--- 鷹取学園20周年資料 ---


          園 芸 班

                     
                         担当責任者   渡 邉 伸 嘉             
                                                                                           
1班の成り立ちと経過
  昭和56年度の農園芸班からスタートし現在は園芸班と称しています。 
  現在、学園下の畑に立ち並ぶビニールハウスの土地は当時、雑草の生い茂る荒れ                                                                             
 地でした。土壌がほとんど無い岩盤で草以外の植物が生育する事は不可能な場所で
 した。その荒れ地が職員、ボランティアの方々1人1人の長年に渡る力によって現
 在の肥沃な耕地へと生まれ変る事が出来ました。また、直方中央ロータリークラブ
 及び韓国北釜山青年会議所様より寄贈して頂いた鉄骨ビニールハウスは当初現在の
 生活実習棟前に建設されていましたが、昭和60年に下の畑に移動しハウス栽培を
 中心に班活動を展開してきました。
  昭和56年度から昭和58年度までは農耕班と花と野菜の栽培を行いました。
  昭和59年度より新たに「園芸班」となり花卉専門の班となりました。当初の作業
 内容としては、除草作業、土作り、鉢花栽培を行って来ました。
 平成元年度より園庭の花壇用の苗を栽培し花壇への定植を始め環境整備にも力を入
 れ始めました。平成6年度より本格的に園内の花壇作りを行う為、花壇用の花苗栽
 培も行いました。
  直方市の昔の文献で分かった事ですが学園のある地域で紅花の栽培が行われてい
 た事が分かり、鉢花栽培に加え切り花として平成5年度紅花の栽培に取り組みまし
 た。平成6年度より切り花の種類も増やし、切り花栽培も本格的に取り組み現
 在では切り花の方が園芸班の代表的な花物とし上げられます。花苗栽培・鉢花作り  
 に関しては年間の栽培サイクルも安定してきたように思われます。
  荒地からのスタートで花卉栽培を原点とし、20年目という節目を迎えた現在、新
 たなスタートとして指導員、園生共々今後とも皆様に喜ばれるような花卉栽培に精 
 を出して行きたいと思います。
2 作業主旨・目的   
  園芸班は重度知的障害に加え情緒不安定な人、気分にむらのある人達が作業を行
 う班として存在しています。作業時間内も独り言やうろつきのある人がいますし、 
 集中できる時間は至って短いと言えます。しかし、青い空の下で花苗・鉢花・切り花
 栽培、花壇整備等を行いながら自然に親しみ、ストレスの発散や皆で力を合わせて花
 を育てていく過程で協調性を身に付け各自に合った作業を行なう事にしています。


  続性及び集中力等を養いまた、一人一人の意欲的な作業態度安定した学園生活に成          
 るうにしています。花壇に奇麗な花が咲いた時や、栽培した鉢花が可愛く咲いた時の
 喜びを皆で味わい、毎日頑張っています。その他、道具の準備・片付け等の習慣付け
 も基本的なものとして重要視しています。併せて、手洗い、作業服の着脱等も自ら確
 実にに行なえるように考え作業と平行して日常生活面での身辺自立も目指しています。
3 メンバー構成
園 生
性 別
年齢
IQ
M  A
判 定
障 害 内 容
S・T

29  
32   
5歳8ヶ月 
重度
ダウン症・遠視(矯正0.4)
T・H

30
27
4歳0ヶ月
重度
下肢脳性麻痺
T・T

38
34
6歳4ヶ月
重度
精神分裂病
N・M

20
25
4歳2ヶ月
重度
癲癇性精神病
M・S

41
14
2歳5ヶ月
最重度
言語障害
S・Y

37
16
2歳6ヶ月
最重度

F・S

42
22
3歳6ヶ月
最重度
癲癇
4 作業内容・工程
   主に花苗・鉢花・切り花栽培を行い、作品の水管理、固形肥料まき、鉢や畑の
  除草作業等を行なっています。また、鉢花や花苗の栽培準備として土作りを行い、
  ポリポットや植木鉢への土入れ作業を行なっています。栽培した花苗は、園内の
  花壇やプランターへ定植し花栽培と並行して園内の環境美化も行なっています。
   切り花・鉢花は月に一度の面会日や帰省者の多い土曜日等に園内販売を行ない
  また、たくさんの人に栽培した花をアピールする目的で直方市古町商店街『五の
  市』へ出店し、園芸班全員で販売にも出かけています。

