生活介護サービスは区分3で、施設入所支援は1区分の形で出発をすることになりました。法的には職員も生活介護3区分の定員30名以上となっているので、実質、常勤換算32名でのスタートで踏み切ることになります。平成20年度より8名増の支援員となりました。

しかし、いずれにしても今まで実施してきた支援内容が根底から変わってしまうわけではないため、平成20年度の支援体制の形を基本に置いて、平成21年度の支援内容を計画していく予定です。

当園のように重度、最重度の知的障害を持って生きていく人達に対しての福祉サービスは、どのような体制になろうと入所者一人一人が将来に向かって安心して生活していける、明るく、楽しく、快適に過ごせる生活の場所を確保し、入所者の生活を守っていくという方針は新体制になろうとも継続されるわけです。

平成20年度も医療に対する保護者と学園との理解のズレは(保護者の立場は今までどおり、入院後の付き添いにおいても支援員が付き添い世話をしてくれるものと思われる方が、まだ多くおられます。施設の立場としては、入院に至るまでの付き添い支援及び入院後の様子伺いに関しては法的な裏付けが認められていますものの、入院した翌日からは、学園には12880円の外泊時加算が付けられていますものの、今後はどの様になるのかも見守りたいところです。 入院後は保護者に任せざるを得ない)、なかなか埋まらないというのが実態です。

現在の状態でよければ、それを受け入れればよいのでしょうが、そうでなければ保護者の皆様方が自ら行政に対し、自分たちの思いの声を届けて、現実を克服していかなければ、全く変わらないと思われます。

これからは更に重度、最重度知的障害の上に、加齢化による医療問題が一人ひとりに追加された形になり、その対応に追われる様になる事は目に見えています。

当園の入所者に対する高齢化対策は、現状の介護保険制度で進められている対応策では恐らく不可能であると推測できます。更なる次の段階で問題点として現れてくると考えられるところです。

他の障害者の場合は、障害をもった本人が発言するところでしょうが、重度、最重度知的障害者の場合は、本人達ではそれができにくいか、全くできません。

今日に至っては、家族が希望するところの本音の部分を語らなければならないと考えられます。

繰り返しますが、長い知的障害福祉の歴史の中で他の障害者の立場と全く違う部分として、障害を持つ本人達が自分たちの意思をはっきりと全面に表せないという大きなハンディがあるところです。

実際には、家族といっても本人の意思を100 %代弁することはできないかも知れませんが、それでも家族の立場から見た判断と考え方を提示して行き、新しい形に変えて行くということが、今とは違った状態に変化するものと思えます。 勿論、本人の立場に立てない限り、本当に本人たちが望むことを形にすることは難しいことでしょうが、全く理解できない人達とは違った結果が出ることと思われます。

平成21年度より新体系に移行して、重度、最重度の知的障害をもった人達への支援をしていく立場から、個人個人の障害に対してより好ましい支援が出来るように、またそれが本人とってより良い人生につながるようになるように計画を立て実施して行きたいと考えております。

長い間いわれてきましたノーマライゼーションの考えに沿った昼夜を区分した考え方が、平成214月からの生活介護サービスと施設入所支援サービスといった2つの事業として捉えられた方法としては、具体的になってきたといえます。しかし、報酬内容としてはまだまだ不充分な点が残りますし、昼夜一体型の施設形態において、日割り計算の方法はかなりズレがある事だと思われます。

平成20年度まで当園が手がけてきました、昼間の「作業・訓練域」と夜の「生活域」(生活の場所として3つのホーム(生活棟)をユニット型に見立て運営してきました)を区分した運営方法が、平成214月から新体系に移行する事で、更に具体化された形に進化して来るようになり、勤務形態のあり方(宿直勤務が夜勤勤務に変更される。)と職員の人員配置が変更される(職員配置が23名から30名になった)ことにより、今までの形よりも、施設形態としては、より一般化(普通化)された状態に近づくようになると考えられます。 

日中活動の生活介護サービスにおいては、精神的な安定につながる作業・訓練の場を提供し、それが個人の生きがいにつながるようになり、重度、最重度の知的障害者にとっては難しいといわれています自主性とか自発性といった積極的な行動につながるように支援して行きたいと思っています。

平成214月からの事業となります@生活介護サービスとA施設入所支援サービスという2つの事業を21年度計画にそって、今までやって来た支援をさらに向上させるように努めていきたいと思っております。

 

2】新たにサービス管理責任者の設置基準が設けられ、当園では2人のサービス管理責任者が必要になりました。

 

新体系に移行するために、新たにサービス管理責任者の設置義務が生じました。人員に関する基準の中に今までにはなかった基準が設けられています。具体的には下記のように定められています。

法基準の部分を下記に引用します。

 

第四章       生活介護

第一節       基本方針

第七十七条 生活介護に係る指定障害福祉サービス(以下「指定生活介護」という。)

の事業は、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、規則第二条の四に規定する者に対して、入浴、排せつ及び食事の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の便宜を適切かつ効果的に行うものでなければならない。

 

第二節人員に関する基準

           ( 中略 )

 

三 サービス管理責任者指定生活介護事業所ごとに、イ又はロに掲げる利用者の数

の区分に応じ、それぞれイ又はロに掲げる数

イ 利用者の数が六十以下一以上

ロ 利用者の数が六十一以上一に、利用者の数が六十を超えて四十又はその端数

を増すごとに一を加えて得た数以上

以上のような基準になりますので、当園におけるサービス管理責任者の定数は 2名の配置が義務付けられています。このサービス管理責任者に関しましては、支援現場での仕事には入らない事、夜勤には入れない等の仕事内容に制限が設けられています。入所者各人の個別支援計画作成のための仕事と、その目標を確実に進めるために設けられた専門の役職として特別に設定されたものです。

〔結 果〕

平成21年度が始まった早々から職員配置に幅が認められるようになりました。しかし、当園は法基準に沿って決められた職員数を確保して行くという事で進めました。年度の途中で与党の自民党が選挙結果で惨敗し、今まで野党であった民主党が与党の座を変わるという政変がおこり、自民党が進めてきた、障害者自立支援法を廃案にするといった状況で現在福祉行政が進められています。しかし、施設の仕事としてなすべき事はそれ程大きく変化するものではありません。民主党がこれから進めようとする総合福祉法という法が、実際にどの様な形で表れてくるかは今も定かではありません。平成25年までは今の新法で進められるような形となっているようです。

鷹取学園は2人のサービス管理責任者を中心に、初年度は入所者のフェースシート作り、アセスメントを行い、個別支援計画を作成し、半年後にモニタリングを実施するという流れで進めて来ました。しかし、時間の関係で思うような内容では進められないという事も分かりました。先ずは、職員が現場を知っていなければアセスメントも真の把握ができない事、それが中途半端であれば、当然、個別支援目標も具体性に欠ける結果にしかならない。個別支援目標の設定もなかなか難しい。目標に沿った経過を追う事の難しさ等が職員そのものが入所者に対してどれだけ理解があるかによって決まって来る事が分かる。また、目標に対して、どのような対応が必要であるかといったスキルのことも、職員の質を問うという事になりますが、同じ職員がいつもおれるけではなく、あくまで勤務の中での接触という事になるので目標達成の難しさは否めない。職員に対しては、今の状態よりも悪くならない様に、できれば今よりも状態が少しでも向上するように入所者とともに努力し、結果に繋がるようにする事を伝えて経過を見て来ました。より絞り込んだ目標設定ができるためには、1年目はこの方法に先ずはなれる事を目標にして来ましたが、それなりの形ができる方向が見えだしたといったところだと思われます。

 

 

〔当初の計画〕

平成21年度 支援方針

【@日中活動の生活介護サービス と A住まいの場における施設入所支援サービスに関して】

 

《1》       日中活動の(作業・訓練班)について = 生活介護サービス

班のあり方について8班を設定する。@アロエ班、A園芸班、B陶芸班、C染色班、D和紙班、E手工芸班、Fピンチホルダー班、G機能回復作業訓練班(生活支援班)8班で構成する。

入所者個人の作業・訓練等の能力面に視点をおき、可能な部分については能力低下させないこと、更に幾分かでも可能性のある事は実現可能な状態に向上させられるように努力し、支援して行くようにする。 また、日中活動そのものが入所者本人たちの生きがいにつながるように努めたい。

できれば、本人たちの作った作品が一般社会に向けての媒体となり、少しでも社会の中で役立つものとして、社会参加につながるようになることを願って支援を進めて行きたい。

 

《2》       生活の場の支援について = 施設入所支援サービス

生活の場の支援については、入所者が安心して生活していく居住の場を確保し、本人の精神安定を保てるような対人関係を作り、一人の大人として生活して行くことが出来るような支援に努めたいと思います。

長期学園生活を行うといった視点から、部屋の作りが二人部屋の人、三人部屋の人、四人部屋の人となっているために慎重に人間関係を考えて編成していく予定です。 

施設という限定された生活空間域の中でも、一般家庭的な生活感に少しでも近づけて行く様に努力したいと考えています。

施設入所支援サービスに関しては、支援(処遇)内容の見直しを行い、施設生活の質的向上を図っていくところです。

居住している生活空間がいつも新鮮に感じられるような環境変化につとめ、それに順応して生活変化に馴染めるようにして行きたいと考えています。

 

 

《3》       学園における支援記録内容とそれを各家庭に対して個人情報を開示する事について

平成4年より処遇現場にパソコンを導入し、日誌記録(支援記録)をパソコンデータとして活用し始めて、満16年が経過しました。一人一人の学園での生活状況や作業ほか行事参加等の状況が詳しく記録されています。各ご家庭のインターネット上で、各個人毎の学園における様子が、家庭から確認できるようになっています。個人情報を提供するに当たりましては、他の入所者の名前が日誌に載る場合には、その対象者の個人情報を守る為に、名前部分は黒で塗りつぶされています。

当初、インターネットを活用して個人情報を提供するようになった当時は、3家族が活用されている状態でしたが、現在では多くのご家族がインターネットを利用して、家族の学園生活の様子を把握されるようになっています。 勿論、個人情報であるためにご家族だけにしか分からないようなシステムとなっており、個人のプライバシーは絶対に守るという立場から、セキュリティに関しましては十二分に配慮しているところです。 保護者の皆様からの反応は、「家族に取りましては、大いに安心できる」と喜ばれています。 

パソコンを通して、デジタルカメラのデータは送信できますが、将来的にはデジタルビデオの映像や、またはCD−ROMに保存されているデータなどを利用して、必要に応じて、これをご家庭に情報提供できるようになれば良いと願っています。記録画面の活用や入所者の声等の記録がインターネット上で簡単にお届けできるようになれば、個人ごとの楽しい学園生活をお伝えできる日が来ることを楽しみにしておりますが、それはこれからの課題といえます。

 

〔結 果〕

生活介護と入所施設支援の二つの事業を進めて来た訳ですが、個別支援計画の目標だけでは施設生活は守られないが、どの程度の支援経過を記録して行かなければならないのかといった疑問が投げかけられてきたので、個人目標はあくまで達成可能な部分の目標設定であるので、それだけに囚われずに支援を行うように指示しながら1年が瞬く間に過ぎたと言えます。

 

 

1、日中活動(作業・訓練)支援 = 生活介護 に関して

〔当初の計画〕

1、日中活動(作業・訓練)支援 = 生活介護 に関して

平成21年度も平成20年度からやって来た日中活動(作業・訓練)支援の方法を継続し、重度、最重度の知的障害を持っていても、個人個人の持てる能力に適応した日中活動支援に努めます。

