平成26年度鷹取学園 支援計画書()

                                 

                                                           鷹 取 学 園

T、は

平成21年度4月から新体系に移行して、早5年間が瞬く間に過ぎて行きました。宿日直勤務が夜勤体制になり、それなりの勤務内容が形作られています。

移行後の対象事業を@生活介護とA施設入所支援の二つの形で進めておりますが、平成26年度も平成25年度と同じ形で進めることになります。

若い職員が学園の仕事を一応覚えてしまうには、やはり最低3年は必要です。70名以上の入所者支援を考える時、個々の特徴を覚えて対応できるためには、それなりの年数を要するものです。資格を取得したからといって、知的障害者福祉の現場にそのまま役立つと言った事はありません。また、事実、資格試験を受ける際に知的障害者に関わる学習は殆ど行われていない事は、何処の知的障害者施設の職場でも感じられている事と思います。

平成254月から「障害者総合支援法」に変わりましたが、本来的には知的障害者の障害特性が変るわけではありませんし、今まで実施してきた支援内容の本質を変えてしまうという現象は起きません。

当園のように重度、最重度の知的障害を持って生きていく人達に対して支援する福祉サービスとは、障害者福祉施策がどのような体制になろうとも、入所者一人一人が将来に向けて安心して生活していける、明るく、楽しく、快適に過ごせる生活の場所を作り、それを維持し守っていく、そのためには入所者を親身に支援して行く職員体制を確保していくという方針を継続していかなければ、そのような実現は不可能といえます。入所者が年々歳を取って高齢化へ向かっていますので、その点に関して今後は充分なる配慮を行って行かなければならなくなるのは必然と考えられます。

今の社会福祉の方針は、社会福祉事業に対してはそれなりのお金を掛ければ、多くの職員が確保され、支援の質がアップするという発想ではないかと感じられるところです。しかし、社会福祉の仕事とはそのようなお金や人数で解決できるものではないという事を、今一度考え直す時が来ていると思われます。

平成264月からの鷹取学園も、具体的にどの様にすれば重い知的障害を持った人たちに対する適切な支援を推し進める事ができるかを考えながら進めて行きたいと思います。

平成22年度より北九州リハビリテーション学院の先生2名により、学園においてリハビリ訓練が始まりました。知的障害を持った人たちの動きはいったいどのようになっているのか、特徴的なことは見だしえないのかといった点を、入所者全員に対して実態調査を行って貰いました。

平成23年度には全員ではありませんが、個々人を対象とした具体的なリハビリ訓練の内容を支援員が教わって、日々の生活の中で「運動」として取り組んでみました。

全体的には、少しでも老化防止に繋がったり、若い人に対しては今までにできなかった体の動きをできるように実施してみました。平成24年度は、転倒時に大腿部を骨折して入院に至るケースが生じた事もあり、転んだ際に両手を前に出して着くような練習を取り入れたり、園外歩行を積極的に取り入れて、室内では体験できない内容も実施しました。

平成26年度も、平成25年度同様に知的障害からくるハンディ(何故このような動きをしなければならないのかといった事の理解できないために、継続性が望めない。自主性の欠如により、他力でなければ実施しない等)や、知的障害に重複した障害により実施継続することが大変であることを職員自体が自覚して、今までより好ましい支援が出来るように、また実施することによって本人にとって良い生活につながるように計画し、実施して行きたいと考えております。

日中活動の生活介護サービスが、精神的な安定につながる作業・訓練の場となり、それが個人の生きがいにつながるようにしたいものです。

また重度、最重度の知的障害者にとっては難しいといわれています自主性とか自発性といった積極的な行動が見られるようになる様に支援して行きたいと思っています。

平成214月より始まった@生活介護サービスとA施設入所支援サービスという2つの事業を平成26年度も支援計画に沿って実施していき、更に向上して行くように努めていきたいと思っております。

 

 

U、平 成 26 年 度 支 援 方 針

(1)日中活動の生活介護サービス(2)住まいの場における「施設入所支援サービス」に関して

 

(1)日中活動の(作業・訓練班)について = 生活介護サービス

班のあり方については8班を設定する。

@農園芸班、Aアロエ班、B陶芸班、C染色班、D和紙班、E手工芸班、Fピンチホルダー班、G機能回復指導班(生活支援班)8班で構成する。

 

入所者個人の作業・訓練等の能力面に視点をおき、可能性のある部分に焦点を定め理解面、技術面の向上に繋がるように努力する。努力した結果、向上にはつながらない場合でも能力低下を防止し、現状維持の状態にとどめさせる事が出来るように努める。そのためには、個別支援計画に於いて目標を定め、本人(乃至は家族)の了解のもとで幾分かでも向上する可能性のある事に対しては、実現可能な状態に向上できるように支援して行くようにしたい。日中活動そのものが入所者本人たちの生きがいにつながるように方向付けを行いたい。

欲を言うならば入所者自身が作った作品が、一般社会に繋がるような媒体となり、少しでも社会の中で役立つものとして、社会参加につながることを願って支援を進めて行きたい。

 

(2)生活の場の支援について = 施設入所支援サービス

生活の場の支援については、入所者が安心して生活していく居住の場を確保し、精神的な安定を保てるような対人関係を作り、一人の大人として生活して行くことが出来るように支援して行きたい。

長期学園生活をおこなうという実態から、二人部屋の人、三人部屋の人、四人部屋の人といった組み合わせになるために、慎重に人間関係作りを考え部屋編成を行う。 

施設という限定された生活空間域の中で、一般家庭的な生活感に少しでも近づけるようにして行きたい。

施設入所支援サービスに関しては、支援、介護等処遇内容の見直しを行い、施設生活の質的向上を図っていくところです。

居住している生活空間がいつも新鮮に感じられるような環境変化につとめ、それに順応して生活変化に馴染めるようにして行きたい。

 

 

V、生 護、施

 

1、日中活動(作業・訓練)支援 = 生活介護 に関して

平成21年度から始まった新体系に乗っかり、鷹取学園がやって来た日中活動(作業・訓練)支援を継続し、重度、最重度の知的障害を抱えていても、個人個人の持てる能力に準じて社会適応能力を伸ばせるように日中活動支援に取り組んでいきます。

園内において、作業能力が幾分かでも発揮できる人達に対し、少しでも本人のもてる能力をフルに発揮できるような場面とそのような技術を習得できるように支えてあげられる方向で進め、微々たる内容であっても、少しずつ社会参加に結び付く方向に導きたいと考えています。 

 

作業・訓練班の形態としては、作業指導・機能回復作業指導の2区分体制で進めて行きます。

 

  作業指導部  ‥‥‥‥‥    作業班 (@農園芸、Aアロエ、B陶芸)

機能回復作業指導部 ‥‥    軽作業班(C染色、D和紙、E手工芸)

                  ‥‥   機能回復作業指導班(FピンチホルダーG機能回復指導班〔生活支援班〕)

 

作業・訓練班編成においては、作業能力及び各人のもつ精神的、身体的ハンディキャップ等を充分

考慮します。

作業能力の低い人と作業能力の高い人が混合で作業を行った場合は、職員の手が作業能力の低い人達の方に時間を取られてしまうため、作業能力の高い人達の足引っ張りとなり、仕事が進まなくなったという過去の経緯から、このような状態に陥らないように充分に配慮して進めるようにしています。

また、逆の場合もあり、幾分、作業能力の高いグループの中に所属していて、作業内容が変更になった時などに、作業・訓練内容について行けなくなる様な場合が生じる時は、その対象者がグループ活動おこなう作業内容から、押しつぶされてしまわないように充分配慮していきます。

本人の能力と障害に配慮した作業・訓練の内容を無理させる事なく提供し、自信を持たせ、作業に対する充実感と満足感を味わう事ができるようになることを目標にして進めます。

作業・訓練の結果が一つの完成された作品に出来上がる事を目標とし、出来上がった作品が一般社会への架け橋になるように目指したいと思います。

能力に応じた機会均等の作業・訓練域を決め、支援して行く事により一人一人の自立領域が少しでも伸展するように進めていくように努めます。

平成26年度の各班の支援計画(目標)及び個人の支援目標を設定するに当たり、前年度の作業・訓練結果を考察しつつ、年度ごとの成果の推移を比較検討しながら、平成26年度の計画を(目標設定を行い)立て、実現できるように進めていく予定です。

ただし、機能回復訓練班生活支援の意味合いが強い班のように数値で目標を現すことが困難な班もあります。

生活支援においては目標項目を絞り、月別チェック表の纏めにより回数や年間トータルの変化を把握しながら、前年度比較において内容の変化を把握し、段階的に目標基準を上げて行き、可能な限り数値表示で表現できるような方法で変化を把握し、その資料に基づいて具体的な形で、段階的に実現できているのかを確認しながら、少しでも向上できるように進めていく方針です。

