平 成 26 年 度

                   社会福祉法人  福智の里

指定障害者支援施設     園 

( 知的障害者生活介護 知的障害者施設入所支援 )

事 業 計 画 書(案) 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                  社会福祉法人 福智の里

                    指定障害者支援施設 鷹取学園

                      (事業内容: 生活介護・施設入所支援)

 

                822-0007 福岡県直方市大字下境字鬼ヶ坂336−11

                    TEL   0949−24−6622

                   FAX   0949−24−8333

 

 

 

          平成26年度 鷹取学園における事業計画 ()

             

                                     社会福祉法人  福智の里

                                       指定障害者支援施設 鷹取学園

 

【事業内容】

(目的)

この社会福祉法人は、多様な福祉サービスがその利用者の意向を尊重して総合的に提供されるよう創意工夫することにより、利用者が個人の尊厳を保持しつつ、自立した生活を地域社会において営むことができるよう支援することを目的として、次の社会福祉事業を行う。   

 

社会福祉法人 福智の里  経営内容

 

指定障害者支援施設  鷹取学園  

  (1) 生活介護    定員 76  (利用者―知的障害者)

  (2) 施設入所支援  定員 76  (利用者―知的障害者)

 

1、はじめに

) 障害者自立支援法のスタートから

日本国における社会福祉法の改正により、支援費制度から障害者自立支援法による新体制が平成184月よりスタートし、鷹取学園は平成214月より移行しました。平成26年度で6年目を迎えることになります。

平成21年度のスタート時点での当園における施設運営体制の変化は、@日中活動系サービスの生活介護支援のサービス費とA居住系サービスの施設入所支援の11区分における区分域に対して、当園の対象区分域が判明し、報酬単価とサービス提供職員配置基準(常勤換算)が決定する事により、職員数が見直されることになりました。

以上の結果から、入所定員76名は変わらないまま、支援員の数が前年の平成20年度より、8名増員しなければならないという結果となりました。勿論、措置制度の時代から重度、最重度知的障害者施設の職員の勤務体制を考えた場合に、労基法上から考えてみても支援員の勤務内容は宿直体制ではなく、夜勤体制に切り替えなくてはならないと長い間言い続けられて来たものの、社会福祉法の基準からすると宿直体制でしか進められなかったという現実的な制限が付いていました。

新体系となり労基法で言われる勤務体制を夜勤体制の水準に嵩上げできたものの、福祉の仕事というものは、職員数が増えればそれで対応できるものではないという事をどうしても理解して貰い難い点があります。

 

) 新卒支援員採用が難しくなった

世界的な不況時代が来たせいで、失業者が増えたということと、日本社会に於いて今までにない高齢者社会が到来したことで、その対応として社会福祉分野には多くの働き手(人材)が必要とされるようになったことが組み合わされ、失業者の就労対策として、失業者問題解決策として社会福祉分野への就労活動が活発化してきた。「一般企業よりも少し給料は低いが、失業して、全く金が入って来ないよりもましだ。この不景気の中、仕事の無い社会になっているので、失業者は福祉の分野に行けば仕事にありつける。社会のためになり、困っている人から喜ばれる仕事だ。」という社会現象が一気に盛り上がりました。老人福祉では多くのヘルパーステーションができました。資格としては今までにあった社会福祉主事の資格のほかに、一気にホームヘルパー資格、ケアマネージャーの資格、介護福祉士の資格、社会福祉士の国家資格、精神保健福祉士の国家資格ができ、多くの人たちがその資格を手にすれば、それなりの社会的に認められた仕事に就けるという願いで資格を取るということが当たり前の状態になっています。

しかしながら、このような社会現象が出て来る少し前から、社会福祉関係の学校や専門学校では、社会福祉の業界は他の業界よりも極端に給与水準が低かったせいと、将来に対する生活の安定が望めないために、社会福祉の重要性が叫ばれながらも、また社会福祉分野での資格の必要性を訴えながらも、社会福祉に力を入れてきた大学や専門学校の卒業者が福祉関係の仕事に勤務することを望まず、他の業界に就職していくという傾向になってしまいました。