@ 苗床作り・・・・・(S・T君、T・T君、M・S君、N・M君、T・H君)
   花の種をまく準備として、ピートモスに水を加え手でこね、ピートモスを粘土
   状にした物を育苗箱に敷き詰めて行く作業です。
 
A 土作り・・・・・(S・T君、M・S君、N・M君)
花苗の移植、鉢花の鉢上げの為土作りを行う。真砂土をベースに2号砂・堆肥
ピートモス・パーライト・消石灰・腐葉土などをスコップで混ぜ土作りを行い
  ます。
  土作りの際、肥料などの配合は職員が行います。

B ポリポット・植木鉢の土入れ・・・・・(S・T君、M・S君、N・M君)
  花苗の移植準備、鉢花の鉢上げ準備として植木鉢やポリポットへ適量の土を入ます。


C 固形肥料置き・・・・・(N・M君)
  花苗の移植後、鉢花の鉢上後に花の追肥として固形肥料を、花苗1〜3個、鉢花3 
〜5個を花苗・鉢へ置いて行きます。

D 古苗片付け・・・・・(全員)
  花の枯れた鉢花、花苗などを、ポリポットまたは植木鉢から取り出し、ポリポッ
トと植木鉢を重ねて片付けます。

E ポリポット洗い・・・・・(T・H君、S・Yさん)
  花苗の栽培の終わったポリポットを集め、スポンジで一つずつ、洗う作業です。

F 花壇整備・・・・・(全員)
  園庭の花壇への花の定植、花の片付けを行います。花の定植については職員が行
い、園生は空になったポリポットを集める作業を行います。花壇の花が終ると枯れ
た花を取り除く作業を全員で行います。

G 除草作業・・・・・(全員)
鉢花・花苗の草取りは、雑草と花苗を間違えて取ってしまわないように声掛けを 
  行いながら作業に取り組んでいます。また、ハウス周辺や園庭の花壇の周囲など
  の草取りにも取り組んでいますが、夏場は草も多く暑さも加わる為、体調を考慮
  しています。
H 作品販売・・・・・(全員)
出来上がった鉢花・切花・花苗、直方市古町商店街まで公用車で移動し、商店街
  内で約1時間30分程度販売を行っています。販売は園生皆嬉しい様で通常の作
  業よりも張り切って参加できています。販売中は、呼び込みをする人・お金を受
  け取る人・商品を渡す人と一人一人が役割を持っています。


        写真 作業風景(畑草取り)   








6、班の資料
 年 度          
作業内容
担当者
備 考
昭和56年
野菜・花卉栽培
浜村・竹並
農園芸班
昭和57年
野菜・花卉栽培
浜村・武並
農園芸班
昭和58年
野菜・花卉栽培
浜村・竹並
農園芸班
昭和59年
花卉栽培(鉢花・花苗)
浜村
園芸班
昭和60年
花卉栽培(鉢花・花苗)
浜村
  園芸班
(作業班U)
昭和61年
花卉栽培(鉢花・花苗)
浜村・吉野
園芸班
(作業班U)
昭和62年
花卉栽培(鉢花・花苗)
浜村・高鍋
園芸班
昭和63年
花卉栽培(鉢花・花苗)
高鍋・今里・田原
軽作業V班
平成元年
花卉栽培(鉢花・花苗)
高鍋・今里
軽作業V班
平成2年
花卉栽培(鉢花・花苗)
高鍋・杉町・中野
軽作業V班
平成3年
花卉栽培(鉢花・花苗)
立木・松下
軽作業V班
平成4年
花卉栽培(鉢花・花苗)
波多野・安村
軽作業V班
平成5年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
中野・木原
軽作業V班
平成6年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
木原・渡邉
軽作業V班
平成7年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
木原・渡邉
園芸班
(軽作業班)
平成8年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
渡邉・舟井
園芸班
(軽作業班)
平成9年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
渡邉・田辺
園芸班
(軽作業班)
平成10年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
渡邉・谷口
園芸班
(軽作業班)
平成11年
花卉栽培(鉢花・花苗・切花)
花壇整備
渡邉・谷口
園芸班
(作業班)
7 班のあゆみ
   昭和56年度
    この年は農園芸班という呼称で、野菜と花苗の栽培を一緒に行っていました。
   当時は畑を耕す際などは人力であった為、作業が捗らない状態でした。学園付近
   の農家の方にお願いして、トラクターで畑を耕してもい、サツマイモを広々とし
   畑に植えましたが、畑の土が少ない為か全く収穫が出来ませんでした。
    また、収穫間際の菊を、当時の担当者が市内に種の購入に行っている間に全て
   鎌で刈り取られる事もあり失敗の連続の年でした。
    班としての収入は5,300円でした。