作業能力が幾分でも高い人達には、社会に対し少しでも本人のもてる能力をフルに発揮できるような場面とそのような技術を習得できるように仕向けてやる方向で進め、できる限り社会参加に結び付けて行くように進めていきます。 

 

作業・訓練班の形としては、作業指導・機能回復作業指導の2区分体制で進めて行きます。

 

  作業指導部  ‥‥‥‥‥    作業指導班(@アロエ、A園芸、B陶芸)

機能回復作業指導部 ‥‥    軽作業班(C染色、D和紙、E手工芸)

                  ‥‥   機能回復作業指導班(FピンチホルダーG機能回復指導班〔生活支援班〕)

 

作業・訓練班編成においては、作業能力及び各人のもつ精神的、身体的ハンディキャップ等を充分

考慮します。

作業能力の低い人と作業能力の高い人が混合で作業を行った場合は、職員の手が作業能力の低い人達の方に時間を取られてしまうため、作業能力の高い人達の足引っ張りとなり、仕事が進まなくなったという過去の経緯から、このような状態に陥らないように充分に配慮して進めるようにしています。   

また、逆の場合もあり、幾分、作業能力の高いグループの中に所属していて、作業内容が変更になった時などに、その作業内容に付いて行けなくなるような場合が生じる時に、その対象者がグループ活動おこなう作業内容から、押しつぶされてしまわないように充分配慮していく必要があります。

本人の能力と障害に配慮した作業内容を無理なく提供し、自信を持ち、作業に対する充実感と満足感を味わう事ができるようになることを目標にして進めます。

能力に応じた機会均等の作業・訓練を支援することにより一人一人の自立領域が少しでも伸展するように進めていくように努めます。

平成21年度の各班の支援計画(目標)及び個人の支援目標を設定するに当たり、20年度の作業・訓練結果を考察しつつ、年度ごとの成果の推移を比較検討しながら、平成21年度の計画を(目標設定を)立て、実現できるように進めていく予定です。

しかし、機能回復訓練班生活支援班のように数値で目標を現すことの困難な班もあります。生活支援においては目標項目を絞り、月別チェック表の纏めにより回数や年間トータルの変化を把握しながら、前年度比較において内容の変化を把握し、段階的に目標基準を上げて行き、可能な限り数値表示で表現できるような方法で変化を把握し、その資料に基づいて具体的な形で、段階的に実現できているのかを確認しながら、少しでも向上できるように進めていく方針です。

数値に置き換える事の出来ない難しいケースについても、前年度実施内容と比較することにおいて支援内容の推移を追えば、園生(入所者 )のさまざまな変化を掴むことが出来ますので、少しでも可能な限り生活の質を高める事が出来るように努力したいところです。

具体的な形としては、前述したように平成20年度同様に、生活介護サービスにおける作業・訓練の内容を【1】作業指導(支援)部と【2】機能回復作業指導(支援)部の二つに分類して進める事とします。

更に、この二つに分類した区分を細分化し、8つの班として各班が特色を持った班活動を稼動させていくという方法で進める計画です。詳しい説明は下記の説明となります。

 

 

生活介護サービスにおける作業・訓練に対する考え方

 

【1】   作業指導(支援)部

作業指導班を3班設けます。作業指導班は当学園にあって、作業能力としては幾分程度の高い人達のグループを対象とします。当園の入所者に金銭的な目標数値を一般社会並みに考えることは到底望めないところなので、材料費等に支出した金額と収入として上がる金額の収支のバランスに赤字が生じないことを目標に進めていきます。 全班活動の収支決算においては、支出が大きく、作業・訓練など何もしない方がお金は要らないというところです。しかし、入所者にとっては自分たちの力で何とか作品を作ることに携わるという感じを持っており、やりがいに繋がり精神的な満足感を持って生活しているので、毎年34百万程度の訓練教材費的な支出を当初から予算に計上しています。

各班が年間に努力した結果と、各班における園生(入所者)が個人的目標として、何を何個作るかといった経過を把握し、完成した作品だけではなく未完成にしか終わらない作品についても、その変化に目を向け、本人たちが自覚できるような確認方法があればその方法でもって、個人個人の意欲向上につながるように心がけて進めることにしたいと考えています。

能力以上に無理なことは、精神的に混乱を来すため、パニック状態になる様な方法は出来る限り採らないよう充分に注意して行くつもりです。当初出発した時点よりも少しでも向上させることができるように進めたいと思います。作業指導(支援)班の内容としては@園芸、Aアロエ、B陶芸3班です。

 

【2】機能回復作業指導部 

機能回復作業指導部は細区分として軽作業と機能回復作業指導の2つに区分します。

作業指導(支援)部については、少しは金銭にからませた作業を望むところですが、機能回復作業指導部については、班の存在意義の中には、始めから金銭的数値目標の対象となる班ではないために、当初より情緒安定や集団生活への適応が可能になること、欲を言えば本人の生きがいにつながるようになればよいといった事に主眼に置いて運営して来た班です。

個人個人が少しでも自立に向かうように、良い方向に変化して行くか、悪くても現状を維持できるようにしていく事が目標といえます。

指導・訓練に当たる職員がどのような具体的目標を定め、数値目標としてたてることが出来るかといった点が課題であると思われます。この課題は大変難しいと思われますが、対象となる入所者の変化の状態を的確に把握し、記録として残す事ができるならば、重度、最重度といわれる知的障害を持った人に対する支援のあり方に光が見えると言えます。具体的な方法論を考え出していく事が、職員自体の大きな仕事となり、重い知的障害を持った人達への処遇技術として、また結果的には重度、最重度の知的障害を持つ人達の人生そのものを支える方法として、大いに役立ち、今後の知的障害者福祉の進歩に貢献できることになります。 このような可能性を秘める機能回復作業指導部の存在は、大変貴重な分野であるといえます。

軽作業C染色、D和紙、E手工芸の三班にします。機能回復作業指導Fピンチホルダー班とG

機能回復指導班〔生活支援班〕)に分けます。

班にはそれぞれの特徴があり、特にD和紙班は自閉症、統合失調症、興奮型の性格といった精神保健的問題を抱えた人達が多く、先ずはパニックを抑えることを目標に、精神の安定を目指すことが基本に置いています。

 そのことになって日常生活をしていく上で、常時、情緒の安定を保持できるようになることを次の段階の目標におき進めています。 特にこの班は精神科医療との兼ね合いが強く、昭和62年から平成1910月までは嘱託医の糸井孝吉先生が診療に当たってこられましたが、平成1911月より糸井孝吉先生の後任になられた鳥巣美穂先生の精神科治療と並行して進めなければ良い結果に結びつかないと思われます。

機能回復指導班は当園の中では、特に最重度の知的障害をもった人達の班です。一生にわたり、健康維持と生活支援全般にわたって支援して行かなければならない対象者であり、社会福祉体制の中でも重要な意味を持つ部分といえます。 当園は、入所者一人ひとりの人生を預かり、生活を管理していかなければならないという特殊な班を抱えているといえます。

入所者に対し、学園生活をいかに維持・継続して行かせることができるか、又どの様な支援を提供できるかといった課題を抱えた班といえます。

 

〔結 果〕

設定した生活介護における班の編成と入所施設支援の場として3ホームの形態を継続して行くという形で平成21年度を計画通りに進める事ができました。

 

◎◎◎◎

2、各3ホーム(生活棟)に関して

〔当初の計画〕

〔入所者の支援に対する考え方と対応〕

平成7年度より、ノーマライゼイションの考え方に基づき、各棟・各部屋を番号呼称ではなく名称で呼ぶ方法で進めてきました。

70数名の入所者の平均IQは20で最重度といわれる知的障害を持っている入所者の施設として運営されてきました。学園を振り返ってみると、開設当初は他傷、自傷、パニック等の多くの問題行動を抱えていた対象者も、施錠のない自由な生活空間の中で、のびのびと生活してきた過去27年数カ月間の施設での生活経験の中で、それぞれがそれなりに学園生活を上手に送れるようになったといえます。

平成18年に障害者自立支援法がスターとしましたが、平成19年度の当園の知的障害の区分は76名中、支援費制度においては73名がA判定と認定され、残りの2名がB判定ということでした。(平成18年度当初は、70名がA、5名がB判定であったが、福祉事務所に再判定を依頼した結果、前述の内容となった)。

入所者の多くが最重度の知的障害をもち、かって重症心身障害者施設の職員が見学に来られたとき、「どちらかと言えば重症心身障害者施設でも入所できる対象者がおおいですね。」と言われたくらいの対象者を支援しています。この様な入所者が施錠設備もない一般的な施設様式の建物で、他の知的障害者施設の運営形態(職員数に関しても4.31の基本型に重度重複障害加算分の職員数で進めてきました。)で、28年間何事もなく生活できて来たということが、どんなに大変なことであったかについては、知的障害者入所施設の経験者であれば幾分かはご理解いただけるところとであると思います。

社会福祉などに関係しない一般の方にとってはピンと来ないことかも知れません‥‥。 実際には職員の並々ならぬ努力があって現在に至っています。また、見学者の中には重度の知的障害を持った子供さんを持たれた保護者の皆様方も見学に来られることがあり、色々な点に関してよく質問を受けることがあります。

話をした後に、重度知的障害児・者の処遇方法に対し、現実の証として実践してきた鷹取学園のような施設があったということで、自分の子供でも支援して貰える入所施設があるということで、将来に向けての「夢」と「希望」を持って帰られた方々の姿には、これから先も頑張って行かなければという思いを感じさせられます。これから先も、現在行っているような支援内容を提供できる施設が継続できる様に、この仕事に誇りを持って頑張りたいものです。

ノーマライゼイションの考え方を基本に置いて鷹取学園は今まで進んできましたが、支援のあり方としては間違いなかったと思いますし、具体的な形として運営されて来た結果であるといえます。 今後更に社会に啓蒙して行くことが学園に与えられた使命で在ると考えられますので、重度、最重度の知的障害を持った入所者本人とご家族の皆様が、人生に対して少しでも希望が持て、前向きに生きられるように支援できることが、何よりも大きな仕事につながると思っています。

当園が取り組んで来た活動を、今後も社会に向けて啓蒙し、他の知的障害者福祉現場でも生かされるようになれば、重度、最重度の知的障害者の受け入れを敬遠されて来た施設の皆さんに少しでも違った目で見てもらえるようになれば、重度知的障害を持った人達に対する支援の目が多く注がれるようになり、また多くの受け入れ場所ができることを期待したいところです。

 

〔ホーム運営について〕

3つのホーム運営につきましては、各ホームともホーム長とホーム長補佐が一人ずついて、その下に各ホーム毎に支援員が自分の担当クラスを持ち、担当クラスの入所者のみならず、そのホーム全体の入所者支援を各ホームの職員全員で職員同士がお互いに支えあいながら入所者を守っていくという体制をとります。 各ホームの構成はミニホーム単位に細分化して、ミニホームは2クラスか、3クラスにまとめ、ミニホームの職員同士で相互に協力しながら、自分たちのミニホーム運営をスムーズに進めるといった方法で、手抜かりの無い支援内容を保ちます。