数値に置き換える事の出来ない難しいケースについても、前年度実施内容と比較することにおいて支援内容の推移を追えば、入所者のさまざまな変化を掴むことが出来ますので、可能な限り生活の質を高める事が出来るように努力したいところです。

具体的な形としては、前述したように平成25年度同様に、生活介護サービスにおける作業・訓練の内容を【1】作業指導(支援)部と【2】機能回復作業指導(支援)部の二つに分類して進める事とします。

更に、この二つに分類した区分をさらに細分化し、8つの班として各班が特色を持った班活動を稼動させていくという方法で進める計画です。詳しい説明は下記の説明となります。

 

生活介護サービスにおける作業・訓練に対する考え方

【1】  作業指導(支援)部に含まれる班

作業班を3班設けます。作業班は当学園にあって、作業能力としては幾分程度の高い人達のグループを対象とします。当園の入所者に金銭的な目標数値を一般社会並みに考えることは到底望めないところなので、材料費等に支出した金額と収入として上がる金額の収支のバランスに赤字が生じないことを目標に進めていきます。

 班活動全体の収支決算においては、支出が大きく、作業・訓練など学園としてはどの作業・訓練も実施しない方が、学園にとっては負担にならず、支出するお金が掛からないというのが実態です。 しかし、入所者にとっては自分たちの力で何とか作業に参加し作品作りに携わっているという思いを持っており、作業に対するやりがいを感じており、精神的な満足感を持って生活しているために、毎年34百万程度の作業・訓練費等でかかるお金として当初から予算に計上しています。

各班が年間に行った作業内容の結果と、各班における入所者の個人目標に対する結果、何を何個作るかといった経過を把握し、完成した作品だけではなく未完成にしか終わらない作品についても、その変化や、技術面の向上に目を向け、本人たちが自覚できるような確認方法があればその方法でもって、個人個人の意欲につながるように心がけ進めて行きます。

能力以上に無理なことは、精神的に混乱を来しパニック状態に陥ってしまうために、無理になる様な方法は出来るだけ始めから採らないよう充分に注意して行くつもりです。当初の出発時点よりも時間の経過とともに、少しでも向上させることができるように進めたいと思います。作業指導(支援)班の内容としては@農園芸、Aアロエ、B陶芸3です。

 

【2】機能回復作業指導(支援)部 

機能回復作業指導部は細区分として〔1軽作業と2機能回復作業指導の2つに区分します。

作業指導(支援)部については、少しは金銭にからませた作業を望むところですが、機能回復作業指導(支援)部については、班の存在意義の中には、始めから金銭的数値目標の対象となる班ではないために、当初より情緒安定や集団生活への適応が可能になること、欲を言えば本人の生きがいにつながるようになればよいといった点に主眼に置いて運営して来た班です。勿論、金銭に繋がるような進歩が見られるようになれば、それにこしたことはありません。

個人個人が少しでも自立に向かうように、良い方向に変化して行くか、悪くても現状を維持できるようにしていく事が目標といえます。

指導・訓練に当たる職員がどのような具体的目標を定め、数値目標としてたてることが出来るかといった点が課題であると思われます。この課題は大変難しいところですが、対象となる入所者の変化の状態を的確に把握し、記録として残す事ができるならば、重度、最重度といわれる知的障害を持った人に対する支援のあり方に光が見えると言えます。

具体的な方法論を考え出していく事が、職員自体の大きな仕事となり、重い知的障害を持った人達への処遇技術として、また結果的には重度、最重度の知的障害を持つ人達の人生そのものを支える方法として大いに役立ち、今後の知的障害者福祉の進歩に貢献できることになります。

このような可能性を秘める機能回復作業指導(支援)部の存在は、大変貴重な分野であるといえます。

 

1軽作業C染色、D和紙、E手工芸3にします。〔2機能回復作業指導Fピンチホル

ダー班とG機能回復指導班〔生活支援班〕)に分けます。

班にはそれぞれの特徴があり、特にD和紙班は自閉症、統合失調症、興奮型の性格といった精神保健的問題を抱えた人達が多く、先ずはパニックを抑えることを目標に、精神の安定を目指すことを基本に置いています。

日常生活をしていく上で、常時、情緒の安定を保持できるようになることを目標におき、次の段階へ進めて行く様に計画しています。特にこの班は精神科医療との兼ね合いが強く、昭和62年から平成1910月までは嘱託医の糸井孝吉先生が診療に当たってこられました。その後、平成1911月から糸井孝吉先生の後任として来られました鳥巣美穂先生の精神科治療と併せ持って学園の生活を成り立たせて行けば、良い結果に繋がると思われます。

G機能回復指導班は当園の中では、特に最重度の知的障害をもった人達の班です。一生に亘って健康維持と生活支援全般にわたっての支援をして行かなければならない対象者であります。

 現在の知的障害者福祉の中でも希少な存在であり、本来的にはこれらの人達に対する支援内容は、他の障害者部門に於いても大変重要な意味を持つものであると思われます。 

当園は、入所者一人ひとりの人生を預かっていると言っても過言ではないと言えます。日常生活の全般にわたって支援乃至は管理をしていかなければならないといった特殊な班を抱えているといえます。

入所者に対し、学園生活を今後とも如何に維持・継続して行かせることができるのか、又どの様な支援を提供すれば良いのかといった課題を抱えた班といえます。

 

【3】リハビリ訓練を実施

支援員の声として、平成20年度頃より、学園の入所者に対してのリハビリが園内でできないものかとの意見が出ていましたので、病院関係に話をしてきましたが、なかなか社会福祉施設を訪問してまでのリハビリは考えられないといった返事を受けていましたので、半ば諦めていたのですが、幸いなことに、平成22年度より北九州リハビリテーション学院の先生2名が鷹取学園にきて頂けるようになりました。1ヶ月に23回のリハビリ訓練という形になるために、学園全体としての取り組みとして、鷹取学園の入所者の高齢化に対するリハビリ訓練を考えて頂くにあたり、体の動きである可動域調査から始めていただきました。入所者全員に対して実態調査を行って貰いました。平成23年度は2年目で重度知的障害を持った人たちの動きはいったいどのようになっているのか、特徴的なことがあるのかといった点にも目を向けていただくようになりました。

平成23年度は入所者全員の中には、現時点でこの対象者にはこの様な具体的なリハビリ訓練の動きが、日々の生活の中で「運動」として必要だという形で、支援員自身が取り組めるようになりました。

全く動きの悪かった膝上げの動作が、今までよりも少しずつ動くようになっているといった人も出てきました。 歳を取っているので生活の中で急に肩が上がらなくなるといった人も出て来ました。 その様な場合は、今までは単に通院付き添いする以上の事は難しかったのですが、通院後の日常生活の中で、ここまでは腕を動かすことは可能なので、全く動かさないよりも動かした方が本人さんの為になるといった対応が適切に実施できることは、少しでも老化防止に繋がる対応を行えるようになったと思います。また、平成24年度には、転倒による骨折で入院・手術を行った人がいた為、退院後に学園生活を送る上での注意点や適切な助言を頂きました。

知的障害を持った老人対象者だけで無く、若くても知的障害を持っているために、今までは経験したことのない体の動きを体験しているということもあっています。

平成25年度も、平成24年度同様に、支援員が入所者の老化防止や知的障害者の特徴的な行動や動作に対して、今までよりも好ましい方法で支援して行くことができ、入所者の皆さんのこれからの生活上にプラスとなり、少しでも健康で楽しく過ごせるような学園生活になるようにリハビリ訓練を継続し、また、必要に応じて個別で対応できるように、1ケ月2〜3回から、3〜4回へリハビリ訓練の回数を増やして行きたいと考えています。

 

◎◎◎◎

2、各3ホーム(生活棟)に関して

〔入所者の支援に対する考え方と対応〕

平成7年度より、ノーマライゼーションの考え方に基づき、各棟・各部屋を数字の番号呼称ではなく、固有名称で呼ぶ方法で進めてきました。

70数名の入所者の平均IQは20以下で最重度といわれる知的障害を持っている入所者施設として運営されてきました。

学園の歴史を振り返ってみますと、開設当初は他傷、自傷、パニック等の多くの行動障害を抱えていた対象者も、施錠のない自由な生活空間の中で、のびのびと生活してきました。在園最長の入所者は過去満33年間の施設生活の経験の中で、個人個人がそれなりに学園生活を上手に送れるようになったといえます。

