--- 鷹取学園20周年資料 ---


粗暴行為に関する指導とその経過
                            平成12年4月1日
                            個人別ケースまとめ担当者
                            指導員   高 宮  誠
1 問題であった具体的内容
  @粗暴行為・・・膳払い、女性への髪引き、テレビを倒す、カーテンを引きちぎる、
          自宅で暴れる
  A破損行為・・・粗暴行為を行った結果、器物破損につながる。
          例・膳払い後食器を割る、車のミラーを壊す、自宅の商品を壊す等
  B自傷行為・・・口に手を入れての嘔吐
  C精神科疾患・・・精神科受診 
  (<資料・1>にて各問題行動を解説)

2 入所年月日
  昭和61年4月1日入所 (在園期間 14年0ケ月 現在31歳)

3 ケース紹介(入所当時)・・・福岡県精神薄弱者更生相談所の所見より
  @氏名 O・T(男性) 生年月日 昭和43年6月7日生
  A知的面 IQ・19、MA・3歳0ヶ月
  B生育歴
    出産時体重・2800g、出産時難産で1時間程泣かず仮死状態。
    始歩・5歳
    始語・なし
    離乳・4〜5ヶ月
  C身体状況
    脳性麻痺により右半身に若干の麻痺があり肢体不自由、歩行障害、言語障害有り
  D身辺自立状況
    ほぼ全面自立しているが、入浴のみ介助を要する。
  Eコミュニケーション
    発語は無いが、自分オリジナルのジェスチャーで物事を伝える。相手の言ってい
    ることに対して、理解は出来ている。
  F病歴 
    特に大きな病気はしていないが、食が細く・拒食も見られるため特にそれらが顕
    著となる夏場に栄養失調となり点滴を受けることもある。(入所後)
  
  G保険・介護の面について
    平成元年度より精神科受診となり投薬を受ける。(入所後)
  H作業面
    昭和61年度軽作業班(木工)
    昭和62年度農耕班
    平成元年度11月軽作業T班(紙工芸)
    現在和紙班へ移行  
   数々の班に所属しているが、どの班でも自ら作業に取り組む姿勢は見られず、全く
   作業に取り組もうとしない状態である。和紙班に所属し空缶洗いを始めてからは、
   自分の作業として自覚が芽生え自ら取り組む姿勢が見られ、平成11年度において
   は、積極的に取り組む姿勢が見られている。

4 入所当時の状態 
  入所当時は施設適応力が弱く、すでに粗暴行為(膳払い、女性への髪引き、テレビ等
  の器物破損等)は見られる。また、状態が不安定な時はたえず口に手を入れて嘔吐す
  る行為も見られている。

5 経過
* 添付資料は、14年間のデーターの中より今回のまとめの部分のみを抽出し、さら
 に特筆すべき箇所を選択したものである。

  ○昭和61年度(担当 高松)・・・問題行動の頻度は<資料・2>を参照
   膳払いは本人に始末させ、髪引きは厳しい姿勢で接し相手に謝罪させる指導を行う。
   買い物訓練で、町に出て女子高生の髪を引く等する。その後、外出の際に自ら「タ
   オルで手を縛ってくれ」と言ってくることが多く、本人の言うようにしばる真似ご
   とをすると落ち着く。学園の立場としても社会的に見て、手を縛って引きまわすよ
   うに思われることもマイナスになるため、いろいろと方法を考えた末、9月よりイ
   タズラをしないおまじないとして指にリボンを結ぶようにした。
   本人には、「これをすると手を口に入れることがおさまるから」・「外での髪引きが
   なくなるから」との話で納得させ、それときから毎日指にリボンを結ぶと、口に手
   を入れる行為は急に減った。
   本人の食の細さ・拒食による栄養補給の為、毎食後の牛乳と毎晩のカロリーメイト
   の摂取を始める。
   おまじないとしてのリボンの影響から、9月以降全体的に情緒の安定が見られる。
   また、牛乳・カロリーメイト摂取の習慣化から欲求がコントロールされてきている。
                          参照・年間まとめ<資料・3>
  ○昭和62年度(担当 高松)・・・問題行動の頻度は<資料・4>を参照
   成人施設であること、来年は20歳になることを事ある毎に言い聞かせ、わがまま
   が見られた際は叱責し上記のような話をしながら注意を繰り返す。
   パズルボックスを毎昼食後、日課として取り入れる。
   年度前半は、体制の変化・体調不良(虫歯、風邪、低血圧、蛋白尿、微熱等)によ
   り、わがままが直接問題行動として表れる。
   9月以降安定しているが、安定の要因は以下の3点である。
    @新しく所属した農耕班が本人に適したこと
     (室内作業では破損行為につながりやすくなるために、屋外作業に配属)
    A職員出勤時、サンダルを出して揃えることを本人が自主的に始め、役割分担と
     して自ら設定し職員から誉められる機会が増えたこと
    B特定の園生が本人の世話を焼いてくれだしたこと
   その他、当初指2本(中指と薬指)に掛けていたリボンが指1本(中指)で本人が
   納得しはじめたこと、食欲の安定が見られ毎食後の牛乳が中止となった等の変化が
   見られる。
                          参照・年間まとめ<資料・5>
   