平成15年度からは、各個人が自分の部屋といった感覚を持てるように、今までよりも更に精神的な安定が保たれるように、各ホームの人間関係の見直しとホームの環境整備に力を入れてきました。平成21年度も20年度同様に、さらに落ち着いた生活環境を作る計画で施設内の対人関係を再度見直し、同室者はお互いに気の許しあえる相手になるように多くの職員の目で見た適正なクラス及びホーム編成に取り組みます。

 

〈過去の説明〉

(施設であるため、生活の場と作業訓練の場の切り離し感覚がなかなか出来ませんでしたが、平成8年度までに、日中の作業・訓練時間帯には各ホームには戻らないという、一般の社会感覚が日中の生活形態として徹底され、全体的に習慣づき、学園における生活帯にメリハリがついたといえます。この事は大きな成果と思います。平成21年度もこの方法で進めていく方針です。

 施設の敷地内にホームの建物(生活棟)と、作業棟及び訓練棟があるという設定は変え様がないのですが、作業時間に使う建物と生活面で使う建物を区分して利用するという方法は、大変よい結果を得たといえます。

 

〈重度の知的障害を持つ人達の地域福祉について〉

最近になり、日本の知的障害者福祉施策としても、グループホームやケアホームを具体的に増やしていこうという施策が動き始め具体的に昔に比べると数多くのホームができています。

日本では障害者自立支援法によって、ようやく中軽度の人達を対象にホーム化が進められていますが、福祉先進国と呼ばれる北欧の国々では、ノーマライゼイションという考え方に基づき、昭和54年頃には、たとえ重度の知的障害者といえども中軽度者と同様にホームを町中におき、ホームで生活させるという形態が当たり前でした。ノーマライゼイションという言葉さえも現在では使われなくなってしまいました。それが当たり前になっています。

しかし、先進の福祉国がそうだからと言って、日本が一変してそのような形になってしまうことはできません。 まだまだ現在の日本における知的障害者福祉の方法で、重度の知的障害を持った人たちを、地域のグループホームやケアーホームで生活させるなどということは自殺行為に等しいといえます。

日本の福祉も世界の福祉の流れに対応したような話が出て来ますが、その裏づけとなる社会福祉体制に関しては、ほとんど先進福祉国家の現場の実体を把握できていないといえます。

ただ形だけが先行しているといった無責任な在り方で進んでいるように思えてなりません。

今後の社会福祉の進歩の形としては、確かに北欧、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアのように少数対象型の運営傾向を辿ることは必然と思われますものの、日本社会にはまだそれに至るまでの社会福祉の社会的基礎ができていないと言えます。国会の中で国会議員さんたちが自分達の意見として福祉施策を討論し将来的な計画を組み立てるといった段階になるまでそれは無理と思われます。

国と地方行政と各障害者福祉団体が、各障害者の立場を支援するという方向性を先ず確認し、それに沿った、障害者個々人が地域で生きるための地域支援プランがたてられ、それが予算化され、障害者が安心して生活できる方法が打ち出されなければ、国家的福祉とは程遠い、障害者福祉の実態とは乖離された福祉形態しかできないと言えます。

日本の国会において社会福祉について国会議員さんたちが真剣に討論するくらいの余裕のある日本になって欲しいと願っています。

地域行政の中で、障害者の個人ごとの支援(処遇)目標に沿った支援(処遇)内容が検討されていくといったシステムが考えられるのは後何年後になるのでしょうか。一施設の中で個人目標を設定して努力していくという現段階での方法では、重度の知的障害者の高齢化問題に対して対応できる社会制度の実現はまだまだ程遠いと言えます。

当園の目指してきた方向からみて、平成16年度に始まった支援費制度から平成18年度に変更された障害者自立支援法の流れに対しても、それほどの違和感はないものの、知的障害者福祉の進歩からみれば、知的障害程度区分の調査項目や方法に対しては、大きな異議をとなえなければなりません。未だに厚生労働省は知的障害という障害に対する定義を持っておらず、そのような段階で身体障害、精神障害、知的障害を一つのものに纏めるという方法をとってきました。定義のない障害に対する調査は調査に値しない内容となっています。要するに知的障害に対しては全く力が入っていないと言えます。要するにどうでもいいことで進めていると言われても仕方がないといえます。

現実はどうでも良いでは済まされません。毎日、障害者を支えている職員がいます。障害者は誰かのサポートを受けなければ生活できません。平成18年に始まった障害者自立支援法はサポートする人を切るという方法で日本の社会福祉を切って行こうとしたことに過ぎませんでした。平成21年度予算は幾分か改正のきざしを見せているようです。しかし、入所施設に対する収入を日割り計算で済ませているのではこの先も安心した障害者への支援はできないと言えます。

日本の理想とする社会福祉の姿に変化させるためにはこれからも鷹取学園から意見発信をしなくてはなりません。

平成21年度に新体系に移行予定ですが、生活の場支援としては施設入所支援の形を選択し運営します。施設ではありますが、「ホーム」という家庭に近づける状態への生活環境を確立していくことに重点を置き、日中活動サービスでは作業(仕事)の場である指導・訓練の場所ということの理解をより鮮明に感じられるようにもっていき、昼夜の領域をはっきりと理解できるように示し、入所者本人達の生きがいに繋がる様な学園生活の内容にしていきたい。設備面を再考し、使いやすく整え、入所者各人の目標を設定し、その目標に沿った具体的方法で個人ごとの支援をより深めて進めていくように努めたいと思います。

〔結 果〕

学園での支援内容は、それなりに1年間を終える事ができたことを報告できます。ただ、これから先の施設支援について、国の取り組みとして何処までの取り組みを考えているのかという事を、それなりの形として出して貰いたいと願うところです。

若い職員さんたちが就職して来ましたので、職員に対しても向かうべき方向となすべき内容、そして、それを何処まで進める努力をすべきか。そういった事を若い人たちに伝えて行かなければ福祉の仕事は繋がって行かないという仕事である事を理解し、社会福祉の仕事はあくまで信頼の上に成り立つものであること、ただ支援技術のみでは進めない事、福祉の仕事は、人の心を人に伝えて行く仕事であることを、改めてこの1年間を通して確認できたと思います。

 

 

 

1 作業・軽作業及び

             機能回復指導について

 

訓練形態に関する詳しい説明

〔当初の計画〕

訓練形態に関する詳しい説明

作業・訓練の形態を〔T〕作業指導部〔U〕機能回復作業指導部というように2分化し、下記の様に進めることは上述の通りである。

更に〔T〕作業を3班(@農園芸班Aアロエ班B陶芸班)とし、〔U〕機能回復作業指導部を、1) 軽作業の3班(C染色班 D和紙班 E手工芸班)と、 機能回復作業指導の2班をFピンチホルダー班、G機能回復指導班〔生活支援班に分けるという説明も上述したとおりです。

作業能力別、障害別、危険度等を配慮し班編成を行います。生活介護としての班活動は計8班構成とし、作業指導・生活支援訓練に当たります。

以下は指導部についての説明です。

 

〔T〕作業指導部3班(@農園芸班 Aアロエ班 B陶芸班)について

当園の中では、作業能力が少しでもあると思われる園生を、能力に応じた作業訓練班に振り分け、各作業班の中で本人に適した作業場と持ち場に配属する方法を取ります。

一般の人の場合は学園でしている作業については一人ですべての工程をこなして行くところを、これらの班の入所者の作業能力では、一人で全ての作業工程を進めて行けるだけの能力に劣っているために、作業工程を細かく区分し、入所者個人個人の持つ作業能力を絞り込み、工程の適所に配置した方法で対応します。

この方法を用いることで、班の組織的構造化を図り、工程ごとの作業であっても自分達が製品を作っているという実感と自信を持つ事ができるようになります。

入所者が作業に対して自信を持つ事により、情緒の安定につながり、学園生活の充実につながるように導いていく方法をとります。

また、個々人の生きがいにつながるように、個人ごとに持っている能力を充分に発揮できるように支援目標を設定して進めます。

 

〔U〕機能回復作業指導部

1)軽作業3班(C染色班 D和紙班 E手工芸班

軽作業班の対象者は、作業班に所属するには、体力的に作業能力的には難しく、作業班には不適と解されるメンバーで構成されます。精神障害、肢体障害、行動障害といった面等に配慮し、グループ設定を行って作業指導にあたります。

重度知的障害を持つ園生の作業能力は、一人では広い分野、多面にわたる分野に対する理解度が著しく落ちること、また、応用力に欠けている事が特徴といえます。 作業指導部3班で採用した方法を、この軽作業班においてもできる限り取り入れ、工程を細かく区分し、個人個人の持つ能力を選別し、適材適所に配置し、作業工程を設定し、本人達が作品を完成させる事につながるような作業の流れを作ることに工夫します。

 

2)機能回復指導2班について(Fピンチホルダー班、G機能回復指導班)

Fピンチホルダー班、G機能回復指導班〔生活支援班については、当園の中では知的障害としては最も重い最重度者のグループで構成されています。

生活面の自立に対する介護・支援を行いますが、情緒面の安定を図ることも大きな柱となります。

基礎体力の低下防止、現状維持に努めるとともに少しでも向上できるように努めて行くつもりです。健康管理については充分にプライマリーケアに力を入れ健康管理を行って行く予定です。

 

〔結 果〕

平成21年度当初の計画内容でそのまま進める事ができました。

 

 

2、作業指導部3班の説明

以下、作業指導部に所属する各班の内容説明を行う。

〔当初の計画〕

 

@農園芸班(職員4名〈男3 女1〉、パートの女子職員2)(園生8名〈男8名〉)

 

平成1810月に農耕班と園芸班を合体し農園芸班とする。平成21年度も前年同様の班の形を継続する。経過としては平成11年度より、ビニールハウス内での切り花栽培に特に力を入れるようになり、平成13年度からは、経営内容を拡大化し、収益の上がる花物の栽培を行いました。一年目で収益は増えたものの、生産費が膨大し収入のバランスにおいて、仕事はしたものの、結果として収益にはつながりませんでした。平成14年度は切花栽培を追加し、平成15年度にようやく今までの努力が見え始めました。平成17年度も平成16年度同様に花苗作りを中心に、鉢花栽培を行いました。平成16年度の経過から見ると、切花に力を入れていたことから、平成17年度は苗ものを中心に栽培を進めて行きました。花苗については、地域生産者である同業者から、「立派な花苗を出荷している」とぃった評価を受け、鷹取学園の品物が地域生産者の皆様に認められる存在に至りました。

鉢植えに関しては、園生が作業に慣れた事と、パートの職員が平成15年度から入るようになったので、数量を増やして行けるようになりました。

切花栽培に関しては、平成12年度に大型の鉄骨ビニールハウスを建て栽培準備に当たり、平成13年度はトルコ桔梗を中心に栽培を行いました。平成14年度はシクラメンの栽培も加えました。平成15年度から一般花卉生産者に近い栽培方法を取り入れ、少しでも園生の能力を前年にも増して発揮できるように計画したことを平成17年度にも継続し20年度まで続けてきました。

 その他、学園の周囲にある花壇に花を提供するための苗栽培を行い環境整備に当たり、他班にも花苗を提供し、環境整備の一端を担って貰えるように進めて行きたいと思います。

園内の花壇管理を班で行うことにより、作業意識を持たせ、共同作業を可能に導くといったことに結び付けていく計画です。

この班の所属園生は、癲癇発作のある人・行動の鈍い人・統合失調症を持った人と多様です。 

当初は、作業に余り関心を示さない人達であったのが、平成16年度にはそれなりの分担を担う様になりました。

作業内容は理解しやすい鉢やポットといった、小さくて狭い鉢物等に限定してやって来ましたので、今後とも判断しやすい作業内容を提供するという方法で取り組んで行く予定です。