昭和564月の開所当初から施錠設備を設けず、一般的な施設の建物内で、他の知的障害者施設の運営形態(職員数に関しても4.31の基本型+割り当てられた分の重度重複障害加算分の職員数)で支援してきました。平成264月で満33年間となりますが、入所者に対して無事に現在まで生活を守って来られたという事につきましては、どれ程の大変さがあったのかという事は、長年にわたり知的障害者入所施設の運営に携わった経験のある方であれば、十二分にご理解いただけるところと思います。 (社会福祉などに直接関係されていない一般の方にとっては、それ程ピンと来ないことかも知れませんが‥‥)

 実際に職員の並々ならぬ努力があって現在に至っています。

また、見学者の中には重度知的障害をもった子供さんを持たれた保護者の方も見学に来られることがあります。そして色々な点に関して深く質問を受けることがあります。

学園に対する多くの質問があった後に、「重度知的障害児・者の処遇(支援)方法に対して、現実の証としてこのような実践をやって来られた鷹取学園の様な施設が存在しているということを知りました。自分のところの重い知的障害を持った子供でも支援して貰える様な入所施設が存在していることを知り、将来に向けて『夢』と『希望』を持って帰ります」と話されて帰られる皆さん方の後姿を見送りながら、これから先も頑張って行かなければという思いを新たにします。

これから先も、現在まで実施してきた支援内容が提供できる施設として継続できる様に、この仕事に誇りを持って頑張りたいものです。

ノーマライゼーションの考え方を基本に置いて鷹取学園は当初より進んできました。

過去の支援のあり方としては間違いなかったと思いますし、具体的な形として運営されて来た結果が現在の姿になっているといえます。

 今後とも、知的障害者福祉について社会に対して啓蒙して行くことが学園に与えられた使命であると考えますので、重度、最重度の知的障害を持たれた入所者本人及びご家族の皆様方が、人生に対して少しでも希望を持つことができ、前向きに生きられるように支援できることが、何よりも大きな仕事である事を再確認しながら頑張りたいと思っています。

当園が取り組んで来た活動を、他の新しく創設された知的障害者福祉現場でも生かして貰えるようになれば良いと思いますし、過去に重度、最重度の知的障害者の受け入れを敬遠されて来た施設の皆さん方に少しでも違った目で見てもらえるようになれば、重度知的障害を持った人達に対する支援の輪が広がり、受け入れ場所が多くできることを期待したいところです。

 

〔ホーム運営について〕

3つのホーム運営につきましては、各ホームともホーム長とホーム長補佐が一人ずついて、その下に各ホーム毎に支援員が自分の担当クラスを持ち、担当クラスの入所者のみならず、そのホーム全体の入所者支援を各ホームの職員全員で職員同士がお互いに支えあいながら入所者を守っていくという体制をとります。

 各ホームの構成はミニホーム単位に細分化して、ミニホームは2クラスか、3クラスにまとめ、ミニホームの職員同士で相互に協力しながら、自分たちのミニホーム運営をスムーズに進めるといった方法で、手抜かりの無い支援内容を保ちます。

平成15年度からは、各個人が自分の部屋といった感覚を持てるように、今までよりも更に精神的な安定が保たれるように、各ホームの人間関係の見直しとホームの環境整備に力を入れてきました。平成26年度も今まで同様に、さらに落ち着いた生活環境を作る計画で施設内の対人関係を再度見直し、同室者はお互いに気の許しあえる相手になるように多くの職員の目で見た適正なクラス及びホーム編成に取り組みます。

鷹取学園は、生活介護サービスと施設入所支援サービスという運営形態ですが、施設内で「ホーム」という環境に近づける方向で、生活環境を確立していくことに重点を置きながら進めて行きます。日中活動サービスでは作業・訓練の場を今まで通りに維持し、入所者本人達の生きがいに繋がる様な学園生活の内容にしていきたい。生活しやすい空間を保つために、絶えず設備面には気を使い、改善しなければならない場所は改善し、使いやすく、清潔さを保ち、そのような環境の中で入所者各人の目標に沿った支援を深めて進めていくように努めたいと思います。

 

 

W、具

1 作業・軽作業及び

         機能回復指導(支援)について

 

訓練形態に関する詳しい説明

作業・訓練の形態を〔T〕作業指導部〔U〕機能回復作業指導部というように2分化し、下記の様に進めることは上述の通りである。

更に〔T〕作業を3班(@農園芸班、Aアロエ班、B陶芸班)とし、〔U〕機能回復作業指導部を、1) 軽作業の3班(C染色班、D和紙班、E手工芸班)と、2)機能回復作業指導の2班を Fピンチホルダー班、G機能回復指導班〔生活支援班に分けるという説明も上述したとおりです。

作業能力別、障害別、危険度等を配慮し班編成を行います。生活介護としての班活動は計8班構成とし、作業指導・生活支援訓練に当たります。

以下は指導部についての説明です。

 

〔T〕作業指導(支援)3班(@農園芸班 Aアロエ班 B陶芸班)について

当園の中では、作業能力が少しあると思われる入所者を、能力に応じて作業・訓練班に振り分け、各作業班の中で本人に適した作業と作業工程の中に本人の位置する作業の持ち場を設定し、そこに配属する方法を取っている。

一般の人が学園でやっている作業を手掛けて見れば、それは充分一人ですべての工程をクリアできるものですが、入所者の作業能力では、一人で全ての作業工程をクリアして行けるだけの能力が欠けているために、作業工程を細かく区分し、入所者個人個人の持つ作業能力を絞り込み、工程の適所に配置した方法で対応していく。

この方法を用いることで、班の作業工程における構造化を図り、単一作業であっても自分達が製品を作っているという実感と自信を持つ事ができるようにしています。

入所者が作業に対して自信を持つ事により、情緒の安定につながり、学園生活の充実につながるように導いていく方法をとっています。

個々人の生きがいにつながるように、個人ごとに持っている能力を充分に発揮できるように支援目標を設定して進めます。

 

〔U〕機能回復作業指導(支援)

1)軽作業3(C染色班 D和紙班 E手工芸班)

軽作業班の対象者は、作業班に所属するには、体力的に作業能力的には難しく、作業班には不適と解されるメンバーで構成されます。精神障害、肢体障害、行動障害といった面等に配慮し、グループ設定を行って作業指導にあたります。

重度知的障害を持つ園生の作業能力は、一人では広い分野、多面にわたる分野に対しては理解度が著しく落ちること、また、応用力に欠けている事が特徴といえます。作業指導部3班で採用した方法を、この軽作業班においてもできる限り取り入れ、工程を細かく区分し、個人個人の持つ能力を選別し、適材適所に配置し、作業工程を設定し、本人達が作品を完成させる事につながるような作業の流れを作ることを工夫していきます。

 

2)機能回復指導2班 (Fピンチホルダー班、G機能回復指導班)

Fピンチホルダー班、G機能回復指導班〔生活支援班については、当園の中では知的障害としては最も重い人達のグループで構成されています。

生活面の自立に対しての介護・支援を行いますが、情緒面の安定を図ることも大きな柱としています。また、基礎体力の低下防止、現状維持に努めるとともに少しでも向上できるように努めて行くつもりです。健康管理については充分にプライマリー・ケアに力を入れ健康管理を行って行く予定です。

2、作業指導(支援)3班の詳細説明

以下、作業指導部に所属する各班の内容説明を行います。

 

@農園芸班(職員3名+1(嘱託職員)〈男3、女1〉) (園生8名〈男8名、女0名〉)

平成22年度に花栽培より野菜を中心とした栽培に方向を変えた。

学園外への栽培物販売に力を入れていたが、実際には生産費と収入のバランスが取れず、努力の割に実らないという結果であった。お金を掛ければ良い品物はできるが、損をしてまで販売していくという事を社会福祉施設が実施すべきではないということで、障害者自立支援法に移行した事で、その方針を変更した。学園の厨房で使う野菜類の生産に力を入れ、余力があれば外部へ販売を行うといった方針に切り替えた。しかし、今までも出荷していたお店からは「品物が良かったので、また生産物を出さないか」との声が未だに掛かっている。

ただ、農園芸班のこれから先の姿を考えると入所者の年齢も高くなりつつあり、今までの様な栽培方法を続けることは難しいと思われる。そこで平成22年度より、野菜栽培だけでなく、ビニールハウスの一つに無花果を植えて無花果栽培という事を導入した。平成26年度も平成25年度の継続として、野菜栽培と果実栽培(イチジク栽培)2本立てで進めて行く計画である。その中でもトマトが主力作品になっているので力を入れて行き、また、昨年度は実施できなかった「無人販売所」を作り、園生の作業意欲や技術向上を目指し、更には地域社会との関わりを深めたいと考えています。