  ○昭和63年度(担当 数山)・・・問題行動の頻度は<資料・6>を参照
   食事の食べ残しを少なくするよう指導する。
   極力カロリーメイトの摂取を止めさせ、食事による栄養補給が行えるよう指導する。
   当所は、しゃがみ込み吐く真似をしたり、胃の調子が悪い等を訴える等の抵抗が見
   られるが、一度は何でも口にするようになり、徐々に食べ残しが少なくなる傾向と  
   なる。
   今年度は、カロリーメイトを摂取せずに食事のみで栄養を補給することが出来てい 
   る。
   指のリボンに関して、安定が得られている反面逆にリボンに縛られて、リボンが外  
   れた際に不安定な状況に陥る様子も見られている。
                          参照・年間まとめ<資料・7>
   
  ○平成元年度(担当 数山)・・・問題行動の頻度は<資料・8>を参照
   指のリボンを消去し軍手へと移行するよう図る。
   第一段階として膳払い後、罰の意味でリボンを禁止しその代わりとしてブレスレッ
   トを使用させる。以後、問題行動毎にブレスレットの使用を禁止しながら軍手の使
   用へと移行させる。
   6月頃よりブレスレットを導入するが、始めは慣れない様子であるが、9月頃には
   慣れてきている。11月以降完全にブレスレットも取れ軍手のみで対応出来るよう
   になる。
   これ以降、リボンが外れたことを理由にした問題行動は見られなくなり、問題行動 
   は自分自身がしていることに自覚し始めた様子が見られる。
                          参照・年間まとめ<資料・9>
   
  ○平成2年度(担当 田原)・・・問題行動の頻度は<資料・10>を参照
   膳払いの動機をはっきりさせ、その要因を取り除くことで膳払いを減少させる。
   集団生活の規律を認識させ従えるよう指導し、他園生とコミュニケーションがとれ
   るよう指導する。
   膳払いの要因になっているものを究明し、本人の内に溜まっているストレスを発散
   させてあげることで膳払いは減少している。主に、本人の話を傾聴し、また本人と 
   会話してあげることでストレスの発散に努めた。以後、何故そうしたのかと言った
   原因について本人は口をつぐむことが多かったのだが、徐々に理由づけをするよう
   になった。
   安定状態の時に、ストレスに対しての抵抗が出来る状態が育つようプラスのストレ
   スを与える声掛けを行ってみたことが、心身の向上に繋がった。
   本人の言っていることが比較的理解出来る園生に、話相手になってやるよう指示し
   本人の交際範囲の幅を広げるよう図った結果、集団の中で過すことが多く見られ、
   独りで過ごしていた時間に、みんなと一緒にテレビを見るようになっている。
   この頃以前に比べて、帰省中落ち着いた状態が多くなり家で暴れる事が減少してき 
   ている。
                         参照・年間まとめ<資料・11>
   