それに加え新たに福祉関係の学校へ入学を希望する学生が少なくなって来たことにより、社会福祉関係の大学や専門学校は入学生徒の定員数を減らさざるを得なくなり、学部を廃止するといった状態まで来ていることをもっと早く掌握し、対応すべきであったと思うところです。現在でも資格は取ったものの、障害者をみていくことの大切さは分かりますが、資格に対する給料の確固たる保障の裏付けはなく、正に安上がりな社会福祉体制を考えて、職員数を多く増やせば何とかなるといった福祉構造を作り上げようとしている考え方は、もっとも事故に繋がりやすく、大きな社会問題を引き起こすことにもなりかねないと思えます。

当園はそのような事態にならないよう、しっかりとした職員体制のもとに、重度、最重度者の支援をきちんと続けて行けるように努力して行きたいと願うところです。平成26年度の職員採用に対して、4月から新たに女性3名の採用を予定しています。

 

) 支援職員の資格問題

福祉関係の資格を持っている人が増えていくことと、現実的な支援関係との間にはかなりの乖離が生じ、国家資格を持った職員は現場からは遠い仕事分野につきたがり、国家資格を持たない職員が手探り状態で、現場に於いて四苦八苦しながら支援するといった傾向が既に来つつあります。専門性の必要を口にしながら、専門性からは程遠い福祉形態ができ上がりつつあると言わざるを得ません。

医療分野でもいろいろな専門分野があってこそ、仕事の深さが進んでいると思いますし、医療分野でエキスパートとして尊敬されているドクターは、やはり現場の要となって活躍されているドクターの皆さん方と言えます。

社会福祉分野は、今や十把一からげという状態ではないかと思います。社会福祉士の国家資格を持っていれば、三障害の仕事分野のどれでもこなせるというのが当たり前として、当初の考え方通りに進められてきました。

ところが、それに加えられた形で精神保健福祉士という国家資格がつい最近から重要視されるようになりました。

この傾向は、精神分野は社会福祉士の枠とは少し違う部分であるという考え方になってきたのだと思います。そうであるならば、当初からもっと根本的な立場から各障害分野に対して、もっと専門的な資格を持たせた学生を育てて現場に送り出して貰いたいところです。まったく資格が無かった頃から、この福祉業界に関わってきた立場の私たちは、先進福祉国の制度から社会福祉の専門的知識を持った学生を育てることを望んできたのですが、実際になぜ現場に役立つ専門的知識をもった学生や専門職員を、国は育てるようにしてくれないのかと愚痴が出ています。

 

) 社会福祉の仕事について

昔から社会福祉に関わる職員の給料は一般企業の賃金よりも低くて当たり前だ、社会福祉に携わる仕事自体が、海外から導入されて来たものであり、キリスト教や宗教的な崇高な精神に基づいて金銭には代えがたいものがある。そして社会福祉事業を支えていける国というか社会そのものの中に、奉仕精神を含む労働やそれを実践していくという大切な精神を評価したり、社会福祉の大切さを認めてくれる考え方が既に流れているという前提で進められてきたと思います。また社会福祉事業に関わって来られた先達の皆さんは、後輩にもそのような精神を引き継いで来られましたし、現在も続いているし、今後も引き続いていくものと思っています。

しかし、社会福祉に関わってきた多くの先輩たちの歩みを、現在の社会福祉事業をやっていく人たちの中には、単なるお金になる仕事として経済の中のシステムの一つとして社会福祉事業を展開させているだけの姿になっている部分があるように見受けられます。今後、福祉行政はどのような方向に日本の福祉を向けて行こうとしているのであろうかとふと立ち止まらなければならない感覚を持つことがあります。措置費時代の考え方は、社会福祉は行政が国民の税金で障害者を救ってあげているという感覚でした。だから、障害者自立支援法では障害者の立場を考えると福祉事業者と福祉受給者は対等な立場でなければならないため、契約という形を取るようになったと説明を受けた経緯があります。社会福祉の形が、その時々の社会制度の在り方で、支援をする側の立場が強くなったり、逆に支援を受ける側の障害者が制度上の形で権利を振り回すような結果になること自体が、多くの人が望む社会福祉という事とはかなり隔たったものになっているとしか言いようがありません。

