--- 鷹取学園20周年資料 ---
重度知的障害者更生施設 鷹取学園
【19年間の医療管理の経過】
園長補佐兼看護婦 介護支援専門員 山下桂子
目次
はじめに………………………………………………………………………………・…1
(1)施設の生活を守る為の注意点
(2)診療面において
(3)職員の連携・………………………………………・…………………………・…2
健康管理体制の図参照
(4)定期的な会議による連携プレーでの管理・…………………………………・・3
(5)施設の医務室のあり方
(6)治療について
(7)検診の内容と経過について・・……………………………………………・・…4
1.平成11度 年間健康管理計画について
2.平成11年度 健康管理まとめ
3.個人の健康診断表…………………………………………・・……………・・6
(8)診療のデータ
1.開所以来の健康状況・………………………………………………………・9
2.開所以来の肥満度・・…………………………………………・……………10
3.開所以来の診療日数状況…………………………………………………・・11
4.開所以来の田虫水虫状況・・………………………………………・・………12
5.開所以来の入院と退所状況・・………………………………………………16
(9)老いの問題について・………………………………………………………・・…17
(10)歯科診療の経過について
《治療の方法と班分け》・…………………………………………………・……・・18
《待合いの場も含んだ治療》
《開所以来の検診と治療状況》
1.検診表・治療日誌・・……………………………………・…………・………19
2.歯槽膿漏検査と歯磨き評価表………………………………・………………20
H.6〜班別の歯磨き評価とH.11年度の前半と後半の比較
3.開所以来の検診、治療内容、月別の治療状況・……………………………21
《19年間の経過より今後の課題》・………………………………………………・25
《安河内先生の講演会》
(11)精神科疾患の経過・・……………………………………………………………25
《嘱託医の紹介と経緯》
《診察のあり方》 7
1.精神科状況報告書・癲癇発作状記録・………………………………………26
2.レンノックス症候群の報告書 ………………………………………………27
3.精神科疾患用帰省報告書 ……………………………………………………28
《診療の経過》
「癲癇発作について」
1.精神科治療者の一覧表・……………………………………・…………………29
2.開所以来の癲癇発作回数と部分、全般発作と症候群の比較・……………・31
3.癲癇発作経過・・…………………………………………・……………………・32
※ケース紹介・……………………………………………・………………………32
4.精神障害の経過…………………………………………………………………62
※ケース紹介
《精神科の診察より学ぶ》・・………………………………………・………………75
1.とらえ方・・…………………………………………………・…………………76
2.医療との連携
3.日課に添わせる指導
4.相性の問題を重視………………………………………………・・…………・77
5.園生間の組織を大切に見る。
6.親の協力について
(12)医療講演会について・・………………………………………・…………………77
今後の課題…………………………………………………………………………………・79
おわりに
《19年間の医療管理の経過》
園長補佐兼看護婦 介護支援専門員 山下桂子
はじめに
創立20周年目を迎え、私には19年間の経験が、次の世代に残せる仕事をしたかどうかを問われる節目でもあると実感している。
19年間の経験から考えて、施設の医療は、医療を中心として園生を見るのでなく、園生を中心にして医療をどうするのかという観点が重要と思われる。何事も全体的に見た「とらえ方」が大切で、その次に特に必要性のある部分に目を注ぐといった「とらえ方」の健康管理をしてきたと思う。それが良い方法であるのかどうかは、自分では決められない事である。
19年間の仕事の中で即、言える事は「清潔第一」「健康第一」「人間関係第一」ということの管理の大切さである。これは一つ一つ別のことの様であるが実は、つながりのある大事なポイントである。この内の一つでも管理不十分となると施設生活が成り立たない。これは、外から見れば何でもないことだが、重度の施設では大変に苦労するところである。開所以来19年間の健康管理の経過を述べ、今後の課題をまとめてみた。
(1)施設の生活を守るための注意点
集団生活において避けられないことに、「感染」という問題がある。このことは、外から見れば何でもない事であるが、当園のような重度施設では、清潔、不潔ということの理解が劣り、また「うつる」ということに関しては抵抗力も非常に弱く、発生した時の対応にも困難さがあり、「清潔」ということの管理に一番、神経を使ってきた。感染に対する予防管理は、全職員の日常からの意識と協力体制のあり方次第にかかる問題であるという視点に立ち、開所当初から「重度だからできないという考え方」は持たず、可能性は職員次第であるという当園の方針で取り組んだ。結果、現在は習慣づいており、一年中、手洗いとうがいの習慣づけ、身の回りの清潔の確認など、現在も徹底して行っている。
(2)診療の面において
施設生活において、健康管理の為の検診や診療は、それを拒否せずに受けなければ生活ができなくなる。どんな重度のタイプの園生でも、傷の治療を受けさせるように、薬が飲めるように、検査(少なくとも胸部レントゲン・心電図・エコー検査・採血・採尿・血圧測定の程度は)やDrの診察が受けられるようにすることである。これも一般の人から見れば何でもない当たり前の事であるが、当園の健康管理にとって一番必要にせまられる点であり、本人が健康に生活ができることにつながり、「生きる」という上から大事な事である。
※積極的にしつけをしてきた結果、20年を迎えた今は、殆どの園生は学園での検査と診察はスムーズにできるようになっている。全員となるとやはり20年近くの年月を要した。又、これも学園生活の場所での慣れた診療の検査場所があってのことである。
(3)職員の連携
指導員との協力管理体制は非常に重要で、このシステムがなければ、きちんとした健康管理と施設生活援助としての処遇が成り立たない。管理体制は図(1)に述べる。この体制は開所3年経過後よりマニュアルにして実施してきた。
次の図の管理体制は組織運営にとって、絶対に必要な連携管理であり、この体制を徹底して守ることが、園生の安心した生活につながった。
(4)定期的な会議による連携プレーでの管理
月一回の定期的なホーム会議にて、全体的な状況と問題点を把握。その時に医療面より生活指導に役立つこと等をアドバイスする。
この会議は、そのホーム内で問題となっている事を皆んなで出しあい、解決策を皆んなで考え、そして決めたことを皆んなで実施し、次回に経過または結果を報告するというやり方である。このことは園生の指導はもちろんのこと、生活全体に加えて人権を守る等も含む大事な内容となっている。定期的に維持実施するという所に重要性がある。
(5)施設における医務室のあり方
当園の医務室はオープンスペースであり、アットホームな雰囲気になれるように気配りしており、どんな些細なことでも訴えて来られるようにしている。
開所当時からしばらくは、拘りのある園生や最重度の園生に医務室をかき回されるという大変な毎日であったが、それでもドアに鍵をかける事なく、オープンスペースのままで取り組んできた。その結果、現在は何んの問題もなく、余暇時間の出入りは多く、憩いの場のようになっている。また、医務室利用が園生にとっては、「ストレスの解消の場」、職員にとっては、指導上で難しいケースが出た場合に、実際に医療的立場からの見方接し方が見られる場所、覚えられる場所として付加価値のある場所にもなっている。
園生が小さい傷でも自分から訴えられる場所であり、単に覗いて声をかけて行くだけでも医務室としての存在感を持って貰い、安心して一日が過ごされるという姿が、施設の医務室のあり方だと断言できる。
(6)治療について
日中の治療は医療機関が70%、家庭の治療程度が30%の割合いである。
家庭の治療程度30%の内容は、1回位の下痢、風邪ぎみ、転んでの擦過傷、自他傷の掻き傷に噛傷、虫刺されなどであるが、この30%が大事なことで、その人にあった手当を確実に行うことである。
治療は全て精神科領域というとらえ方をしている。それは、手当を嬉しさで表現できる人、反対におおげさに病人になりきる人等、どちらの場合も、普通の人に対する治療感覚では治療ができない。この時とばかりの心の訴えがある。患部と心のケアの手当が同時に必要であり、これをこなしてこそ、また、大切に思ってこそが施設の医療管理であり、医療機関との大きな相違点である。
身体の異常については、宿直者の申し送りにより朝の会で一回目のチェック、二回目は入浴時にチェックを行い、早期発見と早期治療に努めている。
(7)検診の内容と経過について
19年経過の今でも全員が普通に行うような検診方法では、できにくい状況であるが、学園内での検診内容については大体のところ全員可能となった。
この検査範囲で異常が出てこない部分は経過観察となる。体の異常を自分で分からない人や、精神病的な要素が強く、病気の内容が判断できにくい人とがいる。この点が大変な部分である。特に検診ができにくいものとしては、眼検査、婦人科検診、聴力検査、内科の検査で胃腸透視とカメラ検査などである。上記の説明の様に検査は最重度者だからできないことでもなく、軽度でもできにくいことがある。
次に年間の健康管理状況のまとめと年度始めの健康管理計画を述べる。
1. 平成11年度 年間健康管理計画(検診内容を含む)
平成11年度 健康管理計画
重度知的障害者更生施設 鷹取学園
〈全体的な健康管理〉
平成11年度も、入所者の健康管理については予防的立場に重点をおき、園生の運動量(活動量)・栄養面にも留意しつつ、日常生活面における質的潤いを考慮しながら健康管理を進めて行く予定だ。
〈精神科疾患者の治療〉
特に学園生活に不協和音を持ち込む精神障害を重複している園生に対しても、精神科嘱託医・糸井孝吉先生の治療を受けながら、癲癇発作、精神分裂症を軽減し、学園生活に参加、適応できるよう努めて行く。
〈歯科治療〉
法定健康診断の実施はもとより、重度者の歯科治療が全国的に大変難しいといわれている中、平成10年度も全園生対象に順調な歯科治療が行われてきた。現状はブラッシングを中心の歯周疾患の治療に移行できている。
この実績を踏まえ平成11年度も引き続き治療の必要な人に対し、治療を進める予定である。歯科治療の面に関しても今や予防的立場からの取り組みができるようになっている。
尚、歯科治療の対象となる班分けは次の通りとし、4班が順番に回り治療を受けるようになっている。
No
治療グループ
毎週『火曜日』に実施
時間帯
1班
機能回復指導班 + 染色班
14:00 〜 16:00
2班
手工芸班 + ピンチホルダー班
毎週『金曜日』に実施。
時間帯
3班
和紙班 + 陶芸班
14:00 〜 16:00
4班
アロエ班 + 農耕班 + 園芸班
〈健康維持・管理体制〉
健康維持管理については、日常的対応は看護婦を中心に行うも、直接指導に当たる指導員の協力と、健康管理維持の基礎ともいうべき食事を司る調理場とコンタクトを取り、病気に対する予防に留意して行く。また、病気にかかった園生には嘱託医及び協力医のもとに治療をうけさせ、健康維持に努め入所者全体としてのの楽しく明るい学園生活を守って行きたい。
〔健康維持管理内容〕
1。日 実施項目
投薬を必要とする園生
精神分裂病、癲癇発作のある人、その他必要に応じた場合の対処
2。週 実施項目
全園生に対する検温。原則として毎週月曜日に実施する。
3。月 実施項目
1)血圧測定 2)体重測定 3)検尿 4)皮膚病検査 5)精神科医による月2回の検診
4。年 実施項目
1)心電図測定 2)身長測定 3)肝機能測定〔健康診断の結果、医師の
指示ある人のみ〕
4)成人病検査〔35歳以上の人のみ〕
5)委託検診
歯科治療……全園生対象 4月実施
日本脳炎予防接種、インフルエンザ予防接種……父兄の希望される園生
精神薬内服者の副作用検査
血液検査……腎、肝臓機能(春、秋の2回)
5。不定期実施項目
1)水泳時期 適・不適の診断を受ける …… 7月
2)感冒流行時に検診 …… 1、2、3月時に実施
6。法定検査
1)健康診断 …… 春・秋2回
2)胸部レントゲン検査 …… 10月中
老齢化対策
重度の知的障害を持った人達は普通の健康人よりも、色々な病気にかかりやすく、日常からの健康管理により真剣に関わらなくてはならない。加齢化も早く、学園の中には40歳前後になると、急に老け込んでしまう人が出てきた。小田俊枝さんのように、腎臓障害が進んだり、メヌエール症候群のでる人もでている。今後更に老齢化による障害が増えると思われるため、これに対する研修会等に出席し、導入できるものを見出しながら、健康管理を試みてみたい。