  ○平成3年度(担当 藤本)・・・問題行動の頻度は<資料・12>を参照
   全般的な問題行動の軽減を図っている。
   また、歯磨き・居室の掃除・シーツ交換等の日課を習慣づける指導を行う。
   本人の話を聞きながら状態を担当が理解し、不安・ストレスを取り除くことを継続
   して行う。問題行動後の対処は昭和61年度より変えてはいないが、年間を通して  
   問題行動が見られる。この頃、はっきりとした原因は分からないが、行事・帰省を
   気にしての不安定さが見られ、そのまま直接問題行動に移ることも有る。帰省中暴  
   れることが増加しており、母親・弟とのコミュニケーションがうまくいかず、家庭
   環境の変化についていけずそのことが原因となっているようである。
                         参照・年間まとめ<資料・13>
   
  ○平成4年度(担当 藤本)・・・問題行動の頻度は<資料・14>を参照
   平成3年度に引き続き、問題行動全般の軽減を図っている。
   問題行動の原因の追求は継続して行っているが、はっきりとした原因は掴むに至っ
   ていない。しかし、発生しやすい状況として、
    @担任不在時
    A帰省・行事前
    B精神科診察前
    C本人の気持ちに動揺がある時
   と明らかになってきている。問題行動の軽減には、指導を含め本人との人間関係の
   確立が必要であり、本人の話を聞きながらコミュニケーションを密にしたり、本人
   の好きなコーヒーを与え安定を図る等に取り組んでいるが、平成4年度は全体的に
   増加傾向にある。 検索
                         参照・年間まとめ<資料・15>
 
  ○平成5年度(担当 藤本)・・・問題行動の頻度は<資料・16>を参照
   問題行動の原因追求を継続して行い、平行して本人が安定する条件を作ることに努 
   める。
   本年度もはっきりとした原因は掴めていないが、発生しやすい状況は平成4年度と
   比較して変化は見られていない。
   しかし、髪引きの対象が、以前までは女子園生・職員であったが、本年度より数回
   ではあるが男子園生にも見られている。
   本人の好きなコーヒー・軍手を要求する時には、渡すようにして精神の安定を図っ
   たせいか、全体的に問題行動の数は減少している。 検索
                         参照・年間まとめ<資料・17>
   
  ○平成6年度(担当 藤本)・・・問題行動の頻度は<資料・18>を参照
   平成2年度から続いて問題行動の原因究明と、その解消によっての問題行動の軽減
   に努める方向に本年度も引き続き取り組む。
   本年度の問題行動の原因として考えられるのは、帰省前後の不安定と精神科診察で
   の不安(ドクターに1ケ月間の状態を報告される不安)である。
   本年度8月より、器物破損の対象がテレビとなっているが、母親が破損したテレビ  
   の買い替えを行った際に、家庭の状況や金銭的なことを話すと納得出来た様子で、
   以後テレビの破損行為は見られていない。
   11月に女子職員に対しての髪引きの際に、制止した指に噛み付き大怪我をさせる
   が、それを機に予備室での同室者無しの独り暮らしをさせての観察となり、また日
   課の参加には職員がマンツーマンで接している。       
   その影響か12月以降は比較的安定しており問題行動も激減している。
   しかし、園内での問題行動が減少している分、帰省中不安定となることが多く、園
   内のストレスが帰省中に出てきており、予定よりも早く帰園することが多くなって
   いる。
   本年度、問題行動を誘発したと思われる原因は以下のとおりである。
    @自分の意志が通じない
    A昔のことを突然思い出し不安定となる
    B他園生への拘りとその園生の拒否的態度
    C自分のことを報告されるのを嫌がる
    D嫌な行事に対しての拘り
   また破損行為に関しては、破損する際に大きな音が出るもの、やや高価なものが対
   象となり、固定化する傾向がある。 検索
                 参照・年間まとめ<資料・19><資料・20>
   