  

(現在までの経過説明)平成1810月に農耕班と園芸班を合体し農園芸班とする。

この班の所属園生は、癲癇発作のある人・統合失調症を持った人と多様。

経過としては平成11年度より、ビニールハウス内での切り花栽培に特に力を入れるようになり、平成13年度からは、経営内容を拡大化し、収益の上がる花物の栽培を行いました。一年目で収益は増えたものの、生産費が膨大し収支のバランスにおいて、仕事は多くなったものの、結果として収益にはつながりませんでした。平成14年度は切花栽培を追加し、平成15年度にようやく今までの努力が見え始めました。平成16年度からは花苗作りを中心に、鉢花栽培を行いました。花苗については、地域生産者である同業者から、「立派な花苗を出荷している」といった評価を受け、鷹取学園の品物が地域生産者の皆様に認められる存在に至りました。

平成18年度は園芸班としての作業工程が形作られ、作業工程において1人でも不在となれば作業効率に幾分支障を感じるといったところまで至った。

平成1819年度は花作りだけではなく、野菜苗や胡瓜等の野菜栽培も手がけ、それなりの成果があがって、消費者の皆様方からも次期品物に期待を掛けてもらえるようになった。

平成1920年度も少しずつ進歩し、平成21年度は直販所やイオンモール直方での販売ばかりでなく、量産には繋がらなかったが、デパートで販売できる品物を作れるようになった。平成21年度より野菜栽培に力を入れだした。

平成22年度以降は、野菜物を中心に栽培し、今まで外に出荷していた野菜を、学園給食に取り込んで学園厨房に収めたり、少し余るものは近辺の直販所に持って行ったりという形にして、農園芸班園生の一人ひとりが、栽培・出荷の過程にどれだけ深く結び付いて行くことができるかに力を注ぐようにした。それに加え、学園周囲の花壇に花を植え付け、一年中花が咲いているような環境作りをするように計画した。花・野菜栽培に興味を持つことにより、花苗、野菜類作りを通して一般の社会に係わり、自分たちの作ったものが役立っているという満足感を持てるようになっている。

 

Aアロエ班 (職員3名〈男1、女2〉)  (園生8名〈男4名、女4名〉)

アロエの栽培(ビニールハウス管理も含む)と、アロエの生葉を収穫・加工して製品を作るまでがアロエ班の作業です。この班は食品を加工する班であるため、衛生面に気をつけなければならない班です。この班に所属する園生の選抜もその様な対象者を選ばなければなりません。

重度の知的障害をもっていても、衛生面に対してきちんと指示に応えることができる対象者です。

完成した製品は一般生菌検査等を定期的に行い、食品であるために衛生面には細心の注意をはらい、品質の向上に努めて行きます。平成26年度も更に賞味期限や栄養成分表示に気をつけながら、完成した製品の販路確保にも努力していきます。

 

(アロエ班の経過説明)

製品は、@100%アロエ粉末、Aアロエ乾燥葉、Bアロエウーロン茶の3種だったが、年度の後半に原油価格が高騰し、輸入物のウーロン茶が高くなったためアロエウーロン茶の生産を中止せざるを得なかった。

平成20年度には、なかなか難しい課題ではあるが、キダチアロエを原料とした新しい製品作りの挑戦といった課題で取り組んだが思うものができなかった。

平成21年度はアロエウーロン茶製品が無くなったために、それに代わる「アロエほうじ茶」を製品として出した。

アロエ班の作業棟の前にある温室内には、平成4年から集め始めた世界の珍しいアロエを鑑賞できるように栽培していましたが、平成24年度からは新たに多肉植物やサボテンの栽培・販売に取り組みました。また、同年は新たに製品化した「アロエタブレット(錠剤)」の作成を行いました。

平成25年度には福岡デザイン専門学校の協力を得て、新しい製品のラベルが完成している。

アロエ班の作業内容は、大きく分けると@栽培、A収穫、B加工、C販売という事になる。

平成22年度に分包機を買い替えましたが、その他の器具・機械類についても老朽化が進んでおり、衛生面を考えて丸洗いできる粉砕機の購入や、園生も使用できる安全性の高いスライス機の購入も考えています。

 

B陶芸班 (職員3名〈男1、女2〉)  (園生9名〈男6名、女3名〉)

平成26年度の陶芸班は、平成25年度の班運営を継続して進めて行く計画です。園生に作品づくりを教えるため、改めて職員自身が技術の向上を目指して行きます。しかし、今まで長きに渡って使用してきた電気窯が古くなり、修理するよりも新たな窯を購入した方が良いような状態になっています。以前作成していた「かわらけ」作りのため、大型の窯を設置していましたが、今後は使い勝手の良い物を購入したいと考えています。

従来の手びねり・電動ロクロ・タタラの作品についても、釉薬かけなど様々な技法を用いて作風に変化をつけて行きたい。そのため展示会・陶器市・窯元などにも足を運んで学びたいと考えている。

 

(陶芸班の経過説明)

この班を立ち上げた目的は、対象者が集団で行う共同作業よりも、個人でものを作り上げる方が精神的に安定するという人達を対象とした事でした。 

自分の力で何かに挑戦して行くといった対象の入たちを中心に出発した班でした。集団作業では仕事の流れにおいて対人関係がうまくいかず、その解決のために要する時間の方で一日が終わるというタイプの対象者を対象にした班でスタートしました。

平成19年までは直方の多賀神社のえびす祭りに使う「かわらけ」作りをしていましたが、飲酒運転防止に伴い、神社の方でえびす祭りの時のお神酒を中止したために、「かわらけ」が不要となり、この仕事は中断されました。

平成20年度は、かわらけ作りが中止しましたので、この分の時間を新しい作品作りに注ぎました。陶器のランプシェード等の作品と年末に作る磁器製の干支の置物作り等を行いました。

陶芸班全体として見れば、色々な仕事が分かれています。その中では作業分担をきちんと決め、自分の仕事とし実施すべき内容をはっきり決めてやり、各人が何の作業をするのかをきちんと把握させ、作品作りにつながるようにしています。

作品作りに必要な各種の機具(機械ろくろ、電動ろくろ等)、道具(タタラーの使用、流し込み作業、その他の道具)を使用して、多種にわたる陶芸の作品製作ができる様に準備しています。

作業としてはろくろをひく人、タタラーで陶板作りをする人、紐作りをする人、流し込みをする人、そのような作業方法の流れで、陶芸班としての全体的な共同作業の中で作業に取り組み作品作りを行っています。

平成16年度の半ばから、磁器作品を加えるという事で磁器専用の窯を設置し、干支の置物作りを継続して行っています。

平成18年度より、干支の置物の原型は学園の職員の手作りで進められています。

平成19年度からは磁器つくりも本格的に稼動しはじめ、磁器による干支作りが流れとなりました。

平成20年度は、班園生の自由作品作りに挑戦しました。結果としては次年度への課題が見えてきた年でした。

平成21年度は、班としては一部の対象者ではありますが、28年間やって来て、紐作り作業において上方に重ね上げる事ができず、すぐに崩れ落ちて平たくなっていた状態が、ようやく上へ上へと紐作りで粘土を重ねあげて行ける様になり、完全ではありませんが花瓶の様なものを作りあげる事が出来るようになりました。29年目の新しい作品というところでしょうか。個人毎に目標ノルマを与え、メンバーの成長度を追って行く年でした。

平成22年度は、21年度の作品作りにもう一工夫を凝らして、少し質の高い作品作りに挑戦して行く取り組みでした。23年度は個人作品がどのように変化していくかに目を向けていきましたが、24年度はベテランの男性職員が他班へ異動となり、園生の作品をもう一歩進めることができなかった。平成25年度は新たに機械ロクロを改良して「どんぶり」のの制作にも取り組みました。今後も技術指導ができるように、改めて職員自身が技術の向上を目指し、園生の作品を必ず完成品まで繋げ、園生の独自性を活かせるように進める予定です。

 

3、機能回復作業指導(支援)

機能回復作業指導部を、軽作業機能回復指導の二つに区分します。以下、各班の内容説明を行います。

 

軽作業(染色班、和紙班、手工芸班)

 

C染色班 (職員4名〈男0、女4〉) (園生9名〈男0、女9名〉)

この班の生い立ちは、女性の中でも手工芸に対し興味を持っている人達を中心に集めて始められた班です。

現在、所属している園生は、癲癇発作をもった人、動作緩慢な人、自閉的な傾向を持つ人、ダウン症の方達が班メンバーとなっています。

ゆっくりとした作業状態ではありますが、自分の作業を自分のペースでこつこつと進めている状態です。だから作品の数も多くは出来ません。作品数は少ないですが、出来上がった刺し子、絞り染めの布は、職員と保護者の協力で製品化され販売しています。しかし、年々高齢化や筋力低下を心配しなくてはいけない対象者が見られ出し、今後は体調面を配慮して、作品づくりだけではなく「運動」を取り入れていく必要性が出てきました。