学園の健康管理体制
添付図を参照
学園協力医
精神科 南小倉病院
内科 魚住医院 直方中央病院 外科 西田外科 西尾外科
皮膚科 大森医院 耳鼻咽喉科 宮城医院
眼科 阿部眼科 婦人科 江本産婦人科
2. 個人の健康管理状況・検診結果・健康診断
※その他、年間の個人検診の結果と診療数を表したものを保護者に渡し、子供の健康状態を知らせるということをしている。全体的に個人の状態を知るということが必要なことであり、精神療法の根本的な面と思える。
(8)診療のデータ
診療の状況の結果判断としては、診療数が少ないからと言って健康とは言えないこともあり、この点については指導員の健康管理上の配慮によるところも大きい。なによりも日常生活面をあずかる指導員の健康観察が要求される。
次に開所以来の経過を添付
1. 開所以来の健康状況
2. 開所以来の肥満度状況 当園の肥満度
3.開所以来の診療日数状況
4.開所以来の田虫水虫の治療実人数
田虫水虫は施設病と言われるほどの「うつる」皮膚疾患の一つで治療が結構大変である。
月一回の定期的な検査でチエックして治療しているが、季節と生活という問題においては避けられない疾患の一つである。
5.入院と退所状況
(9)老いの問題について
当園の40才以上の人数と障害程度の表
施設の老いる問題について19年間の現場経験からの意見として、次のことがあげられる。今後どのように対応していくかが問題である。当然のことながら、高齢度が高くなればなるほど医療的なケアの度合いが高くなる。そこで、入院問題がおこり、付き添いの問題も起こってくる。特に最重度者や精神科疾患を重複する人達へのケアには、職員の24時間処遇体制という条件が必須となる。このことは、現在の法的な職員定数では、解決できる問題ではない。今から、介護や看護を受ける園生が増えることは予想される。
介護者は子供にとっては親がなによりであり、あくまでも親が主体であると思うが、親も高齢化を伴い介護は困難であり、施設で対応せざるを得なくなり、施設内で医療的ケアを行うことが多くなると思われる。当然、医療機関との連携を保つということが重要となる。医師の指示のもと医療的ケアを行うにしても、問題なのは医療機関の仕事範囲の内容を施設で見るという事である。そこで、施設での介護、医療的ケア対策として、処遇の原則的な指針となるマニュアルをつくるなどが必要となる。
今までは、施設内の介護と医療機関の受け入れで、何とか現実を乗りきってきたが、親亡き後の問題となるとスムーズに行かないと思われる。園生の老いの問題は、施設内での医療的ケアの方向に添って、医療機関との良い連携を保つ、設備面と処遇面の改善、保護者と施設側との連携体制などが重要なカギと思われる。今、当園は高齢化を迎える準備期であり、大きな課題の一つである。
(10)歯科診療の経過について
開所より安河内歯科医院の治療を受けている。歯の治療を同じ医師から19年間、全員が年中継続して受けられるということは、健康な生活が送られるという保障に通じるものである。
経過としては、S.56年からS.61年の6年間は通院、S.62.4.17日に歯科治療室を開設、往診治療となる。歯科治療室開設の理由は、医院の待合室で待つと言うことが苦手で、立ったり座ったり、うろうろしたりと落ち着かず、果ては飛び出したり、失尿したり、又他の外来者を噛む、叩く、髪を引っ張る等の問題を度々起こし、医院と外来者に大変な迷惑をかけ通院が困難となる。又、61年までの治療は週2回通院、1回に5〜6人で、限られた人数を繰り返す状態のため、通院が困難な最重度者のことや、全体的な判断より将来的な事を考えて歯科治療室を開設することになる。往診となっても、治療中に開口器を噛み潰したり、抑制帯で治療する等のむずかしさがあったが、14年目に入った現在では、検査、治療が一般の人と変わらない内容ができるようになった。又、安河内先生は指導員に対し、健康な生活と歯の問題を、常に意識した処遇になるようにとの配慮で取り組まれている。当園はこのようなありがたい重要な支えもあり、生活がなりたっていると考える。
《治療の方法と班分け》
週2回(火・金曜日)14時〜16時の約2時間、人数は約25名〜30名。
組み合わせは、H.12年度の健康管理計画に掲載、9班を4グループに分け、1グループの数を 平均にして、重度の訓練班と軽度の班の組み合わせとしている。
訓練の時間帯に班の全員が治療となる為、担当の指導員が付き添う事としている。
《待合いの場も含んだ治療》
先生は、単なる治療という事だけでなく「園生と会う日」というのが先に立った治療をなされていた。その結果だと思えるが、園生にとっては、治療日は「安心の日、楽しみの場、他の園生より特別な日」になっている。
治療の順は園生間で順番を決めているようで、トラブルも無くスムーズ゙に流れている。楽しみの場はいろいろで、テレビを見る、園生同士でちよっかいを出し合い遊ぶ、指導員に関わり甘える、上履きを揃える、看護婦さんを見ているだけで嬉しそうな人等いろいろで、そこには、嫌な恐い歯の治療の待合室とはほど遠い、ほほえましい光景がある。
《開所以来の検診と治療状況》(添付資料参照)
年度始めに検診を行い全体を見直され、その後に治療が行われている。その他に、年4回の歯槽膿漏検査、班別の通院で年1回のパノラマ検査を実施。叉、年度末には指導員の歯磨き評価などを示される。
治療内容は、治療日誌に歯科衛生士さんが記入し、それを記録してまとめている。
平成 年度 歯科検診 検診日 月 日 歯科医 安河内半六医師 記録山下桂子
歯科治療日誌 班
NO
氏名
月 日
月 日
月 日
1
治療
摘要
2
治療
摘要
3
治療
摘要
4
治療
摘要
5
治療
摘要
6
治療
摘要
7
治療
摘要
8
治療
摘要
9
治療
摘要
10
治療
摘要
1. 歯槽膿漏検査と歯磨き評価表
★ H.6年〜班別の歯磨き評価とH.11年度の前半と後半の比較・
2. 検診一覧表・治療日誌、治療内容の年度別比較・歯科治療回数と人数
★ 通院と往診の経過
《19年間の経過より今後の課題》
現在の治療は、歯周疾患が主で、ブラッシング処置が全体の約70%と多い。この歯周疾患は研究の結果、歯周炎による口くう細菌が血液に入り、腎臓病、心臓病、肺炎、を引き起こすことが解り重要な疾患として上げられている。又、舌癌は歯槽膿漏、義歯などの原因に刺激説も上がっている。
今のところ義歯は7名、さし歯が23名で合わせて全体の約40%、そのため「きざみ食」が14名、この内、ダウン症候群の園生が7名、55才以上の人が2名となっている。今後は益々もって入所者の加齢化に伴う、歯周疾患と義歯が大きな問題となってくることが予想される。
《安河内先生の歯科講演》
1回目は、平成6年2月6日「老化現象の歯の老化が引き起こす病気の問題」ということで、学園での治療の様子をスライドで紹介される。
2回目は、平成11年4月11日「歯周炎による口こう細菌の全身への影響」と題され、歯周炎の進行の防止は心がけ次第、施設にあっては処遇次第という講演であった。
(11)精神科疾患の経過
《嘱託医の紹介と経緯》
開所のS.56年からS.62年の前半までの一番大変な時期を、直方保養院(現在は中村病院)の院長、中村泰山先生に支えで頂いた。開所当初は施設経験のある職員の経験者が2名と言う事もあり、先生から常に園生の人格を傷つける事と体罰に関することについての指導があつた。それから、S.62.8.25日より九州大学第一内科助教授の坂田利家先生(現在は大分医科大学病院の第一内科教授)の助力を得て糸井孝吉先生が引き継がれた。(当初は城野医療刑務所所長)S.60年12月に定員が50名から70名に増員され、最重度に精神科疾患も増え、大変な時期を迎えていた時期である。学園もプロ性を要請される時期でありました。先生は嘱託医としての考えを「知的障害、癲癇、精神分裂病は現在の医療の段階では根本から治す事は困難である。しかし、園生については、職員の的確な指導と医療を持ってすれば病状を軽くして、施設の生活に適応させることは可能だ。」と示された。
糸井先生の考えに、職員は専門職としての意識を持ち、処遇に取り組み現在に至っている。
《診察の在り方》
診察は精神科慢性疾患の診療は約40%、癲癇22名(内レンノックス症候群 6名)早期幼児自閉症 6名(内 3名は分裂病症状を含む)非定形精神病 4名である。
嘱託医の糸井先生が月1回往診、指導員は自分の担当園生の一ケ月分の状況を作業面と生活面とにまとめDrに報告する。
保護者は、その報告で子供の実態を知らされるという場面を設定している。これは、保護者が定期的に実態を知り、現実を正しく認識するという大切な場となつている。この診察結果積み重ねが、精神科疾患の30名の園生はもちろんのこと、Drと職員と保護者間の信頼関係を築く大事な部分となり、保護者同士についても、お互いに家族と園生の状態を知ることで、わが子のこともよく見えるようになり、周りのこともよく理解できるようになった。この事は大変重要であり必要なことである。
現在の診療状況は、園生もDrに慣れ、父兄も緊張することなく普通に会話され、アットホーム的な診察となっている。また、指導員もDrの意見を聞いたり、アドバイスを受けたりすることにより、難しい処遇事例に活用していくと言った大事な場となっている。
1. 精神科状況報告書・癲癇発作記録
2. レンノックス症候群の報告書
3. 精神科疾患の人の帰省状況
平成 年度 帰省状況 氏名
●生活時間 起床→黒線 就寝→赤線 食事(薬)→青
月日時間
0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 23 24
●発作状況(月日・時間・場所・どうしているときに起こったか・誘因・状態等分かる範囲)
●生活状況(家での過ごし方・手伝い・外出
● 困られたこと
●帰省中にあった病気や怪我(月日と家庭治療か医療機関か等)
*できるだけ学園の日課に近づけた生活になるように。1日1回でも散歩の時間を作ってください。お薬を忘れないように飲ませてください。また、困った事がありましたら遠慮なく電話を。
この表は、長期帰省中の状態を簡単に報告してもらう書類である。
この内容は、指導員の処遇や、治療に役立てていく大事な部分である。
《診療の経過》
[癲癇発作について]
次の表に示すように、開所当初に比べ現在は癲癇をもつ人数は倍となり、レンノックス症候群の人も倍に増え処遇管理に大変さをきたしている。
発作に対する管理の第一条件は「規則正しい生活」にある。しかし、365日できることではない。このことを根本とした上でレンノックス症候群の人については、常に発作と体調面に注意をはらい、チエック表などで細かく管理している。神経質なくらいの配慮と、細か過ぎるくらいの管理がないと施設生活は困難である。その他の大体コントロールできている癲癇さんについては、度々トラブルの元となる「しつこいぐずり」に注意を向けている。
「ぐずり、しつこさ」については、注意の仕方によっては増長することもある。
ぐずりについては、おおかたは、わからずにするのでなく、わかってはいるけれど、どうしても自分として「ぐすぐず」言いたくてしかたがないのである。
「しつこさ」を出す場面や、時間はおおよその見当はつくものであり、このことをとらえた扱い、時間を置いた対応、興味移行等の方向転換等、癲癇さんの処遇の基本である。投薬の効用については、発作をコントロールさせることと、癲癇剤と安定剤を併用(軽い安定剤を投薬)することで、不機嫌な状態を軽減して、処遇しやすい状態にしている。安定剤の量はDrが処方されるが、原則は指導員の正確な観察が診察で報告され決まるものである。
次に発作回数と投薬について述べる。
1. てんかん発作治療者の一覧表・精神障害疾患治療者一覧
2. 開所以来の癲癇発作回数と部分、全般発作と症候群発作の比較
てんかん発作回数の経過
上記の表より入所定員の増員と共にてんかんも増え、S56の定員50名の内、てんかんは10名だが、S61年は、70名の14名、H6年は76名の16名、現在は76名の22名と増え、難治性も開所当時3名が7名と増えている。
3. 癲癇発作経過
精神科疾患一覧表の順に、癲癇発作の変化について説明したグラフを簡単につけ加える。
癲癇発作は、施設生活全てにおいて、総合的な視野で原因を追求すべきであり、入所当時からの経過を簡単に説明する。処遇内容は指導員の範囲であり、ここでは、私のとらえ方になるが、施設医療管理としての意見で述べる。
ケース紹介
NO.1 H・M (35)♂ 重度 レンノックス症候群 入所 S.56.4.1
リンク先で分かるように、S63年(8年目)より発作回数が減少する。月別では、寒い時期と春の気候の変化が激しい時期が多い。
★入所当初は日常は不活発で、指示介助が多く健康管理を要する状態であった。執着、収集癖が強く、ぐずりが目立ち注意に対し癇癪激しく(暴言、手当たり次第に物を投げる、物を壊す、人を噛む)、集団参加も難しかった。