支援する側も、支援を受ける側もどのような社会福祉制度で進もうとも、お互いが協力していかなければ良い支援には繋がって行かないものであることを感じていなければなりません。社会福祉事業の受給内容は確かに基準として、契約として、範囲として決められる事かも知れませんが、具体的に支援に当たる側の人間とそれを受ける側の人間は、お互いの人間性の上に接していかなければ決して良い支援内容(受給サービス)を受けるということにはなりません。

社会福祉とは、してやるものでしょうか、また、して貰って当たり前の事業なのでしょうか。社会福祉の国家資格をやけに重い資格に位置づけようとして福祉の内容が空回りしているのではなかろうかといった感を受けます。福祉の仕事の内容を資格という基準で形作って行こうということであれば、恐らくこれから先の日本の社会福祉は、形だけの流れになり経営も難しくなり、いろいろな社会問題が生じ、社会福祉の精神は息詰ってしまい、福祉支援を受ける対象者は精神的な満足感のない支援内容を受けることになるのではと心配されるところです。

 

) 鷹取学園の新入所者受け入れ枠について

当園は平成2141日から、@日中活動は「生活介護」、A土日の支援及び平日の夜間支援に携わる部分は「施設入所支援」の形態で進めて来ました。そして5年が経過し、定員76名に対し、現在は男性1名の欠員という状況です。ここ数年で数名の入退所がありましたが、新しく入所された方の傾向としては、他施設では見てもらえなかった方、精神科の病院に入院されていた方、相談支援センターに駆け込まれた方等が入所されています。平成26年度は男性1名を受け入れる予定で体制づくりを進めている所です。

 

) 鷹取学園の高齢化に対する取り組み

平成26年度は高齢化に向け、また入所されている若い対象者を含め、日常生活を展開していく中、できるだけ入院に至らない様に日頃から少しでも老化防止対策に力を注いで行く様に努めたいと考えています。重度知的障害者の特性とも言うべき、健常者のように身体全体の活動範囲が狭いというか、充分に身体を動作できないといった特徴のために、年齢と共に廃用性機能低下に繋がらないように、学園生活全般に亘って再度の見直しをしつつ取り組んで行きたいと思っています。

知的障害者の高齢化は健常者が高齢化する場合のような、高齢化に伴う老化現象が起きてくるというわけではなく、健常者が高齢化したときに見られ始めるような老化現象が若い年代においても既に退行現象ともいうべき状態が見られているという、知的障害者特有の姿が始めから秘められている点に注目しておかなければなりません。

年齢的に既に70歳を迎えた方や、60歳に近い入所者の皆さんが増え始めています。具体的な内容は「支援計画書」で表して行きますが、学園は「少しでも老化を遅らせる」といった考えで、リハビリ訓練を今まで以上に充実させ、場合によっては設備面についても改良する必要があると感じています。

 

) 「障害者総合支援法」の施行から

我が国の障害福祉施策は従来の「措置制度」から、平成15年には「支援費制度」、平成18年には「障害者自立支援法」、そして平成2541日から新しい法律として「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」いわゆる「障害者総合支援法」が施行され、次々と変わってきました。「障害者総合支援法」では、障害者の定義に難病等が追加され、障害程度区分から障害支援区分への見直しが行われました。そして平成2641日からは、ケアホームとグループホームを一元化するとともに、サテライト型住居を創設するなどの所要の見直しが行われます。また、地域移行支援については、これまでの障害者支援施設等や精神科病院に入所・入院している障害者に加えて、保護施設や矯正施設等に入所している障害者も新たに支援対象となり、重度訪問介護についても肢体不自由者に加えて、知的障害又は精神障害により行動障害を有する者を新たに支援対象にすることになっています。当園も次々と変わっていく障害福祉の流れに即対応していけるように態勢を整えて行くつもりですが、開設当初から取り組んでいる重度、最重度の知的障害者の支援を、きちんと続けて行くことを中心に努力して行きたいと考えています。

平成264月からは「障害程度区分」が「障害支援区分」へ変わります。今までの「障害程度区分」では、知的障害者や精神障害者について、コンピュータによる一次判定で低く判定される傾向があり、市町村審査会による二次判定で引き上げられている割合が高く、特性を反映できていないのではないか等の課題が指摘されていました。今回は知的障害者や精神障害者の特性を反映できるように、認定調査の内容等も変更されます。