平成26年度は職員が常に2名配置できるよう担当者を1名増やした形で計画しています。

 

(染色班の経過説明)

班発足当初は草木染から始まりましたが、草木の採取や定着方法が、職員が変りますと技術的な面で難しさが生じ、現在は化学染料を中心にしぼり染を行っています。時に自然の草や木を染色原料とした草木染めで布を染めて作品作りを行っています。

平成19年度は、ろうけつ染めに挑戦する予定でしたが出来ませんでした。平成20年は絞り染めの作品作りでどのような作品をどれだけ作れるかに挑戦した年でした。

平成21年はもう少し視線を変えた立場からの作品内容に挑戦して行き、同じ絞り染めでも構図を考えたり、使用する立場から見直した作品作りに挑戦させたいと計画した年でしたが、入所者の方達が年をとって視力が低下したりということが出てきて、作業の進んだ人と、それほど作業の進行状況は良くないものの、新たな作品に挑戦したという結果のとしであったといえます。

平成22年度は、今までの日常生活で使う作品のほかに、本人たちが自由に縫い付けて行く作品を飾り物にするなどの作業を取り入れてみました。

平成23年度は個人ごとに技術面を向上させるということで取り組みました。平成24年度は更なる技術向上を目指していましたが、採用を予定していた職員が実際には入って来なかった事で、女子支援員が2名しか配属できず、勤務の都合で班の担当者が不在になる事があり、他班の女子支援員が代わりに入る対応が必要でした。

平成25年度は職員数を確保し、個人ごとに少しでも技術面を向上させていくという方法を進めていき、新しい図柄を取り入れた作品づくりに取り組んでいる。

 

D和紙班(職員4名〈男3、女1〉) (園生11名〈男9名、女2名〉)

この班はいかに情緒安定へ繋げるかという課題を持って出発した班です。パニックが起きたときにも安全な作業であればという点からのスタートでした。パニックを起こしたり、他害や自傷の激しい自閉症とか自閉的傾向と言われる人達、又は精神障害を持っている人達、行動障害を持つ人達で構成されている班です。 

本人達のできる能力を作業面で生かしていくという方法で進めています。いろいろと本人に合った道具を考えて、作業内容を工夫しながら現在までつながって来た班です。時にパニックにより道具が壊されたり、材料の和紙原料をひっくり返されたりして思うように作業が進まない事もありますが、年々その頻度も少なくなっています。

作業は牛乳パックを利用して再製和紙づくり作業と、アルミ缶の空き缶潰しの作業を行っています。また、体力維持や気分を発散させる取り組みとして園外歩行も積極的に取り入れています。

和紙作りでは牛乳パックを原料とした葉書作り、和紙張りの籠作り、小物作り等を行っています。平成26年度も今まで通り、アルミ缶潰しも継続して行います。

 

(和紙班の経過説明)

和紙製作では、和紙ハガキ・和紙カード・和紙のランチョンマット、和紙貼りの籠類等の作品作りに取り組んできました。

月単位に製品の質と生産量を把握しながら、班活動の動向を確認しながら進めました。

二つ目の作業は、空き缶のリサイクルも兼ねアルミ缶潰し、ペットボトル潰しを作業に取り入れました。平成4年度迄は全く作業に関心の無かったメンバーが、この缶潰しの作業に関心を持ち、2人1組の作業体制で仕事を進めるようになっています。平成19年末は、缶潰しに積極的に取り組むようになった人も出たというのが班の成果としては評価される部分です。しかし、平成20年度の世界恐慌でペットボトル潰しの作業は利益にならなくなり中断しました。 

平成19年度からダンボール箱の解体作業を加えました。ダンボール箱の解体作業はこの班のメンバーには大変喜ばれるものでした。しかし、ダンボール箱の解体を作業として考える時、わざわざダンボールを小さく切らなくても、業者は集まったダンボールをそのまま引き取ることを考えると、班ですべき作業ではないという結論になりました。もっと本人たちのやるべき作業内容が本人たちの能力を伸ばす方向に向けられるような作業内容を考えるという事で中断となりました。

平成22年度、各人が分担して行う作業内容の経過チェックをする方法で、個々人の作業過程の変化を把握し、どのように進歩しているのか、どのように生産数量が変化して行くか、また、変化が良い方向に表れてくるのか等を確認して行きました。平成23年度もこの班に所属している対象者にとってはなくてはならなかった班といえました。

平成24年度は、長年和紙班のチーフを務めていたベテランの男子支援員が班を離れていますが、長期に渡って取り組んだ作業内容が、それぞれの園生に定着していたことで大きく状態を崩す園生はいませんでした。これは園生の大きな成長であり、今後も長期的な視野で支援を継続し、園生が安心して尚且つ意欲をもって作業に取り組める環境を設定していく必要を再確認させられました。

平成26年度も知的障害に加え、精神障害を持っている人達の作業班として、今後ともこの班の存在意義を評価する班として進めて行きたいと思っています。

 

E手工芸班(職員4名〈男3、女1〉) (園生10名〈男6名、女4名〉)

平成7年度より新たに設けられた班です。作業班に所属するにはかなり作業能力的には無理になる対象者であり、その反面、作業能力が低い人達の班に比べると作業能力はそれなりに持っている。しかし、身体に障害があり動きづらいといった対象の人達です。当園の中での作業班活動として実際に彼等に適した内容とはどんなものが適するのか、どんな作業工程を構築していけば良いかと考えさせられる難しい班といえます。

対象者もさまざまなハンディを持った人達が集まった班です。

班の対象者は、癲癇発作を持った人、常同行為の目立つ人、拘りの強い人、興奮のある人、身体障害を持っている人などが所属しています。

 

(手工芸班の経過説明)

現在までの班の流れにおいて、木工製品ではインテリア類、木製の鉢カバー等の小型の作品作りに挑戦してきました。

平成13年度に、ピンチホルダー班との合同形態で出発した班ですが、途中よりタイルを使った鍋敷きとか、伝言パネル板等の小品物を作ってきました。

平成19年度、20年度もインテリアの小物つくりや、なべ敷き等の木工作業、ビーズ通しによる作品作りなどに力を入れてきました。平成21年度はインテリア類の他に、日常生活で何か役に立つ品物作りが出来ればと計画しましたが、作品がなかなかできないために、木の枝を鋸で切らせてそれに色付けさせて行くという事を継続させました。小枝や細い丸太を切れるようになったものの、これとした作品に繋がる結果は出ませんでした。平成22年度は創立30周年で、班自体としての合同作品という事で、平成21年度から木の枝を鋸で切った木片に着色し、それを木工用ボンドで組み合わせて人の顔を作った。個人個人の作品には程遠い作品ではあったが、1年に1作という形で終わった。皆が何かを作るという事では協力して出来た作品となった。後は個人個人の木を鋸で切ったり、木片に着色したり、段ボールに色付けをして数字を書いたり、カットされた竹ビーズを糸で通したりといった作業に徹した。小石にポスターカラーで色を付けて、中庭の花壇の縁を飾り、楽しむといったことも試したが、対外的に向けての作品は完成しなかった。

平成23年度は、やはり一つの作品に完成させる様な作業を取り入れることにした。出来た作品を職員や班の園生の自己満足に終わらないためにも、外部の目から見て、納得のいく作品を完成させる方向で進める事にした。個人個人が作り上げる作品作りに一歩近づいたといえる。

平成24年度は、作業班(陶芸班)経験者のベテラン男子支援員が配属となり、実用性のある新たな作品(テープカッター・写真立て・朱肉付き印鑑立て・クリップ入れ・メモスタンド・コースター等)作りに挑戦し、園生の作業内容もある程度定着することができました。

平成25年度は新たな作品づくりとして、熊本県小国町の森林組合より杉の丸太を1年分相当の量を購入し、卓上ボール盤の機械も導入して、マルチスタンドや一輪挿し等を作成しました。また、新たに配属になった女子園生を中心に革製品の作成にも取り組みました。

平成26年度は更に作品の完成度を高め、個々の園生が作品完成までの流れ(工程)に携われるように配慮して行きます。

 

機能回復指導

ピンチホルダー班と機能回復指導班生活支援班

 

Fピンチホルダー班(職員5名〈男3、女2〉) (園生11名〈男5名、女6名〉)