S63年に入り発作が少なくなり、秋頃より施設適応の状態となる。この年より定期的な帰省を取り入れる。
特にH10年よりクラスの相性からか、日課の流れが皆に合わせられるようになり、楽しく生活ができている。
帰省中に足が立たなくなることが、S63.→H4.1と認められる。
◆ 現在の投薬内容は、コミタール4T・デグレートール7T・バレリン7T
NO2 O.N(34) ♀重度 レンノックス症候群 入所 S61.4.1
リンク先より年間の発作回数の経過は、減少傾向とは言えないが、今年度は前年度より少なく、発作の戻りがよい。
月別では寒い1月、2月が多く、時間帯は起床時と就寝中に多い。
★動作緩慢な為、日課へのスムーズな参加に難しさがある。健康管理の面が生活の柱となる。身辺自立面は不十分である。
H5年に入り日課の1時間遅れが30分と短くなり、今年度は週2日は皆と同じ様な参加ができるている。
下肢の「くねくね」した不随運動的な症状が、H8.9/H8.11/H9.10/H10.2/H10.5/H10.7H10.8/H10.12と計7回ある。
◆ 九州大学病院精神科で治療中
NO.3 O・T(32)♀最重度 レンノックス症候群 入所 S61.12.1
リンク先から見ると入所6年目より発作の回数が減少、時間帯は起床時と食事中が多い。
★医療機関からの受け入れで入所当初は重症であり、一見して施設適応とはほど遠いものがあった。健康管理と全面介助が柱であり、1日の日課に添うには無理があり、午後からは休むことが多い状態。但し誘導、介助には拒否が無く素直に従うことができ、このことが施設適応を良好としていくことにつながる。
S62の後半より、学園の全体的な理解ができる。→S63後半より自発性、言葉がよく出始める。年度末には自ら皆の中に入り過ごす。
H1年は、本人なりに気を遣う生活をする。
H2年は、意志表示がはっきりと出だす。(他の園生に関わる。わがまま、拒否などが多い)
H4年より、行事への参加の楽しみが出る。施設内の行動範囲が広がる。
H10.4/10間、体調のくずれが発作をこじらせる。ふらつきが取れず、食欲が無く入院状態となる。投薬を4×→3×に減量、3日経過よりふらつきが取れ、1ヶ月過ぎより生活に変化がでる。(声かけに自己主張に通じる言葉がでる。食事摂取が良く足どりもしっかりしてくる。)
●重症な癲癇発作でも薬の減量が、発作や生活に大して影響が無く、現在に至るということになるとは思いもよらないことである。現在は、週末に親もとに帰れるという嬉しさと、学園の楽しさを区別しての生活をつかんでいる。また、人を見ての行動にもでるようになっている。
◆ 現在の投薬内容は、アレビアチン0.22・リボトリール1.5・テグレトール0.75・
バレリン3.0
NO.4 K・K(31)♀重度 レンノックス症候群 入所 H6.4.1
グラフより年々発作の回数が減少、入所時15回→今年度は2回
★他の施設より転所、経験があるため入所後しばらくは、日課や対人関係も問題なく過ごせる。1ケ月経過より注意に対し、ぐずり、反発がでる。動作緩慢と執着が、日課への参加を困難とし、また体力も夕方までしかもてなく、訓練にでても午睡の毎日であった。2年目に入り日課は指示を要する状態であるが、聞き分けがよくなり、心身とも精いっぱい発揮している様子が伺えていた。
入所 5年目のH10年度に入り発作は抑制できている。生活面での体力も問題なく、クラスの良い相性も加わり、本人の役割も生きがいとなり、重度者の世話や職員の手伝いも積極的に行い、施設適応が良好となっている。
◆ 現在の投薬内容は、アレビアチン3T・デグレトール3T・バレリン6T・リボトリール9T NO.5 F・T(21)♂最重度 レンノックス症候群 入所 H9.4.1.
リンク先より、入所の年は、殆ど毎日の様に朝食前後に発作、午後より眠るといった状況であった。3年経過では発作の回数に変化はみられないが、当初に比べ、発作で日中に静養することが少なくなる。時間帯発作は起床時と就寝中が多い。
薬の合いにくい難治性発作であり、発作抑制に難しさがある。しかし、生活に関しては、適応良好の経過になってきている。
★入所当初は、全てに常に声かけ誘導が必要で、注意に対し興奮して暴れる、側にいる人や職員に向かっていく、叩く、蹴る、ぐずって寝ころぶ、暴力的な言葉を吐くなどでトラブルが頻繁におこる。学園生活は、一週間が精いっぱいといったところである。(毎週、帰省を取り入れる。)しかし、性格が活発で明るく、よく喋る、世話好きで優しい面などがあり、施設適応の見通しがある。
H10年の2年目は日課の取り組みは声かけ必要、上記の行為は週1回〜2回はあるが聞き分けがよくなる。
H11年の3年目の後半より、全体的に落ち着いてくる。(同室者のH・M君とのよい相性が影響)現在は時々、人の物を勝手に扱ってトラブルを起こしているが、注意に対しての反発も弱く、聞き分けが前年より一段と良くなっている。
◆現在の投薬内容は、アレビアチン2T・クロナゼパム3Tコダパン5T・バレリン8T
NO.6 H・T(29)♀重度 レンノックス症候群 入所 H9.4.1
リンク先より、3年経過では発作の回数の変化はみられない。時間帯は起床時、就寝中、午後の入浴後の点眼で起こることが多い。薬の合いにくい難治性発作のため発作抑制に難しさがある。しかし、現在、本人が家庭より施設を好んで楽しく生活をしているという点に今よりも発作減少の可能性はあると思われる。
★開所当初は体力がなく、日課についていけず午後は午睡状態、施設内のいろんな場面で、ちょつとした刺激(物音、大声、段差)で発作が頻発する。生活は、持ち前の明るさ、剽軽さ、人なつこさで人慣れ、場慣れがよい。施設内の歩行が、起床より午前中は不安定で、ヘルメット使用とマンツーマン対応が必要、午後より小走り状態になり、夕方の余暇には騒々しくなり、活気がでる。
2年目に入り、体力がつきだし歩行状態もよくなり行動範囲が広がり、ぐずりが少なくなる。
現在は、クラスの相性がよく、本人が家庭より学園生活を選び、帰省拒否が続いている。
◆現在の投薬内容は、バレリン8T・テグレトール5T・リボトリール3T・複合アレビアチン 2T
NO.7 K・A(37)♂ 最重度 ミオクロニー発作
リンク先より、S63年の入所8年目に入り発作の回数が減少、月別では、8月は暑さで静養が多いためか発作が少ない、全体的にみて高低の変化はない。時間帯は殆ど起床から朝食時間である。S58・S59年度は朦朧状態が多く、ふらついて倒れることが多い。S59.6月左目が緑内障と診断。19年経っての推測だが、そのころから脳梗塞が起こっていたのではないかと思われる。
★ 生活は、健康管理第一の対応が必要で、毎日、午後から午睡をとらせることで、日課が保たれている。体調不良、頭痛などは患部を手で押さえ訴えることができる。H.1年に入り、発作が減少した半面しつこさ、頑固さが強く、ワアーワアーと騒がしい状態で、自発的行動が目立つようになる。H3年は、ちょっかい、いたずらが目立つ。H4年頃より、班、クラスとも楽しく充実した日を送っている。また、性格の明るさに加え、お節介好き、挨拶好きも施設の適応を良好にしている。
現在、自宅療養から週2回の通園で処遇している。H11.11/19の親子旅行直後より足のふらつきが強く歩行不安定となる。回復の兆しなく、九大病院神経内科に受診。MRI検査の結果「Ponsのみならず、大脳脚や大脳深部白質にも梗塞巣が認めら、H11.12.28〜脳梗塞と診断され治療中。
◆ 現在の投薬内容は、ランドセン(0.5)12T・アレビアチン2T・リーマス3T
NO.8 K.A(35)♀ 最重度 ウエスト症候群 入所 H56.4.1
発作症状は瞬間的な脱力発作が1日で数えきれないほど頻発する。(瞬きのように瞼をパチパチする。膝がガクッとくずれおれる。頭が前か後ろにガクッと倒れる。食事中、茶碗を取り落とす。)そのため、表の発作の数字は1日としてあげている。入所10年目のH2年より、日課において発作が認められていない。
★入所より4年間は全く指導できない状態が続く。我がままからのぐずり、頑固さが強く、規制に対し癇癪が激しく手がつけられない。(激しく泣き叫ぶ、着ている服を噛み破る、注意に対し唾を吐きかける、掴みかかる、髪を引っ張る、引っかくなどの反発、攻撃にでる)。5年目のS60年に入り、上記の状態が徐々に弱くなる。
7年目のS62年の後半には、執着は強いが、おとなしくなり、指示にも従うようになる。
H3年に入り、衣服の好き嫌いが激しく、人を見ての行動がはっきりしだす。(特に父親の前では、おとなしい。)
H4年、M・S君、H5年〜K・H君、H11年度はM・T君と異性に対しての執着がでる。
入所14年目のH6.10/30〜軽い安定剤が癲癇剤と併用になる。公用車に執着して、玄関先での泣きぐずりが激しく、無断外出などがあった。その反面に職員の注意に謝るポーズなどがでる。
H7.7/24〜安定剤を増量。毎日の様に泣きぐずりが激しく、ちょとした注意に泣き叫び、日課拒否が続く。H10年〜本人の言葉(喃語)でのお喋りが多く、抱きついたり甘えで機嫌をとるなどの行為が見られる。まだまだ聞き分けも悪く、甘え、泣きぐずり、破衣が、今も尚続いているが、時間帯と原因がはっきりしているため、処遇もしやすく、ぐずりもすぐおさまつている。
◆現在の投薬内容は、テグレトール2T・ザロンチン3T
メレリル(10)3T(H6.10/30〜1T→H7.7/24〜3T)に現在に至る。
NO.9 M・K(♂) 中度 焦点運動発作
リンク先より発作の経過としては、入所7年目のS.62年より安定してきている。また、粘着性、爆発性の症状も見られなくなる。月別経過は、春、夏、冬休みの帰省期間中に発作があり、避けられない発作となっている。現在、嘱託医の糸井先生が発作の完全抑制中である。
★福間精神病院からの転所、入所10日目より癲癇性格が目立ち出す。保護室が無く、環境が違うということからか、ぐずりが出始める。職員に因縁をつける、女子職員を威嚇する(時に椅子や棒をふりあげる、チェーンを振り回し向かかっていく)
毎日のように、しつこさ、わがまま、興奮、暴力ざたを繰り返す状態であった。
行事前、帰省前は特に不安定となり、きまって身体異常(風邪、頭痛、不眠)を訴えぐずり出す。自己中心的な行動や異性間の問題などがあり、最重度者の多い中に、場違いの人がが一人いるといった感じであった。
入所4年のS59年にわがまま、癇癪を自分で押さえられるようになり、7年目のS62年の後半になりの安定してくる。時に不機嫌、くどさなどが出るも長続きしなくなった。
H3年に入り、なんでも積極的に取り組み、作業においては意欲的であり責任感がでる。H4年〜クラス内の重度の園生の面倒見もよく、自己本意な行動や、わがままは時々あるも、職員の組織の位置づけなどもわきまえた言動が聞かれ、良いリーダー的存在となつている。現在はその役割を良い方向に進めるている。
◆ 現在の投薬内容は、ヒダントール9T・テグレトール3T・ホリゾン(5)3T・メレリル(10)3T 眠剤投与 H3.2/10〜4×→3×に減量
NO.10 A・H(35) ♂ 最重度 焦点運動発作 入所 S.56.4.1
リンク先より発作の回数は多くなっている。H6年に入り一日に数回繰り返し起こるようになる。月別では、6月の梅雨どき、7月8月の真夏、1月の寒い時期に多くおこっている。しかし、発作が多くなっていくことに比例して問題行動が減少している。
★入所当初は、ペンの執着が甚だしく、毎日のように職員室、事務倉庫、訓練室、居室のロッカーなどから数十本と収集して、集めたものは全部壊す。また、注意に反発して、テレビ・ガラス戸を手で叩き割る行為が再三ある。
入所3年目のS58年に入り、ペンの執着が弱くなりだし、その変化として性的なべたつきが目立つ。
S61年に指導員の処遇でペンからノートへの移行をこころみるが、ペンとノートの執着となってしまう。
8年目のS63年〜執着が目立たなくなり、訓練、余暇時間においても、おとなしい状況となり、癇癪も見られなくなる。
10年目のH2年に入り、日課や身辺面のしつけの習慣化ができる。
H3.8月ペンを溝に沢山隠すという知恵も出す。
H4年の後半より歯ブラシ折りに移行2年ほど続く。その後再び、ペンとノートの執着に戻る。
現在もペンの執着、物色が続いているが、注意に対し、その時に反発するも即、反省する姿勢が見られる。また、他園生が注意されるのを見て自分に関係づけて興奮し、壁、ガラス戸、机、側にいる人、自分の顔などを叩くという行為が見られる。しかし、これらは声かけ次第で、すぐ治まっている。生来の人なつこい関わりが、施設の適応を良くしている。入所より1週間に1回の帰省を続けているが、今では、本人のストレス解消と週間リズムとなつている。
◆ 現在の投薬内容、複合アレビアチン3T・テグレトール3T・メレリル(10)2T・チネラック2T(緩下剤)
NO.11 K・S(45)♀ 重度 大発作 入所S564.1.