・ 知的障害、精神障害や発達障害の特性をより反映させるため、調査項目の追加や評価内容の見直しが行われます。

・ 調査項目が「106項目」⇒「80項目」に統合・削除されます。

・ 程度区分では「できたりできなかったりする場合」は「より頻回な状況」に基づき判断されていましたが、支援区分では「できたりできなかったりする場合」は「できない状況」に基づき判断されます。

・ 日常生活関係においては、普段過ごしている環境ではなく、「自宅・単身」の生活を想定して評価するように見直されます。

障害支援区分モデル事業の結果では、区分結果が大きく下がったりする事は無かったようですが、「楽観視」することなく、学園としても上記のポイントをしっかりと押さえて対応して行きたいと思います。

 また、法律の一部改正により、障害者向けケアマネジメント手法が義務付けられ、平成26年度末までに、障害福祉サービスを利用する全ての利用者に「サービス等利用計画」を作成する事になっています。各市町村が利用者に対し、指定の相談支援事業所で作成するように求め、それぞれの相談支援事業所に所属する相談支援専門員が利用者側から依頼を受けて作成する事になっています。そもそも今現在施設を利用(入所)している人に「計画相談」そのものが必要なのか疑問に感じている所ですが、何れにせよ平成273月までに作成するようになっていますので、この一年間は「障害支援区分」の認定調査と、「サービス等利用計画書」の対応に時間を費やされることが予想されます。

 

)  当園における平成26年度 知的障害者福祉の事業方針

平成26年度も、どの様な政治の流れになろうとも、知的障害者福祉の在り方について、こうあるべきだといった進むべき方向性とそれを実現して行くための計画案を、知的障害者福祉関係者自体が何時、どの様な社会情勢になったとしても、きちんと示して行けるだけの体制を作り上げておかなければならないといえます。

平成26年度 鷹取学園の進むべき方向は、昨年まで進めてきた方針を再度検討しながら、更に前進させて行くという事に目標を置き、重度化や高齢化に対応するための機能を強化できるよう、平成26年度事業内容を運営規定に基づいて下記の様に計画、実施していくことに致しました。

 

 

2、平成26年度事業

 

(1) 生活介護 

障害者支援施設等において、入浴、 排せつ及び食事等の介護、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他必要な援助を要する障害者であって、常時介護を要するものにつき、主として日中において、入浴、排せつ及び食事等の介護、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援、創作的活動又は生産活動の機会の提供その他の身体機能又は生活能力の向上並びに維持のために行われる必要な援助。

 

対象=地域や入所施設において、安定した生活を営むため、常時介護等の支援が必要な者として次に掲げる者

@ 障害程度区分が区分3 (障害者支援施設等に入所する場合は区分4)以上である者

A  年齢が50歳以上の場合は、障害程度区分が区分2(障害者支援施設等に入所する場合は区分3以上である者)

 

(2) 施設入所支援      

指定障害者支援施設は、都道府県知事の指定を受けて、その施設に入所する障害者につき、主として夜間において、入浴、排せつ及び食事等の介護、生活等に関する相談及び助言その他の必要な日常生活上の支援 (施設入所支援)を行う。

 

施設入所支援の対象 = 次に該当する障害者

@ 生活介護を受けている者であって障害程度区分が区分4(50歳以上の者にあっては区分3)以上である者

A  入所させながら訓練等を実施することが必要かつ効果的であると認められるもの又は地域における障害福祉サービスの提供体制の状況その他やむを得ない事情により、通所によって訓練等を受けることが困難なもの。

 

 

3、平成26年度事業計画()

 

1)行事に関して

  平成26年度は通年の行事内容で実施予定。

   

その中で大きな行事のみを抜粋

1〉第34回運動会 〈2〉第34回学園祭 〈3〉第34回親子旅行

4〉第34回餅搗き大会 〈5〉第34回クリスマス会 〈6〉その他

 