重度、最重度の知的障害を持っていると同時に、身体的障害を重複している人達を中心に構成された班です。作業班の狙いとしては、自分達にでもできる作業があるという感覚を掴ませるところから出発した班です。何もすることができないと家族でさえも考えておられた人たちに、社会でも通用する製品あるいは作品でも良いのですが、そういった品物作りの一端を担って生きているんだといった点に力を入れて進めて来た班です。勿論、健常者であれば一連の作業はひとりでやってしまうことができる内容ですが、ここの班の対象者が持っている作業能力をどのような手段で作業工程の流れに組み込んで行く事ができるかということで、スムーズに作業が流れ、いかに作品の完成に繋げていくかがこの班の特徴です。ピンチホルダー作業はなかなかお金になるものではありません。しかし、この班に所属している本人達は、それなりに自分の仕事的な感覚でもってこの班に毎日出向いています。長年作成していたピンチホルダー(洗濯バサミ)の材料の在庫が少なくなっており、新たな作品づくりにチャレンジし、園生一人ひとりが製作に携われるように配慮して、今以上に作業における充実感や達成感を味わえるように努力していきます。また、この班の大きな課題である体力・筋力の維持向上を目指し、運動面の充実にも取り組んでいきたいと考えています。

 

(ピンチホルダー班の経過説明)

平成13年度はピンチホルダー作りに加えて、木製のインテリア製品製作に挑戦してみましたが、結果としては新しい作業への取り組みで物珍しく新たな雰囲気で作業に参加できたという点では良かったものの、この班のメンバーが自発的に作業の流れに乗って行くということはできませんでした。そこで平成14年度からは、ピンチホルダー(洗濯バサミ)の組み立て作業に力を入れながら、この班所属者の加齢化対策に配慮し、健康管理を含めた日課に変更しました。作品作りはゆっくりとしたペースで行います。平成15年度も平成16年度も、平成14年度の訓練内容と同じ方法で進めました。数量の増産に力を注ぐというよりも、特に一人一人の作業分担の変化を追うという点に力を注ぎました。作業工程毎に個人に合った補助具を考案し作成して行きながら、流れ作業に組み入れたものとして、上手く流れができるように工夫してきました。この方法は平成21年度も同じように継続して行きました。補助具の考案により、一人一人の園生が自信を持って、更に自分の仕事を自覚し、意欲を持って参加できるような方法で取り組みました。

平成22年度はピンチホルダー組み立て作業の中に、運動やリハビリ訓練を取り入れ体力低下防止という点で、ミニ体育館(チューリップハウス)を利用しての運動を行い、老化防止対策に努めました。

平成23年度はピンチホルダーの組み立て作業をベースに、やはり体力面で劣って来ている事に対する対応措置を取り入れました。また、ピンチホルダーの組み立て作業に参加できない対象者に貼り絵・色塗りなどの作業を加え個々人の作品作りを実施しました。

平成24年度は、体力・筋力の維持向上を目指し、元気な身体で楽しく作業に参加できるよう毎日の「運動面」に今まで以上力を注ぎました。職員1名でも午後からの運動が行えるようチューリップハウスを有効利用して、自発的に活動ができる流れを定着させました。数値では表わし難い面がありますが、それぞれ生活の中で変化が見られるようになりました。

平成26年度も現体制を継続していく予定です。

 

G機能回復指導班〔生活支援班(職員7名〈男4、女3名〉) (園生9名〈男4名、女5名〉)

当園で知的障害の程度としては、最重度のグループで構成されています。平均IQが10前後の対象者で、その上に重複障害を持っている対象者です。平成15年度に行われた厚生労働省の障害区分調査の内容からすれば、障害の重い点数でチェックしていけば、50点満点の50点という人達で構成されています。平成20年度の障害程度区分調査では、全てのメンバーが区分6という対象者でした。そのような意味合いから察しますと、この班は全国でも珍しい班活動をしていると班であると思います。作業・訓練の支援というより健康管理、健康維持が班の基本となり、ADL訓練(身辺自立訓練)等を行っています。年齢的なことからすれば、訓練というよりもゆっくりとした時間の中で介護的な支援になって来た対象者も出ています。

日課に園内外の歩行訓練を組み込み、体力の低下防止、維持向上に努めるといった方法の継続が最もベターであると判断しています。学園の日課に無理なく沿えるように、生活支援を柱立てとし、日課と週課のスケジュールを無理のない内容に設定し、毎日の活動が継続して行ける様に職員も園生9名に対して7名を配置しています。全面介助の対象者ではありますが、毎日安全に安心して過ごせる環境設定ができる様に心がけ進めています。

音楽を使ってリラックスする時間を作ったり、草花に水をやったり、切り絵をしたり、本の読み聞かせをしたりビデオ鑑賞させる等して情緒の安定をはかる取り組みで進めています。

平成26年度も今まで同様の内容で継続していく予定ですが、体力(筋力)低下を少しでも防止するため、歩行時は足にアンクルウエイト(重り)を着けて負荷を掛けることで、足をしっかり上げて歩くことに意識を持たせる方法を取り入れたり、比較的に体力があるメンバーについては、他班(和紙班)と合同で園外歩行に積極的に参加しようと計画しています。

 

(機能回復指導班の経過説明)

平成22年度は、畑にサツマイモを植え、冬に焼き芋をして食べた事は楽しいひと時の思い出になりました。

平成23年度も日課として基本的に園内外の歩行訓練を組み込み、体力の低下防止、維持向上に努めるといった方法の継続を行いました。

学園の日課に無理なく沿えるように、生活支援を柱立てとし、日課と週課のスケジュールを無理のない内容で実施して行きました。今まで通り、弁別訓練や音楽に合わせたリズム運動の他、リハビリ訓練もあり、楽しい毎日になるよう努めました。

平成24年度の後半からは、夜勤に入らない臨時職員(男性)が新たに配属となり、今まで班の担当者が不足して、他班から応援職員に入ってもらう事が改善され、きめ細やかな支援が行えるようになりました。

平成25年度は、ピンチホルダー班から異動して来た女子園生を中心に「リリアン編み」作業に取り組み、スポンジ・マフラー・ペットボトル入れなどの作品を学園祭で販売する事ができました。

 

 

以上の班別訓練の体制は「平成26年度 班別訓練」の資料に具体的に表します。

 

 

X、施

 

1)ホーム編成(施設入所支援)

平成7年度に、「男子棟・女子棟・重度棟」の呼称を「ホーム」と変更しました。特に1234……号室といった数字は、まさに施設的であり、柔らかさがないために、「プロ野球のチーム名」とか「ディズニーのキャラクター名」とか、「花の名前」等に変更しました。

各ホームに1名のホーム長(サービス提供責任者)を置き、ホーム長及びホーム長補佐を中心に各ホームの職員が自分たちのホームに対して責任を持って運営するという仕組みにしています。各ホームごとに特徴がありますので独自に生活面に対していろいろな配慮を凝らしながら潤いのある生活環境を作る様に心がけて運営して行きます。

鷹取学園は平成21年度に障害者自立支援法に基づいた新体系に移行しました。生活の場については施設入所支援サービスを提供して行くことで5年が経過しました。新体系になったとはいっても為すべき支援内容が一度に変わることはないわけです。必要なことは安心して暮らせる生活の場作り個人ごとに楽しく明るく暮らせる時間(人生)を提供できるように学園の生活面が充実するように進めたい。

平成21年度からは、平成20年度の3人の宿直体制から4人の夜勤体制に変更になり、夜間の支援に今までよりも幾分余裕のある態勢になりました。夜勤体制として職員数が平成20年度よりも7名増員され、支援員定数が30名となったものの、日中活動において全職員で取り組んで来た行事開催が、夜勤入りと夜勤明けの職員が参加できなくなったことにより、今までどおりの開催方法では実施できないといった事が生じました。

障害者自立支援法では支援内容に対して、@日中活動とA施設入所支援の時間帯が決まっており、その勤務時間内で支援をしていく内容がはっきりとしておらず、どちらかといえば個別支援計画の目標設定は日中活動にあり、施設入所支援はただ見ておけばよいといったような形になっています。職員配置も日中介護の職員で夜間もそこそこ見てやれば済むといった理解の上に出来上がっています。重度知的障害者の支援については、生活介護で支援する内容のみが重点化され、施設入所支援で行う支援内容はそこそこで良いといった目標設定になっていますが、日中介護支援の目標だけで施設入所支援の目標がないということは考えられません。生活面に関する支援(施設入所支援)は、日中活動の生活介護の部門でも、同じように支援継続の形が取られなければ、実質の支援の内容には繋がらないものです。