リンク先より発作は1年に1〜2回程度であり、月別は春、夏、冬の長期帰省中に必ずおこっている。
★入所より3年間は、自分に気をひきつけるために、園内外の場所をかまわず、偽発作を出す。(真に迫っているため職員はよくだまされていた。)入所よりの5年間は、月に数回は不機嫌、欝的な状態があり、特に行事、帰省前後の1週間は不安定で身体異常を訴え続ける。その後の3年間は時々ヒステリックになったり、行事により不安定になる程度。
H1年よりは、叱られそうなことをしでかした時に、体の異常を訴え、わざとらしく欝的になり、注意を逃れる行為が度々ある。異常なほどコーヒーを好む。
H6年に入り、職員の注意に対しての反発や、そのことで他園生に八つ当たりするようなことが見られなくなる。
嘘ごとを言って職員に関わってくるなどは、相変わらずであるが、重度者の世話や、園生を注意したりの手伝いをして、ー的存在となつている。しかし、施設慣れには要注意であり、処遇の上で大事な点である。
◆現在の投薬内容は、デパケン3T・複合アレビアチン2T
NO.12 F・S(42)♀ 重度 大発作 入所 S56.4.1.
リンク先より発作は減少の経過を示しているが、こじれる発作症状であり、一日で数回繰り返すことがある。月別では、春、夏、冬休みの帰省中や秋の親子旅行での、発作がきまって出る。(母親に会い、ホッとした発作と思われる。)
★入所よりS61年の6年間は、しつこさ、ぐずりが強く、ちょつとしたことでも泣いてギャーギャーしくあり、注意に対し癇癪が激しく、自分の頭を叩く、壁にぶつける(時に穴をあける)、ガラス戸に頭をぶつけて割る、他園生に八つ当たりして叩くなどが再三ある。また、職員にべたつく甘えがあり、他の園生の反感をかいよくトラブルのもとになっていた。
S63年の後半になり、おとなしい状態になり、声かけ指示にも素直に従うようになる。H2年に入り、ぐずりの方向転換ができ易くなる。
H6年に入り勉強道具に執着、本人なりの学習で余暇時間が落ち着いた状態となり、また、このことが方向転換に一番効果のあることになつている。
全ての面の取りかかりは遅い、自分の気に入ったことに執着する、注意された事に対し、自分が悪いと感じた時は自分の頭を叩いたり、壁にぶつけたり、お尻を叩いたりする、本人なりのしつこいお節介などは、現在も相変わらず続いているが、聞き分けもよくなり、嫌なことを避けながら生活していることも見られる。
※S56.6/2左手橈骨骨折、ギプス固定ができなく、シーネ固定にして一日に何十回も包帯を巻き直す。H2年に2度目の左手橈骨骨折、入所10年目であり、おとなしく一ヶ月間ギプス固定をさせる。
◆現在の投薬内容は、複合アレビアチン3T・テグレトール3T
NO.13 S・N(38)♀ 最重度 入所 S.56.4.1
リンク先より発作は完全抑制に出ているが、脳波上では、まだまだ治療の必要ありと出ている。発作症状は、フアーと倒れるか、座り込んでボーとする状態が数秒〜数十秒、はっきり確認できたのは、S57.2/10に「左に顔が向き小刻みに横に振る痙攣、1日中、失尿が続く、声かけには表情より反応はあるも、言葉がでなく水の摂取もできない」状態が24時間続いた。
★他施設より転所、最重度で右半身麻痺のハンディを抱えての入所、当初は、動作緩慢、集中力に欠け、日課の流れはその都度声かけ、誘導が必要な状態。S58.5月と9月にギャーギャーしいヒステリックな状態がでる。その後は生理との関係や季節の変わり目にでる程度となる。
入所7年目のS62年に入り、人の関わりが積極的となる。H3年〜人の好き嫌いをはっきり出して異性への関心もでる、(余暇時間は殆ど男子棟で過ごす。)H.5〜嫌いな園生の関わりや、職員に甘えさせて貰えない時に、気を引くために手を噛む、大声を出す、足を踏みならすなどが目立ち出す。この行為は現在も尚続いている。甘えが強く、愛嬌を振りまきながら気をを引く行為は、右半身のハンディの意識からと考え、このことを大切に思って処遇が大事となる。
◆現在の投薬内容は、複合アレビアチン2T ・テグレトール2T
NO.14 N・Y(37) ♀ 重度(入所時は中度) 入所 S57.7.1
表より入所13年目のH6年度より発作が確認されていない。前兆があり、意識がある発作である。誘引は殆ど精神的なことが多い。 発作は現在、Drが完全抑制中である。
★入所より3年間くらいは、時々、欝的、不機嫌、ヒステリックな状況が目立っていた。入所2年目のS58.10月に男子園生と性的脱線がある。その後は、時々不機嫌、癇癪がでるも激しさはない。生活の中で要領をつかんだようで、訓練、生活においても特に問題なく取り組める。
入所10年目のH3年に入り、職員の顔色を伺っての行動、被害意識の意思表示などが目立ってきた。この状態は今も尚続いている。
H5年は異常なほど生理を気にする。H6年の春休み帰省中より生理が遅れたということで精神状態が悪くなり、幻聴、幻覚の症状を認めたため、安定剤を癲癇剤と併用する。普段の状態に戻るまで約2ヶ月かかり、再度9月に同状態となるがその時は約1週間でもどる。その後、不安定がつづきイライラして重度者や嫌いな園生に当たるなどがあるが、H8年に新任男子指導員と交換日記を始め安定する。(同指導員は3年で退職)
現在は職員を、自分のいううことを聞いてくれる人、くれない人を見分けての生活をしている。言い訳も上手になり、皆なと同じことをすることや、観察されることに不満を持つ状態となっている。このことをとらえた対応が大事な点になる。また、情緒不安定になると睡眠障害をおこし、精神障害が出ると幻覚、幻聴、妄想がでること考慮して処遇をすることも重要なことである。
H12.3/22直腸癌と診断され、H12.3/27入院、H12.4/11に手術を受け入院中
◆ 現在の投薬は、デパケン3T・メレリル(10)1T
NO.15 M・Y(30) ♂ 最重度 大発作 入所 S60.12.1
リンク先より発作は入所1年を経過した頃より見られ始め、それから6年間は毎年1回はでる。
入所7年目に入り、1〜2年に1回の程度となり減少している。学園より帰省中の方が多い。発作の減少と平行して生活状態もよくなる。
★入所より10日間は、1日中泣きわめく状態が続く。その後はタンスの荷物を出して部屋中を散乱するなどが2ヶ月間続く。週1回帰省して、帰園した日は、きまって就寝前に泣きだし、吐き気を訴えぐずるなど、S63年度まで続く。
また、S62.5/1帰園して後に無断外出、近くの雑木林に入り込み、全身擦過傷の傷を負い全裸で歩道に出てきた所を見つけられる。入所より5年目のH2年に、クラス担任を男子から女子に代える、わざとらしさや甘えがでるも、生活に支障なく安定し、精神面のコントロールが本人なりに出てくる。
H3年〜 生活、作業においては声かけ、関わりを要す状態であるが、得意のお喋りで楽しい雰囲気づくりに一役買っているところがある。現在は、しつこさ、頑固さが日課にでるさほど問題となる程でもなく、ぐずり、わがまま、興奮などもなく安定している。また、他の園生に指示や注意などして満足し、新人が入ると世話をしたり、先輩ぶりもよく、余裕のある生活を送っている。
右上下痙性不全麻痺のハンディを抱えているも、明るく、礼儀正しい挨拶などをして、学園の中で良い目立ち方をして、施設適応を良好にしている。
◆現在の投薬は、テグレトール2T・複合アレビアチン2T、 ザ・ロンチン2T
H6.5減量→H11.5/25減量で現在に至る。Drが発作の完全抑制中である。
NO.16 M・H(36) ♀ 重度 入所 S63.8.22
発作の症状の確認は無いが、脳波上では癲癇波の異常は認められている。また、発作が起こらない半面、精神的な面で問題が多くでる。
★入所より4ヶ月間は、落ち着き無く、注意をされると癇癪をおこし、怒ったポーズをとり奇声を発する、押入、壁、ガラス戸を叩くなどが頻繁にある。
言葉の繰り返しがしつこく、それを相手にも繰り返させる。通園の父兄と園生に会うとしつこく接し、女子トイレを覗くなどの拘りが見られる。
H2年の3年目に入り、興奮、癇癪も目立たなくなり落ち着いてくるも、全ての面に切り替えができにくい状態。
H3年の後半に入り、生活の中で拘りが増えていく。(ドア閉め、職員室の灰皿の灰、医務室の戸棚閉め、治療後のごみ始末、歯科治療往診の看護婦メンバーなど)H3.5月〜残食をするようになり、9月には毎食食べ残しを捨てるようになる。それがH6年の前半まで続く。その後は、捨てることが少なくなるが今も続いている。8月には喘息発作がでる。
H5年の後半に入り、帰省中に母親に長時間延々と話しかける様になる。内容は学園の嫌な出来事、確認などで今も続いている。
H6年には、週末に汚れに関係なく衣類をまとめ洗濯に出す、下駄箱の靴の位置などの拘りが増える。H7.11月にプロ野球ホーム(男子棟)からフラワーホーム(重度棟)に移動。切り替えができにくく、歯ブラシ、靴を男子棟の元の位置に持っていく、朝・夕べの会前には、自分が前に生活していた居室にいく、起床時と就寝前には男子棟に出向くなどの拘りが見られる。
H8年〜言葉の繰り返しが2〜3度の応答ですむようになっている。
現在の問題は、くどさに、拘りであるが、大方は職員にとって役に立つこともあり、拘りの中身を理解することが大事である。
また、本人は、神経質なほどきれい好きで、常に身の回りを清潔にしている点は、学園にとって大切な部分であり、そういう面が見られても、施設適応は良好な方といえる。
◆ 現在の投薬は、バレリン6T・複合アレビアチン2T・メレリル(10)5T
NO.17 N・Y(20) ♂ 最重度 大発作 入所 H7.4.1
リンク先より、発作は入所より5年間で、計3回と回数としては少ない。
15才初発、17才で入所。言語理解はできるが、発語不能のため言語交流ができない。若さから出る激しさがあるとともに、親離れをさせなければならないため、発作の頻発を予測したが、そうでもなかった。
★当初の状態は、人の顔の前で「ハッハッハ」と息をはくような発語と、しつこく人の手を扱ってくる行為に加え、偏食がひどい状態であった。3ヶ月経過より手扱いが減少ぎみとなり、半年経過より自我が出始める。その反動もあり、日中は興奮しやすく激しさがある(職員に頭突き、叩く)。また手扱いは減少するも水遊びに移行する(口に含み吐き出す、水道の蛇口を全開して左右にふる)年度末には、激しい興奮もなくなり、手扱い、水遊びも減少傾向となり、自分の仕事という面の自覚が少しずつ出てくる。但し、日課の流れが変わると理解できないことから、上記の状態が激しくなる。
2年目に入り、問題行動が声かけで治まり出す。