少しずつではありますが、作業に対する意識が芽生え、単純作業に関しては板について来ました。

平成18年度は園芸班としての作業工程が形作られ、1人でも不在となれば作業効率に幾分支障を感じるといったところまで至っています。平成1920年度も少しずつ進歩していますが平成21年度は更なる進歩を期待したい班です。

1819年度は花作りだけではなく、野菜苗や胡瓜等の野菜栽培も手がけ、それなりの成果があがって、消費者の皆様方からも次期品物に期待を掛けてもらえるようになって来ました。

この班の対象者には、花・野菜栽培に興味をもたせ、平成21年度はイオンモール直方での販売数を今以上に延ばし、花苗、野菜類作りを通して社会に係わり、自分たちの作ったものが役立っているという満足感を持てるようにして行きたい。

 

〔結 果〕

平成21年度の途中経過をみると、売上高に力を入れるようにしていたが、結果として売上金額が伸びたとしても、栽培に掛かる費用や運搬費、人件費がより多く掛かるために、実際には「働き損のくたびれ儲け」という結果でしかない事がはっきりとしたために、重度知的障害を持つ人たちが行う作業分担の範囲を見直し、支援の内容を何処に見出すかという本来の支援の在り方に方向転換することになりました。年度末には、今までイオンモールにて1月に4回の販売をしていたところを1回に減らし、黒崎の井筒屋に卸していた野菜もお断りし、他の直販店に卸す品物も出せるだけの品数に絞り、要は農園芸班に所属している入所者がどの様な仕事について自分達でやれる様になるかに力を注ぐようにしました。有機肥料で栽培した、農薬の少ない安全な美味しい野菜を、自分達の食べる学園の厨房で使う材料として納品できる範囲で納品していくという、昔やっていた方式に変更切り替えを行う準備をして、平成22年から新たな農園芸班のあり方を模索するという形に持って行くようになりました。

 

〔当初の計画〕

Aアロエ班 (職員3名〈男2、女1〉)  (園生6名〈男3名、女3名〉)

 

アロエ栽培(ビニールハウス管理も含む)と、アロエの葉を収穫する事から、加工にいたる段階までがアロエ班の作業です。この班は食品を加工する班であるため、衛生面に気をつけなければならない班です。この班に所属する園生の選抜もその様な対象者を選ばなければなりません。

重度の知的障害をもっていても、衛生面に対してきちんと指示に従える対象者です。

完成した製品は雑菌検査等を行い、食品であるために衛生面には細心の注意をはらい、品質の向上に努めて行きます。

完成した製品の販路確保にも努力しています。

販売という方法を取らずに、あくまで頒布といった方法で進めています。

理由は栽培量の問題があります。手作業であるため生産量に限界があります。しかし、今後は量の増産も視野を深めて行きたいと考えています。

平成19年度までの製品は、@100%アロエ粉末、Aアロエ乾燥葉、Bアロエウーロン茶の3種でしたが、年度の後半に原油価格が高騰し、輸入物のウーロン茶が高くなったためアロエウーロン茶の生産を中止せざるを得ませんでした。

平成20年度には、なかなか難しい課題ではありますが、キダチアロエを原料とした新しい製品作りの挑戦といった課題で挑戦しましたが思うものができませんでした。

平成21年度の目標の詳細は、アロエ班の年間計画書の中で説明します。

アロエ班の作業棟の前にあるビニールハウス内には、平成4年から集め始めた世界のアロエ種の珍しい品種の鑑賞物を栽培しています。アロエ班の作業内容は、大きく分けると@栽培、A収穫、B加工、C販売という事になります。

この班の対象者は、各人の仕事場所で自分なりのテンポでゆっくりではありますが、真面目に仕事に取り組んでいます。機械生産を考えたこともありますが、この班の対象者には技術的に難しく、購入予算を検討した結果、設備投資する金額を取り戻すには、それだけで何年間もの間、設備投資分返済のためだけに働き続けるという結果にしかならないといえます。この班所属の入所者が、旧式ではありますが、自分の使える道具で持って、アロエ製品作りに携わるという方法を今後も継続していく予定です。

〔結 果〕

アロエの粉末とアロエの乾燥葉の2つの製品を中心に頒布していましたが、平成21年度は新たに新製品として、アロエ焙じ茶を新製品に加える事ができました。また、製品の保存期間という点で、賞味期間の設定に際し、科学的な裏付けを取るために、月単位で品質低下がどの程度進むのかについて、調査機関(会社)に依頼して、何カ月まで賞味期限を設定できるかを現在も進めています。アロエ製品の品質を学園自体が把握できれば、より信頼のできる製品として販売できるという確信が持てるように努力しています。本年度もアロエブームの下火と、併せて購入者のリピーターが広がらないという課題にぶつかっているものの、ぼちぼちではありますがアロエ班の作業を継続し、今後、平成22年度に向けて新たに拡販の方法を研究して行きたいと思っています。

 

〔当初の計画〕

B陶芸班 (職員3名〈男1、女2〉)  (園生9名〈男6名、女3名〉)

この班を立ち上げた目的は、班に所属する対象者が、先ず集団で行う共同作業には向きでない人達を対象とした事でした。 

自分の力で何かに挑戦して行くといった対象の入所者を中心に出発した班でした。 

平成19年までは直方の多賀神社のえびす祭りに使う「かわらけ」作りをしていましたが、飲酒運転防止に伴い、神社の方がえびす祭りのお神酒を中止したために、「かわらけ」が不要となり、この仕事は中断されました。平成20年度は、かわらけ作りが中止になったので、この分の時間を新作品作りに注ぎました。陶器のランプシェード等の作品と年度末に作る磁器の干支の置物作り等を行いました。

陶芸班として見れば色々な仕事が分かれています。その中で作業分担をきちんと決め、自分の仕事としてやるべき内容をはっきり決めてやり、各人が作業で何を作るかを把握させ、作品作りにつながるようにしています。

製品作りに必要な各種の機具(機械ろくろ、電動ろくろ等)、道具(タタラーの使用、流し込み作業、その他の道具)を使用して、多種にわたる陶芸の作品製作ができる様に準備しています。

作業としてはろくろをひく人、タタラーで陶板作りをする人、紐作りをする人、流し込みをする人、そのような作業に対して学園流の流れ作業の方法で共同作業に取り組んで作品作りを行っています。

平成16年度の半ばから、磁器作品を加えるという事で専用の窯を設置し、干支の置物作りを継続して行っています。

平成18年度より、干支の置物の原型は学園の職員の手作りで進められています。

平成19年度から本式に稼動し始めた磁器作品ですが、今後も新たな作品作りを手掛けて行く予定です。

平成20年度は、班園生の自由作品作りに挑戦した訳ですが、結果としては次年度への課題が見えてきたといえます。

平成21年度も個人毎に目標ノルマを与え、メンバーの成長度を追って行く計画です。

 

〔結 果〕

21年度は陶芸班に配属になっている入所者の技術向上に力を入れてみました。作品の生産量は伸びませんでしたが、今まで何年もの間、紐作りに挑戦していた人が、ようやく、花瓶の様な形に粘土を積み上げるという事ができるようになり、紐作りをしていても粘土に空気が入るために焼き上げの時に破損する作品がほとんどでしたが、数点は作品として残るというような技術的な変化が見られ出した事は大きな進歩であったと思います。平成22年の干支の寅の置物も自分達で粘土から原型となる作品の寅の形を作り、其れをもとに佐賀県の有田に流し込みの型おこしを依頼し、平成21年度の年末から毎年購入して頂いているお客様に干支の置物を届ける事ができました。一昨年からえびす祭りで使うかわらけ製作が無くなりました分、その時間を他の作品作りに当てる事ができました。次は個人個人今までに取り組む事がなかった作品作りができるようになればいいと思っています。

 

 

3、機能回復作業指導部

機能回復作業指導部軽作業機能回復指導の二つに区分します。以下、各班の内容説明を行います。

 

軽作業(染色班、和紙班、手工芸班)

C染色班 

〔当初の計画〕

(職員3名〈男0、女3〉)(園生9名 〈男0、女9名〉)

化学染料を中心にしぼり染を行っていますが、時に自然の草や木を染色原料とした草木染めで布を染めて作品作りを行っています。

手芸的要素を必要とするため、女子指導員3名が作業支援に当たります。

この班の生い立ちは、女性の中でも手工芸に対し興味を持っている人達を中心に集めて始められた班です。

現在、所属している園生は、癲癇発作をもった人、動作緩慢な人、自閉的な傾向を持つ人、ダウン症の方達が班メンバーとなっています。

ゆっくりとした作業状態ではありますが、自分の作業を自分のペースでこつこつと進めている状態です。だから作品の数も多くは出来ません。

作品数は少ないですが、でき上がった刺し子、絞り染めの布は、職員と保護者の協力で製品化され販売します。

平成19年度は、ろうけつ染めに挑戦する予定でしたが出来ませんでした。平成20年は絞り染めの作品作りでどのような作品をどれだけ作れるかに挑戦した年でした。

平成21年はもう少し視線を変えた立場からの作品内容に挑戦して行き、同じ絞り染めでも構図を考えたり、使用する立場から見直した作品作りに挑戦させたいと考えています。

〔結 果〕

平成21年度も、ようやく完成させた自分の絞り染めを、周辺の職員に「できたよ、できたよ」と見せて回り、そのような光景を何度か目にすることがありました。

平成21年度も作品の出来上り数は少なかったのですが、今年は一枚の布にいろいろな色のついた形の別の布地を縫い付けて、カラフルな模様の布地にして行く入所者がいました。この作品は何に形作られるのかと、少し期待をしてみたいところですが、果たして利用可能なのかといった不安な部分もありました。

作業のスピードアップが期待できない対象者が多いのですが、自分たちではすごく満足して作業に取り組んでいます。ゴー オン マイウェイと自分のペースでできる物から作り上げて行く様子は他の人の干渉は受け付けない感触です。

勿論、手に力が入らないとか、視力が落ちて来たとか、集中できないとかそのような状態の人たちが多いわけです。

本人たちのできる内容をそれなりに取り組むというやり方で取り組んでいます。

班所属の人達が作った布地を、職員がどのように形作るかが新しい作品づくりへの挑戦といえます。次はどの様な作業に挑戦していくかは、平成22年度へ期待するところです。

 

 

 

〔当初の計画〕

D和紙班(職員4名〈男3、女1〉)(園生10名〈男9名、女1名〉)

この班はパニックを起こしたり、他害や自傷の激しい自閉症とか自閉的傾向と言われる人達、叉は精神障害を持っている人達、行動障害を持つ人達で構成されている班です。 

作業内容を工夫しながら現在までつながって来た班です。時にパニックにより道具を壊されたり、材料の和紙原料をひっくり返されたりして思うように作業が進まない事もあります。 

情緒安定のために牛乳パックを利用して再製和紙づくり作業とアルミ缶の空き缶潰しの作業を行っています。

平成21年度も和紙製作では、和紙ハガキ・和紙カード・和紙のランチョンマット、和紙張りの籠類等の作品作りに取り組んでいきます。月単位に製品の質と生産量を把握しながら、班活動の動向を確認しながら進めていきます。

