--- 鷹取学園２０周年資料 ---

鷹取学園創立２０周年を祝して

荻迫料理学校　校長　荻迫喜代子

　福智の里　鷹取学園の創立２０周年、おめでとうございます。
　人生なら、ようやく成人式と言うところでしょうが、ここまで関係の先生方の努力は並大抵のことではなかったことを思い、共にお喜び申し上げます。
諸施設も整い、園生に家庭的な雰囲気をとのとの園長の発案で、「生活実習棟」ができました。家庭を離れ‘母の味‘からも離れての入園生活は不憫であろうとのあたたかい思いやりが、実習棟を生むことになりました。ここでは、輪番で家庭料理を作っていただく、一連の活動をしていますが、園生の心理的な満足感を倍増する楽しみの場所ともなっています。
　私の健康上の問題で、途中から娘に引き継ぎましたが結構仲良くやっていて喜んでいます．
土曜日の朝、今日の材料を持って学園に到着すると、門の前に園生が待っていて、素早く駆け寄り買い物袋の点検が始まるのです．もう彼女の頭の中では料理の匂いがいっぱいに広がっているのでしょう．毎日、シッカリと手洗いをする。清潔を第一の基本として、家で出来る範囲の料理にこだわり、機能訓練もかねてひたすら切り刻み、混ぜたり炒めたりと不自由な手先で出来る料理に挑戦させる．出来あがって皿に盛り付けさせると「でれが大きいかな−」「どれが美味しそうかなー」と目を輝かせて選び、なるべくその前に座る彼や彼女たちなのです。もう相当の歳なのに、子供のように清らかで天真爛漫で全く年齢を感じさせないそんな様子に、いつも私の微笑がこぼれます。
　世の中、食をめぐる情報は目まぐるしく増大して次々と変わり、満足に手料理の出来ない人、作る意欲もなく手抜きが常識と云う世間の風に、願わくば染まらないで欲しいと思います。たとえ一品の素朴なおかずでも、コツコツと野菜を切り、鍋の中のささやかな煮しめの音や匂いに感動する毎日が送られたら、幸せではないでしょうか。貴方たちは、貴方たちの世界の中で自分の手料理に徹してみてはと、願いたいのです．これからも楽しく料理を作りましょう。そして食べる楽しみと幸せをいつまでも感じていましょうね。



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