   親子旅行につきましては、園生・保護者の高齢化に伴い、平成17年以降は「日帰り旅行」で実施していましたが、年々保護者の参加が減って来ており、「親子旅行」と言えなくなっている面もあります。しかし、園生にとっては大変楽しみにしている行事でもあり、社会参加という観点からも是非継続して行きたいと思っています。今年は従来の全員で一斉に行く旅行ではなく、2グループに分けて実施する方法を計画する事と、「一泊旅行」も視野に入れた計画を試みようと考えています。同様に運動会や学園祭等の行事についても、全て今までと同じ形で実施するという事が難しくなっている面がありますので、十分に検討しながら進めて行きたいと思います。

 

 2)建物等に関して

※ 建物等に関しての計画を行う前に、懸案事項であった「耐震診断」について説明を加えます。耐震診断とは、新耐震基準が施行された昭和56年以前に建てられた建物は現行の耐震基準をクリアしていない可能性が高いので、平成18年に改正された「耐震改修促進法」で規定されている規準に照らし合わせてどの程度の耐震性能を持っているかを評価するものです。学園は昭和564月に開設したので、昭和55年に建設工事を着工した建物(但し、昭和60年に増築した重度棟については対象外)です。学園が建っている場所は平坦で地盤が固く、さらに平屋建てという好条件もあり「まず大丈夫だろう」という事でしたが、今後、様々な増改築工事を計画する上で、きちんとした診断結果がないと進められないという状況でしたので、平成25年度に「耐震診断の業務委託」を行いました。最終的な報告書は出ていませんが、先日の「診断結果中間報告」では、@管理棟 A居室棟(男子) B居室棟(女子) C浴室棟 D作業棟の全棟について、耐震指標(Is)の判定基準値である「0.6」をかなり上回る数値結果であり、「震度6程度の大地震が起きても崩壊する危険性は低い」「耐震補強工事の必要性はない」という結果が出ています。

 

1〉重度棟(フラワーホーム)と作業棟(陶芸・アロエ室)の屋根防水改修工事

   今までも継続懸案事項で上げていた内容です。屋根防水改修工事については平成13年に実施して以降、一部補修工事で対応していましたが、全体的に塗装が剥がれてしまっており、平成25年には居住棟の雨漏りが数箇所見つかり、調査の結果早急に対応する必要が生じましたので、男女居室棟(プロ野球ホーム・ディズニーホーム)の工事を実施しました。他の棟についても順次工事が必要ですが、平成26年度は重度棟と作業棟の工事を実施したいと思います。この2棟が終われば残りは管理棟という事になります。

 

2〉各作業室の流し台に給湯設備を設置したい

    平成25年度末時点までの各班に設置されている給湯設備に関しては、染色班と和紙班の2ヶ所の流し台にお湯が出るようになっています。手工芸班・ピンチホルダー班・機能班より、最重度の対象者が多いために冬場の対応として給湯設備の要望が上がっています。手工芸班については、軽作業棟Tに設置している既設の電気温水器からの配管を分岐して対応し、ピンチホルダー班・機能班の軽作業棟Uについては、新設でガス給湯器を設置したいと思います。

 

3〉廊下等のPタイル修理について(各棟)

本来Pタイルはワックス掛けを行いますが、入所者が掃除する場合は水拭き掃除しかできません。ワックス掛けが難しいために、今後も水拭きという方法を継続していくしか仕方ありません。水拭きをすると、どうしてもPタイルが浮き上がり破損してしまいます。平成26年度も破損したPタイルは交換の必要があります。

 

4〉自家発電機の設置

平成23311日に東日本大震災が発生し、未曽有の被害をこうむりました。また当園でも過去には台風19号上陸時に停電が発生し、全館内が真っ暗になってしまうという事態になったことがあります。その時の事を思いだしますと、何処に園生を集めようかという事になり、当時は各棟3ヶ所のディールームに集め電気がつくまで懐中電灯とろうそくで対応し、電灯がつくまで待機したことがありました。

現在はミニ体育館というチューリップハウスがありますので、その場所に待機することが最善と考えられます。チューリップハウスにポータブル式の自家発電機を設置できればイザの時の対応には事欠かなくて済むと感じられます。

 

5〉既設浄化槽コンクリート撤去埋め戻し工事(旧浄化槽跡地)