 
  昭和57年度
    農園芸班から農耕班という呼び名に変更になりましたが、前年度と同様に野菜
   と花の栽培を行いました。職員は2名で園生は17名という大所帯でした。
    班としての収入は、88,363円でした。

  昭和58年度
    開所当初の農園芸班という呼称に戻り、野菜の栽培とアスター・ガザニア
   の栽培を中心に行いましたが、花の管理が大変で野菜の方までは手が回らな
   状態でした。
    班としての売り上げは、256,122円でした。

  昭和59年度
    花卉栽培専門の班として新たにスタートし、園芸班という呼称になりまし
   た。開所当初に直方中央ロータリークラブ及び韓国北釜山青年会議所様より
   寄贈して頂いた鉄骨のビニールハウスを拠点にキンセン花・桜木草・ペチュ
   ニア等の花の栽培を行いました。この年より園芸班の技術指導の為に牧村氏
   が来られるようになりました。花卉栽培は管理が大変で失敗も多く花卉だけ
   では売り上げが伸びませんでいた。
    班としての収入は、46,150円でした。

  昭和60年度
    花卉栽培専門の班となって2年目を迎える。前年度よりも花の品種も増や
   しました。栽培作品として、ベゴニア・カルセオラリア・風船かずら・プリ
   ムラなどが上げられます。花の管理は四季を通して大変ですが、花の品種を
   増やし作品が増えた事で売り上げも前年度よりも伸びました。
    班の売り上げとして、224,532円でした。

  昭和61年度
     花の栽培にも徐々に職員・園生共に慣れてき、栽培作品についても定番的
    な物も出てき園近辺の野菜市場への出荷など、販売の枠も広げました。また
    園生の作業内容についても専門的な作業が行えるように各園生に合った作業
    内容に取り組みました。
     班の売り上げとして、270,782円でした。
  昭和62年度
     鉢花の栽培、販売に着いても安定してきました。また、鉢花・花苗栽培
    に加えこの年はコスモスを畑に植えました。
     班の売り上げとして、296,787円でした。

     昭和63年度
       この年は園芸班から軽作業V班という呼称に変りました。
      班の活動に着いては、前年度と同様に花苗・鉢花の栽培を中心に行いました。
      また、開所当初から園芸班であった指導員に代わり新しい指導員が担当となっ
      た事で、花栽培の難しさを再度しりました。また、前年度と栽培作品はそ
      れほど変化はありませんでしたが、売り上げが伸びませんでいた。
       班の売り上げとして、184,075円でした。

     平成元年度
       この年は担当となった指導員が福岡県農業大学校を卒業された為、農業大
      学校様よりシクラメンの苗を寄贈して頂く。この年以前からの鉢花・花苗に
      加えシクラメンの栽培を行いました。シクラメンは夏の水管理・冬の暖房管
      理と他の鉢花に比べて管理が難しく、当時の担当者はシクラメンで1年が終
      わった気がするとのコメントもあった。シクラメンは一鉢1,000円で販
      売を行いました。学園の販売の鉢花としては高く感じられますが、当時の園
      生・指導員の苦労がこの1,000円という金額に詰まっている様に感じら
      れます。
       班の売り上げとして、201,360円でした。

     平成2年度
       この年も前年度に引き続き、シクラメンを栽培しましたが夏越しの失敗で
      良い結果を出す事が出来ませんでした。また、九州に台風が何度も上陸し、
      軽作業Vのビニールハウスにも被害が及びました。
      ベゴニア・クッションマム・葉牡丹などの作品は見事に開花し、園庭の花壇
      への定植や、販売を行いました。
       班の売り上げとして、92,660円

     平成3年度
       鉢花・花苗栽培に加え、園庭花壇の花苗の栽培をもいました。
       花壇用の苗として、マリーゴールド・ベゴニアなどを花壇へ定植を行い
       ました。
        班の売り上げとして、52,750円でした。

     平成4年度
       花壇整備・花栽培などの作業も定着し、花苗にパンジーの苗を販売を園
      近辺のJAなどで販売を行いました。
       班の売り上げとして、355,063円でした。