身の回りのことが自らできるようになると、人の世話もするようになり、自分を出せる生活ができてきた。その半面、奇声やざわつきに反応して興奮するなどが目立つ。現在は、入所より実施してきた週1回の帰省を中止しても、特に問題とならず、施設生活に好意を示している様子などが見られる。また、好意的な園生に対しては関わりを持とうとする。
問題行動としては、怒鳴る、奇声を出す園生に反応する、ざわつきにイラつきを出す(うろうろする、水に拘る、手扱い)などが、あげられるが、上記の経過より施設適応は良好となっている。
★現在の投薬は、フエノバール10倍散30mg
NO.18 Y・A(21)♀ 重度 欠神発作 入所 H9.4.1
表より入所すぐの春休みの帰省中に1回あっただけで、発作抑制はほぼできている。左半身麻痺、施設経験はある。
★当初は、日課は声かけと少し付き添う程度で、指示に対し拒否もなくスムーズに取り組むことができた。身辺面は殆ど自立しているが、不安感情が強く、神経質な訴えが多く、毎日、日中、宿直時を問わず「寂しい、頭が痛い、苦しい喘息がでそう」などと訴える。また、1週間毎日、口もとの掻きむしりがある。
2ヶ月目になると、人慣れ、場慣れして、日課の流れもつかむ。年度末には、他園生の面倒をみたり、クラスの役割分担も自主的に取り組むことができるようになる。言い訳も上手になり、嘘をつくなどが再三あり指導員の注意を受けることが多くなる。しかし、行事前や帰省前は些細なことで泣きぐずり癇癪がでる。また、気にいらないとかきむしりがでる(耳、鼻中、腕、手足)。
食事については取りかかりが悪く、再三の声かけを要し残すことが多い。就寝状態は、眠りが浅く、夜中に目が覚めると「お腹が痛い、側にいて、電気をつけていないと恐い」など訴えることがある。特に生理日や行事前などがよくない。生理の初日は、決まってぐずりがでる。(下着を汚すことを嫌ってのこと)
2年目は、生活慣れした分、職員を見る余裕もでき、しっかり人を見て自分を出して生活するようになる。
3年目のH11.1/16〜ぐずりが強く、安定剤を癲癇剤と併用する(眠気もなく、適度な効用あり)。1週間もするとぐずりが弱くなり、指導しやすくなる。
現在は、癲癇性格の良し悪しの両面を目立たせながら、生活している状態。神経質、細かい、しつこい、ぐするなどより注意され、トラブルを起こしたりなど再三あるが、聞き分けもよくなっておりまた、注意の内容も考えるようになり、ぐずりも1〜2時間くらいでおさまるようになっている。
右半身麻痺というハンディを背負いながら、性格の明るさ、活発さ、人なつこさ、それとお喋りで、皆んなと楽しく生活ができている。本人のてんかん性格の両面が集団生活に与える影響は、良い意味での刺激となっている。今年はどんな成長が見られるのかが楽しみの園生である。
◆現在の投薬内容は、テグレトール3T・複合アレビアチン2T・メレリル(10)2T 内科より喘息薬内服と吸入で予防治療
NO.19 N・M(21) ♂ 重度 焦点運動発作 入所 H10.10.1
リンク先より、発作回数は入所して約1.5月の経過であり、今から抑制していく段階である。月別は、梅雨時期、季節の変わり目におこつている。時間帯は、午後と夕食時に起こっている。
他施設より転所、精神科入院歴あり。
★入所時は、表情は、ぼんやり動作もゆっくりで、若さの活発さがない。
その割には、日課において、少しの指示で取り組め覚えも早い。不機嫌、ぐずり、興奮などは見られない。入所1ヶ月の間に次々と注意を受ける行動がでる。
女子園生、女子職員に対し性的行為(胸をつかむ)、和紙班のミキサーの羽根を触り、指を4針縫合の傷を負う、抜糸の糸を再びくっつけるという行為、作業中に前髪を鋏で切るなどあり。
しかし、前の施設の習慣からか、早朝、目を覚ましテレビを見る、起床より朝の会は眠気が強く、起床よりのしつけに、午前中の訓練に支障をきたす。
入所前の薬が多剤であり、嘱託医が学園の生活、訓練に合わせられ、指導しやすい状態に処方される。
3ヶ月経過より、すっかり慣れた雰囲気があり、自己本意な行動に、注意に対して図太さを見せ反省の様子がなく、興奮して走り回る行動などがある。
H11.4.1より、内から外作業に変更して経過を見ている。
7月より室外作業の園芸班に移動(班の園生とは大したトラブルはなし)。本人の好む一輪車押し以外は持続せず、職員にしつこく関わったり、わざと大声を出したり、独り言などが聞かれる。女子職員では対応の難しさがあり、興味のある場面や場所に行くと興奮する。人を見てわざとらしい行動にでるなど見られるも、年々聞き分けも良くなってきて安定していきている。
◆ 投薬については、入所当時の投薬は癲癇剤2錠+精神薬物5錠投薬であったが、
現在はテグレトール5T・ランドセン2T・フエノバール(30)2T・メレリル(10)
NO.20 S・M(37) ♀ 重度 小児自閉症 大発作 入所 H.56.4.1
表より入所3年目からS62年までの5年間は確認され、その後は認められ無くなる。月別では季節の変わり目におこっている。
誘因は、ストレス、過飲水によるものと推測される。
自閉症に癲癇が重複、状態に激しさがあるも、癲癇性格の人なつこさが、自閉症の人間関係の難しい部分を良くしていったという経過となり、処遇しやすく、施設適応を良くしていく。状態については、自閉症の経過の欄で述べる。
NO.21 N・H(32)♂ 最重度 小児自閉症 大発作 入所 S60.6.1
初発は入所7年目の、H3.6/19, 24.4才の時、H.4.2.15より投薬開始となり現在に至る。年間の発作回数は減少している。H.11年度は確認がない。
月別では、夏、冬の帰省中、季節の変わり目の行事時期となっている。
誘因は、帰省中では生活状況によるもの、学園では拘りからの睡眠不足とストレスと推測できる。状態については、自閉症の経過の欄で述べる。
NO.22 K・M(31)♂最重度 小児自閉症 大発作 入所 S60.12.1
初発が入所4年目のS63.3.27 20才の時。
リンク先より、年間の発作回数は、拘りの状態によるもので、月別の発作回数も、帰園直後の環境変化による拘りで、落ち着き無くイライラしての過飲水が原因でおこしている。痙攣が終わり、朦朧状態のまま立とうとしたり、フラフラのままうろついたりで、危険な状態。体格がよいため、男子職員が3人がかりで見る。完全覚醒まで40分はかかり、その後、睡眠に移行する。
状態については、自閉症の経過の欄で述べる。
精神障害の経過
NO.1 T・T(38)♂ 重度 精神障害 入所 S56.4.1
初診はS56.5.14(入所44日目)
★初診時の状態は、接触不良で日中、独り言と徘徊。急に怒鳴る。食事中にお茶を一度、口に入れては吐き出す行為を繰り返す。紙、タオルに着衣の袖口を引きちぎり、部屋中散乱、一晩中寝ずに大声を出して徘徊する。指導員が1週間付き添って眠らせる。全く指導できない状態が続き、入所後すぐ精神科受診となる。
一年経過より、躁欝の変化が激しく乱暴な言葉を使うようになる。会話は即答、途絶があり、衝動行為、関係づけ自問自答などが見られるようになる。
秋には訓練を離脱して、部屋に閉じ込もることが多い。全体的に一年中落ち着かず、おこりつぽく、イラついた状態。その後、指導ができないから、できにくい状態に緩和され、この状態が変わりなく続く。
7年目に入り、季節の変わり目に、上記の状態が強くなる。生活が、指導が出来にくいところから、声かけ指示を要する状態にまで上向く。
入所10年目のH2に入り、女性の下着に執着、自室に持ち込む行為がでる。
H4年目には、担任との関わりが多くなり、居室のかたずけが出来るようになる。
入所13年目のH5.11/H6.8/H6.9/H7.5/H7.6と喘息発作がでる。
H6.10〜屑篭に放尿する。排便をトイレ以外での畳の上やトイレの床でしたり、便をタオルに包んで塵箱にタンスに入れるなどの行為が見られるようになり、現在も続いている。
H8年度には、居室の床、壁、タンスに唾を吐きかける行為が、月を追うごとに頻繁に見られ出し現在も続いている。
◎現在の主症状は、幻覚、妄想、非疎通性、意味の分からない精神運動興奮、女子の下着持ち込み、放尿、方便、床壁に唾吐き等がある。
上記の状態でありながらも、日課、作業も声かけ指示と、状態を見ながらの見逃しも意図的に取り入れて、何とか施設生活を続けさせている。意味の分からない言動が、皆をおかしさに誘うようで、このようなことも、本人にとっての施設適応を自ら促している。
◆現在の投薬は、コントミン(25)12T・トロペロン(1)6T・アキネトン6T・ベゲタ ミンA3T(眠剤)
NO.2 M・K(34)♂ 最重度 非定形精神病 入所 S56.4.1
初診は、H7.1.25(入所14.3年目)
★入所時より、ブツブツ独り言。ニヤついて空笑い。わがままで思い込むとしつこく、受け入れないと興奮する。常に何か手に持っていることがあり(空き缶、紙、広告紙、缶や瓶の蓋)、紙を口に入れガムのように噛む、水をよく飲むなどが目立っていた。時折、急に癇癪をおこし、持っている物で、横にいる人を叩く。物を投げて壊すなどが再三ある。また、洗面台に時計、電池、電卓などを壊して詰め込み、排水管をつまらせる等も再三ある。就寝状態は、睡眠が浅くスムーズさを欠く。
H5.3/27に電池とクリップを呑み込み吐血、飯塚病院に入院、その後も鏡の欠片を口に入れる行為などある。
●精神科診察となつた経過は次の通りであ。H6年に入り、他園生とのトラブル回数が多くなる。
H7.9〜H7.11の間に、T・T君の頭をゴミ箱で叩いて4〜5針縫合のけがを2回、Y・H君を突き飛ばし眼瞼の内出血、H・T君の頭を鋏で突くなどの問題行為がある。その他、物を投げつける、頭を叩く、背中から押すなどある。破壊行為としては、居室の窓ガラスや戸を叩いて外す、テレビやごみ箱を外に投げ出す、食堂のスピーカーを外す、窓やガラス戸を叩く、3段ボックスの棚を外すなどがある。
H6年度の問題行為は34回、H7年度は38回と報告が上がっている。
H7.11/25より投薬開始となり、3週間経過でおとなしい状態となり、攻撃的な行動が止まる。半面しばらくは、安静にしている人を見て、病気意識をもち、寝たがる癖などがでる。H8年〜腕時計、空き缶に執着が強くなる。
H9年に、T・H君に頭を4針縫合のけがをさせる。それ以外は、叩く、押し倒す程度が年に1〜2回はある。H9年より4月〜10月の間、口唇のひどい皮むきが見られ出す、この行為は毎年、同じ期間に繰り返し見られている。現在の主症状は、興奮、他傷、自傷、人の持ち物に執着、口唇の皮むき。その他、時々関係づける行動に、幻覚、妄想の症状と思える時がある。