  ○平成7年度(担当 本田)・・・問題行動の頻度は<資料・21>を参照
   本年度は、本人が再び他園生を怪我させた場合は退園させなければならなくなると
   いう状況から、問題行動の軽減を図りつつ、本人の安定を第一においた指導方法と
   なる。
   本年度前半は、4年間担当であった職員と担当が交代したこと、拘りのある特定園 
   生に関わりを拒否されていること、昨年度までの担当が退職したことから不安定状
   態が多くなっている。しかし、前担当の退職を機に本年度担当に心を開き始め、ま    
   た本人の要求に対して甘めに対応してきたことから、以後嫌いな行事(水泳・精神
   科診療等)や、学園祭等の大きな行事の際に問題行動を起こすことはあったものの
   比較的安定してきている。 検索
   特に変化が見られたことは問題行動後の状態で、以前は泣き喚く・日課を拒否する
   等の態度があったが、問題行動後注意を聞き入れたり作業に参加したり出来ている。
                         参照・年間まとめ<資料・22>
     
  ○平成8年度(担当 原)・・・問題行動の頻度は<資料・23>を参照
   本年度は、問題行動の軽減の中でも他園生への拘りからくる問題行動の軽減に力を 
   いれる。
   問題行動は24回あり、内特定園生の拘りよるもの7回(全体の約1/3)で、そ
   れ以外は担当が替わったこと、これまでも見られた帰省・行事前の不安定によるも
   のとなっている。
   問題行動後、注意に対して拒否的態度も見られが、不安定な状態が長引くことは減  
   少しており注意を聞き入れる姿勢も見られ、注意を理解している様子が見られる。
   また、問題行動に対して注意を行った後に本人の要求どおり、居室のドアにつっか
   い棒をしてやり(引き戸なので意味はないのだが)独りになる時間(反省をするた
   め)を与えることで徐々に状態が安定し、日課に沿うことが出来始めている。
   また、本人は不安定になりそうな状態を自ら察知出来るようで、テレビやその他の
   物を「鎖で繋いでくれ」・「隠してくれ」等の訴えがあり、要求どおり行うとそれを
   見て安心しているが、職員が忘れると必ず問題行動を起こしている。 検索
                         参照・年間まとめ<資料・24>
  
  ○平成9年度(担当 坂田)・・・問題行動の頻度は<資料・25>を参照
   本年度は問題行動の軽減に取り組む方法として、再度問題行動を起こした原因が何
   であったかを追求してみることに努めている。
   日課・作業へのスムーズな参加が出来るよう指導する。
   本人は問題行動に対して悪い事をしたとの認識は持っており、後になって反省する
   傾向が見られる。その為、問題行動後落ち着いた時点で悪い事をしたことへの理解
   を一層強く求める声掛けを行いつつ、合せて以後の日課にスムーズに参加出来るよ
   う本人の気持ちを乗せる声掛けを行うと立ち直りが早くなっている。
   本年度、拘りが有る特定園生と居室が同じになった為、その面では比較的安定して
   いる。しかし、拘りが特定職員へとシフトし、その職員の目を気にして、「嫌われ
   ているのではないか」・「かまってくれないのではないか」等の執着が見られ、それ
   が問題行動に移行する傾向が見られ始めている。 検索
   また、家庭と学園とでの気持ちの切り替えが難しい状態が見られ、帰省時に暴れる、
   帰園後居室に閉じこもり日課・作業への参加状態が悪くなることが増加した。
                         参照・年間まとめ<資料・26>
   
  ○平成10年度(担当 坂田)・・・問題行動の頻度は<資料・27>を参照
   本年度は日課へのスムーズな参加を図り、極力日課・作業に参加させることで気分 
   的な発散を促し問題行動の軽減を図る。
   担当が2年目ということと、特定職員への拘りについてはその職員の協力で職員自
   身が本人に対して気を配る環境が出来たことで全体的には安定している。日課・作
   業の参加状態も年間を通して不参加8日と、不安定状態でも参加出来るようになっ
   た。
   しかし、学園で頑張っている分帰省中にストレスを発散する傾向が見られ、帰省中
   に暴れることが年7回あっている。また、本年度も家庭と学園の気持ちの切り替え
   が難しい状態がみられ、「土曜日帰省・月曜日帰園」の形から「土曜日帰省・日曜
   日帰園」の形をとり、日曜の日中に気持ちを切り替えさせるよう図ることで月曜日
   の日課・作業の参加率を上げている。
   本年度も平成9年度に引き続き、「問題行動自体への理解を図る」ことも継続して
   取り組む。問題行動後に、ある程度職員が本人の気持ちを理解してあげるところま
   で注意を行った。また、居室に閉じこもり独りで反省したり、考えたりする時間を
   設けることで本人の気持ちの切り替えが出来るよう配慮している。 検索
                         参照・年間まとめ<資料・28>
   