二つ目の作業は、空き缶のリサイクルも兼ねアルミ缶潰し、ペットボトル潰しを作業に取り入れていましたが、平成20年度の世界恐慌でペットボトル潰しの作業は利益にならなくなり中断しました。 

今までの経過を振り返った方が今後の作業展開についての方向付けになると思われます。平成4年度迄は全く作業に関心の無かったメンバーが、この缶潰しの作業に関心を持ち、2人1組の作業体制で仕事を進めるようになっています。この作業の対象者に関しても、経過に関する変化を追っています。

平成19年末は、缶潰しに積極的に取り組むようになった人も出たというのが班の成果としては評価される部分です。平成19年度からダンボール箱の解体作業を加えていました。ダンボール箱の解体作業はこの班のメンバーには大変喜ばれるものでしたが、作業として考える時、わざわざダンボールを小さく切らなくても、業者は集まったダンボールをそのまま引き取ることを考えると、班ですべき作業ではないという結論になりました。もっと本人たちのやるべき作業内容が本人たちの能力を伸ばす方向に向けられるような作業内容を考えるという事で中断となりました。

各人が分担して行う作業内容の経過チェックをする方法で、個々人の作業過程の変化を把握し、どのように進歩しているのか、どのように生産数量が変化して行くか、また、変化が良い方向に表れてくるのか等を確認して行きます。精神障害を持っている人達の作業班として、今後はこの班の存在意義を評価するものがあると思っています。

〔結 果〕

牛乳パックを再生し、和紙ハガキ作り迄行う作業を中心に進めて来ました。籠類等に和紙を張りつけて作品にするという事にも取り組みました。作品数がなかなか大量生産とはいかない班ですが、葉書に季節の花をプリントして作品を完成させて来ました。四季の草花や行事の絵を葉書の隅にプリントして作品にして行きました。

空き缶つぶしの空き缶は多くの皆様方の善意による持ち込みと、近くの知り合いのお宅に行って空き缶を頂いてくるといった方法で、空き缶つぶしの作業が進められました。

この班の成り立ち趣旨を考えると、問題行動のある人たちが1年間よく無事に作業に取り組む事ができたと思います。個人個人それなりに自分達の仕事に取り組んでこれた事の班の意味は大きな結果を残したと言えます。

 

〔当初の計画〕

E手工芸班(職員3名〈男1、女2〉)(園生10名〈男6名、女4名〉)

平成7年度より新たに設けられた班です。作業班に所属するにはかなり無理になる対象者であり、その反面、反対に最重度に近い人達に比べると作業能力はそれなりに持っているものの、身体に障害があり動きづらいといった対象の人達です。 当園の中での作業班活動として実際に彼等に適した内容とはどんなものが適するのか、どんな作業工程を構築していけば良いかと考えさせられる難しい班といえます。

対象者もさまざまなハンディを持った人達が集まった班です。

班の対象者は、癲癇発作を持った人、常同行為のひどい人、拘りのひどい人、興奮のある人、身体障害を持っている人などが所属しています。

現在まで木工製品ではインテリア類、木製の鉢カバー等の小型の作品作りに挑戦してきました。

平成13年度に、ピンチホルダー班との合同形態で出発した班ですがが、途中よりタイルを使った鍋敷きとか、伝言パネル板等の小品物を作ってきました。

平成19年度、20年度もインテリアの小物つくりや、なべ敷き等の木工作業、ビーズ通しによる作品作りなどに力を入れてきました。平成21年度はインテリア類の他に、日常生活で何か役に立つ品物作りが出来ればと計画中です。

〔結 果〕

平成21年度は作品作りというよりも、木を切り、色を塗る、ビーズ類に紐を通すといった訓練的な技術アップの年でした。作品は木製の飾り物といったところのものでしたが、一般消費者からの視点では、生活に役立つもの、興味を引くものでなかったために、販売できる作品が少なかったと言えます。何のために作業をしているのかについて再度考えを纏めて行かなければ、一生、訓練、訓練のままでしか終わらない事になります。平成22年度に繋がる計画を立て直す時期に来ているために、再度、作業内容を検討して行かなければなりません。

 

 

 

 

 

 

機能回復指導

ピンチホルダー班と機能回復指導班

 

〔当初の計画〕

Fピンチホルダー班(職員4名〈男1、女3〉)(園生11名〈男4名、女7名〉)

重度の知的障害を持っていると同時に、身体的障害を重複している人達を中心に構成された班です。

平成13年度はピンチホルダー作りに加えて、木製のインテリア製品製作に挑戦してみましたが、結果としては新しい作業への取り組みで物珍しく新たな雰囲気で作業に参加できたという点では良かったものの、この班のメンバーが自発的に作業の流れに乗って行くということはできませんでした。  

そこで平成14年度からは、洗濯バサミの組み立て作業に力を入れながら、この班所属者の加齢化に配慮し、健康管理を含めた日課に変更しました。

作品作りはゆっくりとしたペースで行います。平成15年度も平成16年度も、平成14年度の訓練内容と同じ方法で進めました。数量の増産に力を注ぐと言うよりも、特に一人一人の作業分担の変化を追うと言う点に力を注ぎました。 作業工程毎に個人に合った補助具を考案し作成して行きながら、流れ作業に組み入れたものとして、上手く流れができるように工夫してきました。この方法は平成21年度も同じように継続して行く予定です。

補助具の考案により、一人一人の園生が自信を持って、更に自分の仕事を自覚し、意欲を持って参加できるような方法で取り組みたいところです。

〔結 果〕

この班は洗濯ばさみを組み立てて行く作業ですので、洗濯ばさみの具体的な組み立て工程とその技術を如何に理解させるか、意欲を持って作品作りにつなげられるかという事です。

この班の洗濯ばさみはスーパーなどで販売されている品物と比較すると、はるかに丈夫で長持ちのする洗濯ばさみです、品物としては良い方です。しかし、材料が他の身体障害者施設で作られているために材料費が高く、1ダースで販売しても売上になるような品物ではありません。その点は充分に分かりつつ、このような洗濯バサミ組み立ての仕事を最重度の知的障害を持つ人達の流れ作業でもって組み上げることができている事と、それが本人たちの仕事として感じられている事の意味は大きかったと言えます。

平成21年度当初に「今よりもう少し生産量が増えるように取り組みを見直すことが必要と思われます。」と書いた目標達成には余り期待できる内容にはならなかったと言えます。

 

 

〔当初の計画〕

G機能回復指導班〔生活支援班(職員5名・男3、女2名) 園生10名(男6名、女4名)

当園で知的障害の程度としては、最重度のグループで構成されています。平均IQが10前後の対象者で、その上に重複障害を持っている対象者です。平成15年度に行われた厚生労働省の障害区分調査の内容からすれば、障害の重い点数でチェックしていけば、50点満点の50点という人達で構成されています。平成20年度の障害程度区分調査では、全てのメンバーが区分6という対象者でした。

そのような意味合いから察しますと、この班は全国でも珍しい班活動をしていると班であると思います。作業・訓練の支援というより健康管理、健康維持が班の基本となり、ADL訓練(身辺自立訓練)等を行っています。 年齢的なことからすれば、訓練というよりもゆっくりとした時間の中で介護的な支援になって来た対象者も出ています。

日課に園内外の歩行訓練を組み込み、体力の低下防止、維持向上に努めるといった方法の継続が最もベターであると判断しています。

学園の日課に無理なく沿えるように、生活支援を柱立てとし、日課と週課のスケジュールを無理のない内容に設定し、毎日の活動が継続して行ける様に職員も園生9名に対して5名を配置しています。

全面介助の対象者ではありますが、毎日安全に安心して過ごせる環境設定ができる様に心がけ進めていく方針です。

音楽を使ってリラックスする時間を作ったり、草花に水をやったり、切り絵をしたり、本の読み聞かせをしたりビデオ鑑賞させる等して情緒の安定をはかる取り組みで進めていく予定です。

 

以上の班別訓練の体制は「平成21年度 班別訓練」の資料に具体的に表します。

〔結 果〕

平均IQ10前後の知的障害を持った人たちが生活をする班ですので、歩行訓練、生活訓練、マッチング訓練、着替え、排せつ、入浴、食事といった支援や介護を、毎日毎日繰り返し実施して来ました。この班にとって大変な事に結びつくような大きな怪我や病気もなく、1年間が無事過ぎました。

 

4)ホーム編成(施設入所支援)

〔当初の計画〕

平成7年度に、「男子棟・女子棟・重度棟」の呼称を「ホーム」と変更しました。特に1234……号室といった数字は、まさに施設的であり、柔らかさがないために、「花」とか「果物」とか、可愛いい動物の名前とか、ソフトな感じの名前に変更しました。

各ホームに1名のホーム長(サービス提供責任者)を置き、ホーム長を中心に各ホームの職員が自分たちのホームを責任を持って運営するという仕組みにしています。各ホームごとに特徴がありますので独自に生活面に対していろいろな配慮を凝らしながら潤いのある生活環境を作る様に心がけて運営して行きます。

鷹取学園は平成21年度に障害者自立支援法に基づいた新体系に移行することになりました。生活の場についは施設入所支援サービスを提供して行くことになった訳ですが、新体系になったとはいっても為すべき支援内容が一度に変わることはないわけです。 必要なことは安心して暮らせる生活の場作り、個人ごとに楽しく明るく暮らせる時間(人生)を提供できるように学園の生活面が充実するように進めたい。

ホーム体制の詳細は「平成21年度 ホーム編成」の書類を参照してください。

平成21年度からは、平成20年度の3人の宿直体制から4人の夜勤体制になることが大きな勤務体制の変革と言えます。

支援職員の宿直明けが夜勤明けになることはさほどの変化はないのですが、宿直体制では勤務始まりが、午前845分からとなっていましたが、夜勤体制では支援員の勤務始まりが、1630分からとなります。午前中から出てこない4名分の勤務時間が日中活動時の職員数に反映して来ることは 否めません。その分、職員数が平成20年度よりも7名増員されますので、その数で支援体制の再構築をしていきます。 生活介護における支援員定数は30名となり、施設入所支援は4名の夜勤者となりますので、この職員体制で進めることになります。

 

自立支援法では@日中活動とA施設入所支援の時間帯が決まっており、その勤務時間内で支援をしていくという事になっていますが、重度の知的障害者を支援していく中で、生活介護の時間帯においても施設入所支援で行う生活の場の支援という内容を実施して行くことになるために、夜間における支援員の仕事だけで施設入所支援を考えるわけにはいきません。 生活介護の時間帯でもホームの担当者は生活介護の仕事内容に引き継ぐまでの間は、ホームの生活の場の支援はしていかなければ、入所者の生活は成り立ちません。 生活の場(施設入所支援サービス)と作業・訓練(生活介護)の場と割り振られた職員の配置数が時間帯の流れの中で形作られて行くわけですから、形通りに進んでいくはずがありません。 そこでホームの運営も夜勤明けの職員数との兼ね合いもあり、お互いに助け合ってホームを守るためには、ホーム全体の事とホーム内で個々の入所者に手が届くようにミニホームの形を構成し、支援にムラが生じない方法として、更にミニホームを細分化した形でクラス担当という形で1人の職員ごとに責任を持って2から3名の入所者を専門に支援する担当職員を決めています。生活介護の形の中に於いても、各ホームを2、3人単位のミニホーム単位に分け、それを複数担当者でお互いに支えあって支援していき、それぞれの担当者は自分の分担する入所者2,3名に対し責任をもってきめ細かく支援する方法を取る。