    平成21年に浄化槽の全面改築工事を行いましたが、既設の浄化槽については上部を解体しただけで埋め戻しており、大雨の後に土が陥没してしまう事が起きていました。昨年は屋根防水改修工事で入ったクレーン車が深く埋まってしまうという事もあり、今後も陥没する危険性が残っています。園生が毎日散歩している場所でもあり、避難経路にも掛かっている場所です。また、今後の跡地(空地)有効利用で何かを建てるとしても、一度全面的に改修して安定した地盤にする必要があります。

 

6〉ディズニーホームの洋室化(改装・増築)

     ディズニーホームの利用者の中には、老化や骨折後等の問題がありベッドが必要な対象者が現在4名もいます。しかし、現在洋室は一部屋(8号室)のみであり、和室に折り畳みベッドを入れて対応するしか方法がありません。今後もベッドが必要になる利用者が増えてくる事を考えると、居室の改装、もしくは増築を考えなければなりません。但し、建物を建て替える場合の現在の法基準は、入所者一人の居室空間は9.9uになっています(鷹取学園ができた当時の法基準は一人あたりの居室空間の基準は3.3uでした)。

 

) 購入物品、修理品、その他に関して

 

1〉各部屋に空気清浄機能付きの加湿器を購入したい

    現在使用している加湿器は平成14年に購入した物であり、毎週点検掃除を行いながら大切に使用していましたが、かなり古くなって交換部品も無い状態です。また、近年は新型インフルエンザやノロウイルスの流行に加えて、PM2.5の問題も発生しています。園生の健康管理を考えた際に是非上記加湿器を購入したいと思います。

 

2〉ドクターメドマーを購入したい

        ドクターメドマーは「血液とリンパ液の効果的な流れを促進する」空気圧を利用した医療用マッサージ器です。これを使用するようになったのは、蜂窩織炎で何度も入退院を繰り返していた男子園生へ、医師からの助言で使用し始めたのがきっかけです。現在は学園でも1台購入して、血行が悪い数名の園生が使用しており、霜焼け等の症状改善に大変役立っていますが、医務室で管理しているため、休日等に使用する際は各ホームへ持ち運び使用している状況です。もう1台買い足して各ホームで管理できればと考えています。

 

3〉各居室のエアコンが老朽化してきている

   フラワーホーム(重度棟)は従来のセントラルヒーティング形式の全館冷暖房設備でしたが、故障が多くなった事で、平成2512月に各居室のエアコン空調設備に切り替えたばかりですが、プロ野球ホーム(男子棟)とディズニーホーム(女子棟)については、各居室のエアコンが設置後10年以上経っている事もあり、部屋によっては効きが悪くなっている所もあるため、電気代のことを考えると省エネタイプの新しいものに順次買い替えた方が良いと思われます。

4〉キュービクル(受電設備)の塗装が必要

    電気設備については定期的に九州電気保安協会の点検を受けていますが、キュービク    ルの下部と天井の塗装が剥がれ掛けているので、塗装をやり直した方が良いという指    摘を受けています。学園電源の大元になる設備ですので指摘通りに塗装工事を行いた    いと思います。

 

5〉リハビリに必要な設備及び運動器具の購入

先ず始めに「鷹取学園はリハビリを行うための施設ではない」という事を確認した上での内容であるが、老齢化防止や体力維持を目的とした運動を効果的に行うため、リハビリの先生方の助言を仰いで、チューリップハウスもしくは各ホームのディールーム等に必要最小限の運動器具や設備を整えたいと考えている。例えば歩行訓練でわざと不安定状態を作るために購入した「エバーマット」のように、危険性のないものであれば、支援員が常時傍に付かなくても、利用者のみで行えるような器具(設備)があればと思う。(: 歩行用の階段・昇降式平行棒・壁面用肋木・肩用の滑車等)

 

6〉アロエ班の器具(粉砕機・スライス機)の買い替えが必要

   現在使用している粉砕機はアロエ班開設の昭和63年から使用している物で、使用後は必ず点検・掃除・整備を行っていましたが、かなり古くなってきた事と、衛生面を考えた際に「使用後に丸洗いできる物」に買い替えた方が良いと思われます。また、スライス機についても班開設時に明治屋産業株式会社様から中古の機械を譲り受けて使用していた物ですので、使用時の安全対策の意味も含め買い替えが必要になっています。

 

