--- 鷹取学園20周年資料 ---


手 工 芸 班
                        担当責任者 本 田 康 治
                               
1. 班の成り立ちと経過
 学園の班体制を大きく分けると@作業班 A軽作業班 B機能回復指導班の3班に分かれますが、本班はその中の軽作業班に所属しています。軽作業班とは、作業班に所属するとなれば、体力や作業適性の面からみて無理があると思われる人達で構成され、主として流れ作業の作業分担のなかで、本人の適性にあったことをおこなっている班です。その軽作業班も、一人一人の適性を考慮し4班の構成にしていましたが、その4班では対応できない対象者がいるためにもう1班設ける必要性が生じました。
そのような流れの中で、平成7年度に軽作業班のなかに新たな「手工芸班」が誕生しました。本班は、当園の軽作業班においては、中程度の作業能力に位置付く班で、それなりの移動能力はあるものの、時に情緒の不安定さを持つ園生を中心に班構成されています。
 新しくできた班ということで、作業がスタートした平成7年度当初の2ヶ月間は、作業場がないために、他班の作業場を半分借りて作業をおこなっていました。また、班の作品として何を作っていけばよいのかまったく白紙の状態で、他班の作品作り(粘土細工によるクリップ作りなど)を譲り受けながら、新しい作品作りに挑戦し、試行錯誤を繰り返しながら班活動が始まりました。
これまでに粘土細工や割り箸で作るドアプレートの他、ラッピング袋、プラ板キーホルダー、ミニ封筒などを作ってきましたが、平成11年度に班メンバーの半数が入れ替わったことを機に、新しい作品作りに取り組んでいます。現在は木製パズル作り(板磨き)とビーズの作品作り(ビーズ通し)の2つの作業をおこなっています。木製パズル作りの板磨きが単調な作業内容であることから、ビーズの作品作りが作業の中心となっています。ビーズ通し作業は5つの作業工程から成り立つため、単調過ぎることなく楽しみながら取り組める作業となりました。これまでは既製品のビーズのれん作りだけに力を入れてきましたが、今後はオリジナルの作品作りに取り組んでいきたいと思います。
 
                 写真 作業風景(ペーパーがけ ビーズ通し)

 









2. 作業主旨・目的
 班のメンバーはある程度の手先の器用さを持っていることから、現在は木製パズルとビーズのれん(飾り用)を製作しています。作業を通して張りのある生活が送れることを大きな目標として取り組んでいます。そのためには作業に意欲を持ち自発的に取り組める環境を整えることが必要です。木製パズルもビーズのれん製作もどちらかと言えば単純作業ですので、昼食後からの作業時には居眠りをしてしまう人も何人か出ていました。その対応として午前中は木製パズル製作、また午後からはビーズ通しなどの作業を組み合わせ変化をもたせる方法で、やる気を起こさせるようにしています。


3.メンバー構成                平成12年4月1日現在
園 生
性別
年齢
IQ
知能指数
M A
精神年齢
判 定
そ の 他 の 障 害
I・H

40
19
3歳4ケ月
最重度
脳性麻痺
K・H

39
23
3歳8ケ月
重度
小頭症・緑内障
H・M

35
23
4歳2ケ月
重度
癲癇(レンノックス症候群)
F・T

21
19
3歳3ケ月
最重度
癲癇(レンノックス症候群)
M・H

27
19
3歳0ケ月
最重度
非定形型精神病・言語障害
M・N

44
11
2歳0ケ月
最重度
脳性麻痺・言語障害
M・K

54
33
5歳10ケ月
重度
心臓疾患・白内障
O・M

40
10
2歳0ケ月
最重度
脳性麻痺・言語障害
K・Y

35
16
2歳6ケ月
最重度
小頭症・言語障害
F・T

46

1歳6ケ月
最重度
ダウン症・言語・聴力障害 
円錐角膜 
Y・K

29
25
3歳6ケ月
重度
言語障害・聴力障害

4.作品紹介(平成11年度)
・ ビーズのれん 
・ バランシングパズル(ゾウ)
   ・スタンディングパズル(ライオン・ラッコ・ブタ・ラクダ・イヌなど)