ホームの担当者は施設入所支援の仕事内容を、生活介護の担当者に仕事内容を引き継ぐまでの間は、ホームにおける生活の場の支援内容をやって行かなければ入所者の生活は成り立ちません。 

生活の場(施設入所支援サービス)と作業・訓練(生活介護)の場という割合で、割り振られた職員の配置数が時間帯の流れの中で形作られて行くわけですので、現在の法的に決められている内容では、現実の仕事とはかみ合っておらず、実態把握がなされていないという、現実と法との間の乖離が判明したという結果が生じています。 

ホーム運営も夜勤明け職員と夜勤入りする職員の数と、日中活動の生活介護の仕事内容との兼ね合いもあり、3ホームの職員がお互いに助け合いながら、3ホームの入所者の生活を守るという方法で進めていかざるを得ません。職員同士がお互いに、ホーム全体の事と各ホーム内における入所者個々人に対して手が行き届くように対応していく予定です。各ホームの中にミニホームの形を構成しているのは、できるだけ支援内容にムラが生じない方法として、ミニホーム構成をした上で、更にクラス担当という形を取り、1人の職員が2から3名の入所者を分担した形で、責任を持って支援して行くという方法で進めています。

施設入所支援の形であっても、一人の職員がホーム全体を支援する内容と、特に自分の担当クラス対象者に対し責任を持って支援内容を果たすという方法で支援を行います。

 

3ホームに関する説明 

@    プロ野球ホーム   ⇒ ミニホーム 3つ ⇒ 職員11人 (入所者男子26名対象)

A    ディズニーホーム  ⇒ ミニホーム 3つ ⇒ 職員10人 (入所者女子23名対象)  

B    フラワーホーム   ⇒ ミニホーム 4つ ⇒ 職員12人 (入所者男女27名対象) 

 

日常生活面における施設入所支援目標も個人別の個別支援目標として年間計画をたて、木目細かな身辺・生活面での支援内容をホーム毎に取り組んでいくという方法で支援して行きます。(25名前後のユニット型に近いホームとして形作られています。)

各ミニホーム担当者が各々の部屋の運営・管理に当たる。ホーム全体の支援内容を把握し、環境整備に関しても各ホーム長が責任を持ち、ホーム職員と協力して入所者を支援していきます。

各ミニホームの担当者は自己に任せられたミニホームの維持・管理をするだけでなく、ホーム全体の入所者の支援に当たる部分が夜勤勤務と土日の日勤勤務の時間帯で行うといった具体的な仕事の中で実施されるということになります。

各ホーム毎の特長を生かした運営をホーム長、ホーム長補佐が中心となり、支援員同士が協力しながら進めることになります。

入所者にとって、楽しく明るく安心して生活できる場所作りに努めます。

 

 

以上のホーム編成の具体的資料は「平成26年度 ホーム編成」に明記しています。

 

 

 

2)社会交流

平成26年度も入所者を、ホーム担任を柱としたグループ分けとして、2日間を使って社会交流を実施する計画です。過去には1日で社会交流を全員で済ませていましたが、2日にわけて実施する方法を始めたのは、入所者に対する事故等の安全を考えた場合、引率時に安全に移動させ、職員の目が充分に届く状態で無事に買い物や食事ができるかどうかといった点から2日に分けて実施することになりました。残留者が半数残るために、最低34人の支援員を学園に残して対応させる。理由は特に担当支援員一人では危険と思われるクラスには、引率する支援員に対し、当日実施しないクラス担当者の1名を付けて安全を図りながら実施します。平成22年度から社会交流の実施単位がクラス単位ではなく、作業・訓練班単位で実施したいとの希望が出ていますが、班によってまた行き先によって、担当職員数以上の職員を付き添わせるという事も想定しなければならないという要件がつくために、なかなか実行できていません。平成24年度は一度だけ公共の交通機関を利用して、八幡のイオンモールまでの社会交流を実施しましたが、これについても定着はできませんでした。

平成26年度もイオンモール直方店を中心に社会交流を実施する予定ですが、できれば現在ホームごとに取り組んでいる形を班単位とか、障害程度別の集団として実施できればと思うところです。また、行き先についてもイオン直方だけではなく、他の場所にも出向いて行く様に計画したいところです。

(経過)

社会交流の歴史は長く、当園に於いては昭和56年の5月から取り組んで来たものです。当時は社会参加訓練と言っていましたが、平成14年度からは社会参加訓練(買い物)の名称は使わず、「社会交流」という呼び方に変えました。開始時は直方の古町商店街からはじめました。飯塚ジャスコ店などにも行っていましたが、イオン直方店ができてからは殆どがイオン直方店を利用するという形で進めています。

平成13年度まではクラス担任一人と入所者34名の引率で実施して来ましたが、入所者も年をとり動きの方も悪くなり、行き先(目的地)が次々に変わると、行き先の環境や交通量や道路状態等で危険性を感じる状態が起きて来ました。そこで平成14年度より参加者の安全を図るために、職員と園生を2グループに分け、二日間で実施するようになりました。

 

3)年間行事について

本来ならば入所者の意見を直接反映したいのであるが、重度・最重度の知的障害をもった人が多いため、入所者の意見反映が殆どできないというのが重度知的障害者に対する支援の実態といえます。勿論、保護者からの意見や、入所者自身の会話の中から、何らかのヒントを得て意見反映させていきたいという体勢はいつも準備できているといえます。職員が色々な立場から充分に配慮した上で計画をたて実施することになります。

行事計画を設定するに当たり、職員の立場からの発想にのみ終わらないように計画段階から、念入り且つ詳細にわたる検討がなされ、実施するに関しても進行過程での点検が必要となります。 前年度の行事実施後に支援員を含めた職員の反省文の内容を検討し、それを纏めた担当職員の意見を聞くところからがスタートします。勿論、行事内容によっては保護者の声を反映し、楽しい行事計画案の作成を行っていきます。

最終的な結論としては「実際に入所者が喜ぶ結果に繋がるのか?」といった立場から行事計画を実施し進行していくということになります。

先ずは危険性がないのかといった点から始まり、トイレの場所、時間、楽しめる場所は、休憩場所は、何かあったときの対応と連絡方法、そして近くに病院はあるのかといったように、充分な配慮と細心の注意が計画の中に盛り込まれているのかを基に計画、実行できるように努めます。

入所者からの意見が出ない分、行事実施後の反省点が大切になるため、行事に対する結果に対しての反省点を含めての意見を記録、提出して貰い、参加者の反応等についてまとめとして記録し、次回の計画に役立てられる様にしていきます。 具体的な形では年間行事計画に沿って実施します。

親子旅行としては、過去には一泊旅行を実施してきましたが、ここ10年くらいは入所者と保護者の年齢を配慮して日帰り旅行を実施していたものの、一泊旅行の引率経験がない職員が増えたこともあり、平成23年度は熊本へ一泊旅行を計画し、往路は九州新幹線を利用し、復路は貸し切りバスというように、体に疲労がかからないように、無理の無い方法で実施しました。平成24年も同じような旅行ができないのかと、一部から声が上がりましたが、日帰り旅行に戻しました。いずれにしても今後の親子旅行に関しては、入所者と保護者が高齢化してきたこともあり、それ程遠くない場所を目標に考えるとか、ゆっくり、のんびりできるような内容の親子旅行を第一に考えて計画したいと思いますが、2グループに分けるという案も視野に入れていきたいと思います。

平成26年度も、入所者が満足できる行事にして行きたいと考えています。

 

 

平成26年度の行事に関しては、「平成26年度 年間行事計画表」に明記しています。

 

 

4)その他

 

〇入浴支援

午後より実施する。機能回復指導班生活支援班・ピンチホルダー班をAグループ、他の機能回復作業指導部の班(染色・和紙・手工芸)Bグループとし、時間差を設けてグループ順に入浴を行います。各班の支援員が介助・支援・指導に当たります。作業班(農園芸・アロエ・陶芸)Cグループとして機能回復作業指導部ABの入浴後に入浴します。

平成16年度までは毎日の入浴でしたが、平成17年度からは、入所者の入浴は下記のような方法に変えました。平成26年度も計画通り実施します。

  10月〜3月までは、月、水、金の1日おきの入浴。土、日のシャワーは可能。

4月〜9月までは毎日の入浴。

 

「平成26年度日課表」に説明しています。

 

〇体力低下の予防

各班の作業・訓練の時間帯に運動を盛り込んだ方法で進めるように計画しています。

機能回復指導班とピンチホルダー班については、日課の訓練に運動が含まれていることと、農園芸班はかなりの運動量がある為に、班活動の中でカバーしていくように考えています。