 

 

3ホームの成り立ち(説明) 

@     プロ野球ホーム   ⇒ ミニホーム 3つ ⇒ 職員10人 (男子対象)

A     ディズニーホーム  ⇒ ミニホーム 3つ ⇒ 職員10人 (女子対象)  

B     フラワーホーム   ⇒ ミニホーム 4つ ⇒ 職員10人 (男女対象) 

 

日常生活面における個人別の年間目標をたて、木目細かな身辺・生活面でのお世話をホーム毎に取り組んでいくという方法で支援して行きます。(25名前後のユニット型に近いホームとして形作られています。)

各ミニホーム担当者が各々の部屋の運営・管理に当たる。ホーム全体の支援内容を把握し、環境整備に関しても各ホーム長が責任を持ち、ホーム職員と協力して入所者を支援していく計画です。

各ミニホームの担当者は自己に任せられたミニホームの維持・管理をするだけでなく、ホーム全体の入所者の支援に当たる部分が夜勤勤務といった具体的関わりとなります。

各ホーム毎の特長を生かした運営をホーム長を中心に支援員同士が協力しながら進めることになります。

入所者にとって、楽しく明るく安心して生活できる場所作りに努めます。

 

以上のホーム編成の具体的資料は「平成21年度 ホーム編成」に明記しています。

〔結 果〕

平成21年度も、3ホームとも入所者72名の色々な人間関係を調節しながらの1年間でありました。大きなトラブルは無かったものの、毎日毎日○○ちゃんがこう言ったとか、物を持って行ったとか、頭突きしたとか、噛んだとか、叩いたとか本当に毎日毎日色々と報告がなされて来ました。何かあっても、それなりに人間関係が修復されて元に戻った状態を保って来ました。

押したとか、押されたとか、叩いたとか叩かれたとか言い合いながらも、大きな問題が起きた事もなく、ホームの運営が果たされて来たと思っています。

入所者にとっては、個人個人それなりに、園生活を楽しく安心して過ごせた1年であったと思います。

 

5)社会交流

〔当初の計画〕

平成14年度からは社会参加訓練(買い物)の名称は使わず、「社会交流」という呼び方に変えました。平成21年度も20年同様に実施予定です。

(経過)

開設依頼平成13年度まではクラス担任一人と入所者34名の引率で実施してきたが、入所者も年をとってきたために動きの方も悪くなり、行き先が代わると車や道路状態では危険性を感じる状態が起きてきた。そこで平成14年度より参加者の安全を図るために、職員と園生を二日間に分けて実施しています。

 

平成21年度も2日に分けて入所者の社会交流を実施した。2日に分けたのは、引率時に安全に移動でき、無事に買い物ができるかといった点から2日間に分けて実施した。 残留者が半数残るために、4人の職員を学園に残して対応させた。 引率はクラス担当者にもう一名他の職員を付け安全を図りながら行う。 また、それ以上に支援度の高いクラスには2名の他にもう1人ずつ職員を配置して3名で引率する。 行き先はほとんどがイオンモール直方店を予定している。

〔結 果〕

平成21年度は6月、2月、3(9月は世界を驚異ならしめた新型インフルエンザの流行とその感染防止のために中止した。)3回実施しました。入所者を2日に分けて、職員数を増やして実施したので、安全にまた、ゆっくりとした社会交流の実施ができました。

6)年間行事

〔当初の計画〕

重度・最重度の知的障害をもった人が多いため、入所者の意見反映が殆どできない。職員が色々な立場から充分に配慮した計画をたて実施することになる。

行事計画を設定するに当たり、職員の立場からの発想にのみ終わらないように計画段階から、念入りかつ詳細にわたる点検が必要となり、前年度担当職員の声と、実施後に職員の反省文を残している報告内容を反映し、楽しい行事計画案の作成を行います。

「実際に入所者が喜ぶ結果に繋がるのか?」といった立場から行事計画を進めて行く事が重要になります。

先ずは危険性がないように充分な計画の元に実施していくように努めます。

入所者からの意見が出ない分、行事実施後の反省点が大切になるため、反省会をすぐにもち参加者の反応等を記録し、次回の計画に役立てるようにしていきます。詳細に関しては、年間行事計画に沿って実施します。

親子旅行としては、過去には一泊旅行を実施してきましたが、入所者と保護者が高齢化してきたこともあり、宿泊旅行は無理になったために、それ程遠くない場所に日帰りハイキング的な行事を取り込む様に計画していきます。

入所者が満足できる行事にして行きたいと考えています。

 

平成21年度の行事に関しては、「平成21年度 年間行事計画表」に明記しています。

 

〔結 果〕

殆どの行事が計画通りに実施できました。

 

 

7)その他

 

〔当初の計画〕

〇入浴支援

午後より実施する。機能回復指導班生活支援班・ピンチホルダー班をAグループ、他の機能回復作業指導部の班をBグループとし、時間差を設けてグループ順に入浴を行います。各班の支援員が介助・支援・指導に当たります。作業班(陶芸・アロエ・農耕・染色)をCグループとして機能回復作業指導部ABの入浴後に入浴します。

平成16年度までは毎日の入浴でしたが、平成17年度からは、入所者の入浴は下記のような方法に変わりました。平成21年度も計画通り実施します。

  10月〜3月までは、月、水、金の1日おきの入浴。土日のシャワーは可能。

4月〜9月までは毎日の入浴。

 

「平成21年度日課表」に説明しています。

〔結 果〕

10月〜3月までは、月、水、金の1日おきの入浴。土日のシャワーは可能。4月〜9月までは毎日の入浴。以上の形で進めました。ただし、4月に寒い日が続く場合は、1日おきに入浴を変更した日もありました。重度の人たちが対象であるため、異臭を感じさせない様に努めました。排せつの失敗や不潔な臭い、健康管理面を考えてシャワーでの処置を多くしたりといった対応を行いました。

 

 

〔当初の計画〕

〇体力低下の予防

各班の作業・訓練の時間帯に運動を盛り込んだ方法で進めるようにしています。

機能回復指導班とピンチホルダー班については、日課の訓練に運動が含まれていることと、農耕、園芸班はかなりの運動量がある為に、班活動の内容でカバーしていくように考えています。

軽作業班の染色、和紙、手工芸班と作業班のアロエ、陶芸班については、週課の中に組み込んで実施する計画です。

(経過⇒平成6年度より始まった体育専門の嘱託職員による体育(内容としては、毎週火曜日の午前中に機能回復指導班生活支援班を、木曜日の午前中に軽作業班を対象に、午後は作業指導部の体育を行ってきました。この形で平成14年度まで続けて来ましたが、平成15年度に体育専門の嘱託職員が退職したために、それまでの体育は中止しました。それ以降は上述の方法を継続しています。)

 

週課表については、「平成21年度 鷹取学園 週課表」に説明しています。

〔結 果〕

充分な体育とは言えないにしても、体を動かし体力や機能維持をさせるために、各班の日課や年間行事の中で気をつけながら取り組み実施しました。しかし、班によっては運動不足といった状態の班もあり、平成22年度の班活動の中での取り組みの見直しをしなければならないところもあると思われます。

 

〇「おやつ」について

〔当初の計画〕

平成21年度も平成20年度同様に、学園生活をより楽しく潤いのあるものにするために、余暇時間にお八つを実施しています。お菓子を準備したり自動販売機を利用する。

おやつは下記の内容のように1日おきに実施してきました。平成21年度も継続して行う。具体的には、下表内容で実施。

(〈※〉 おやつの購入について過去に実施した方法は、入所者を引率できる場合はピックアップ方式で選んで引率実施したこともありました。しかし、同行できる対象者が決まってしまうために不平等が生じ、入所者を同行しない方法で支援職員のみで、おやつの嗜好調査を行い、購入、配布準備、配布について職員が行うようになりました。

将来的には、園内におやつの自動販売機を設置して自分で選択できるような体制も検討の余地があるとの意見も出ていますが、入所者本人が能力的に金銭管理できないこと、カロリー的にも過多になるため、健康管理の問題を考えると容易に進められないという事になった。)

 

〈おやつ提供等に関する説明〉

@平成21年度に関しては、ジュースとおやつ支給曜日を下記のように設定する。

Aビールについては、好きな園生が飲みたいと要望がある場合に準備し出すようにする。

B月、水、金、日曜日におやつを出す。

C月、水、金におやつを出すときに、併せて給茶機のコーヒーを出すようにする。

D缶ジュースは、火、木曜日を学園からの支給日とし、土、日は本人小遣いで購入する。

 

 

おやつとジュースの支給曜日を纏めた表

 

 月 

 

 

 

 

 

 

 

牛乳

 

 

缶ジュース(自動販売機)

   

朝食時

 

 

  

朝食時

 

 ○

学園支給

   

朝食時

 

 

 

  

朝食時

パン食

 ○

学園支給

   

朝食時

 

 

   

朝食時

 

 

本人小遣い銭

 

   

朝食時

パン食

  本人小遣い銭

 

 

 

 

おやつ

 

 

給茶機のコーヒー

 

  

団らん

 

   

団らん

 

 

 

 

団らん

   

団らん

 

   

団らん

 

 

 

   

団らん

   

団らん

 

   

団らん

本人小遣い

 

 

昼間

14:30

 

 

 

 

 

 

 

 

ビール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食後本人小遣い銭(本人の要望がある場合は)

 

 

 

 

 

 

 

〔結 果〕

計画通りに実施できました。

 

 

〔当初の計画〕

〇掃除について

毎日行う朝の掃除は、職員と園生で実施する。各ホームごとに責任をもって行う。園内を清潔に管理していく。第2金曜日の誕生会後に全体的な掃除を行う。また水曜日のルームキーピング時にも掃除をする時間を取っています。

窓ガラス拭きなどを行う。

園内の掃除終了後に園庭の掃除を実施することも取り入れる。班やホームは自分たちの持ち場区域の外まわりも分担する。

天気に左右される場合があるので、天気を見ながら進めていく。21年度も20年度同様に進める。

学園全体としての大掃除は、お盆前とお正月前に実施する。

(※過去の事績 ⇒ 週課の変更により実施の曜日に変更があった。⇒平成16年度は、月曜日のルームキーピングの後に掃除時間を設定し担当職員と園生で実施した。 

平成1718年度は水曜日のルームキーピングの後に掃除時間を設定する。各ホーム単位で区域毎の掃除を行うようにしたといった例がある。)

 

 

〔結 果〕

 計画予定した内容で平成21年度も実施できた。職員と入所者が一緒に自分たちの生活している空間を掃除する事で、入所者は実際には思うように掃除が出来なくても、一緒に掃除をするという行為があれば、本人達の意識の中に、極端に散らかしてはいけないという感覚、また、部屋の中を無意識に汚すといった行為の防止につながると考えて取り組みました。結果については、証明できる根拠は無いものの、外部から来られた方々の感想から察しますに、他施設と比較した場合に、ここ鷹取学園は重度の知的障害者が入所している施設ということで他と比較したら、施設の中は綺麗に片付いていますと話されますので、平成21年度もそんな所に効果が出ていると自己評価をするところです。

 