   写真 作品(ビーズのれん)             写真 作品(スタンディングパズル)
5.班の資料

年度
作 品 内 容
年間売上高
園生数および担当者名








粘土マグネット    
粘土キーホルダ
粘土ブローチ
粘土インテリアピン
粘土クリップ
割り箸パネル(大)
割り箸パネル(小)
万年カレンダー


1,400
2,900
5,150
8,800
13,100
6,400
1,000
3,500
合計
 \42,250


 男子4名 女子5名

 担当:浜田 松本










粘土インテリアピン
粘土ブローチ
粘土クリップ
粘土キーホルダー
レターセット
ミニ封筒
ラッピング袋
ラッピングペーパー
プラ板キーホルダー
割り箸パネル(大)
割り箸パネル(小)
割り箸パネル(熊)
割り箸パネル(かさ)


6,036
6,710
7,112
2,446
500
960
3,434
834
0
3,244
1,646
660
840
合計
 \30,351


 男子4名 女子5名

 担当:松本 田中









ドアプレート(大)
ドアプレート(中)
ドアプレート(熊)
ドアプレート(かさ)
レターセット(レース)
レターセット(チェック)
ミニ封筒
ラッピング袋
プラ板キーホルダー
インテリアピン(木)
メモ帳



5,391
522
3,388
280
5,400
1,200
1,890
3,776
5,674
1,800
1,000
合計
\30,351


 男子4名 女子5名

 担当:松本 舟井







10


ドアプレート(大)
ドアプレート(中)
ドアプレート(小)
ドアプレート(熊)
ミニ封筒(カード入り)
ミニ封筒
タペストリー
メモ帳
ラッピング袋
プラ板キーホルダー
インテリアピン
レターセット(レース)

3,319
760
2,318
426
500
2,790
1,200
1,400
912
912
3,700
500
合計
\18,737


 男子4名 女子6名

 担当:田川・大江





11


バランシングパズル
スタンディングパズル(大)
スタンディングパズル(中)
スタンディングパズル(小)
ビーズのれん
コルクコースター
(前年度在庫分)

12,500
1,000
3,500
1,200
2,500
2,500
5,486
合計
\28,686


 男子7名 女子4名

 担当:本田・小柳


6.班のあゆみ
平成7年度(作業内容〜割り箸パネル 粘土細工など)
 4月より新しい班として「手工芸班」がスタートする。作業は割り箸プレート作りと以前に軽作業2班がおこなっていた粘土細工を中心におこなう。特に粘土細工においては皆が楽しみながら作業をおこなうことができた。ロウソク作りや石粉粘土によるカゴ作りにも挑戦するが、試行錯誤を繰り返すも作品には至らず。

平成8年度(作業内容〜割り箸パネル 粘土細工 ラッピング袋 レターセットなど)
 割り箸プレートや粘土細工を中心に、いろいろな作品作りに取り組んだ。新しい作業には興味を持つものの、持続して作業をおこなえる園生が少なく、持続できない園生についての作業探しに試行錯誤を続けた。網スプレーで模様をつけるラッピングペーパー作りや封筒作りといった作業を実施することにより、作業時間いっぱい作業できる園生がでてきた。

平成9年度(作業内容〜ドアプレート 粘土細工 ラッピング袋 レターセット メモ帳など)
 平成7年度よりおこなっている割り箸パネル(本年度より「ドアプレート」に変更)作りが、デザインや材料を変えるなどして種類も増え、班の作品として定着する。昨年度から本班に所属している園生( H・Yさん)が、これまで席に着かず床に座り込むことが多かったが、メモ帳作り(網スプレー)をおこなわせることで席に着いて作業できるようになる。

平成10年度(作業内容〜ドアプレート レターセット ラッピング袋 メモ帳 タペストリー)
 班の作品として作り続けているドアプレートやレターセットも最近では「この作品は去年買ったから」などと売れにくくなってくる。新しい作品作りの必要がでてきたため、タペストリー作りなどにも取り組んだ。

平成11年度(作業内容〜木製パズル ビーズのれん)
 年度当初から、新しい作品作りを目標に班活動が始まる。木製パズル作り(板みがき)をおこないながら、楽しく作業ができる作品作りの試行錯誤を続ける。7月よりビーズ通しによる作品作りが始まる。補助具の使用がスムーズにできるように、当初は練習に適している既製品のビーズのれん作りをおこなった。ビーズによるオリジナルの作品作りが3月より始まるが、本格的な作品作りは来年度に持ち越しとなる。








             (男子園生 24才)            (男子園生  54才)

             (男子園生 21才)            (男子園生  44才)
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