   
  平成5年度
    花壇整備、鉢花・花苗栽培に加え、紅花の栽培を行いました。
    紅花は収穫後に乾燥させ、ドライフラワーとして販売しました。また、
   軽作業U班で紅花染めの材料としても利用しました。
    班の売り上げとして、223,499円でした。
 
  平成6年度
    前年度より紅花の栽培に加え、紅花栽培後に加えストックを切り花用と
   して栽培を行いました。ストックの栽培については、開花はしましたが、
   葉に害虫被害が多く完璧な物ではありませんでした。
    また、園生の指導に着いては、作業面に加え手洗いや作業着のきちんと
   した着用など生活面と並行した指導も行いました。
    班の売り上げとして、163,420円
       
   平成7年度
     園庭花壇の整備に本格的に取り組みました。また、前年度までの栽培作
    品に加え、雨の日用の作業として、千日紅や帝王貝殻草などの栽培を行い
    ポプリやドライフラワーの作成に取り組みました。
     班の売り上げとして、162,400円

   平成8年度
     この年に、アロエ班が使用していたハウスでアロエの生育不良が目立つ
    為園芸班が切り花用のハウスとして使っていたハウスを交換し、切り花の
    ハウスが前年度までの倍以上になる。しかし、ハウスの中央付近での生育
    不良が目立ち紅花が褐色に枯れてしまい製品として販売する事が出来ませ
    んでした。ストックについては紅花ほど生育不良は目立たず、前年度より
    もストックの品種を増やし販売数も前年度よりも伸びました。
     班の売り上げとして、247,650円でした。

   平成9年度
     鉢花・花苗の栽培に加え、平成5年より取り組んできた切り花の栽培は
    毎年紅花は生育不良が確認されるが、ストックに着いては生育も良く園内
    販売では保護者の評判も良く、直方市古町商店街での販売も開始しました。
     班の売り上げとして、251,100円でした。

   


    平成10年度
      前年度までの、鉢花・花苗の栽培量を若干減らし、切り花栽培へ力を入
     れました。夏は紅花と同時期に切り花用のミニヒマワリを栽培しましたが
     紅花同様に生育不良が目立ちました。また、畑内の残留肥料が原因でミニ
     ヒマワリがハウスを突き抜けるほどまで太ってしまいました。ストックに
     ついては、栽培管理にも慣れ売り上げも伸びました。また、花苗について
     は、パンジーの冷蔵処理栽培をしパンジーの早咲きにも挑戦しましたが、
     夏期の栽培管理が難しく、開花したものの開花が遅い状態でした。
      班の売り上げとして、330,933円でした。

    平成11年度
      鉢花栽培・花苗栽培・切り花栽培にも前年度同様に取り組みました。
     スプレー菊の苗を頂き、その苗を親木として、スプレー菊の切り花栽培に
     も取り組みました。
      また、平成12年度の創立20周年記念に向けて、園内の花壇作りや、
     花壇整備を行い、パンジー・ビオラの花苗は昨年度の倍以上の数を栽培しま
     した。プランターや、花壇への定植を行いました。20周年の花苗の準備な
     どで前年度よりも鉢花の栽培数を減らした為か売り上げがこの年は前年度よ
     り低くなりました。
      班の売り上げとして、299,030円でした。
8作品紹介 
○春〜夏・・・・・紅花(染色班用)・ひまわり(切花)・マリーゴールド・サルビア
         ブルーサルビア・ルドベキア(花壇苗)・ジニア(花壇苗)
○夏〜秋・・・・・ベゴニア(鉢花)・パンジー・ビオラ・スプレー菊(切り花)
         千日紅(ドライフラワー)・クリサンセマムプライトビキニ(ドラ
イフラワー)
○秋〜冬・・・・・ストック(切花)・デルフィニューム(切花)・プリムラ(鉢花)

作品写真
     パンジー・ビオラ               ベゴニア











     

Text Box 5:

Text Box 8:



この頁は、鷹取学園20周年CDROMにあるWORD文書を、自動HTML変換して作成したものです。
リンクの行き先等の変換ミスにお気付きの場合は、下記までおしらせください。
                     〒822−0007 福岡県直方市大字鬼ヶ坂336番地の11
                     社会福祉法人 福知の里   知的障害者更生施設 鷹取学園
                      TEL 0949-24-6622   FAX 0949-24-8333
                      EMAIL takatori@enissi.com