〇配膳当番

〔当初の計画〕

職員中心で実施するが、入所者にも訓練の場として、配膳当番として本人達のできる配膳内容を実行させ配膳当番として役割を負わせている。 週ごとに交代制で実施させていく。内容としては下記のような方法で進める。

 

1)ホーム単位で食事の席を決める。配膳当番さんが配膳を行う。配膳当番のグループは4グループに分けて、一週間交代で食事時の配膳を行う。職員が介助しながら一緒に配膳を行う。

 

2)班毎に実施する食事の場合は、各班の職員と班園生の単位で配膳・食事・片付けを行う。

 

〔結 果〕

平成21年の年度末に、配膳当番に当たっている対象者の手洗い状況調査を実施しました。果たして配膳に当たる対象者が衛生面からみて妥当な対象者であるかという検討材料にはなる調査でありました。調査結果から、数名の対象者を外すことになりました。また、配膳係になっている人達は、共同生活の中で自分はきちんと他の人のお世話ができていると感じているのかについては定かではありませんが、配膳係や週番の係になった人たちは、やはり役を持って他の人達の為になっているという態度で当番に当たっている様に感じられます。

 

○通所部を廃止する

平成14年度の末、平成15年の3月に、「設備を伴わない通園型」の定員10人の認可が下りた。平成151617,18年度は、定員10名に対し1名の対象者を受け入れたが、平成18年度前半に障害者自立支援法による通園よりも、入所施設を選びたいとの事で、他施設に入所した。19年度も申し込みの対象者はあっておらず、20年度も希望者は出なかった。平成214月からの新体系への移行の時に通所部は事業から外す。

 

 

〔当初の計画〕

○避難訓練

1年に2回は避難訓練を実施する。 2回のうち1回は夜間を想定した避難訓練を実施する。

火災時には、通報、初期消火、避難が必ず守れるようにする。 

日頃から施設に関係する人には非常時には安全な場所に避難することができるように訓練を行い、大切な命を守りたい。

〔結 果〕

年間2回以上の避難訓練を実施するという事になっていますが、平成21年度は夜間想定避難訓練を含めて3回の訓練を実施しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成21年度 

会議について(鷹取学園)

 

〔会議開催方法〕

1。会議予定計画書を提出(緊急の場合は別)

2。会議内容は、司会者、書記により必ず内容報告を行う事

3。会議の種類

 

   1,スタッフ会議

   時 期    随時行う

      場 所    園長室  

     メンバー      園長、副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、チーフ、ホーム長、看護師等

 

   2,生活介護(作業支援会議)

  @班チーフ会議(生活介護)

   時 期    第2金曜日の午後に実施

      場 所    会議室等  

     メンバー      支援主任(サービス管理責任者) 各班チーフ、

  

    A班の支援員会議 (生活介護)

   時 期    原則として、必要に応じて随時

議 題       前もって、班からの問題点について検討事項を提出する

      場 所       会議室等

      メンバー   支援主任(サービス管理責任者) 各班のチーフ8

 

B班会議の種類

            作業指導部(陶芸、アロエ加工、園芸)・

            軽作業班(和紙、染色、手工芸、)

            機能回復作業指導部(ピンチホルダー、機能訓練)

            8グループが合同で開催したり、単独で開催したりの形態を取る。》

 

3,施設入所支援会議 

   @ホーム長会議

       時 期       2木曜日の午前中に実施

議 題       前もって、ホームの問題点について検討事項を提出する

       場 所       会議室等

       メンバー   ホーム長、(副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、看護師の3名が加わる)

   

   Aホーム会議《プロ野球ホーム、ディズニーホーム、フラワーホームの3ホーム会議》

       (※ ケース会議を含む)

    時 期    原則として、必要に応じて随時

       場 所    会議室等(各ホームの夜勤者控え室or DR)  

      メンバー      各ホーム長及び支援員(副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長、看護師が加わる)

   

  4,医務会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    園長室及び医務室等  

    メンバー    園長、副園長(サービス管理責任者)、看護師、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長、支援員、管理栄養士(必要に応じてメンバー構成) 

 

  5,厨房会議

   時 期    原則として、必要に応じて随時

      場 所    調理師休憩場所、会議室、園長室等  

     メンバー      事務長 総務主任 管理栄養士、調理師、(場合によっては支援主任、看護師、ホーム長、支援員〔必要に応じてメンバー構成〕) 

    

 

  6,事務会議

   時 期    随時

      場 所    園長室及び事務室等  

     メンバー      園長、副園長(サービス管理責任者)、総務主任、(場合によっては支援主任(サービス管理責任者)、管理栄養士、看護師等)

 

  7,保護者との会議

@ホーム別会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    会議室、生活実習棟及び相談室等  

メンバー      保護者、園長、副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長、看護師 支援員等        

 

A班別会議

   時 期    必要に応じて随時 

      場 所    会議室、生活実習棟及び相談室等  

    メンバー     保護者、園長、副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、チーフ、(場合によってはホーム長、支援員、看護師等)        

 

 

B保護者役員との懇談会

   時 期    必要に応じて随時 (議題がなれば開催しない。)

      場 所    園長室及び会議室、生活実習棟及び会議室等  

   メンバー     保護者役員、園長、副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)(場合によってはホーム長、チーフ、看護師、支援員を加える事もある)        

 

C保護者会での伝達

      時 期       各月原則 第3金曜日 「家族ふれあいの日」

      場 所       食堂

      メンバー      保護者

        学園の代表(園長、副園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、その他内容によって担当職員が参加する。

 

                                             2009 03 17 FK

 

〔結 果〕

会議については必要時に開催するという建前からすると、園内での会議は必要時に開催しました。保護者を含めた会議はなかなか時間が取れませんでした。

「家族ふれあいの日」には必ず学園からの報告や伝達事項を行い、疑問点については質問して頂くという方法で対処しています。

家族に個別に伝達できる回数は、各担当職員が必要に応じて連絡を入れるようにしています事を考えますと、必要な連絡は落とさず行って来たと思っています。

 

                                         2010 04 22 FK

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成21年度    健 康 管 理 報 告 書

                                        看護師 菅原 涼代

〈健康管理について〉

平成21年度も前年度と変わりなく法的基準に準じたものは全て完了しました。ただ、どうしても法的基準だけではどうにもならない部分に対して、どの様に対応していけば良いかといった点が多々見られております。学園の健康管理に関しましては、先ずは病気の予防といった事に重点を置いて進めています。 病気をした入所者に対しては、個々人に対しケースバイケースで対応し健康を維持管理出来たと思います。

平成21年度は、新型インフルエンザの脅威が迫りました。当然毎年実施しています季節性インフルエンザの予防接種は、早めに予約が取れ1020日に季節性インフルエンザの予防注射を実施しました。その後、新型インフルエンザワクチンがなかなか入手できないという騒ぎが起きましたので、職員はともかく園内で特に通常から虚弱として扱われている対象の入所者には最低限の数のワクチンを確保したいと考え、72名の中から取り敢えず名前を拾い上げ、最低限の数を確保して欲しいと、何時もかかりつけの内科の先生に依頼しておりましたところ、鷹取学園の入所者用のワクチンは全員分何とか確保でき、 1119日に新型インフルエンザの予防接種を入所者全員に一斉に済ますことができました。

日常生活においても、徹底して力を入れましたのが、うがい・手洗い支援を実施し、園内全ての部屋の湿度管理を加湿器を使用し対応しました。平成21年度は入所者で、季節性インフルエンザを含め、新型インフルエンザにかかった方は幸いにも出ませんでした。

その後、H2217日頃より、入所者より、ぱらぱらと微熱・咳きと軽い風邪引きが出できましたが、これも大きな広がりにはなりませんでした。

114日頃には、1人熱発・嘔吐症状が出て、協力医の魚住医院受診結果でノロウイルス感染症の疑いではと言われ、少々驚きました。他の園生に広がらない様に、疑いのある2名を家族の協力を得自宅療養をお願いしてみました。 ノロウイスルと疑われる入所者に対して自宅療養出来る所には、協力して頂き、自宅療養の出来ない園生に対しては、医務の静養室に隔離し、治療に望みました。幸いにも、高い発熱もなく、一気に多人数の入所者が罹患して行くわけでもない状態が過ぎて行きました。

今回の機会を利用して、次に起こるかもしれない、新型インフルエンザや食中毒を想定して、入所者・職員の意識改革を徹底的にしようという事で対応し、毎食前の手洗い、アルコール系の消毒液による消毒を実施し、咳が出る人には、マスクを使用してもらいケアにあたりました。また、ノロウイルスの場合の嘔吐物や汚物の処理方法として、次亜塩素酸ナトリウムの使用について、各生活の場で取り組んでみました。使い捨て手袋を今まで以上にきちんと付ける。マスクの着用を徹底的にさせる。その様な徹底した方法を確立して行きました。

その結果、ほぼ2週間程で、風邪症状・嘔吐、下痢(ノロウイルス感染症? ) も治まりました。結果としては38度の発熱が1日続いた人が2,3名出た位で、翌日には37度台に下がりました。

他の人達も軽い風邪症状で治まった状態でした。 次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は、その時点で中止しましたが、現在でも食事前の手洗いを徹底しており、手洗いの後に更にエタノール含有の消毒液を用いた消毒をずっと継続しています。

その他、平成21年度は、6例の入院が出ました。

1)30歳 男性 精神科に投薬調整のため入院

2)52歳 女性 左乳房癌で切除手術のため入院

3)48歳 男性 丹毒にて入院

4)53歳 男性 誤燕性肺炎・尿道狭窄症で入院

5)48歳 女性 左大腿骨頚部骨折で入院。人工骨頭置換手術を実施。

6)44歳 男性 異食により、腸内に異物残留し入院。また、精神薬物調整のため入院

 

現在の障害者自立支援制度では、通院支援と受診時の支援までが施設側の支援対象となっており、その後は家族にお任せする体制になっています。

 

○平成21年度 入院時の状態説明

2)3)5)の事例は、家族が付き添われ、入院し手術を受けました。当園は、重度・最重度の入所者が多く、保護者及び兄弟姉妹も高齢化しています。病院側からの付き添い要請があったにしても、現在の職員数並びに障害者自立支援体制では、職員の人件費獲得が始めから認められておらず、入院時は医療機関にお任せするという形になっています。

しかし、当園の様に重度、最重度の知的障害を持った対象者が実際に入院するという問題が起きた場合は、常識的な入院の形は到底考えられない訳ですが、その部分は実際に重度の知的障害者と係られていない人達には想像を絶するものがある事など到底理解できる事ではないと思われます。どの様な方法をもってでも入院治療が必要な場合は入院させなければならない訳です。普通の病院の入院対応の形では、なかなか入院させて貰い治療を受けさせて貰えないという事態がよく起きています。医療機関に対して、知的障害者をいかに理解してもらうかということは、常日頃から入所者自身を知って貰っていること、学園からの色々な働きかけや入院時に家族の姿勢とか挨拶とか努力がなければなかなか入院に繋がらないのが今日までの姿でした。 医師の理解と協力体制があったところにしか入院は不可能でした。

実際に、一般常識では考えられない事が次々とあり、周囲の理解を得る事は難しい状態といえます。他の入院患者さんたちに迷惑が掛からない様に充分に心がけしておかなければなりません。

