--- 鷹取学園20周年資料 ---


陶 芸 班
担当者 坂 田 俊 介
                      田 邊 理 奈
   

1.班の成り立ちと経過
 昭和56年開所当時から陶芸班として活動を始め、対象者は農耕班のような共同作業には向かず、個人でこつこつと作業をするタイプの人達で構成されました。当初は粘土を手で触れる事から始まり、様々な形の物を自由に作り、思い思いの作品作りを行い、コースターに自分の顔を描いたり、好きな物を描いたりして粘土に慣れていったことでした。現在でも作業場の壁に装飾として掲げてあります。翌年より石膏型を使用しての流し込みの作業を行い、粘土を注ぐだけで奇麗な形が出来上がるといった作業手法を用いたり、タタラーを使用しての作品つくりを実施し、道具を用いての作業に取り組み、次第に個別の能力に応じた機械や道具を使用しての作業を展開してきました。その後、全体作業として昭和59年には型を利用しての作業を中心に行い、同じ形の作品がたくさん出来る事で園生も決められた作業を分担し、作品としては「土鈴」を神社に納めたり、急須作りをしたりで好評を受けました。昭和62年には外部より大型注文がきました。お神酒に使う「かわらけ」を7500枚という今までに経験した事のなかったかけ離れた枚数を全員で一丸となって製作し、現在でも毎年納期まできちんと納めております。平成2年度からは西洋陶器作りも始め、和陶器とは違う味の作品も手がけました。平成5年度からは石膏型の流し込みによる「干支の土鈴」作りに取り組み、毎年年末になると喜ばれております。手づくり作業では花瓶や灰皿等、電動ロクロ作業では一般的な茶碗や湯呑み、石膏型を使用して形が整った作品の成形も出来るようになりました。個人別指導に力を入れる方法としての作業内容は技術の向上に結びつき、現在では多種多様な作品を仕上げるまでに上達しております。園生発表の場として、外部販売や学園祭での作品販売・作品展への出展とか地域事業振興行事等に参加する事により、年々評価を得ています。


2.作業主旨・目的
 陶芸班は、園生6名(男子3名・女子3名)と職員2名(男子1名・女子1名)で構成され、日々作業に励んでいます。陶芸というものは、普段、目に触れ手に取る陶器を製作しているわけで、日常からかけ離れたものではないと思います。粘土を使用する陶芸は作品を製作する上で、指先で粘土に触れ指を動かすことにより、脳の柔軟化を図り髄脳の発達に効果があると言われています。個人別での作品づくりにおいては、それぞれの能力にあった技術指導を行うかたわら、道具や機械を使用して土作りから土練機掛け・手びねり作品・ロクロ作業・タタラー作業等、個別の作業工程を身に付け、技術の向上を目指し、全体で行う作業については、各工程に分担して効率性を高め、個人の責任感を養う事を目的としています。
 形のない粘土から様々な形に作られた作品は、それぞれ次第に形が出てくる園生自身の喜びが凝縮され、わたし達にも大いに伝わってくるものがあります。作業を通してのコミュニケーションを大事にし、情緒の安定を図り、これからの日常生活での意欲や自主性の向上に結びつくようにしたいと考えています。


3.メンバー構成                平成12年4月1日現在
園 生
性 別
年齢
IQ
M A
判 定
障 害 内 容
M・K

50
38
6歳8ケ月
中度
癲癇
M・T

31
17
3歳0ケ月
重度
ダウン症・言語障害・白内障・眼球振とう
K・S

45
34
6歳0ケ月
重度
癲癇・言語障害
H・K
 女
56 
17   
3歳1ケ月
最重度
言語障害・非定形型精神病
I・N

30
22
3歳10ケ月
重度
ダウン症・言語障害・白内障


4.作業内容・工程
電動ロクロや手びねりの作品が主で、その他機械ロクロ・タタラー・石膏押し型・石膏型への流し込みなど各自の能力に応じた作業を行っています。

1.土作り ・・・・(全員)
   乾燥した土を水につける⇒土を鉢に入れ半乾燥させる。
2.土錬機かけ・・・(全員)
   半乾燥した土を土錬機に入れて荒練り、真空練りをする。
   ⇒粘土をある程度の長さに切り、箱に収納していく。
3.作品作り
☆ 電動ロクロ・・・・・・・(M・K君、I・Nさん)  
   粘土を菊練りする(円錘形)⇒ロクロ台にセット⇒粘土を叩き、水をつけて上
   下させる(土殺し)⇒成形⇒削り仕上げ
☆機械ロクロ・・・・・・・(M・K君) 
   粘土を薄く切り石膏型に詰める⇒ロクロにセットし、レバーで抑えながら余分
   な粘土を切り取る⇒作品の内側を指で撫で表面を整える。⇒少し乾かし型から     
   外してかわらけ完成
  ☆手動式タタラー・・・・・(H・Kさん、M・T君)
   レバーを手で回し粘土を一定の厚さにする⇒石膏型などで型を取り、手で形を
   整えて仕上げる。
☆ 手びねり・・・・・・・(M・E君、K・Sさん)
   粘土を円に丸め叩いて平にしたものを形どる。⇒粘土を紐状に伸ばし巻きつけ
   る。⇒紐状が見えなくなるまで伸ばす。
☆ 流し込み・・・・・・・(M・E君、M・T君)
   石膏型に粘土を流し込む⇒型を外す⇒土鈴完成
4. 乾燥
   棚板にのせ乾燥させる。
5. 底や縁を削る(M・K君、職員)
6. 素焼き(職員)
 800度で焼成  土鈴1100度で焼成
7. ペーパーかけ
 紙やすりにて表面をきれいに削る(全員)
8. 薬かけ
 釉薬の中に作品をつけ、内側と外側に薬をつける(職員)
9. 本焼き 
   薬のかかった作品を窯に詰め焼き上げる。1200度焼成(職員)



         写真  作業風景                    写真  作業風景        

5.作品紹介
  ・湯呑み      ・一輪ざし    ・ビアグラス    ・とんぶり 
  ・茶碗       ・傘立て     ・ワイングラス   ・デザート皿
  ・各種皿      ・灰皿  等
          写真  作品               写真  作品



 



6.班の資料
  
 年 度
   作 業 内 容
担当者    
昭和56年度
自由製作作品つくり
藤本 

昭和57年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み
電動ロクロ・タタラー
藤本・西本
昭和58年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み
電動、機械ロクロ・タタラー
藤本
昭和59年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・
電動、機械ロクロ・タタラー
藤本
昭和60年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・土鈴つくり
藤本
昭和61年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械
ロクロ・タタラー・型はめ
藤本
昭和62年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械
ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本
昭和63年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本
平成元年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本
平成2年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本
平成3年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本・浜田
平成4年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけつくり
藤本・横手
平成5年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
藤本・横手
平成6年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
藤本・横手
田畑
平成7年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
藤本・横手
平成8年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
坂田・矢野
平成9年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
川添・坂田
平成10年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
川添・坂田
平成11年度
手びねり作品つくり・石膏型流し込み・電動、機械ロクロ・タタラー・かわらけ、干支土鈴つくり
坂田・田邊


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