余暇時間などは、人を常に観察して、人のものまねなどがうまく、対人反応は悪い方でもない。投薬の効用で指導しやすくなり、生活できている。
◆ 現在の投薬内容は、コントミン6T・アキネトン6T・ベゲタミンB1
NO.3 M・T(37)♂ 最重度 精神障害 入所 H56.9.6
初診は、S61.11.3(入所 5.2年目)
★入所より、しかめ顔、空笑、独り言、常同姿勢、常同行為、徘徊が目立つていた。躁的な時は良く会話するが、急に欝的になつた時は拒否の状態になる。「急に怒りだし走り出す、叩いたり押したり、ガラスを叩き割ったりする何時も首を横にぴくぴくと振っている」などが目だっていた。
●精神科診察となった状態としては、S.60.4.18学園の近くの森林に逃げ込む。片足ひきづり、耳塞ぎ、行事拒否に首をふる行為などが目立つ。
S61年自閉症状が強くなる。窓の開閉、塵篭の位置む、トイレの水流し等の拘り。食事摂取が不良となり、箸を沢山一度にとり一膳づつもち替える行為などがある。また、M・K君に暴言、お押入に閉じ込もりワアーワアー言うなど見られる。
S61年9月〜12月の間、同場所に同姿勢の状態でいることの多い日が続く、また、無為的でもあり、そのような経過で入所5年目のS61.11/3投薬開始となる。
S62年、暖房のスイッチの音、塵集め、書類の位置などの拘りがでる。
H2年、騒々しい時に首を左右に振り、騒々しい場は拒否してトイレに閉じ込もる、独り言、急な行動と徘徊(男子棟廊下右回りの常同行為)が目立つ。不機嫌で拒否状態か、躁的でとんぴんつくかで普通の状態がなく、常にせかせかした状態。H2.11/27胃カメラ検査で胃潰瘍と診断、現在も予防のため投薬中である。
上記症状は変わらず、作業離脱と朝のざわつく時間帯に癇癪は続く。
入所12年目のH5年に入り、担任に甘えが出る。また、女子職員にベタつく行為も目立つ。H6年〜季節の変わり目、日課の変更、帰省明けは不安定で、体をゆすり首を振り怒鳴る。また作業拒否、急に大声を出し走り出す、壁、ガラス戸を叩く蹴る、人を叩く押すなどがあるも、それ以外の日課では、時々、興奮しても落ち着きが早くなる。H7年〜上記症状は続くも、作業に集中する時間も増え、日課も時々の声かけで取り組むようになる。
H10年には、入所以来、始めて帰省状態がよくなる。
現在は、上記の問題行動が時にでるも、穏やかな日が多く、よく関わってくる。職員の指示にも殆ど拒否がなく、こちらも、間を置く対応が薄れるほど状態が安定している。主症状は、非疎通性、幻覚妄想、独言、しかめ顔、興奮と意味の分からない行動等であり、そういう精神的な部分が根底にあることをとらえた処遇と、投薬の絶対的必要性が学園生活に不可欠である。
◆ 現在の投薬は、コントミン12T・アキネトン4T + 胃潰瘍治療薬
NO.4 N・H(32) ♂ 最重度 小児自閉症 入所 H60.6.1
初診は、H4.2/15。すぐに投薬開始。
入所よりの状態は、両手で耳を塞ぎ目を瞑り、独り言を言いながら徘徊。声かけに対しオウム返しで意志の疎通が悪い状態、また、執着、拘りが強く、対象は不特定多数。日課の流れそのものであったり、物であったりする。特に学園公用車の位置が違っていれば癇癪を起こし興奮し服を噛み破る等の行為。公用車使用簿が気になり、職員の仕事ができないほどしつこくつきまとう。職員の車のラジエーター前部に塵を詰める、ワイパーを壊す、ミラーを扱うなどのいたずらが再三ある。学園の農具倉庫に拘りが強く、本人が決めている以外の道具を使うと興奮して、服を噛み、飛び跳ね、大声を出す。倉庫に塵を詰めたり、畑の収穫物を散乱させたり、といった収穫篭への拘り等と様々である。また、執着した物を確認するために徘徊する。例えば、隣の筑豊ブロックのフォークリフトや車が気になり日課から外れて出でいこうとする。たとえ学園の門を施錠していたとしても、フェンス上の有刺鉄線を乗り越えてまで出ていく。執着が始まれば時間に関係なくしつこく拘る。阻止しょうとすれば、大声を出し、服や棒等に噛みつく。その他、帰省中の問題な事として、飲食店の配達のバイクが動くのに執着し、自分の思うような動きがなければ、癇癪を起こし警察に通報され保護を受けるなど、また、勝手に家から出て行き、直方警察署に補導される等過去にある。
入所6年目のH3.6/19(24才)痙攣発作。その後、繰り返し起こり、初発より発作で時々、両肩を交互に脱臼、H10年に入り、左肩を頻繁に脱臼する。
H4.2/25〜癲癇治療開始となり現在に至る。データーについては、癲癇発作の経過で述べている。
H4年の年度末より、作業の缶つぶしが定着し、自ら取り組む姿勢が出る。
H6年に入り、興奮する事が殆どなく、問に対してオウム返えしが少なくなる。
H7年は、注意や気になることの話を聞く、考えるということが見られる。
H8年〜問に対して会話になる言葉が多くなる。現在も、@.農耕班の道具の位置確認、A筑豊ブロック内の道具の位置確認と板切れ紐等で車をつなぐ、B.公用車の動きと記録を確認、C.行事確認、職員出勤の確認、D無断外出(@・A拘りのため)などの拘りが定着している。行事と公用車の関係は避けられなく、また、季節の変わり目は拘りが普段より強く見られるが、激しい興奮などはない。指導員の指示によく従い、日課に作業によく取り組めている。 入所時の、事物の固執は変わらず続いているが、非疎通性、反響言語が改善されてきている。
◆現在の投薬内容は、複合アレビアチン3T・コントミン(25)3T・ベゲタミン1T(眠剤)
NO.5 K・M(31)♂ 小児自閉症 最重度 入所 S60.12.1
S59.4/1〜体験入所で入る。状態は、多動、徘徊、放尿、放便、異食、水遊び、興奮が強く、癇癪で首締め(職員、園生)などがあり、S60.4/23.村田クリニック受診、S61.12.1正式に入所となる。
S61年度は、生活環境に変化があると、落ち着かず、お茶のがぶ飲みで嘔吐(多い時は体重差が5kgの量)。水のみが毎食後、4ヶ月続く。ちょっとした規制に興奮して首締め(一年間、毎日のようにある)。訓練離脱、常に居室に布団を敷いて寝る。テレビの8チャンネルに拘る。異食は、トイレの芳香剤、アイスノンの中身、電池などがある。
S62.6月「ママ、ママ」と言って涙を流して激しく泣く。
S63.3/27(20才)17:38食堂で大発作(初発)。その後の発作の誘因の殆どは、周辺の状況が変化するとイラつき、水のみが多過ぎてナトリウム低下がきて起こっている。
発作のデーターについては、癲癇発作の経過で述べている。
発作後、おとなしい状態となり、本人より職員と手をつなぐ、女子職員に頬づりをするなどが見られる。癇癪により首締め行為が再三おこる。年度後半に入り、掃除、洗濯物の始末に拘る行為がでる。便ぬり、便を食べるなども見られる。(排便後にトイレの壁に塗ったり、衣服につけたり、指先につけたり爪にも入っている)。
H1年は、起床後の自慰行為がパターン化し、朝の体操、食事に出向かず注意に興奮するなどが一年間ある。後半には、頭髪の抜毛とそれを異食する行為が見られる。
H2年に入り、宿明け職員に対し学園を出るまでしつこく付いて回る。また、残業の職員を気にしてつきっきりで監視する。不機嫌の時には、物を叩いたり、舌づつみで威嚇する等見られる。首締めは側にいる園生に八つ当たりで行う場合が多い。*日課の流れを催促しての行動が目立つ。体験入所より8年目のH3年に、機能班からPMのみ軽作業班に入る。
H4年には、軽作業班に移動、始めは落ち着かず離脱があるも、取り組む姿勢ができ、3ヶ月後には自ら出向くようになる。
H5年、毎日、ロッカー内の衣類を全部洗濯に出すこだわりと、布団敷きとが交互にある。その他、便ぬり、水のみが目立つ。宿明け者の退社時間に拘り、離脱が多い。しかし声かけ誘導で班に戻ることができるようになる。また、トイレなどはサインを出して知らせていく。
H6年、短時間であるが、自主的に作業を行おうとする行動が定着する。7/25歯肉をえぐり取る。両足をかきむしる自傷があり、むしりとった足の皮を異食する。行事で日課が変更されると、徘徊、自傷が出る。
H7年の後半〜H8前半及び、H9年前半は、足背部のかきむしりと異食、それ以外の期間は、洗濯もの出しに移行する。
H10年度は、自傷なし。洗濯物への拘りが強い。また、後半は毎日のように側にいる園生の頭、顔をなめる行為が見られる。その半面、首締めが年4回と少なく、全体的に落ち着いた状態。現在は、日課の変更と帰省明けは学園に戻ってきた時には落ち着かず、徘徊、水のみ、奇声が目立つ。
毎日のように、日勤、宿明者の退社時間と洗濯物に拘っているものの、日課、訓練は、声かけ指示で取り組めている。また、注意には、罰の悪い顔つきに加え、謝るという行為が見られ出し、対人反応がよくなってきている。
強度行動障害であったのが行動障害程度に改善され、現在は、問題行動が申し送りの際には殆ど上ってこなくなった。
◆現在の投薬は、コントミン(25)7T・テグレトール3T・アキネトン6T
NO.6 M・H(42) ♂ 重度 ダウン症候群 入所 H60.12.1
6才の頃より、甲状腺機能低下で投薬中。
他施設より転所、入所前に頚椎骨折手術(腰の骨移植)。
★入所より甲状腺機能障害の内服中、S62.8/255〜多動と寡動の波が甚だしい状態で軽い安定剤投与。波の差が無くなり、普段はおとなしいが、好きな事には動きがよく、時に活発に動き回る状態となる。
H1年は、積極性がでて、時々活発に動き回る(廊下のスイッチを切って周りまわり、物の移動をする)。H2年はちょっかい遊びを多く始めて楽しそうな生活。
H3年に入り、入所時の体重41.5kgが67.4kgと肥満、頑固さが加わり動きが悪く、日課の誘導、排泄介助を要することが多くなる。
H4に入り、日課、訓練は頑固さが目立ち、マイペースで生活、現在に至っている。
腰曲げが目立つようになる(飯塚脊損センター受診では異常なし)。
H6年、クラスの園生と相性よく、余暇時間にいろんな遊びや言葉が聞かれる。また、夜中に大声をだして怪獣の真似したり、ノートを破って紙ヒコーキを作り部屋中に飛ばす等、突飛な行動が再三見られる。
H7年は、日課は全体的に時々の声かけで取り組め、作業は意欲的になる。
H8年〜帰省後は、動きが悪く、声かけ反応も鈍くなる。また、頑固さも強くなり、介助拒否なども度々見られる。この状態は、同室の園生にとっては理解できず、人間関係が悪いとなり、トラブル発生に至る。
H11年度は、自主的な面が多く見られ、周囲の変化に応じて自ら取り組むことができている。頑固、激しさがあるも、普段は穏和にあり施設適応は良好である。
◆現在の投薬は、チラージンS 3T・メレリル(10)1T
NO.7 O・T(31)♂ 最重度 非定形精神病 入所 S61.4.1.