7〉陶芸班の電気窯の買い替えが必要

   現在使用している電気窯は平成7年度に購入した物ですが、元々窯の寿命は約10年と言われており、必要に応じて修理を行っていましたが、窯自体が錆びて来ており、内部もニクロム線が悪く、耐火レンガも劣化が進んでいます。修理をすれば新しい窯を買うのと変わらない費用が掛かるとの事であり、今までのような大型の窯ではなく、使い勝手の良いサイズを購入したいと考えています。

 

) 維持管理、その他

1〉ボイラー缶内の点検及びメンテナンス

フラワーホームは各居室のエアコンに切り替えましたが、本館機械室の給湯ボイラーについては、平成25年度も保守点検の契約を行い、点検・部品交換・掃除まで行いました。今後も継続してメンテナンスを依頼し、機械の老朽化を防止して少しでも省エネに繋がるようにします。

 

) 園内の環境整備

1〉各ホームの装飾

園生居住棟のプロ野球ホーム(男子棟)、ディズニーホーム(女子棟)、フラワーホーム(重度棟)に、各ホームの特色を持たせるために、ホーム毎に装飾を施します。

 

) 学園周辺の環境整備に関する事

      学園周囲の環境については、1年中、いつでも花が途切れる事なく咲いているといった環境整備を考えています。各ホームで植えつけ、管理を行っていくといった方法で進めます。また、樹木に関しては、外部のプロに依頼して園庭整備を進めていく予定です。

) その他継続懸案事項

〈1〉居室改装(バリアフリー構造)の件

高齢化に対しての、居住空間の改善ということでは、部屋が狭すぎるといった事が考えられます。現在は和室であるため、床と上がりがまちの間に段差があり、高齢化を考えれば床はフラットで、汚れた場合に手早く掃除できる等、衛生的且つ安全に活用できる、介護しやすい居室の改装が今後必要になると考えられます。

 

2〉風呂場の改修工事について

    入所者も年をとり、風呂場の浴槽が深く、入る時の浴槽の壁が高くなっており使用しにくい状態です。現在は歩行器を使用している入所者が、一時的に使用している方を含め4名います。支援員が介助する場所も介護用の椅子を設置して手狭になり、特殊浴槽の設置を含め、風呂場の構造から考えなおして行く必要があります。現在の場所では広さが足りず、他の場所に改築した方が良いと判断されます。(例えば現在のレストルームの場所等が考えられると思います。また、風呂場の位置により、現在利用している風呂場の後をどのように改築利用して行くかなどの問題が生じてきます。今のところカラオケルームやマッサージルームとして利用するか、ベッドを置ける洋室に改築したり、日用品や行事の備品等を保管する倉庫として利用するか等が考えられます。)

 

   3〉個室増築計画

    インフルエンザの流行時にどうしても隔離しなければならない対象者が出ましたが、医務室だけでは足りず、隔離のために自宅に帰すという方法を取らざるを得ません。

風邪引きの例でもそのような状態ですので、現時点で精神科にかかっていて、本人自身が眠れないとか、動いてまわり他人に迷惑をかけるために、特別に一人1 室を使用させなければ生活できない人がいます。更にこれからの高齢化を考えますと個室(洋室化・バリアフリー化)の必要性が高くなると思われます。

 

4〉廊下の冷暖房設備について

フラワーホームの各居室をエアコン空調設備に切り替えて、従来のセントラルヒーティング形式の全館冷暖房設備の棟は無くなりました。今後は入所者の高齢化を考えて行かなければなりませんが、その時には廊下の冷暖房設備が必要と思われます。

 

5〉屋根の防水改修工事が必要

   平成25年度に男女居室棟(プロ野球ホーム・ディズニーホーム)の工事を実施しましたが、他の棟についても順次工事が必要です。平成26年度は重度棟(フラワーホーム)と作業棟の工事を計画していますが、平成27年度には管理棟という事になります。

 

6〉歯科診療室をどのように考えるか

  現在、歯科治療を学園内で実施していますが、機械が古くなってきています。措置制度の時には学園側が全て考えて行くという事になっていましたが、現在の制度の下では、病気に対しては入所者の自己負担という考えが基本にあります。今後起きてくると思われます歯科治療機械の買い替え等の問題についても、学園独自で新たな歯科治療の機械を買い替えることが妥当であるのかといった問題が生じてくると思われます。今後とも充分に検討して、具体的に考えを進めて行かなければならないと思われます。