  ○平成11年度(担当 高宮)・・・問題行動の頻度は<資料・29>を参照
   本年度は、引き続き問題行動の軽減に取り組んでいるが、アプローチ的に方向性を
   変えてみた。わがままや作業・日課の拒否が見られた際は、その都度本人に訴えの
   理由を聞き、その上で本人の置かれた状況を説明しながら本人が理解出来るように
   し、その後本当に本人自身が理解出来たを返答させるための時間を多く持ち、極力
   本人のわがままや作業・日課の拒否を認めないという方針に切り替えてみた。
   全体的には問題行動が増加している傾向にあるが、問題行動後の不安定さを引きず
   る状態がかなり減少している。また本年度後半、わがままに対しての聞き分けが良
   くなっているという状態になった。
   本年度の問題行動の原因の特徴は以下の点である。
    @わがままを認めてもらう場合
    Aみんなに存在を認めてもらう場合
    B特定園生への拘りについて、関わりを拒否されそのストレスから突発的な行動
     にでる場合
   本年度特に変化が見られたこととして、作業へ参加することが安定状態につなが   
   る近道となっていることと、安定状態の時は、声掛けしなくても自発的に日課に取
   り組むことが出来ており、自主的参加の姿勢が見られている。 検索
                         参照・年間まとめ<資料・30>
   
  ○精神科診療に関して
   平成元年4月15日に初診
   平成元年4月20日南小倉病院でのEEG検査で癲癇波(ー)の診断
   平成元年5月20の受診で、ドクターより投薬により問題行動を少なく、弱くして
   いく方針を言い渡される。 
   平成元年5月23日より投薬開始
   以後平成11年度、精神科受診・投薬実施中である。
   精神科診療受診の経緯は、問題行動が施設生活に不適応であり、投薬により本人の
   精神的安定を図りその上で指導を行う方が効果的との観点から、保護者を含めたケ 
   ース会議により決定される。

6 改善点
  @口に手を入れ嘔吐する〜現在では一度に食べ物を口にし胸が苦しい時等に、自ら嘔
              吐する為に行う程度で、問題行動後や不安定状態に行うこ
              とは見られない。
  A問題行動後の不安定状態〜当初は問題行動後の不安定さは、数日単位で引きずって
               おり、日課・作業への参加拒否があったが、現在では問
               題行動後、数分・数時間すれば落ち着きを取り戻し、日
               課・作業参加出来るようになっている。

7 改善に至った要因
  @に関しては、指におまじないとしてリボンを結んだことが契機となっており、以後
  リボンからブレスレット、軍手と移行出来たことが要因である。
  Aに関しては、本人が問題行動後の注意を聞き入れ始め、また問題行動自体の理解を
  し始めたことが要因であると思われる。

8 まとめ
  問題行動の軽減の為の指導には、本人との信頼関係が重要であり、その確立のために
  コミュニケーションを密にすることということが、各担当者がまず第一に行った重視
  点である。それは、問題行動の原因が本人の内面的なことであり、従って本人の話を
  聞き、また担当が本人に話をすることで、その内面に潜むストレスを完全に事前に引
  き出し消去することが出来れば、必然と問題行動は減少出来るのではないかと考えら
  れるからである。
  本人は物事を充分に理解する力を持っており、実際に問題行動への理解が見られてい
  る現在の状況より、引き続き本人の理解をどのように深めていくかが問題行動の減少
  に繋がると思われる。
  これまでの14年間の指導で、問題行動数に増減はあるものの、入所当時の状態から
  は相当の改善が見られた。今後は、更なる指導の継続が問題行動の実数の減少に繋が
  り、本人の新たな能力の発見や成長に繋がるのではと期待しながら指導にあたってい
  きたい。
                    参照・問題行動数年度別推移<資料・31>



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