入所時は、わがままでしつこく、気分が変わり易く突発な行動にでる。
器物破損(膳払いで食器)。破壊行為(医務室の医療器具類・ディールームのテレビ、居室のテレビを何度も引き倒し破損を繰り返す)。他傷行為(女子園生や職員の髪ひき、注意に飛びかかり噛みつく)。自傷(口の中に、喉の奥まで拳を手首まで入れ、嘔吐し胃液を出す)などが毎日のようにあり、手がつけられない状態が続く。やった行為に対し悪いという意識はあるものの、どんな処遇方法に対しても効果がなく、指導ができないと指導員より報告されその結果受診となる。
入所 H1.5/15初診(脳波上、癲癇波なし)5/23〜投薬開始、投薬により、問題行動を少なく弱くしていく方針となる。投薬による眠気、ふらつきもなく、表情穏やかでおとなしく、指示に従い出す。11月農耕班から軽作業班に移動。
H2年、本人なりのサインが嘱託医に通じるようになる。H4年〜診察時の報告にDrに顔を隠し対応する行為がある。癇癪の出方は突発的で、その時その場面のことでなく、過去のことに対し尾をひいていることが多い。癇癪の後に職員に対し謝罪を行う、リーダー格の男子園生M・K、S・T、H・Y、H・K君らに仲介を頼むなど見られる。また、コーヒーを非常に飲みたがり、軍手を欲しがるなどが目だっていた。また、甘えのしぐさで性的なべたつきも見られるようになる。
H5年に入り、わがまま、しつこさなどが弱くなってきる。H4年度までは、問題行動が年度の後半に多かったのが、H5年より前半に多くなる。
H6.1〜M・K君に握手を求める行為がしつこい状態。
H7年〜一年中あるという状態となるが、回数は減少となっている。
H9年〜園生のM・K君から椎木指導員に移行(H。10年度で退職)
H11年〜再びM・K君に執着しだし、現在にいたっている。現在の問題行動の多くは、性格よりのわがまま、しつこい、短気が基本にある。
気になる園生とコミュニケーションとれない時、先の見通しができない時、物事が気になる時などがある。そして、気にいらなければ即、不満をぶつけるというところ
からきている。問題行動の後は、反省の様子もあり、注意を聞く姿勢もでている。また、発語がなくても、本人なりのサインで対人関係をつくり、時に甘え、機嫌をとって胡麻をする道も覚え、施設適応を良好にしょうと頑張っている気持ちが見える。
◆ 現在の投薬は、コントミン(25)4T・リーマス4T・アキネトン4T・テグ
レトール2T
※問題行動の日数(家庭のことは含まない)
NO.8 M・E(30)♂ 重度 小児自閉症 入所 S63.4.1.
投薬開始 H.7.8/16〜(入所 7.4年目)
入所当初は、表情が硬く独り言が多く聞かれる。日課や日程などへの拘りがしつこく、接触に言語交流が乏しい。また、注意によっては、激しい興奮となる。睡眠は浅いが起き出す事はない。偏食のため貧血状態(野菜が食べれない)。
上記症状があるも、身辺自立しており、特にトラブルなどもなく、職員の手伝いもでき、施設適応に対しては、問題なく経過していた。
精神科受診となったことは、H6年より、ダウン症(♀)に執着、服の上から乳房、腹部を触る、陶芸の女子職員の肩を揉む、大学の実習生宿泊の生活実習棟に上がり込むなどの性的欲求行為がでる。H.7.8.12 夏休み帰省中に、早朝、隣の家に無断で上がり込む事件を起こす。(帰省初日から、スーパーで女の子に会うとまた、雑誌やテレビに出ている女の子に向かって「チュッ」とするなどのことが見られていた)。家族に不安を抱かせる事となり、投薬開始となる。
常に一日の流れが頭の中にあり、きまった通りに流れないとかまた、自分の思い通りにならないとしつこく確認して、ブツブツ独り言がでる。また、一年間のカレンダー頭の中でこなしている。行事前は落ち着き無く、それが済むまで気にしていて、行事直前は、相手を見て一日中何度も言葉に出して確認をとってくる。
H8年〜園生、職員に性的欲求が出せない分を、外来者、父母の肩もみに拘る。
追いかけて行う行動は、早くて強迫的なものがある。また、常に肩もみ、肩叩きへの拘りは強く、独り言が多く聞かれる。
H10年度の後半に入り、肩もみの拘りが特定な人から、他の人へと広がる。しかし、同時に拘りが弱くなる。独り言も小声になり、嫌いな野菜も食べられる様になる。
H11.10/2に同室のM・H君の背中以外のつかみやすい部分を引っかく、噛む、強くつかむなどの行為で傷を負わせる。(10.2/10,10/7,10/9、10/15,11/5,12/1と6回)同室のM.H君を全身傷を負わせたことについてのDrの見解としては、「本人の悪意ばかりでもない。ふざけの部分のエスカレートはないかと思われる。それに衝動性の症状」と判断される。現在は、病気の部分は薬で対応し、処遇については、日課の中での監視と、作業訓練の中でストレス解消をさせながら拘りを弱くさせるという対応をとり経過観察中である。
◆ 現在の投薬は、コントミン(25)4T・ベゲタミンB2T(眠剤)
NO.9 A・M(31) ♂ 最重度 小児自閉症 入所 H2.1.8
聾唖の養護施設より転所、H1.4〜12月まで通園の形をとり、その後に入所、入所より投薬開始となる。当初は、手を耳もとで叩いて奇声を発し屋内、屋外を徘徊して周り多動である。拘りは、ゴミを拾い、葉っぱをちぎり口に含み吐き出す(酷いときは、口の中、頭、衣服が泥だらけになる)。歯磨きチューブを口に含んだり、頭に付けたりする。日増しに生活の中で拘りが増えていく。H2.4.〜クラス替えで、前の居室、食堂の椅子に拘る。しかし、接触はスムーズにあり、声かけにも応じ、日課に対しての拒否もなく指示の通りもよい。就寝状態もよく夜間の起き出しもない。
H4年は、排泄の後始末を指導員に教えたり、他園生の盗食を制止したり、班では、離脱した園生を連れ戻そうとしたりなどが見られる。後半に入り、朝終礼時に玄関から出て、キューピクル前にスリッパを揃え、裸足で坂をあがっていく行動パターンが見られる。2年間は毎日続く。
H5年〜奇声・徘徊が減少する。拘りは増えている(コーヒーカップ洗い、N・A君が布団あげるまで食事を摂らない、口の中いっぱい唾液を溜める。歯磨きチューブを食べる、注意に対しトイレから洗面所に行き吐き出す)。
H7年の後半より、飲食後に口をすすぎ、顔を洗う行為が毎日みられる。
H8年、班でA・T君の放尿を注意したり、他園生の訓練着の間違いを、直させたりなど見られる。
H9年、食べ物を噛んでは吐き出すを繰り返しながら食べていく。6/19の社会参加訓練で、公衆トイレの便器を触る行為があり、それ以後、現在も続いている。
また、一年中、手、指、靴、口の周り、踵などの自傷がある。H10年度、前年度に引き続き、自傷が一年中ある。屋内の徘徊と洗面所での水のみ、歩行中のゴミを口に入れるなどは毎日のようにある。しかし、日課、訓練への取り組みは一言の声かけ程度で取り組むことができている。会議室のコーヒー粉を多量に一気に口に呑み込むみその後に水を注ぎ込む行為が度々ある。
H11.11/15〜高血圧の投薬開始。H11年は、ゴミの口含みについては、制止の注意を聞き入れられるようになってきている。また、声かけを行うと、口に含まず足で踏みつぶす行為となっている。
主症状としては、口にゴミを口含むといった不潔行為に自傷、事物の固執と徘徊の行為もある。このような問題行動があっても、H.K君の相性も加わり、施設適応も良く、投薬も適度に効いていると思われる。
◆現在の投薬内容は、メレリル(10)9T
NO.10 M・K(27)♂ 重度 小児自閉症 入所 H6.4.1
通所施設より転所、入所前より投薬継続中。
入所時の状態は、行動を起こす際に、場面場面で本人特有の動きを繰り返しひと通りおこなってから目的に移る。それを遮ることはできない状態(飛び上がってパンパン響く音が出る叩き方をする。手を叩く、胸を叩く、体を足を前後に動かす常同行為に、くるっと回る)。オウム返しに語り掛けの独り言が多い。
視覚でのとらえ方が早く、日課、作業訓練でいろんな拘りを作って行く。また、指導の内容に対しては全てを確実にこなすというほど取り込んでいく。但し、本人が決めている形での取り込み方である。また、一定の行動パターン化の固まりが強いなど見られる。
例えば、アロエ班から軽作業(ピンチホルダーの組立)に移動、職員が行う内容を30分程度で覚える。作業終了後は最後に戸を締めて出る。昼間の入浴後に寝る(アロエ班での作業時間中に)。歩くコースが決まる(朝の会に出向く際、食堂入り口迄行ってターンして戻る、作業に行くコースも決まっている)。興奮、他傷行為などもない。
食事摂取には時間がかかる。(ふりかけを使う)
半年経過より、拘り場面に於いて声かけ指示が入るようになる。大きな声が小声になり、確認する言葉で語調が落ち着く、飛びあがりパンパン手を叩く行為が減少する。
H7年度に入り、自主性がでてくる。オウム替えしが殆どすくなくなり、単語で返事が返るようになる。日課も習慣づいてきて、指導員の課題に対しても自分で考えられる様になる。また、ショップで歯ブラシ購入して自ら交換する(毎月、職員がしている)。などが見られる。
H8年、指導員や園生の言葉の真似が多く、独り言の内容は家庭のことや、前の学園のことが多くでる。出やすい言葉かけに対し、場面での会話が出来るようになる。
H9年、言葉がオウム返しでなく、考えて答えるようになる。昼食、行事、日課の確認を求めるなどがパターン化する。
作業では、H・Kさん、M・H君らの世話をする、歯ブラシの向き、服のかけ方、作業終了後に最後に出て施錠をする、明日の作業の確認などする。同室者N・Y君の気遣いと世話をするなどが見られる。
H10年〜全体的な状態は、前年度と大した変わりはない。日課はスムーズに参加でき作業もマイペースであり、特に問題はなし。
移動の際、体の動きのモーション、コース、位置の拘りは、H6年の後半より目立たなくなり、 H9年には時間が短縮され、H10年には殆ど出なくなる。
H11年度は、行事や日課の確認をすることが本人の日課となり、帰省を楽しみにしている。班では進行状態を、日課では園生の世話に気を遣うことに神経をつかっているなどがみられる。
今のところ、拘り方が良い方向に転換されまた、本人の取り込み方が当園の処遇にうまく会って、施設適応を良くしている。
◆現在の投薬は、コントミン(25)4T・ベゲタミンB1T(眠剤)
NO.11 S.M(37)♀ 重度 小児自閉症・癲癇発作 入所 S56.4.1
入所前より投薬中、癲癇発作については、癲癇発作経過の欄で述べている。
入所時の状態は、大きい奇声をあげて興奮して、ディルームのスチームの上を飛び跳ね、壁に体当たりしたり頭を打ちつけたりする。また、両拳で腹部を打つなどある。自分が気に入らない状態になれば、他の園生を噛む、抓る、頭つきがでる。また反発より自分の手の甲や腕を噛む、抓る、頭を床に打ちつけるなどがある。多動で作業離脱が頻繁で、お茶のがぶ飲みが激しい。その他、物の位置が変わると興奮し、予定通りに日課が動かないと腹を立てる。好きな服を異常なまでに着たがる衣類への拘りなどがある。その他、放尿、抜毛も見られる。
S56年、入所の一年間は、上記の状態で指導出来にくい状態。
S57年の後半に入り、指示に対でき反応して、好きな人に遊びを求めるようになる。急に洋服を壁にたたきつけたり、パジャマを脱ぎ捨てて洗うなどがある。
S58年の前半は、自己中心、癇癪が激しく指導出来にくい状態。入所より始めての癲癇発作がでる。7/13(21:15)
S59年、指導体制が変わり、日程手順が変更しため癇癪が激しく夜まで続く。夜中に起きだしパジャマを洗ったり、衣類を破いたり捨てたりが再三見られ、ロッカーの中を入れ換えたりと好き嫌いが激しい状態。後半に入り指示に従うようになる。
S60年、額、腹部を押さえ「アイチ」との訴えをする。要求が通らないと大声で泣き出すなどが見られる。スリッパ・タオルの穴を見つけては破る行為が頻繁にある。
S61年の後半より、人との関わりが良くなり、作業の覚えも早く持続できるようになる。また、可愛い服に執着するなどもでる。
S62年、抱きついて遊びを求める行動が目立つ。