軽作業班の染色、和紙、手工芸班と作業班のアロエ、陶芸班については、各班の週課の中に組み込んで実施する予定です。平成22年度より、リハビリ訓練が実施できるようになり、班の午前中の日課の中で実施していくことが加わっています。

(経過⇒平成6年度より始まった体育専門の嘱託職員による体育(内容としては、毎週火曜日の午前中に機能回復指導班生活支援班を、木曜日の午前中に軽作業班を対象に、午後は作業指導部の体育を行ってきました。この形で平成14年度まで続けて来ましたが、平成15年度に体育専門の嘱託職員が退職したために、それまでの体育は中止しました。それ以降は上述の方法を継続しています。)

 

週課表については、「平成26年度 鷹取学園 週課表」に説明しています。

 

〇「おやつ」について

平成22年度には、お八つはカロリー的に食事とは別扱いになっているので、控えるべきではないかとの意見が出ました。栄養管理的にはお八つやジュースの量は制限すべきとの見解にありますが、今までやって来た状況を一度に変更してしまうと、生活面において入所者の満足感に影響を及ぼすために、方法としては肥満対象者を調査し、本人のカロリー摂取程度を調べ、それに向けて食事のカロリー調整から始めるという方法を取り入れるようにしました。

食事量の調整を前提として、平成23.24年度に実施しました結果、体重オーバーの対象者の肥満改善がかなり進んだという結果が出ました。

平成26年度も同様に、学園生活をより楽しく潤いのあるものにするために、余暇時間にお八つを実施しつつ、お菓子の量を考慮しながら進める予定。また、自動販売機の利用に関してもカロリー調整を実施しながら対応していく方法を進める。

おやつに関しては下記の方法で対応します。具体的には、下表内容で実施。

 

〈おやつ提供等に関する説明〉

 

@平成26年度に関しては、ジュースとおやつ支給曜日を下記のように設定する。

Aビールについては、好きな園生が飲みたいと要望がある場合にのみ準備して出すようにする。

B月、水、金、日曜日におやつを出す。

C月、水、金におやつを出すときに、併せて給茶機のコーヒーを出すようにする。

D缶ジュースは、火、木曜日を学園からの支給日とし、土、日は本人小遣いで購入する。

 

おやつとジュースの支給曜日を纏めた表

 

 月 

 

 

 

 

 

 

 

牛乳

 

 

缶ジュース(自動販売機)

 

朝食時

 

 

  

朝食時

パン食

 ○

学園支給

 

朝食時

 

 

 

   

朝食時

 

 ○

学園支給

 

朝食時

 

 

 

朝食時

 

 

本人小遣い銭

 

 

朝食時

 

 ○

本人小遣い銭

 

 

 

 

おやつ

 

 

給茶機のコーヒー

 

  

団らん

 

 

団らん

 

 

 

 

団らん

 

団らん

 

 

団らん

 

 

 

 

団らん

 

団らん

 

 

団らん

○本人小遣い

 

 

昼間

14:30

 

 

 

 

 

 

 

ビール

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕食後本人小遣い銭(本人の要望がある場合は)

 

 

 

 

 

 

 

〇掃除について

毎日行う朝の掃除は、職員と園生で実施する。各ホームごとに責任をもって行う。園内を清潔に管理していく。平成22年度までは第2金曜日の誕生会後に全体的な掃除を行っていたが、平成23年度は別の日に掃除日を設けると言う方法を取り込んでいきたいとの意見が出たものの、やはり誕生日会の午後の方が良いということになる。26年度も同じ形態をとる。

また水曜日のルームキーピング時にも掃除をする時間を取っています。この時には、窓ガラス拭きなどを行う。

園内の掃除終了後に園庭の掃除を実施することも取り入れる。班やホームは自分たちの持ち場、区域の外まわりも分担する。

天気に左右される場合があるので、天気を見ながら進めていく。

学園全体としての大掃除は、お盆前とお正月前に実施する。

 

〇配膳当番

職員中心で実施するが、入所者にも生活体験の場として、本人達のできる配膳内容を実行させ配膳当番として役割を割り当てる。ただし、自分自身で手洗いができ、衛生観念を幾分かでも持っている対象者とする。この場合、手洗いが充分できているか出来ていないかの確認を職員が行い、配膳につかせるという事が大切となる。

 週ごとに交代制で実施させていく。内容としては下記のような方法で進める。

 

1)ホーム単位で食事の席を決める。配膳当番さんが配膳を行う。配膳当番のグループは4グループに分けて、一週間交代で食事時の配膳を行う。職員が介助しながら一緒に配膳を行う。

 

(注)もし、班毎に食事をとるような場合は、各班の職員と班園生の単位で配膳・食事・片付けを行う。

 

 

Y避 難 訓 練

法的には、1年に2回以上の避難訓練を実施するようになっている。 最低2回の訓練のうち1回は夜間を想定した避難訓練を実施する。

火災時には、通報、初期消火、避難が必ず守れるようにする。 

非常時には安全な場所に避難することができるように訓練を行い、大切な命を守る。

今までは火災を想定した「避難訓練」を中心に実施してきましたが、最近では想定外の豪雨や異常気象で大きな被害が出ているため、外出先から「安全な鷹取学園に戻って来る」といった「防災訓練」も計画していきたいと考えています。

 

 

Z、平成26年度 会議について(鷹取学園)

 

〔会議開催方法〕

1。会議予定計画書を提出(緊急の場合は別)

2。会議内容は、司会者、書記により必ず内容報告を行う事

3。会議の種類

 

   1,スタッフ会議

   時 期    随時行う

      場 所    園長室  

     メンバー      園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、チーフ(サービス提供責任者)、ホーム長、看護師等

 

   2,生活介護(作業支援会議)

  @班チーフ会議(生活介護)

   時 期    随時行う

      場 所    会議室等  

     メンバー      支援主任(サービス管理責任者) 各班チーフ

  

    A班の支援員会議 (生活介護)

   時 期    原則として、必要に応じて随時

議 題       前もって、班からの問題点について検討事項を提出する

      場 所       会議室等

      メンバー   支援主任(サービス管理責任者) 各班のチーフ8

 

B班会議の種類

            作業部(農園芸、アロエ、陶芸)

            軽作業部(染色、和紙、手工芸、)

            機能回復作業指導部(ピンチホルダー、機能回復指導)

            《8グループが合同で開催したり、単独で開催したりの形態を取る。》

 

3,施設入所支援会議 

   @ホーム長会議

       時 期      原則として、必要に応じて随時

議 題      前もって、ホームの問題点について検討事項を提出する

       場 所      会議室等

       メンバー  支援主任(サービス管理責任者) ホーム長3名、ホーム長補佐、看護師等が加わる)

   

   Aホーム会議《プロ野球ホーム、ディズニーホーム、フラワーホームの3ホーム会議》

       (※ ケース会議を含む)

    時 期    原則として、必要に応じて随時

       場 所    会議室等(各ホームの夜勤者控え室or DR)  

      メンバー      各ホーム長及び支援員、(園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長、看護師が加わる場合もある。)

 

 

  4,医務会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    園長室及び医務室等  

    メンバー    園長(サービス管理責任者)、看護師、支援主任(サービス管理責任者)

ホーム長、支援員、栄養士(必要に応じてメンバー構成) 

 

  5,厨房会議

   時 期    原則として、必要に応じて随時

      場 所    調理師休憩場所、会議室、園長室等  

     メンバー      事務長、栄養士、調理師、(場合によっては園長、支援主任、看護師、

ホーム長、支援員〔必要に応じてメンバー構成〕) 

    

 

  6,事務会議

   時 期    随時

      場 所    園長室及び事務室等  

     メンバー      園長(サービス管理責任者)、事務長、支援主任、(場合によっては栄養士、

看護師等)

 

  7,保護者との会議

@ホーム別会議

   時 期    必要に応じて随時

      場 所    会議室、生活実習棟及び相談室等  

メンバー      保護者、園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長及び補佐、看護師 支援員等

 

A班別会議

   時 期    必要に応じて随時 

      場 所    会議室、生活実習棟及び相談室等  

    メンバー     保護者、園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、チーフ、(場合によってはホーム長、支援員、看護師等)

 

 

B家族の会世話人との懇談会

   時 期    必要に応じて随時 (議題がなれば開催しない。)

      場 所    園長室及び会議室、生活実習棟及び会議室等  

   メンバー     家族の会世話人、園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、ホーム長、チーフ、(場合によっては看護師、支援員を加える事もある)        

 

C保護者会での伝達

      時 期       各月原則 第3金曜日 「家族ふれあいの日」

      場 所       食堂

      メンバー      家族の会

        学園の代表(園長(サービス管理責任者)、支援主任(サービス管理責任者)、その他内容によって担当職員が参加する。