今後の総合福祉法という新体制の流れがどうなるかはわかりませんが、どのような体制になろうとも、今後増えてくると思われます高齢の知的障害者医療問題に対し、どの様に対応していけるかが大きな問題として吹きあがって来ると思われます。

 

〈精神科疾患者の治療〉

平成21年度は精神科の診療は20年度に引き続き、嘱託医となられた鳥巣医師により月に1度(第2木曜日)の診察が行われました。

現在72名の入所者がいますが、その内38名の入所者が精神科診察・投薬治療を受けています。現在の診療状況は医師・看護師・支援員・保護者と治療を受ける本人で進めています。

平成21年度は、時期的に不安定になる人も出たものの、全体としては落ち着いていたと思います。今後とも、家族の協力の基に状態を把握しながら病気と付き合っていく体制で取り組みたいと思います。

 

〈歯科治療〉

入所者の歯科治療については、重度・最重度の知的障害者を持つ人達でも問題なく受ける事が出来ています。 治療者の中には情緒不安定の人がいて時々騒がしい場合もあります。

当園の入所者は、定期的な検診・治療のおかげで歯科に関しては問題もなく順調だと思われます。歯磨きに関しては平成20年度同様、入所者本人が歯を磨いた後に職員が磨き直しを行っています。人が生きていく上で歯はとても大切ですから今後もブラッシング指導の大切さを基本におきながら口腔衛生に力を入れていきたいと思います。

現在歯科治療で、入所者の高齢化による義歯の装着で咬み合せがうまくいかない、また装着した義歯をすぐに外し捨ててしまうといった事が問題となっています。

 

〈健康維持・管理内容〉

1)毎日実施

投薬を必要とする園生

精神科:統合失調症、癲癇発作のある人。

内科・眼科。その他、必要に応じた場合の対処。

 

2)毎週実施

@     全園生に対する検温(原則として毎週月曜日に実施)

A     血圧測定(対象者32名実施)

 

3)毎月実施

@     体重測定

A     精神科医による診察

 

4)3ヶ月に1回実施

  @皮膚病検査 

 

5)年に1回実施

@     心電図検査(35歳以上)

A     身長測定

B     委託検査

  歯科…全園生対象(4月実施)

  インフルエンザ予防接種

  精神科内服者の血中濃度検査(年2回)

C     眼科検診

D     子宮癌検診(35歳以上の女子で診察可能な希望者のみ)

 

6)法定検査

@     健康診断…前期・後期の全2回(前期は班別通院、後期は往診)

(成人病検査・血液検査・尿検査・血圧測定実施)

他、健康診断の結果、医師の指示のある人のみエコー検査・その他の検査を実施

A 胸部レントゲン検査…年1回前期65歳以上(県の指導より)

 

以上、計画の内容通りに実施できた。全ての結果は記録として残しています。

 

〈老齢化対策〉

重度・最重度の知的障害者の人達の健康状態を見ていると一般の人より遥かに加齢化は早いと感じられます。学園全体の大きな問題点としては、重度・最重度の知的障害を持つ人達には受け入れてもらえる専門病院がなかなか見つからず入院でき辛いというのが現実です。

医療機関からの入院条件としては、本人の訴えが分かり辛いために、家族の付き添いのみでなく学園職員の付き添いを求められる事があります。理由としては、医師が患者さんに治療をするにあたってインフォームドコンセントを行いますが、その時の了解が確実に本人または保護者に理解がなされているか、医療事故を防ぐために充分な聞き取りをしなければならないのでしょうが、本人のコミュニケーション能力が医療現場ですぐには解らないために、ずっと生活している現場で本人の状態を理解できる職員ということが必要視されます。日常的な生活状態の把握からの理解となれば、家族よりも詳しく説明ができるといった点が重要視されるわけです。また、安心して手術に取り組んで良いのかどうかといった状況判断時の助言を求められる場合もあります。手術に対しては最終的には家族の判断に委ねられる事ですが、それまでに至る過程での支援をしなければなりません。

平成21年度も6名の園生を入院させましたが、益々重度の知的障害者を受け入れてもらえる専門病院の必要性を感じました。

入院問題については今後も色々な問題点が生じると考えます。

保護者の方も頭の中では分かっておられるようですが、現実に我が子の問題として起きた場合には、慌てふためいてしまう状態です。 どうして良いか分からなくなってしまう事が殆どです。

今までも人権尊重ということで個人情報となる個人的治療経過等の状態に関しては、各個人ごとに通知してきました。保護者への伝達は当然行われるわけですが、保護者に知らせようとしても実際にはなかなか連絡がとり辛い結果となっています。

 この点に関しては保護者との会合の際に、「緊急の場合に間に合わない事が生じるため、確実な連絡先を学園に知らせておいて欲しい」と伝達し、情報の取りまとめを行っていましたが、平成21年度に家族の会の皆様に入所者が学園で生活する上で、個人ごとに抱えている病気等の問題については、出来るだけ詳しい情報をお伝えし、危険な状態を最大限に避けていきたいと思っております。

また、知的障害者の方々の置かれている現在の医療体制について、自分達の子どもさん(入所者)の置かれている実態をもっと知って頂かなければ、保護者の皆様方のご協力を得ることはできませんし、今後とも進めて行きたいと考えています。

 

学園の健康管理体制

学園の健康管理体制に沿って実施。

協力医療機関及び準協力医療機関

下記の通りです。

 

 

協力医療機関

内科

魚住内科胃腸科医院

 

 

 

院長

魚住 浩

 

 

所在地

直方市頓野1919-4

 

電話番号

0949-26-6610

 

歯科

安河内歯科医院

 

 

 

院長

安河内 半六

 

所在地

直方市日吉町3-12

 

電話番号

0949-24-0577

 

精神科(嘱託医)

高山病院

 

 

 

院長

高山 克彦

 

精神科医

鳥巣 美穂

 

所在地

直方市下境3910番地50

電話番号

0949−22−3661

 

 

準協力医療機関

外科

西田外科医院

 

 

 

院長

西田 博美

 

所在地

直方市頓野2104-19

 

電話番号

0949-28-1573

 

眼科

阿部眼科医院

 

 

 

院長

阿部 健司

 

所在地

直方市溝掘2-3-13

 

電話番号

0949-22-2953

 

内科

直方中央病院

 

 

 

院長

野田 晏宏

 

所在地

直方市感田3573-1

 

電話番号

0949-26-2311

 

外科

西尾外科医院

 

 

 

院長

西尾 禎一

 

所在地

直方市津田町9-39

 

電話番号

0949-22-2684

 

皮膚科

おおもり皮膚科クリニック

 

 

 

院長

大森 正樹

 

所在地

直方市感田井牟田1930-1

電話番号

0949-26-6520

 

産婦人科

田中産婦人科クリニック

 

 

 

院長

田中 康司

 

所在地

直方市頓野1000-27

 

電話番号

0949-26-8868

 

耳鼻科

岡村耳鼻咽喉科

 

 

 

院長

岡村 浩一郎

 

所在地

直方市頓野3816-3

 

電話番号

0949-22-2683

 

 

その他、園内における医療対応の変化

◎ 結核検診について

・魚住医院で実施しました。(平成17年度から65歳以上のみ)

 

重度知的障害者の今後の医療的問題点

・知的障害者を診察してもらえる専門医が少ない。

・身辺自立の出来ていない、重度の知的障害を持つ人達を、入院させてもらえる病院が殆どない(精神科の病院でもなかなか入院させてもらえる所が少ない)。

・入院に際し、保護者以外に学園職員の付き添いが必要な場合、園内の職員体制が崩れ、園全体の運営に支障が出て、運営が不安定になる。

・益々知的障害者の高齢化が進み、段々と知的障害者の医療問題が多くなっています。どの様に解決していけば良いのか、またその様な体制が果たして出来るのかといった事が気になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

平成21年度給食に関する報告書

 

指定障害者支援施設 鷹取学園

管理栄養士 山田 裕加

1.はじめに

 平成21年度は平成20年度の反省をもとに行事食・献立メニューの献立内容・作業工程の見直し・改善を行ってきました。

 

2.行事食・嗜好・栄養面について

毎月1回の誕生会は、園生皆大変楽しみにしております。その時期・その季節にあった旬の食材の使用、普段の給食で使用しない食材を採用し、特別なメニューとなる様に心がけております。

又平成21年度は当日までメニューを明かさない“お楽しみ献立”メニューを取り入れました。結果は園生皆さんには大変好評で喜んで頂きました。

20年度は特に食品偽装問題やオイルショックに伴い食材の高騰が相次ぎました。21年度は高騰した金額がそのまま横ばいの状態が続いておりました。当園も食材の仕入れを厳しくチェックし、産地・製造年月日・賞味期限の伝票記載を各業者に義務付け、食材の納品時に細心の注意を払い、鮮度に気を配り、食材の受け入れをしております。

出来る限り冷凍食品や既製品は使用せず、手作りに努めております。以前はデザートや調理パン(ホットドッグ・ハンバーガー・サンドイッチ)などは既製品を使用しておりましたが、現在は手作りにしております。学園で栽培したその季節の旬の栄養価も高く安全な野菜を給食に一部使用しております。

 

3.衛生面について

 平成19年の年度末に厨房の増改築に伴い、今までの衛生面を一から見直していきました。改善・訂正した点は5Sをもとに実行し、問題点が発生したときは衛生管理責任者の永井主任を中心に、よりよい方法を模索しながら徐々に衛生面の強化を行ってきました。

また栄養士・調理員ともに保健所の衛生研修会に参加致しました。

 

4.栄養面について

園生のみなさんの好む食事内容はやはり洋食メニューです。入所施設という事で、この学園の中で生活をされている園生には食事は一番の楽しみです。その為出来る限り皆さんの好きなメニューを献立に反映できるよう努力しておりますが、入所者も平均年齢が40代半ばにさしかかっております。カロリー面からいっても低カロリーで満腹感が満たされる様な食材の使用や塩分にも配慮し、減塩に努め食材本来の味を引き立てる様にも努めております。又更に加齢化に伴い、咀嚼困難や嚥下がうまく出来ないなどの問題点や体調面を考慮した個別対応が随時求められてきました。

刻み食など食事をする際の摂取状態に応じた食事形態をとるように対応してきました。

また極端な偏食の人に対しては出来る限り食事を摂取出来る様にその人が食べやすいような食材を用意したり、盛り方を変えたりするなどの配慮を行ってきました。

また、一般的に福祉施設関係では食事提供の手段が“委託”に切り変っている中で、当園の場合は前理事長の方針により、あくまで自前の園独自の給食提供の利点をフルに発揮して、おいしく・楽しく・健康な身体作りにつがる様な愛情のこもった食事作りに取り組めるように事務室・厨房チーム・支援現場が一丸となって食事の質や献立内容の向上に結び付くように努力いたしました。以上報告致します。

なお、下記については実際に行事食を提供した行事について掲載してみました。

 

平成21年度 行事食一覧表】

四月   誕生会 29周年創立記念弁当 お楽しみ献立 

五月   誕生会 端午の節句 運動会

六月   誕生会  

七月   誕生会 七夕 

八月   誕生会 夏祭り

九月   誕生会 秋分の日

十月   誕生会 学園祭

十一月  誕生会 お楽しみ献立

十二月  誕生会 餅つき クリスマス会 年越しそば 

一月   誕生会 おせち料理 七草粥 鏡開き お弁当

二月   誕生会 節分 バレンタイン

三月   誕生会 ひなまつり 春分の日