S63年、指示の通りよく、拘りも弱くなる。誕生会で他の人の親を見て泣き出すなどがでる。 入所9年目のH1〜全体的に感情面の理解が非常によくなる。
H2年全体的に感情豊かになり、生活全てにおいて気を配る様子が見られるようになるる(汚れた衣類、人の気持ちの面などに)。
H3年開所以来の職員が退職。前半は不安定な状態続く。医務室に出向き甘える行動がある。(抱かれる、おぶさる、添い寝するなど)
H4年嫌いな物事に執着、自他傷行為を自分で押さえようとしている。面会前、診察前に薬の用意で帰省を確認するようになる。
その後は、破衣、器物破損、抜毛、自他傷行為(待つことができない・気にいらないことに対して)が時々あるが、日課、作業も真面目に取り組んでいる。感情豊かで聞き分けもよくなり、言語理解が非常によく、普通の言葉かけで通じジレンマもなくなり、余裕のある生活となっている。
1日1回は医務室に顔を出して、薬や物の位置を確認したり、コーヒーを催促に出向いたりして日課の一つになっている。
※ H10年、眼科の検査が普通にでき、疣の切除で7針縫合後も包帯を大事にして問題はなかった(以前は絶対出来なく考えられない事であった)。
NO.12 H・K(56)♀ 最重度 非定形精神病 入所 S56.4.1
初診 H2.6/18(9.2)
入所時の状態は、不満があるといらつき、他の人に当たりけがをさせる。また、人間関係で自分に不利になるように感じると、すぐに叩く、蹴る、殴る、引っかくなどが見られる。また、頭痛をよく訴え、行事前、帰省前には必ず神経性下痢、腹痛を訴える。精神科診察は、上記の症状に更年期障害による不快な状態が加わり、トラブルが多く、軽い安定剤投与により暴行を減少させることになる。
H2年度は、行事に家族の参加がないと尾を引き、八つ当たりしてけがをさせることが多い(髪を引っ張る、ひっかく、唾を吐きかける、服を破る、物を投げて壊すなど)。6/18 担任の車に傷をつける(修理代12万円)
H3年、重度棟の弱い園生に当たる行為あり。
H4年、職員との関わりがないと、対話が少ないと八つ当たりがでる。
暴力行為が減少にて年4回程度となる。また、動く事をうっとうしがり、自室で横になりゴロゴロするようになる。
H5年も暴力行為も前年度に引き続いて年間4回と少なく、けがも引っかく程度、肥満と年齢的なことも加わり、体を動かすことを嫌い、余暇時間、日中でも常に布団をかぶって過ごすことが多くなる。
現在も、暇があれば自室で横になっていることが多い、体育は下痢、腹痛を訴える。上機嫌の時は、ちょっかいを出したり、重度の世話をしたり等もする。
本人にとっての帰省は、実妹が自分に気持ちが向いているを確かめるような様子であり、また、帰省でのタバコとビールが楽しみとなっている。
問題行動の比較
以上、状態説明を入所時、経過、現在と変化を追って述べる。
まとめながら、開所以来のいろんなことが思い出されると同時に、この人達の
人生は共に生活をしている
私達次第であり、私達の人生でもあると再度認識した次第である。
精神障害疾患の診察より学ぶ
園生の人間的成長にたずさわりながら、その過程で結局、職員は自らの人間性をつくりあげていくことになる。園生に限らず、どんな人でも精神科と隣り合わせの人生を送っている。たとえば、自己顕示欲は誰にでもある。このことをとらえた上で仕事をすることが大事である。
1,とらえ方次第
まず、どんな問題行動であろうとも、とらえ方が問題であり、要は、その施設の職員のとらえ方によるところであり、職員次第となる。施設のやり方次第で障害の特性が生かされず、逆に、その子の感性自体が問題行動となって表れる場合がある。問題行動に対するとらえ方は、柔軟性が第一であるが、現場の対応に於いては、即対応(積極型)と間を置いたタイプの余裕型の両方が必要となる。相互の関係のバランスをもっての処遇が結果として生かされることとなっている。
根本的には個人の持つ性格、特徴、癖、病的な部分をしっかり把握した上での、とらえ方が重要であり、また、この人達にしか見られないことの、おかしさ、その可愛さ、社会にとっては役に立たないことが、私どもには絶対に真似のできない、すごい部分を持っているということを認め、これを作業訓練や、生活に生かしてこそ認めたことになる。処遇現場において、場面に適した言葉かけということが、特に重要となるが、これもとらえ方による言葉かけとなる。また、処遇の改善には正確な観察が不可欠だが、このこともとらえ方による。その他、指導には、タイミングということがあるが、これもとらえ方によるところが大きい。
また、処遇の基本として「第一に愛情をもつこと。そして的確な指導をする。そのための正確な観察」が必要となる。これは、つながった内容であるが、指導としては一つ一つ切り離したとらえ方で仕事をするという点が大事であり、この切り離す点が的確な指導につながる重要な点である。
特に重複障害をもつ精神科疾患についての処遇は、病気の方を偏って見ないことである。そうしなければ、訓練の領域から外れがちになり歪んだ成長となりかねない。
2,医療との連携
精神科医による投薬の効用と精神療法について指導員の理解を深めることが重要となる。
問題行動を改善するために、指導しやすい状態に持っていくというのが、医療のアプローチであり必要なことである。指導できなければ改善がないのは当たり前のことである。また、園生の診療だけでなく、職員のカンファレンスの場をもうけている。
3,日課に添わせる指導
特別な訓練や生活というよりも、基本的習慣を身につけさせ、集団生活の日課にスムーズに応じられる指導を重視してきた。その結果かみんな人間としての成長がそれぞれの特徴で表れている。その人の能力程度に合わせた、できる作業をもって、充実感を与えることの方が意味があり、みんなと同じ生活を実感させていくというやり方の方が無理なく、うまく適応していくように実感している。
4,相性の問題を重視
園生同士、職員と園生、父兄と職員間の人間関係の問題がある。どの点も園生の人間としての成長にとって、また楽しい生活となるために大事なことである。
園生間の人間関係では意外な面が表われる。「活発な動きがでる。言葉がよくでる。人によく関わる。身の回りのことを自発的にしだす。訓練に活気がでる。指示に従う。」などが目立つ。園生間の人間関係の作用により「自分らしさ」がでるという大事な部分である。
5,園生間の組織を大切に見る。
園生の19年の長い人生には、園生間の組織というものができあがっている。
集団生活での彼らなりの生き方と思える。宿直帯は園生の世界があり、顔つきも変わっている。職員の目がとどかない部分を見てくれる人とか、喧嘩をしないように、普段の様子となっているかなどを取り締まっている人もいるようである。これを生かさなければ、園生の生活が成り立たない部分でもある。ここで職員として大事なことは、どんな小さな傷、些細なもめ事を見逃してはならないことである。
6,親の協力について
まず、施設の処遇や訓練が何の為になされるかを知ることが大事なことである。
子供が喜ぶことを与えるのでなく、訓練ができるように、団体生活に適応するように、社会参加ができきるようにと考えることである。
園生は365日の内、340日〜350日施設で生活しているため、帰ってきた時くらいはと思い、つい手出し口出しをしてしまう。子供が考えられる様にしてやることが大事であり、又、学園でしつけられたことが家庭で生かされるような努力も欠かせない。また嫌がられること、好かれることを覚えさせることも必要である。
指導員も親に対しては、「今、こういうことができています。また、できかかっています。こういうことが問題でしつけています。」ということを伝達することが重要となる。
職員も保護者も自己本意が強過ぎると子供の成長が遅くなる。預けた以上、預かった以上という心構えが大切ということになる。施設は職員だけでなく、父兄次第という部分もあると実感している。親への生活指導は診察の場で、又19年間の経験上より行っている。
(12)医療講演会の経緯と講演内容
S.62.8.25日に糸井先生が嘱託医として就任され、考え方や心構えをきちんと示され、診察においては、生活指導に関することのアドバイスが多く、そこで、知的障害者の精神科治療には、こういう形が必要かつ重要ではないかと考え、S.63年より保護者との懇談会を開始することとなった。この件については、診察のあり方のところでふれている。特に精神科疾患の診療には信頼関係が 重要であると19年間の経験より実感している。
医療講演会の経過内容は、次の通りである。
1回目 S.63年 診察の園生の保護者との懇談会で、日頃の心配なことの質問等
2回目 H.01年 薬の使い方。家族の協力について
3回目 H.02年 治療教育の目標と基本的な考え方
4回目 H.03年 障害福祉の動向。自立の為に何が大切か。生活指導の心構え等
指導員が発表に参加でケース研究→A)問題行動への体罰について。
B)自閉症の拘り C)チック症の取扱い方
5回目 H.04年 外部の方達が参加
生活指導と精神療法の大切さについて
ケース研究は、A).自閉症の問題行動 B)てんかんの問題
6回目 H.05年 重複障害者に対する医学的ケア
7回目 H.06年 知的障害者施設での人権問題
全職員が日課での処遇で困った人権問題についてレポートを提出
8回目 H.07年 「てんかん学の初歩」→デンマークのビデオで学習会
9回目 H.08年 鷹取学園の新任者研修→知的障害者に接する心がまえ
10回目 H.09年 「人生終末の迎え方」
11回目 H.10年 (1)H.10.6.18 糸井Drを囲む会→「老化の自覚」
(2)H.10.11.13 学園公開で講演
「鷹取学園の運営にかける私の理念〜精神科医の立場から」
12回目 H.12年 創立20周年式典での講演
「20年の診療を回顧し、21世紀の知的障害者像を考えるる」
【今後の課題】
医療管理の課題については、項目ごとに述べてきた。今後の問題は、保護者を含む高齢化ということになる。どんな時代になろうと、どんな状況になろうとも、みんなが安心できる生活づくりが重要なことになる。親亡き後も援助ができるような、また、レスパイトケアまでできる施設づくりを、保護者と一体となり、進めなければならない時期であるといえる。それと、医療との連携がスムーズに流れることが重要となる。
『おわりに』
本園が20周年を迎えられた陰には、地域の医療機関の好意的な協力があってのことであります。また、鷹取学園の園生の特性を理解して、親切に受け入れて頂きました医療機関の各位様には、学園一同心より感謝申し上げます。ありがとうございました。施設が医療機関に恵まれるということは、園生にとって大変幸せな人生が送られることになります。高齢化の問題で今後、益々お世話になることが多くなると思います。何卒よろしくお願い申し上げます。
『19年間の研修会参加の内容』
社会福祉施設看護婦研修終了 S.55年
日本てんかん医学基礎講座 S.60年―61年―62年
社会福祉施設主任研修 S.63年
社会福祉施設長研修 H.5年7月(Aコース)ー H.5年9月(Bコース)
国立秩父学園研修部の第一回看護婦研修 H.5年11月
第22回海外研修(アメリカ・カナダ班) H.6年10月
介護支援専門員の資格取得 H.11.6.25に実務研修終了
その他、自閉症の研修会、九州施設職員研究大会、全国施設職員研究大会、
九州精神保健学会研究大会などにも参加する。
また、S.63〜H.10年間の11回の糸井先生の講演も、大変に意義のある研修会となる。
※その他にパソコン研修、当園の理事である坂田友宏氏より、H.2年にワープロ研修→H.3年にパソコン研修を受け、H.4年より看護日誌記録とデータはパソコン入力対応となり、必要なデータはいつでも引き出しができ、年間のまとめも短時間で可能という業務の省力化となっている。(H.9年よりウインドウズ98で入力)
いろんな研修をしてきて20年目を迎えても尚、生涯研修と努力が必要な仕事であと思う。19年間の実践と研修をふまえ、更に研鑽に励み今後に生かしていきたい。
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