 

 

7〉避難誘導灯(LED)の改修工事について

   学園の避難誘導灯は昭和56年からの古いものが付いたままで、かなりの電気を喰っています。現在はLED器機が出回っていますが、取り換えにはかなりの費用が掛かるようです。長い目で見ると電気使用量的には節電になるといわれていますが、まだまだ器具の方が高額のようで、もうしばらく様子を見ながら進める方が良いようです。

 

) 平成26年度職員研修計画

(1)研修計画を立てるに当たり

平成26年度4月からは新たに女性3名の採用を計画しております。

 

(2)平成26年度職員研修

重度、最重度知的障害をもった入所者に対し、充実した支援を提供するために、それぞれの立場の職員に対し、研修の機会を多く提供して、できるだけ早く知的障害者福祉について深く理解ができるように進めて行きたいと思っています。社会福祉施設の職員として、高い質の向上が望めるように図って行きたいと考えています。

平成254月より「障害者総合支援法」がスタートしていますが、どのように時代の流れが変わろうとも、重度、最重度の知的障害をもった人達に対する日常的支援の内容は、それほど変更できるものではない訳ですので、しなければならない事は必ずして行かなければならないと考えています。

何時、どのような場面においても対応できるように、他の老人福祉分野とか身体障害者福祉分野とか精神障害者福祉分野と比較した場合に、知的障害者福祉分野においてはその特性が余りにもなおざりにされていると感じるところです。

現場を預かっている職員自体が本当に知的障害の特性を把握しておかなければならないのは当然のことですが、なかなかそれができないのが現状です。それ故、今までの歩みからでも分かるように何時も他の福祉部門と並んだ形では進んで行けません。

知的障害に重複した形での身体障害や精神障害、高齢化への対処といった支援を行わなければなりませんので、主軸になる知的障害の専門性を高めるために、関係する研修に参加させるつもりです。各関係機関の開催する研修会等に積極的に参加させ、職員一人ひとりの質の向上をはかり、鷹取学園という一施設の立場からではありますが、周りの知的障害児・者福祉分野へ、他の障害者福祉分野へ、また日本の社会福祉全体に向けて、更なる社会福祉の向上を目指して一石を投じる事が出来るような存在の施設になるように努めて行きたいと思います。

 

研修内容

    1〕福岡県社会福祉協議会主催による各種研修会

    2〕全国社会福祉協議会主催による各種研修会

    3〕全国知的障害者福祉協会主催による、各種研修会等

4〕福岡県知的障害者福祉協会主催による、各種研修会等

5〕福祉関係機関より案内を受けた各種研修会のうちで、内容を検討し、当園に必要と思われる内容を取捨選択し参加

    6〕異種開催の各種研修会並びに通信教育及び資格認定講習会等

  7〕関係行政機関主催による研修会

8〕海外研修

国及び各福祉諸団体が主催する海外研修、その他知的障害者福祉の向上につながる内容の研修会

  9〕その他

    例)知的障害者福祉の向上につながる研修等

知的障害者の加齢化、高齢化に対して対応できる研修等

 

) 職員の健康管理

    職員の健康管理については、年1回実施予定。ただし、夜勤勤務をする職員のみ、年2回の法定健康診断が必要となっています。年齢が35歳以上に当たる職員については、成人病検診の内容までを対象として進めます。

    検診の結果、少しでも異常の出た職員に対しては、日常から健康管理に留意させながら対応するようにしていきます。また場合によっては保健師指導を受けるようにさせたり、本人の症状に対しては、より早めに治療に行くように助言したり、健康管理に努める事が出来るように配慮して行きます。

 

10) 避難訓練

  法的には、1年に2回以上の避難訓練を実施するようになっています。最低2回の訓練のうち1回は夜間を想定した避難訓練を実施します。火災時には、通報、初期消火、避難が必ず守れるようにします。最近では、ゲリラ豪雨・台風・洪水等の異常気象が発生していますので、火災想定だけではなく、様々な災害から身を守るという「防災意識」が必要です。学園の建物からの「避難」だけではなく、園外に出ている時に「安全な鷹取学園に戻って来る」という「防災訓練」も必要です。